タイトル■ニューヨーク貧乏 〜金が尽きたら、さようなら〜
書き手 ■マイティー井上Jr

現在ニューヨーク在住のフォトグラファーによる
貧乏生活報告を含めた、ニューヨークの今を伝え
る身辺雑記です。あくまでも1個人のみの視点で
お送りするエゴイズム通信であります。「
セプテ
ンバーイレブンで激減した観光客を1人でも多く
ニューヨークへ呼び戻したい!そんなピュア−な
気持ちもありますよ」という、そんな企画です!

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第53回 
 写真用品店で見た前代未聞な光景 ■■ 

先日、ミッドタウンのプロのフォトグラファーか写真学生しか来ない
写真用品店に機材を売りに行った時に前代未聞な光景に出くわした。

それは俺が店の親爺と交渉している時こちらを少し伺う視線を感じた事から始まる。
視線の方向をチラッと見ると。
二人の日本人らしき女性(20代後半?)がガラス越しに入るかどうかを思案していた。
俺はチラッと見ただけで国籍などの情報を分析するだけの高度なセンサーを備えている。
年令:26〜28:日本人:地味目:観光客。と二人を解析。この間0・5秒ほど。

「観光客で何の店かよくわからず覗いているんだろう」と単純に推測した。

気に止めず交渉をしていたが、気付くと2人が店に入って来ているではないか・・・
「アレ、俺の読みがズレたか?」「美大かなんかで写真勉強している人か?」
「しかし写真やっている感じの人たちには俺には見えない。???」

少しこの二人組の存在が気に掛かってきた。
向こうは向こうで、俺が日本人かどうかを探っているように俺は察した。
というのは、俺から離れること2メートル、5秒間ほど
彼女達がこちらを伺っていたからだ。おそらく・・・。

親爺が喋り終え、俺が喋りはじめてしばらくすると二人は離れていった。
「なんだよ、俺の流暢な英語に恐れおののいたか!」と勝手に解釈。
しかし、日本人に英語を聞かれるのはなんだか照れくさいもので心地よくない。
もう俺の視界から消えたから良い事にしようと思った。

暫くして、交渉が終わり「向こうのレジでクレジット出すから。」と親爺に言われ
レジの所に書類を持って行き、店員からクレジットを受け取ろうとしたその時、
先ほどの2人組が俺の横に突如出現。

レジにいた別の店員に女性の一人が、か細い声で「エクスキューズ、アス」
と話し掛けた。

俺のセンサーは待たしてもその行動を素早く察知、そして解析。
「探している商品が見つからないのか?」と推測するやいなや……

よくは聞き取れなかったが英語で「ゴニョゴニョ〜、これから〜しますが良ければ
募金をしていただけませんか?」みたいな事を言っている。

そしてその女性は左脇に抱えたトートバックからサッと猿のパペットを取り出し
手にはめ、2、3度その猿の手をパタパタさせ「お金ちょうだい!」と
催促のポーズを自分に成り変わり猿にさせているではないか・・・・!!

またその猿が「サンリオ的日本デザイン」でNHKの人形劇に出てくるようなダサ目。
日本丸出し、彼女らは紛れもない日本人であることが自信から確信に変った。

「止めろ!止めてくれ!日本人と悟られずに去ってくれ!」
俺は心の中で叫び、彼女達に願った。
あまりにもカッコの悪いみじめなその光景は
同じ国籍をもった者としては観るのに忍びなかった。

店員は呆れ顔で彼女達に$1を渡し「That it!(以上!それまで。)」
と追い返そうたした時、
「お礼に日本の折り紙を差し上げます〜」とパペット女が言ってしまった。

「なぜ、なぜそこでジャパニーズを言葉の中に折り込む必要があるんだ!!」
願いは無惨にもすぐに打ち砕かれた!

俺が途方に暮れていると、
パペット2人組は別のブースの店員にまた同じことをしているではないか。
「オーマイ、ブッダ!」
俺は思わず顔を背け、もうこれ以上見る事は出来なかった。

物乞いはニューヨークでは路上や地下鉄で良く見かける光景だが、
こんな物乞い?募金集め?お布施?は初めて見た。店の中に入って来て、
なんの芸もないパフォーマンスをしてお金をせびるとは、日本人が・・・。

彼女らが店を去った後、いったい彼女らは何者かといろいろ推測する。
お金に困った児童劇団員?日本折り紙協会会員、お金すられた観光客?カルト教の信者?

思うに俺は、日本でもお馴染みの某宗教団体の信者と睨んでいる。
ニューヨークにはその宗教団体の大きなビルがあり、
積極的に布教していると聞いたことがある。

そうなると彼女達のビザは何ビザになるのだろうか?
なんでニューヨークにいるんだ?あれこれと憶測をする。
まあ、そんな事が頭から離れない出来事だった。

ところで、「ニューヨーク貧乏」も残り数回で最終回。
何か胸に込み上げてくるものが在るかと言えば・・・
全くない。
おそらくもっと後になって思うものかもしれない。

とにかくホッとしたというのが現在の心境。

引っ越しの準備も既にほぼ終わり、あとはギリギリまで
写真を撮ることに専念して終わりにするつもりだ。




(つづく)





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