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安堵と不安
前編

「おいしいコーヒーのいれ方 I・キスまでの距離」より
ゆう
Up:2000.10.21 Sat



 「眠い・・・。」
ベットに横になったままの状態で、目だけを開けて
かれんはひとりごちた。
昨日は結局何時に寝たんだろう。
たしか3時は回ってたはず・・・。
そんなことを今更考えてもしょうがないのはわかってる。
それに眠った時間を覚えていないのは今日に限ったこと
ではないのだから。
まだ眠り足りなかったがかれんは腫れぼったい目をこすり
重い腰を上げた。
「行かなくっちゃ。」

安堵と不安 前編
「おいしいコーヒーのいれ方I・キスまでの距離」より


 パジャマのまま部屋を出て階段を下りていくと
いつものように芳ばしいコーヒーの香りが鼻をかすめた。
居間に行くとそこにいるのが当たり前のようにショーリがいて、
台所で朝食の準備をしていた。
「かれん、おはよう。」
私の存在に気がついた彼は後ろを振り向き言った。
「おはよう、ショーリ。」
朝の挨拶を交わし椅子に座ると、ほぼ同時にテーブルに
コーヒーが運ばれる。
「今日はこんなに早く起きてどこに行くんだ?」
「んっ・・・ちょっとね。」
お茶を濁した答えだったが、今日のショーリは別段気にする
様子もなくパンをトースターに入れフライパンに火をつけてから
違う話を始めた。
「あっ、そうそう。俺これから出かけるからあとよろしくな。
ちょっと友達の家に用事があるんだ。」
まだ覚醒しきってない頭で全てを記憶することなどできなかったが、
とにかく彼はこれから出かけるようだ。
 全員分の食事(といっても私と丈の分だけだけど)を作り、
テーブルに並べ終えたショーリは椅子にかけてあったリュックを
手にとってさっさと私の前から姿を消したのだった。
もちろん家を出る前に丈を起こすことも忘れてはいなかったのだが・・・。
 そして一人残された私はショーリの入れたコーヒーを
一口啜り、安堵とも不安ともつかない吐息を洩らしていた。
「もう少し側にいてくれたっていいのに・・・。」
ようやく目が覚めてきたかれんが言った言葉は誰に伝わるわけでもなく、
自分の耳に虚しく響くだけだった。


あとがき
 はじめましての人もそうでない人もいると思いますが、SS初挑戦してみました。かなり短時間で書き上げたものなので出来は今ひとつですよね、きっと。(苦笑)
 このシーンはキスまでの距離でショーリが鴨川に行くかれんの後をついていく日の朝の風景を描いたものです。実際にはショーリの視点から書かれてるけど、ここではかれんの側から書いています。
 一応、つづきはあるのですがまた書いても良ければ時間のあるときに書くつもりです。よければ感想なんか聞かせてもらえるとうれしいです。


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