タイトル■ニューヨーク貧乏 〜金が尽きたら、さようなら〜
書き手 ■マイティー井上Jr

現在ニューヨーク在住のフォトグラファーによる
貧乏生活報告を含めた、ニューヨークの今を伝え
る身辺雑記です。あくまでも1個人のみの視点で
お送りするエゴイズム通信であります。「
セプテ
ンバーイレブンで激減した観光客を1人でも多く
ニューヨークへ呼び戻したい!そんなピュア−な
気持ちもありますよ」という、そんな企画です!


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第13回

 ゲイ社会と不動産事情を知る奇妙な体験 ■

いや〜、皆さんお休みも終わり
平常モードに切り替わりましたか?
不祥、私マイティーはゴールデンウィークとは関係なく
バケーション休暇をとっていました。

開店休業の身で何を寝ぼけた事を言っているのだ!
とお思いになるでしょうが、
4ヶ月就学すると8週間のバケーションがとれるもんで。

英語の勉強も飽きてきたところに、
日本から世話になったカメラマンのN氏がこちらに
タバコや日本食を携えて来て下さるとあっちゃ〜
休暇をとらない手はないでしょう。
そんなわけで、しばし休んでおりやした。

N氏は20年前こちらに住んでいたので
あえて、どこかに案内する事も必要有りませんでしたが、
我がブルックリンの館にお泊まりになられ
夜遅くまで久し振りにいろいろと話ができ、
楽しい時を過ごせました。

おそらくマンハッタンのホテル代の一泊の値段で
1ヵ月は宿泊可能なので
長期御旅行の方は是非マイティートラベルまで。

あと、10月1〜7日の期間、
東京赤坂見附の東京写真文化館という
ファーストキッチンとコージーコーナーの間のビルで
セプテンバーイレブンのその後のニューヨークを撮った
写真展をやる事になりました。
近くなればまた告知させていただきますが
取り敢えず御報告まで。

では前回からの続きを。


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どこまで書いたか忘れました。
長期と短期の学生の事とかでしたよね?

時は流れて2ヵ月、
ミッドタウンの校舎からダウンタウンの校舎に移る。
ここは語学学校が間借りしている
カレッジ オブ インシュランス(保険の学校)の建物で、
ミッドタウンのマンハッタンらしいレンガの建物から
素っ気無いガラス張りの現代風の建物だ。

カレッジだけあってカフェテリアなどがあるが
コーヒー以外は試さなかった。ここは寮も完備しており、
住人の話ではえらく不味いということだったので。
値段も安くないし。

授業の方はレベルアップしたものの
ついていけない程ではないので安心した。

こちらに来ると日本人比率が激減した。
この校舎に来ている日本人は、
もう6ヵ月以上ここで勉強しているか
日本でやっていた人ばかりだった。
まあその差は私とは歴然であるが、
良い目標にもなりいろいろ情報を持っているので
ミッドタウンの時より知り合いが増えた。

教師は、以前ほどエンタテイナー揃いではなく、
淡々と教える人が多くなった。これも噂通りで
「ダウンタウンに行くとシリアスだよ〜」と言われていた。

中でも二人目のチャールズという奴は、最悪で、
嫌味は言うは、
人の名前を勝手に呼びやすいように変える失礼なやつで。

チョークを取りにいかせた生徒は、
その後チョークマンと4週間言われ続けた。
あとはスポーツ刈りのコリアンの生徒は
ソルジャーと言われ続けた。

嫌な奴は万国共通で、クラス全員嫌っていた。
奴のお気に入りのコロンビア出身のイバンまで
奴を嫌っていたのは良かった。

奴とは変なところで運悪く出くわし、
洗濯にランドリーに行く途中とか、
ピザを買いに行ったピザ屋でとか。
決まって
「まだいるの、ニューヨークに?いつ帰るんだ?」

何回「金が尽きたら!」と言った事か。
俺の懐さぐって楽しいか!!
まあ、最悪なやつほど印象深いということですが。

でも、こんな野郎ばかりではないですよ。
マットは9/11の後すぐにオイラともう一人
その時点で在学中の彼の安否を気ずかってメールくれたし。

ジョンは本当に親切に教えてくれた。
食べ物の話になると目の色が変わったように喋る変わった人だったけど。

そういえば、今習っている、
お婆さんのシエラもここで教えていて、
その時からなんだか気に入られ、
学校を変わった今、また習っている。
シエラが若けりゃな〜!

この間、3ヵ月が過ぎた時点で寮を出て、
より安く住むために部屋捜しをはじめた。

しかし、思ったより家賃は高く
希望の金額での一人暮らしは無理と判明。
シェアールームを捜す。

日本にはない事だが、
特にニューヨークでは当たり前で、
開いてる部屋を他人に貸して家賃を浮かす
という合理的なやりかただ。

日系の不動産屋がやはり信用できるし、楽であった。
アメリカの不動産屋やらも行ってみたが、
つたない英語だと仕事の邪魔だと言わんばかりにあしらわれたし。

紹介されたルームメイトのところに行ってみると、
50過ぎのおっさんが出てきて、愛想よく
「良く来てくれた!」といきなりビッグハグ。
まあアメリカ人だからと思っていたが
やたら膝とか肩とか触って来る。

少しヤダなあ〜と思いながら「部屋を見せてくれ」と言うと
「ここだよ」と指差した先には、ピアノの脇に
クッションのようなマットレスのようなものが置かれてあり、
部屋じゃなく、ただの仕事場の脇。

これが$650かよ!と愕然。
プライベートなしではないか!

しかもこの親爺はゲイっぽいし。
早々に退散する事を決意。「ホンジャ、帰ります」
と言い、後にしようとした時、
「ハグするのは好きか?」とおっしゃる!
「この親爺、ゲイだ」とその時、確信したね!

答えは「ノー!!」

ニューヨークのゲイ社会と
不動産事情を知る奇妙な体験でした。




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