タイトル■ニューヨーク貧乏 〜金が尽きたら、さようなら〜
書き手 ■マイティー井上Jr

現在ニューヨーク在住のフォトグラファーによる
貧乏生活報告を含めた、ニューヨークの今を伝え
る身辺雑記です。あくまでも1個人のみの視点で
お送りするエゴイズム通信であります。「
セプテ
ンバーイレブンで激減した観光客を1人でも多く
ニューヨークへ呼び戻したい!そんなピュア−な
気持ちもありますよ」という、そんな企画です!


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第4回

 ニューヨーク上陸、初日! ■


エ〜と、ニューヨークに着いて
最初に何をしたかと主催者からリクエストがあり
思い出すのに苦労しております。

たぶん身の回り品を買いに
近所を探検し始めた事だと思う。

そうそう
バスタオルと石鹸、シャンプー、
リンス、歯ブラシ、歯磨き粉を買いに
ドラッグストアーに入ってみた.

まだどれがクォーター(25セント)
ダイム(10セント)ニッケル(5セント)
ペニー(1セント)かを
把握してない時に。

石鹸、歯ブラシ、歯磨き粉は
簡単に選び出せたが、
シャンプーとリンスがてごわかった。
未だによく表示をみないと買えない。

というのはアメリカ人は、
頭も体も同じシャンプーで洗っちまうらしい。
ボディ−シャンプーとか書いてある物がそうで、
シャンプーって書いてあるのもあり
シャンプ−という表示をたよりに買うとそうだったりする。

リンスもややこしい!
コンデイショナーとリンスは
何が違うのかいまだによくわからん。
誰か知ってます?
俺の鮫肌には何でも一緒だけど。

だから裏の細かい表示を
いつも読みながら選んでいる、
あと、値段と。

たかだかこれだけ買うのに
20分はかかったと思う。

「エーと、これはヘア−なんとか
 プロテインなんとかって書いてあるから」
と知ってる名詞だけを頼りに。

あとタオルを買って、レジらしき所まで行く。

気分は『はじめてのお使い』状態!
B&BQUeensの歌が聞こえてきそうな。

ブラックのレジ係のネーサンが
つまらなそうに仕事していて、
やたらと待たされる。

5分ぐらい1人の客に使うのは当たり前、こちらでは。
日本のレジ係はホントすばらしい!!

やっと俺の番、
「ネクスト!」とやたらでかい声で告げられる。

日本なら
「お待たせして申し訳ございませんでした」
という感じなのに、堂々と
「ネクスト!」

いざ支払い
「ダイムある?」とレジ係、
もたつく。

取り敢えず銀色のコインを
3種類手のひらにのせ
「ハイ」と差し出す。

そこからネーサンが
一番チビのコインを摘まみ上げ
"THIS IS A DIME."と御享受いただいた。

いつ来たのと聞かれ
「今日」
というと
「ウエルカム!」
とさっきまでの不機嫌さを
忘れたかのようにおっしゃった。

なんだか良く解らんな〜と思いながら
寮の部屋に戻ったと思う。

寮の部屋は6畳に
ベッド、机、スタンドライトがあるだけ。
トイレ、シャワー(バスタブはナシ)、
キッチンは共同であるが
トレーニングジム、プールが2、3階にあり
日本で言えば
公民館の上層階が寮になっているという感じで
下の階は近所の人がそれらの施設を使いにやって来る。
小規模のコンサートも頻繁にやっていた。
(以前、ポールマッカートニーが詩の朗読会にやって来た事もある。)

電話は公衆電話で、
かかって来る電話は
その近くにいた人が出て、取次ぐ。
まるで電話が普及し始めた時代のようなシステム。
誰もでないこともザラ。

キッチンは共同で
レストランで使うようなデカイ冷蔵庫が2台あり、
それに自分の食材を入れるのだが
誰かに食べられてしまうこともあり、
名前を書いたビニール袋に入れ
取り出しにくい奥に隠して自衛するしかない
サバイバルな冷蔵庫。

ビールなんか入れたら最後
「どうぞお飲み下さい。」と言うようなもの。

そう、この冷蔵庫に掟があり、
「豚肉はダメ」
とステッカーが貼ってある。

というのは
ここの建物はYWHAといって、
ユダヤ教関連の施設で宗教上の理由から
ブタは御法度だからだそうです。
ベーコンエッグを作ろうと思っていたのに!
(これはやっと、今の部屋に引っ越して達成。)

俺のフロアーは喫煙可能フロアーだが
自室のみで吸える。

住人とは
この日は廊下で「ハイ!」と
挨拶をかわす程度で終わる。

後日分かったのだが、日本人は俺だけで、
あとはイタリア、スイス、ドイツ、
スペイン、韓国人とかだった。

御飯はまだ食器を買っていなかったので
近くで買ったパンで済ませ
翌日からの語学学校に備えて早めに寝た。

明日から10数年ぶりの学校だぜー!

(つづく)




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