タイトル■ニューヨーク貧乏 〜金が尽きたら、さようなら〜
書き手 ■マイティー井上Jr

現在ニューヨーク在住のフォトグラファーによる
貧乏生活報告を含めた、ニューヨークの今を伝え
る身辺雑記です。あくまでも1個人のみの視点で
お送りするエゴイズム通信であります。「
セプテ
ンバーイレブンで激減した観光客を1人でも多く
ニューヨークへ呼び戻したい!そんなピュア−な
気持ちもありますよ」という、そんな企画です!

>バックナンバー


第54回 
 ニューヨークのホームレス ■■ 

あと2週間あまりでニューヨーク生活もいよいよ、とうとう、やれやれ終わり。
果してこれで完全に終わるのかどうかは本人にもわからない。
はっきりしているのは第1ラウンドはこれで完全に終わりである。

グリーンカードロッタリー(抽選によるアメリカ就労ビザの取得)が当たり
ドリームジヤンボも当たるとかすれば第2ラウンドがあるかもしれない・・・。

考えとして当面は、日本で腰を据えて生活基盤を築き、ニューヨークで捲いた種を
枯らさないために水やりに年1回は此処に訪れたいと思っている。

最近は東京で何処に住むか、家賃を安定的に稼ぐための土日の職探しなど
ウエッブ検索をしている。
東京に3年振りに帰って、以前と同じペースで稼ぐにはどれ程月日がかかるか
景気の影響もあり皆目見当がつかない、果してどうなることやら・・・。

「ケ・セラ・セラ、なんとかなるだろう!」
という変な自信だけはある。

自分で癪なのはタイトルは「お金が尽きたらサヨウナラ〜」だが、
現実は「少しお金が尽きる前に〜」となったこと。

心意気と現実とのギャップである。
地方出身者の俺はお金が尽きてしまうと仕事場であり、
仲間のいる東京に住めなくなるし、
実家に戻ってしまうわけにも行かない。

本当にお金が尽きるとこまで行くと東京の空の下、
青いビニールシートの家に住む事になるだろう。
それも人生経験として面白いかもしれないが、そこまでの度胸がない。
特に日本では。

ホームレスになろうと思う人はあまりいないと思うが、
やるならニューヨークの方が断然良い。

地下鉄が24時間走っているから駅で冬は寒さや雨、風を凌げるし、
夏はエアコンの利いた車両で涼めるし、検札などもないから
1度構内に入ると追い出されることはないし、なんせ稼げるから・・・。

日本のホームレスは公の場にあまり姿を晒すのを良しとしないと思うが
ニューヨークのホームレスは、哀れな姿を公に曝け出すことことによって
同情心や憐れみを乞うて施しを受ける場合が多い。
(その割には身なりは悪くない。)

満員の地下鉄の車両は特に彼らにとって稼ぎ場所。

「紳士淑女の皆様、俺は3年前に体を壊し仕事を解雇され現在ホームレスです。
 何か御恵みいただければ幸いです」

などと車内に響き渡る声で演説をした後
電車の中を紙コップに入った小銭をジャラジャラ鳴らして歩き回る。
日本との宗教の違いか?意外と多くの人がカンパする。
連鎖的にカンパする人もいるが、俺の見たところカンパする人は
演説が始まるや否やお金を用意している。

で、乗客の10%ぐらいが施しをするから、
結構これだけでも喰えると俺は睨んでいる。

1回1車両で最低2ドルは稼げるから1日20車両で40ドル!ナカナカの稼ぎだ。

中にはパフォーマンスをするホームレスもいる。
たとえば、御陽気な2人組の黒人ホームレスは

「なぜ、皆しかめっ面してるんだ?人生楽しもうぜ!ハッピースマイルだ!」

と軽快なリズムでハモりながら地下鉄内を歩き回って稼いでいる。
またタップを踏みながら車内を集金して回る人もいる。
こんなホームレスの御陽気さに勇気付けられたニューヨーカーもいるかもしれない。

日本だと同じことをしたら車掌が直ぐに飛んで来てどこかに連れて行かれてしまうし、
そんなにカンパもして貰えないだろう。

で、日本人のホームレスがニューヨークにいるかといえば、いるらしい。
日本のF出版からニューヨークの日本人ホームレスが綴ったその生活ものが出されている。
まだ読んではいないが、御本人はホームページもお持ちのようだし、
印税もあるから、結構な暮らしなのでは?

でも、まだホームレスらしいから、快適でなかなかやめられないのかもしれない。

「貧乏も何ごとも極めないと・・・」
と自分の中途半端さを知るマイティーであった。




(つづく)





[マイテイ−井上Jrの自己紹介]

[トップへ]