Study on 476kHz Small Loop Antenna
[476kHz小ループアンテナの実験]
7L1RLL(若鳥)
08 October 2016 V.1.02
Figure 1 476kHz Small Loop Antenna installed beside a river of the Shimoyamoto_gawa at Midori-ward Yokohama-city Kanagawa JP.
この写真は,日本国神奈川県横浜市青葉区下谷本町下谷本川右岸に設置した476kHz小ループアンテナを示す。ループ面の方位は,おおよそ270度である。
1. Abstracts(概要)
This page summarises a Small Loop Antenna study by 7L1RLL in 476kHz.
[このページでは,JR1OAOと7L1RLL(筆者)との476kHz帯小ループアンテナの共同実験を紹介する。]
1.1 Objectives for Studying of 476kHz Small Loop Antenna(476kHz小ループアンテナの実験の目的)
- Usability of Small Antenna(小型アンテナの実用性の確認)
波長630mに対して極めて短いアンテナで実用的な利得があるかどうか確認すること。
- Withstanding 35W Usage(35W送受信への耐性)
共振キャパシタ約10,000pFが35W出力の供給電流0.84Aの10,000pF/500pF倍の高周波電流(20A)に耐えるかどうか判定する。
2. Preparation of Small Loop Antenna(小ループアンテナの実験準備)
2.1 Got it at Handmade seminor(アンテナ追加の許可の取得)
このアンテナは,横浜みどりクラブ
のJR1OAO中島 一さん(冒頭写真参照)が組み立られ,476kHzでの実働試験を共同実験しないかと相談されたことから始まった。
筆者が担当したのは,アンテナの追加を総務省関東総合通信局無線通信部第3課に電子申請し,許可を得た点と
アンテナ電流計を
この実験用にMJ接栓に交換し,実際の送信を行っただけである。
ちなみに,免許申請は直径1.3mの2回巻で,疑似計算のアンテナ利得=-38dBi,アンテナ効率=0.0099%であることから,
EIRP=50W*0.0099%/100*3=14mW(35W換算値=10mW)であって,1W以下であるとした。ここで,最後の項の値3は,地面の影響を最大限加味して,理想地面とした値である。
この審査は,標準アンテナでないことから,総務省本省審査となった。“しばらく,標準外アンテナは,実績が積み重なるまで本省扱いにする。
更に,実験中,EIRP1Wを越える事態の場合,送信しないように”との連絡があった(例:同調した金属物の影響など)。後者は,すべてのアンテナに共通な注意事項である。
Notes 1(参考1):このアンテナの類型は,商品名MLA(Magnetic Loop Antenna)として,
東京秋葉原のロケットなどで売られている。しかし,電磁波はアンテナから電界と磁界とが同位相で輻射される物理現象
だから,Maxwelの四つの電磁方程式を改定する理論が出現しない限り,Maxwelの近傍界というのは存在しないし,
Small Loop Antenna(小ループアンテナ)という一般名をここでは使用する。微小ループアンテナとする人もいるが,
476kHz(波長630m)に対して直径1.3m(線長:8.17m)は8.17m/630m=0.013だから波長の1%を越えており小さい(Small)だけと考える。
Notes 2(参考2):
Small Loop Antennaの解説例(英文)
Small Loop Antennaの指向性は,ループ面に90度の方向にNULL点がある。
2.2 Structure of the Small Loop Antenna(この小型ポリプロピレンキャパシタ版の構造)
直径1.3m巻数2の主ループの共振周波数476kHzは,約9480pF/2.1kVacのキャパシタC2によって共振させる。その微調整は,真空可変キャパシタ350pFの容量を変えて調整している。
この可変キャパシタの軸は,直流ギヤモータに結合されており,モータ回転の方向によって,キャパシタンス部分の長さを遠隔地から
調整できる(Figure 2.1参照)。
給電部は,給電ループ式,直接給電式,キャパシタ給電式などの種類があるが,第1版は固定コンデンサC1(約500pF/2.4kVac)によっている。
Figure 2.1 Outline of 476kHz Small Loop Antenna
なお,共振時のインダクタンスLは,f = 476kHzとすると,L = 1/((2πf)**2*C2) = 1/((2*3.14*476kHz)**2*9,480pF) = 11.8μH。
ここで,“**2”は,二乗を示す(Fortran,Excell流儀の記号),C1の影響は無視。
2.3 Inside View of the Superimposer of Direct Current(大型磁器円盤型キャパシタ版)
次の図に,大型磁器円盤型キャパシタに変更した場合の写真を示す。
Figure 2.1のキャパシタの内,ポリプロピレンの共振キャパシタ群C2の一部を大型磁器円盤(黄色)に交換しただけである。
重い大型磁器円盤キャパシタ群を支えるために,工作台の位置までアンテナを下げて実装した。なお,青空色の結合キャパシタC1(500pF)と
微調整用の真空可変キャパシタは,Figure 2.1の接続と変わらない。方位は若干ずれた。
Fugire 2.2 476kHz_Small Loop Antenna Ceramic version
3. Operation(運用)
アンテナ設営後,アンテナアナライザAA-1000によって476kHzを出し真空キャパシタの容量を増減して共振させた。
その後,送信機JUMA TX500改に切り替え475,700Hz_5WをCW送信しSWR=1.0になるように共振周波数を調整した。
4.1 Transmit WSPR(WSPRによるふく射強さ測定)
Figure 3.1にそって,時系列で状況を説明する。最初は,Figure 2.1のアンテナによる。
04:34:アンテナループ面をおおよそ方位270に向けWSPR 5Wを送信したところ,7L1RLL_4が-1dBをspotした。
04:44: アンテナ方向は同一にまま,送信出力を20Wに上げたところ,7L1RLL_4が+3dB,JA1NQI-2が-29dBとspotした。
04:48: アンテナ方向はそのままに,送信出力を35Wに上げたところ,7L1RLLが+5dB,JA1NQI-2が-26dBとspotした。アンテナ電流=0.8A
05:58: 共振キャパシタを大型磁器円盤型(Figure 2.2)に交換し,都合で方向と高さとが違うが,35Wで7L1RLL_4が+7dB,JA1NQI-2が-20dBとspotした。アンテナ電流=0.9A
06:08: 大型磁器円盤型キャパシタのまま,方位を7L1RLL-4方向に向けたところ,7L1RLL_4が+6dB,JA1NQI-2が-27dBに下がった。
Figure 3.1 WSPR data by 476kHz_Small Loop Antenna on September 21 2016
4. Result of the studies(実験結果)
4.1 Estimation of Antenna Efficiency(アンテナ効率の推定)
Figure 3.1の最良データとして2016年9月21日05:58zを使って推測する。
距離80kmのJA1NQI局が35Wの信号をSNR=-20dBで受信した。2016年5月29日に傘型アンテナ(H=10m,L=20m)での5W送信に対してSNR=-9dB(35W換算すると-0.5dB相当)
から,この小ループアンテナは傘型アンテナに比べて-19.5dBと計算できる(TNX JH1GVY)。
両アンテナともに35Wの空中線電力で,傘型アンテナ(H=10m,L=20m)がEIRP=600mWとすれば,この小ループアンテナはそれより19.5dB低い7mW程度で
あったことになる。なお,50W時の疑似計算結果では15mWだったから,実物と疑似計算(35W換算のEIRP=35W*0.0099%*100*3=約10mW)との間には1.4倍(1.5dB)の差がある(TNX JH1GVY)。
この小ループアンテナは,ループ面に90度方向にNULL点(実際には,10dB落ち込む)があり,JA1NQI松浦さん(az=58)と7L1RLL_4(az=340)
との方位差が78度であり,松浦さんの方位がNULL点(90度)近くであった可能性がある。また,当時,雨模様になってきたため,急きょ撤収を開始したので,
ここらは,改めて調査が必要である。
4.2 Thermal Analysis(温度分析)
赤外線温度計を用いて,通電する前のキャパシタ表面温度を基準にしたとき,35W出力の476kHzを通電した共振キャパシタの温度上昇は約5℃であった。
5℃の温度上昇であれば,部品の2200pF(700Vac)を保証する温度が85℃であるから,物体温度が80℃の炎天下の環境でも使用可能範囲に入ると判断する。
4. History(履歴)
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2016.10.05,First Release(開示)
V1.00,公開開始。
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2016.10.6,Error Corrections(誤記訂正)
V1.01,文面及びFigure 2.1の誤記訂正及びアンテナ電流の記入。TNX JR1OAO
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2016.10.8,Error Corrections(誤記訂正)
V1.02,文面及びFigure 2.1の誤記訂正。TNX JH1GVY
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