QJYつうしん 第1号 平成7年6月24日


サラサドウダンとオオヤマレンゲ 佐伯郡吉和村/冠山(広島県)1339m

QJY(休日は山にいます)では本日6月24日、冠山に登ってきました。

出席率50%、つまり、家内が不参加で、私一人の山歩きになりました。

幸い土曜日ということで、大変人が多く、クマと出合うこともなく無事帰還し記念すべきQJY通信第1号を執筆、発刊のはこびとなったのです。

さて、記念すべき第1号で登場するのはサラサドウダン。

烏取に出かけたとき、何かのイベントで「どうだん娘」というのがきものを着て愛想を振りまいていた。その時は「どうだん」とは何なのか分からず、言語道断なとんでもない娘がいるのか、とか方言で何かの意味があるのか、チンプンカンプンであったのを思い出す。

結局それは智頭町にある智頭ドウダンの咲く時期に合わせた、ミス智頭町であることが判明したのだが、肝心の智頭ドウダンが全国的にどれくらい価値の有るものかわからなかった。

山陰ではドウダンツツジは公園とか庭に植えられていることをしばらくして知る事となったが、それを教えて下さったのが、大根島の花売りおばさんだった。会社にいると、[だんさん、ポタンはどげだかね。」と、時々おばさんがやって来る。背中にしよったカゴの中にはボタンや朝鮮人参に混じって可愛いスズランの様な花をつけた智頭ドウダンが入っていた。これがツツジの仲間かと信じられなかったが葉は確かにツツジの葉をしている。そして会社の前の宍道湖岸の公園には秋には葉が真っ赤に色づくドウダンツツジが植えられていることも分かるようになった。

さて前置きが長くなったが、ドウダンツツジはかくも可愛らしく中国地方の山々に咲いていることが分かり始めた訳だが、本日登傷するサラサドウダンは本来近畿以北、信州あたりにしか見られない植物だ。別名をフウリンツツジと言い漢字で書けば更紗灯台。

近畿以西ではここ冠山にしか見られないと言う。それも頂上にしか。

昨年もこの花を見るために上がった。冠山は少々きつい山である。それでもこうやって頂上にだけある花を見られるから、きつさも苦にならない。サラサドウダンは2週間前に上った時も咲き始めを見ることがでさたから、相当花の時期の長いことが分かる。

いつもはここに登るのには寂地山を経由して3時間コースのルートを使う。コケイランやギンリョウソウ、トチノキ、工ゴノキ、ハクウンボクが咲いているし足元にはユキザサが白い可憐な花を咲かせているからだ。しかし今日は潮原温泉のルートを選んた。春に伸び始めるニシノヤマタイミンガサの傘のお化けがどんなに成長しているかが楽しみだったからだ。

結局、おどけた1本足の傘のお化けは皆開いてすましていた。

ところで登り口にワサビ田があるのをご存じたろうか。

十方山葵栽培組合(吉和村)の光井さんのワサビ田だ。丁度通りかかった時、光井さん

が作業しておられたので、見学をさせてもらった。

以下、光井さんのお話。

1、6〜11月が収穫期

2、実生から育てて、一度冷蔵庫に入れるか、秋に種を植え付けると、春に出てくる。(1年生の葉は、径8〜12CMぐらい、高さ6〜7CM)それを、6月に植え付けて、次の年に収獲、100グラム位が標準

3、水温、冠山は10度位、9〜13度が推奨値

4、改良品種(島根3号、やや葉が大きく先が尖る)と在来種の2種を作っている

5、病虫害としてはスリプス(アザミなどに付く黒いシミ)

6、広棄樹の下が最適、1日3時間位の日照で日陰好き

7、日照りでも、大雨でも見回りが必要、手がかかる、猪がミミズを掘るので二次被害を被るなど、先日お邪魔した、西条の養蜂家徳田さんの時と同じように興味有るお話が続いた。登頂前に潮原谷に寄り道、三等三角点のある所だ。

ササユリ サワフタギ コアジサイ ヤマボウシetc

ところで冠と名が付く山は広島には多い。それでどの冠か区別しなけれは成らない。

ちなみにここは「吉和冠」と呼ぶのが一般的だ(安芸冠とも呼ぶ)。たた冠山と言えばここをさすことが多い。それもそのはず、なんと言っても県下第2の高い峰、ただし、その場合、恐羅漢山と旧羅漢山を1山塊とみなす。お隣の寂地山は山口県の最高峰だ。

1等三角点があるが眺望はイマイチ、しかし北東の展望のきく森のはずれに来ると、おおっ、と誰もが声を出ず。十方山、恐羅漠山のいわゆる西中国山地の山々がずらりと居並ぶからだ。そういえは向こうからここ[冠」はいつも見られている。芸北の山に登ると誰でもまず冠山を捜す。それくらいこの山は姿に特徴がある。

頂上へは十分時間をかけて歩く。フタリシズカが山道を案内してくれる。ツルアジサイがあちこちで木に絡まっていた。ちよっと早いけど、ヤマアジサイ、クサアジサイ、ウリノキがつぼみをつけていた。そしてたどりついてからは前述のとおり。じつは本日のメインエベントはサラサドウダンとあとひとつ、オオヤマレンゲだ。

時期としては3日ぐらい早かったかもしれない。ふっくらとした白い花は決して上を向かない。素晴らしい香りが辺りに漂う。モクレンの伸間の名に恥じない優しい香り。

この香りだけで一級品である。開花の時期が短いことで知られるだけあって、咲いている間は思いっきり香りを放とうとしているのか。

頂上にはこの他、オトコヨウソメ、ヤプウツギ、カマツカ、花の終わったダイセンヒョウタンポクが歓迎の挨拶をしてくれた。

他にも大歓迎してくれた動物がいるので紹介しておこう。

シマヘピ、マムシ、3悪鳥(カツコー、ボトトギス、ツツドリ)ウグイス、セッカが忙しそうに尾を振りながら鳴いていた。

下りはナガバノモミジイチゴがもう熟れていたので口に入れる。筒賀の温泉で汗を流

し帰ることにしよう。おや、どこかでお会いした方が、湯船の中で観察会の加藤先生とばったり会った。山のあとは「温泉」に限りますなあ。

QJY通信が出たぞ。

いつも季節の花を求めて、休日になれぱ、山に登っています。せっかくメモしたフィールドノートを整理して、新聞形式にまとめたのがこのQJY通信です。

QJY・・もうお気づきですよね。「休日は山にいます」を縮めて「QJY」、本人しか納得していない愛称ですが、最初はパソコン通信で仲間に配布していたものです。これからは一人前の新聞で再登場です。

従って第1号から編集しなおしました。

どの時期にどの山がいいか、どんな花が待っていてくれるのか、失敗談や単なる自慢話。

まあ怒らす読んでやってつかあさい。何かのお役に立てれば幸いです。


<<写真撮影ワンポイントアドバイス>>*花の写真のひとくふう

山野で撮る花の写真はぜひ大伸ばしにして部屋に飾って置きたいもの。

ところがDPEに出してみると思ったより地味な写真に仕上がったり、肝心の花があまり引き立たなくてがっかりした人も多いはず。そんな失敗を無くす為に目線の位置を工夫してみよう。

子供の頃、河原で裏転がって、ふと顔を横にやるとツクシがすぐそばにあって、とても立派に見えたなんて経験一度はあるでしよ。いつもと違う角度で花を見ると、花がとても素晴らしく見えまず。

スミレやタンポポは寝転がって写してみて下さい。

虫になった気分で写真に収めること、きのこの写真などは、下から撮影すると急にきのこが偉大に見えます。昔見た映画、「地底探検」で見たきのこや、恐竜がでてくる原始時代の映画、ラクウェル・ウエルチ主演のほら、何だったっけ。