タイトル■ニューヨーク貧乏 〜金が尽きたら、さようなら〜
書き手 ■マイティー井上Jr

現在ニューヨーク在住のフォトグラファーによる
貧乏生活報告を含めた、ニューヨークの今を伝え
る身辺雑記です。あくまでも1個人のみの視点で
お送りするエゴイズム通信であります。「
セプテ
ンバーイレブンで激減した観光客を1人でも多く
ニューヨークへ呼び戻したい!そんなピュア−な
気持ちもありますよ」という、そんな企画です!

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第43回 
 アメリカのフォトグラファー事情 ■


ニューヨークもめっきり秋らしい気候になり、
そろそろクーラーを取り外さねばと思っている。

クーラーを取り外すなんて日本では考えられないが、
こちらの一般的なクーラーは取り付け工事不要、
窓の枠にポンと置くだけの簡単な作りで、値段も手ごろで
$100(1万2千円)ぐらいで買える。
20年程昔、クーラーがまだ高嶺の花だったころ日本で流行った送風機みたいなもので
日本のエアコン室外機みたいな箱型のデザインだ。
去年は冬まで起きっぱなしにしていて隙間からの冷気で風邪を引いたので
今年は早めに取り外すつもりだ。

チョット感慨にふけてしまうのは、来年、4度目の夏を
ニューヨークで過ごしているかどうか、このクーラーをまた使えるかどうかだ・・・。

アメリカも景気後退が続き、今年の10月からおそらくHー1Bビザ
(専門職就労ビザ)の発行が3分の1に減らされるらしい。
これは、アメリカ人の雇用を優先するため外国人専門職技能者を閉め出そうというもので、
俺はビザに関してはジャーナリストビザなので影響はないが
仕事のチャンスがやはり減ると思われる。

ワークショップなどに来るアメリカのフォトグラファーに話を聞くと、彼らでさえ
現状は厳しい、ましてや英語の下手な日本人など誰が好んで使うだろうか?
俺の天才的な力量を見せれば済む事かもしれないが、最近その才能も少し錆びている。

ワークショップなどにに参加しプレゼンをする時にいつも「アメリカ人を唸らせてやる!」
と思うののだが、こちらが唸らされる事がチョクチョク。
「グッドジョブ!」とお褒めの言葉はいただけども「ウチと契約しない?」と
お言葉をいただくまでには至っていないのである。

プレゼンで批評を貰った時にすかさず押しの言葉を発しないと
チャンスはヒュ〜と消えていくのである。
特にニューヨークは押したもの勝ち!
押さずに引くと「サヨナラ〜」と言ったのと同じようだ。
「クソ!」
ここら辺の事も最近よく解ってきたところなのに・・・。

で、ワークショップに参加すると必ず
「君はフルタイムのフォトグラファーかパートタイムか?」

最初の頃は「何じゃそれ?」と思ったが、それは日本ではあまり考えられないが
普段は別の仕事を生活のためにし、その資金で作品を撮ってそれを売り込み仕事を得る
というのがパートタイムで、中にはブロンクス動物園で働いている人とか家庭の主婦もいる。
フルタイムのフォトグラファーを目指している人もいれば、
作品として写真集の出版を目指している人、あくまで趣味の延長の人など様々で、
フルタイムのプロだからといってウカウカしていられない。

日本でも5年ぐらい前から女の子達が表現手段として写真を使い
アレヨアレヨという間に有名カメラマンとして活躍し一世を風靡したのと同じ事だ。

あの時も、「厭になっちゃうよな〜!ホント。俺より天才が沢山いるなんて・・・。」
「こっちは命がけ、人生賭けてやっているのに!」と恨んだものだ。
「ヘタにキャリアがあると、こ慣れたモノに成り易いからな〜。」
と思い、ニューヨークで写真を勉強しようと来たのに、「また同じか!」

仕事として個性を求められる事は下々の者には無縁だ。
写真技術の切り売りで、お客の期待する写真を変に主張せず撮るのが仕事を増やして
いく一つのコツである。
「個性を売るだけの個性とは?」
「天才が開花するのは何時か!」
天才だけに悩みは尽きないのであ〜る。

「ゴッホのように死んでから銭になってもしょうがない、来週にでも開花してくれ!」
そんなこんなで2年半が過ぎてしまったが、もう一踏ん張りしますよ!
お金が尽きるまで。



(つづく)





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