QJYつうしん 34号

     休日は山にいます 平成8年8月5日

大山の隠れたハイキングコース   東伯町/大山滝(鳥取県)

 

もっと気軽に大山へ

鳥取県の大山といえばちょっと遠いので気軽に出掛けるなんてことは普通は考えない。

もちろん日帰りするより泊まった方が楽だしたくさん遊べる。ただ大山登山は夏山の代表で涼しさ抜群だが、誰でも登れる低山では無い。

3時間級の登山だから仲間連れのグループ登山としたほうが安全だし、計画もきちんと立てた方が良い。

しかし前日急に思い立って大山に出掛けよう、と思った時はどうすれば良いか。

ルートはたくさん

金に糸目を付けないのなら全道高速(中国道〜米子道)を利用する。3時間で到着。

糸目だらけの人は、三次から農道を利用すれば庄原へすいすい。灰塚ダム経由の新しい道。

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庄原からはR183、根雨経由のR181を利用するのが普通。

お薦めコースとしていずれ紹介するものに、鏡ケ成近辺、横手道、大山寺近辺など部分部分でいいところがたくさんある。

時節柄、滝に出掛けてみた。名前は「大山滝」。大山を訪れる人は多いが、この滝が何処にあるのか知っている人は少ない。蒜山〜大山寺のコース上に無いのだから仕方の無いこと。

起点は博労座、大山寺の近くだ。左の道を進むとスキー場がうじゃうじゃある。中の原、上の原、大山国際と大山を代表するスキー場だ。

そしてここから始まるのが県道30号。

北壁はすごいぞ

大山の姿は四方すべてが異なる。一番いいと言われるのが岸本町あたりからの形、伯耆富士と呼ばれる。

春先の残雪を頂く北壁を見たことがあるだろうか。鍵掛峠から見る南壁の紅葉も捨て難いが、北壁の堂々たる姿はすばらしい。

スキー場を抜けると所々にある展望台が嬉しい。大山を見るのもいいが日本海の青い海を眺められる。空気が澄んでいれば美保関の右あたりに遠く隠岐の島が見えるはず。今日はあいにく晴天だが霞んでいた。北壁はばっちり。

ほととぎす橋を渡ると香取村、大山開拓の歴史の村だ。そもそも風景が日本的で無い。

牧草を刈った後の農場。一般的でない農機具と芝生業者の農園など大陸的。

爽やかな風の中で気が休まる。

一息坂の展望台では他県ナンバーの車がたくさん停まっていた。ホオジロが至近距離でも逃げずに鳴いている。

この後30号をそのまま行けば中山口、つまり海に出るので船上山方面、34号に右折する。

うぐいす橋を渡り少し行けば船上山(675m)だ。駐車場が385mの標高にあるのだから約1時間の登山を覚悟すれば歴史の山に登ることが出来る。ちなみに今年、4月5月と2度登っている。

大山に大山と言う名の山は厳密には無い。船上山を含めて全体が大山山塊。

さて歴史の山とは。

隠岐に幽閉されていた後醍醐天皇をたてて地元の武将名和長年が起こしたクーデター、建武の中興である。80日の天下だった。天然の城塞だったが、北条氏を滅ぼす夢は無残にも砕かれてしまった。天元3年(1333)のこと。

隠岐の代官佐々木清高は面目を保った。

行宮の跡、古石塔群、神社、寺坊の跡など史跡が22箇所。

開祖は智積上人、1200年前のこと。


 

一度は登ってみて欲しい山だ。滝もあり、鳥はさえずり大木もある。

車は展望台の所ではなく、手前の登山口前に停められる。約1キロの行程。展望台から見ると恐ろしくなるような屏風岩にびっくりするぞ。

目指すは大山滝

ここから新しいトンネルを抜け、浦安方面に山道を走る。抜け出た所は東伯町、町の売り物大山滝はここまで来ないと表示が無い。分かれ道は山に向かい、大山滝橋を渡り、標識に従って一向平(いっこうがなる、又はいっこんがなる)の野営場(キャンプ場)に向かう。

余談だが鳥取県では山はセンと読み、平はナルと読む。何故かは大山寺の住職に聞いてみて欲しい、説明して下さるそうな。

キャンプ場に車を置いて1.8キロ歩く。1時間もかかるまい。

クサギの花が美しい。今月終りには宝石をちりばめた実が山歩きの人を楽しませてくれる。

ウワミズザクラの実はもっときれいだ。黄色からオレンジ、赤、紫、最後に黒くなる。

大木が多い、トチノキ、サワグルミが実を付けている。ガマズミ、オオカメノキも。

ヤマアジサイとクサアジサイが並んで咲いていた。ヌスビトハギが可愛い花を咲かせているがまだブラジャー(実)を付けていない。

ウバユリ、オオカニコウモリ、シオデ。

ヤマノイモの雄花と雌花。

誰もがこの時期、花が無いと思っていない?

ソバナの紫の花がきれいだ。広島では昨年三ツ滝で見ただけで、他に咲いているのをあまり見かけない。貴重な花だ。

途中に水が何個所か出ている。安心して飲めるのはやはり大山。冷たい。鉄製の吊り橋を渡ると、高くて足元まで涼しくなるぞ。

対岸はブナの林と植林のスギ林が交互に来る。日陰に強い(と言うより日照に弱い)アオキを時折見かける。大山のアオキは山陽地方のそれとはまったく違う。ヒメアオキというのだそうだ。葉が細めなので気づく。花や実は違いが無い。

到着してもそこは大山滝の滝壷ではない。

対岸から滝を見下ろす位置にベンチが用意してある。高さを計ることは出来ないが、相当な高さの滝であることは確か。それも二段になっている。下へ下りれないことも無いが見ているだけでも涼しくなる。ブナの木陰で直射も受けなくて済む。

あらためて辺りを見回すと緑の中に自分が溶け込んでいることを実感する。

名物にこだわる

大山にはいわゆる名水が多い。

大山道路に沿って「本宮の泉」は手軽に名水を汲むことが出来る場所だ。

一時期、地元住民と観光客との駐車場をめぐるいさかいがあってちょっと離れた場所に車を置くようになったのは残念だが。食事処「紫苑」も利用できる。ペットボトルとかは必携。

横手道の花の散策では弁当をどうしようか困ったら、桝水原の「大山おこわ弁当」。

            ヤマボウシ0859-52-2317

JRでは、米子の駅(キオスクではない)で売っている「吾左衛門寿し」がおすすめ。サバ寿司を昆布で巻いてある。一本千四百円。他にアジ、タイ、カニ(冬季)もある。

ナイフ、ハシ、醤油、お手ふきなどがついているのでそのままアウトドアに。

           (株)米吾0859-33-2823