200316[4]

                            20021219[3]

                            2002124[ 2]

                            2002730[1]

日本国総務省

関東総合通信局私設2課御中

                                                  若鳥陸夫(わかとりりくお)

                                                  呼出符号=7L1RLL

                                                  Email=7l1rll@dp.u-netsurf.ne.jp

                                                  国際電話=+81.44.981.1851

                                                  JP2150014,日本国神奈川県

                                                  川崎市麻生区白山4-1-2-1420

 

          10.1GHzアマチュア無線帯でのOFDM実験局の免許願い

 

拝啓  日頃は,アマチュア無線の振興にご尽力いただき,御礼申し上げます。

  さて,今般,高速無線LANの市販部品を用いて,10.1GHzのアマチュア無線帯でのOFDM[直交周波数分割多重,Orthogonal Frequency Division Multiplexing]利用の実験を計画しておりますので,ご許可いただくように,諸制度の整備とを併せてお願い申しあげます。敬具

1.実験の目的

   アマチュア無線によって,多媒体デジタルデータ[文字,静止画,写真,動画など]

の通信を対象とし,多重反射障害の低減のために,変調方式OFDMの利用性を確認する。

   また,実現方法として,技術革新の著しい通信用半導体集積回路[詳細:添付資料1,2及び3.参照]の取り込みを行い,これによってSHF帯アマチュア無線への参入費用の低減及び参入の容易さ確立を目指す。

   ひいては,この実験によって,アマチュア無線でのデジタル応用を促し,アマチュア無線が次時代の要求する無線技術者を養成する基盤となることを期待する。

 

2.実験の概要.

2.1.実験のあらすじ

     実験は,初期実験,中期実験及び後期実験の3段階に分け,それぞれ,次のとおりとする。

   1)初期実験  混合器の改良を行い,局部発振器,BPFなどを2組製作し,屋内対向通信試験を行う。識別符号は,別途許可された10.1GHzトランシーバで送出する。データ内容は,テストパターンの他,自己のWEB-siteの文字,映像とする。

   2)中期実験  制御プログラムの開発を行い,識別符号の自動・手動併用送出,3台以上の計算機間で通信実験・改良を行う。

   3)後期実験  屋外の実験に着手する。また,出力増加を試み,交信距離を伸ばす。開発済み装置設計図及び制御プログラムを同好者に配布し,複数局による実験を行う。なお,当初は,特別開発のAmateur_TCP/IP及び装置駆動系を組込む必要性から,Linux利用者に限る。MS_Windows搭載計算機に移植及び他のchipsetへの適用拡大は,他の奉仕者に期待することとし,この実験局では基本機能の向上及び技術習得だけを目指す。

 

2.2.機器構成

     実験の一組の機器構成を1.に示す。機械群は,サーバ側[親機]とクライアント側[子機]とに大別され,機器構成が異なる。サーバ側は,高速無線LANのアクセスポイントを流用して10.1GHz帯通信の制御を行う。クライアント側は,主に高速無線LANカードを流用した10.1GHz帯の機器群からなる。

     通信は,サーバ対クライアント,クライアント対クライアントの両方とする。

     通信データは,識別符号の音声又はモールストーン,文字,静止画,動画など,市販

WEB閲覧系[ブラウザ]によって可能な内容情報形式とする。データ記述言語としては,

XHTMLXMLSMILなどを用いる。

 

                  1. 実験全体構成

 

2.3.ソフトウエア構成[試案]

  制御ソフトウエアの開発項目については,現在,調査中であるが,予備調査によって,その概要を次のとおり考えている。

1)   サーバ側  操作系=LinuxAmateur_TCP/IP[開発],応用系=WEBサーバ

2)   クライアント側  操作系=LinuxAmateur_TCP/IP[開発,サーバと同じ],高速無線LAN装置駆動系[開発],Web閲覧系[市販品]

 

3.実験中懸念される事項への対応

3.1.帯域

  10.080GHz10.150GHzの全電波形式(実験・研究用)帯域の使用を前提とする。

このため,高速無線LAN周波数を次の1)4)のとおり,周波数変換を行う。

   1) 5170MHz[34channel]+ 4900MHz =  10070MHz[使用しない]

   2) 5190MHz[38channel]+ 4900MHz 10090MHz

   3) 5210MHz[42channel] 4900MHz  10110MHz

   4) 5230MHz[46channel] 4900MHz  10130MHz

  高速無線LANIEEE802.11a規格によれば,OFDM1回線の占有帯域は約17MHzであり,18MHz幅以下で使う。これら周波数の選択は,高速無線LANのアクセスポイン

ト機では,設定で可能であり,10.07GHzは選択しない。高速無線LANカード同士のビーコン送出については,開発する制御プログラムによって制御させる。

3.2.秘話性 

   アマチュア無線業務であるから,秘話性は次のとおりもたせないようにする。

    1)service station ID[SSID]は,公表して,日本国のアマチュア無線で統一し,例えば,“AmateurWirelessLAN”又は購入機材の初期値“ANY”とする。

    2)暗号化[WEP]は,使用しない。後期実験[詳細:3.3.参照]では,制御プログラムによって,暗号化ができないように制限する。

3.3.識別符号

  この実験は,初期実験,中期実験及び後期実験の3段階に分け,それぞれ,次のとおり識別符号を送出する。

  初期実験  実験中,10分間に一度,手動によって,FM音声[F3],モールストーン[F2SSB音声[A3J]又はモールス断続信号[A1]によって識別符号を提示する。

  中期実験  実験中,10分間に一度,自動的にFM音声[F3],モールストーン[F2],SSB音声[A3J]又はモールス断続信号[A1]によって,識別符号を付与する。なお,Amateur_TCP/IPの開発途上の実験では,プロトコル中にも識別符号を割り当て併用することがある。

  後期実験 Amateur_TCP/IPを開発し,すべてのパケット信号に識別信号を折り込む。また,複数のアマチュア無線局群との交信,多媒体[文字,静止画,動画など]のデータによっての交信を試みる。

3.4.アマチュア無線業務

  業者によるインターネットによる通信と目的,使用形態,内容の公開性及び非実用性などによって,競合も補完も意図しない。また,10GHzで通信しえない場所間の通信でも中継業務はしない。後者の場合,必ず,いったん受信データを自分のデータとして蓄積した後,自己の識別符号を付与して,転送する形態をとる。

 

4.混合試験結果[実現性の参考]

  5.2GHz高速無線LAN機材から発射する電波を受信して,2次周波数混合によって10.1GHz帯に変換して,通信可能な出力がえられるかどうかの基礎実験を行ったので,その実現性を報告する。 

4.1.混合器模型  

  5.23GHzの高速無線LANの出力を受信して,4.9GHzの信号源と混合し,10.130GHzを得る混合器模型を写真1に示す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     写真1.  5.23GHz + 4.9GHz 混合器模型

   

  写真1の混合器は,X-bandミキサーダイオード[JRC  NJX3501ジャンク品]を2個直列に接続し,シングルミキサーとし,乾電池1個から保安抵抗及びバイアス電流調整可変抵抗器を経由して,バイアス電流を流して構成している。3本の入出力線群は,50オームリジッドケーブルの先端にSMA-Pコネクタを付け,信号源及び観測装置と直結している。

  2次試作では,導波管内に実装し,BPF機能と電磁遮蔽機能とを兼ね備え,かつ,変換損失の少ない混合器にする予定である。

4.2.混合器模型の回路

  混合器模型の回路図を,2に示す。直流分離のキャパシタ容量[1000pF]及び高周波分離のインダクタンス[1mH]は,手持ちの部品によっただけで,もっと小さいものに換える予定である。また,バイアス電流印加は,局部発振器の出力を整流して自己バイアスにできるかも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             図2.混合器模型の回路図

 

4.3.混合器模型の出力

  混合器模型によって,5.23GHzの高速無線LAN出力の受信波と標準信号発生器からの4.9GHzとを合成したときの周波数分布[10秒間記録]を写真2に示す。観測横軸の中央が10.130MHz,帯域幅が約20MHz弱,信号強度が-60dBmであることが観測された。

 

 写真2.10.130GHz混合波のスペクトル写真[10秒間]

 

 

4.4.実験データのまとめ

  実験構成写真1及び図2の使用混合器模型を信号発生器及びスペクトラムアナライザに直結し,高速無線LAN出力のアンテナ部分に5GHzの受信アンテナを被せて測定した。

   高速無線LAN出力信号5.23GHz[受信アンテナで-25dBm

   中間周波数[信号発生器]4.9GHz+10dBm

   混合器模型の出力信号10.130GHz-60dBm]

   この出力は,-60dBmと小さく,屋内の至近距離での交信だけしか実現できない水準と思われるが,これは,混合器模型の変換損失が大きいことに起因する。

   なお,この変換損失[-35dB]は,変換器の実装を改善することによって,-20dB程度に低減できる見込みであり,出力が-45dBm程度になると予想される。

   また,高速無線LANアンテナ部分は,電磁的に密閉構造とし,原周波数の漏洩を防止する。更に,中間周波数及び高調波の低減のため,10GHzアンテナとの間に導波管利用のBPFを配置する予定である。

 

5.使用予定のchip set[参考]

    使用予定の高速無線LAN機材に使用されているAtheros Communications Inc.社の2 chipsからなるchipsetの説明書[詳細:添付資料1参照]を参考までに添付する。制御処理部がAR5210[詳細:添付資料2参照],高周波送受信部がAR5110[詳細:添付資料3参照]である。

  このchipsetは,SonyTDKPlanex Communicationsなどの製造者で使われ,高速無線LANアクセスポイント[54Mbbs]及び高速無線LANカード[54Mbbs]に組込んで販売されている。

  更に,Atheros社からは,5.1505.850GHzの高速無線LAN向きのchipset[AR5001A]が発表されているので,その制御プログラムを変更するだけで,5.7GHz帯でアマチュア無線LAN実験ができるようになる見込みである。この5.7GHzの件は,別の話しとする[URL=http://www.atheros.com/pt/AR5001A.html]。

 

添付資料[参考]

1)Atheros Communications Inc.社:
AR5000 Bulletin, "High-Speed High-Capacity Wireless LAN Connectivity”
  (
英文,全4ページ)

2)Atheros Communications Inc.社(非公開資料):
"AR5110 Radio-on-a-Chip for 5-GHz Wireless LANs"
(英文,全12ページ)

3)Atheros Communications Inc.社(非公開資料):
"AR5210 MAC/Baseband Processor for IEEE 802.11a 5-GHz Wireless LANs"
(英文,全12ページ)以上

非公開資料の入手方法:免許申請に添付する二つの非公開資料群は,ここでは守秘義務契約の関係から提示しないが,申請者自身が一人ひとり個別に,Atheros社のWeb-siteから資料1を取り寄せた後,TechnicalOverviewの項目をクリックすると,資料要求様式が表示されるので,氏名,住所,会社名,Email,国際電話番号などの必須事項を英字で入力して,down loadしていただきたい。