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在りし日の風景
〜ショーリ編〜

「おいしいコーヒーのいれ」より
MEG
Up:2000.3.4 Sat



在りし日の風景
                   〜ショーリ編〜
                   「おいしいコーヒーのいれ方」より

今日も気持ち良いくらいの青空が広がっている。
洗濯物を干し終えると、思いっきり背伸びをしながら、朝の空気を吸い込む。
さすがに高原の空気、とはいかないけれど、
それでも心に満ち足りた幸福感のある時は、何でも新鮮に感じられるものだ。


かれんとキスをしてから、一体何日過ぎたんだろう。。。
指折り数えてみる。
何のことはない、たかだか数日だ。

僕らのキスは、まだ、あの一回きり。
二人きりの時間がなかったわけじゃない。
しようと思えば出来たのかもしれない。
でも、僕らは、まだ、あの日以来、キスをしていない・・・・。

回数じゃない、大切なのは気持ちだ!
そう自分に言い聞かせながらも、
僕は、まだ、彼女との中を進展させられない自分に、少しだけイライラしていた。


恋は焦っても上手く行かないもの・・・。
誰かが言っていた。
でも、あのかれん相手に焦らなくてどうする?
このままじゃ、一生おままごとのような付き合いになってしまうぞ。
(それは、それで、いいか、とも思えるけど、
でも、オレだって、一人の健康な青年男子だ。ままごと止まりじゃ気が済まない)
心の中の、ある意味、とても素直な僕が意見する。

とはいうものの、かれんの事を見てるだけで、僕はとても幸せな気分になれる。
きっと、多くの人が同じように思ってるだろう。
彼女は、そうさせる雰囲気を持っているのだ。
あれは、持って生まれた才能の一つじゃないかとも思える。
そんな彼女が、「大好き」と言った相手が、この僕なのだ。
優越感に浸るな、という方が無理がある。

抱きしめた彼女のぬくもり、柔らかな唇、彼女の吐息・・・。
すべて、僕だけのもの・・・。
僕だけに与えられた一種の特権のようなものだ。

彼女が僕を選んでくれた、あの日。
そう、僕らが初めてキスをしたあの日。
まるで、あの日が夢だったんじゃないかとさえ思ってしまうときがある。
でも、夢じゃない。
僕と彼女の新しい日々は始まっているのだ。


あの雲のように、僕らの恋愛もゆっくりと流れていくのだろうか。
真っ青な空に流れる白い雲を見ながら、そんなことが頭をよぎる。
僕はいつになったら、彼女にふさわしい男になれるのだろうか。
誰が見ても納得のいく、彼女の隣に立って違和感のない、そんな男に・・・・。



「勝利ーぃ、オレの朝メシーっ!!」
朝っぱらから、元気なやつだ。
おちおち考え事も出来やしない。
丈が僕を呼ぶ声・・・、いや、朝飯を呼ぶ声に苦笑しながら、階段を下りる。

「あ、ショーリ、おはよぉ」
相変わらずのぼーっとした声と、相変わらずの笑顔が階段下で僕を迎える。
「おはよう、ちゃんと眠れたか?」
「うんっ!」
僕の問いかけに、笑顔を添えて答える彼女。

いつまでも、僕の側で、笑っていて欲しい。
君の笑顔が、僕の心をこんなにも、暖かくさせている、という事に君は気が付いているんだろうか。
この笑顔を守りたい。
そのためなら、僕はなんだって出来るような気がする。


まずは、彼女のためにおいしいコーヒーをいれてあげよう・・・・。





=編集後記=
えー、ついに書いてしまいました(笑)。
本当は、SSには、手を出さないつもりでいたのですが、勢いというのは怖いものです。
初めて書いたSS、いかがでしたでしょうか?
一応みなさんもおわかりだと思いますが、「ショーリ編」となっているので、これは、シリーズもの第一弾です。
今後、「おいしい〜」登場人物達、それぞれの「在りし日の風景」を書いていこうと思っています。
感想などいただけると、嬉しい&励みになります(≧∇≦)



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