F2_Keyer取扱説明書 2002年2月12日改定 1.機能  このF2_keyerは,アマチュア無線の携帯式FM無線機のマイクロフォン 端子に送信信号[PTT]を与え,それから500mS後に800Hzの音声振動波を 送出できる機能を備えています。  この500mSの遅延は,携帯式FM無線機が実際に送信状態になるまでの 時間で,機種によって差がありますが,比較的遅い機械でもモールス 符号の頭切れ現象が出ない時間長にしてあります。  更に,この遅延時間があると,遅延音を聞いてはキー又はパドル操作 は難しくなりますので,遅延しない音を内蔵スピーカ又はイヤホンで 聞くことができます。  キー入力は,縦振りキーとパドルとの選択又は併用が可能であり, パドル入力の場合,速度調整が毎分3語から毎分40語まで可能です。 また,左右パドルの短点と長点とを反転させることも可能です。  出力は,FM無線機のマイクロホン端子へ入力する“F2-out”と PTT端子又はリレーを駆動するPTT端子の二とおりがあります。これら のうち,“PTT”端子はPTT回路に低電圧だけしかなくてトランジスタ 駆動では動作しない場合などにリレーを駆動するのに使います。 無線機のCWサイドトーンの利用が可能なときは,このF2-keyerのモニタを オフします。 2.設置 2.1.電池の挿入  単4型アルカリ電池4本を外箱のビス4本を外して取り付け,電池 類が外れないようにセロハンテープなどで軽く固定します。  箱を開けたまた,電源オン,モニタオン,チューンオン,音量最大 で800Hzの音がでることを確認します。  箱を閉じ,ビス4本を閉めます。 2.2.パドルの接続  極性反転スイッチ[rev]をオフにした状態で,パドルの右を中側へ押 した場合長点,パドルの左を中側へ押した場合短点が出力されるように 3.5mmミニプラグに接続します。ミニプラグの先端が左パドル,中間輪が 右パドル,外側が共通線にすると,慣用的に右手操作用の配線になります。   2.3.縦振りキーの接続  縦振りの“こうかん[棒のこと]”が3.5mmモノラルプラグの接地側, その先端を基台接点側に接続します。電気的な極性はどちらでもよさそ うですが,接地側を“こうかん”側にして,感電を予防するのが慣習で す。現在は,高々,数ボルトの電圧だけしか印加されないのですが,昔 の真空管時代には,感電する程度の電圧でした。 2.4.無線機のマイクロホン入力の接続  F2-out(2.5mmモノラルジャック)から無線機のマイクロホン端子に 配線します。ただし,無線機によっては,接続回路の工夫が必要です。 a)Standard C601の場合  2.5mmモノラルプラグで直接接続するだけで,送信できます。 b)Yaesu FT-100の場合  無線機後面のdata端子のデータイン(pin1)及び-PTT端子(pin3)の双方 に並列にF2-outを接続します。この配線はSSTV,RTTYなどと共用できる ように,-PTT端子に二股を付けておくと便利です。 2.5.無線機の電波形式の選択 2.5.1.FMモードにします。  チューンスイッチ又はキーをオンすると,500mS遅れて音が出ることを 別な無線機によって聞き確認します。電波形式は,F2です。 2.5.2.CWモードの試験[オールモード機の場合]  “PTT-out”出力を無線機のKey入力端子に接続し,CWモードにすると 電波形式のA1[CW]]も送信できます。  2.6.FM変調度の調整[3 Sep.2000追加] 接続対象の無線機で送信し,他の無線機で聴取し,送信周波数以外に 強い電波が出ていないか調査します。もし,他周波数に強い電波が派生 している場合,FM変調度を浅くします。 箱を開けると半固定抵抗[R3,100K]があります。このR3(VR100K)を 100Kから減少させると,FMの変調が深くなります。 変調を強く(深く)していくと,音が大きくなり,更に音が変る点にきま す。音が変る手前(VRの抵抗値の大きい方)に設定します。 3.操作 3.1.操作パネルの説明 3.1.1.前面 3.1.1.1.調整スイッチ[tn]  これをオン[押す,又は上向き]にすると,送信機に対して800Hzの 音と送信信号[-ptt]を送る。これは,アンテナ調整,簡易モールス 符号の送信に使います。 3.1.1.2.音量調整[vol] 送信時の音をイヤホンで聴く場合,音量を下げるために利用します。 3.1.1.3.速度選択[spd]  パドルを使用してモールス符号を生成する場合,この速度選択に よって,毎分3語[0]から40語[F]まで,]16段階を選択します。 3.1.1.4.イヤホンジャック[ear]  3.5mmのモノラルイヤホンによって,パドル又はキーの操作の音 を聴くためにある。操作環境が静粛で,外部への影響が特に無ければ イヤホンを挿入しなければ,内蔵スピーカによって操作音を聴くことが できます。 3.1.2.裏面 3.1.2.1.ストレートキー入力[key-in]  縦振りキーの出力を入力するジャックです。バグキーを使う場合 も,このジャックに入力します。ただし,バグキーでの短点の調整は, 操作者の責任で,長点との均衡を保持してください。 3.1.2.2.パドル入力[pdl-in]  パドルからの入力するジャックです。後述の極性反転スイッチが オフであれば,右手の人指し指が長点,親指が短点と見ます。 3.1.2.3.極性反転スイッチ[rev]  パドル入力の長点と短点とを反対にするスイッチです。これを オンにすると,左手操作用になり,左手の人指し指が長点,親指が 短点となります。 3.1.2.4.電源スイッチ[pwr]  電源の投入[上側]及び切断[下側]をするスイッチです。  電源を切り忘れても,マイクロコンピュータが睡眠状態となり 低消費電力となりますので,それほど,厳しく切断することはない でしょう。電源オンランプを省略しているのは,LEDの電力消費量が 多いからです。回路及びプログラムでは,PIC16F84の18番ピンに LEDを接続する場合の用意はしてあります。 3.1.2.5.聴取スイッチ[mnt]  キー操作の音を内蔵スピーカ又はイヤホンによって聴くかどうかを 選びます。 3.1.2.5.F2出力[f2-out]  -PTTと800Hzの音によるモールス符号との重畳信号を出力する2.5mm モノラルジャックです。  内部的には,PTTオンの場合に2.2Kオームで接地へ短絡されます。  PTTオン後,500mS遅れて800Hzの音声が出始めます。   3.1.2.6.キー出力[ptt-out]  無線機のキー入力端子又は外部リレー回路を駆動するための3.5mm モノラルジャックです。 3.2.操作  通常の操作は,次の順に行います。 3.2.1.電源オン  電源スイッチ[pwr]を上側にする。 3.2.1.聴取オン  聴取スイッチ[mnt]をオンにする。  3.2.2.音量調整  イヤフォンで聴く場合,トーンスイッチをオンにして,音量を調整 します。 3.2.3.送信速度調整  パドルを使う場合,送信速度スイッチを回転させて,送信したい速 度に調整します。なお,本職の通信士間の交信は,毎分75字と規定さ れているので,無暗に速くするのは考えものです。 4.保守 4.1.電池の交換  単4電池4本が,天井に付いている電池箱に入れてあります。 箱のビス4本を外し,蓋を開けると,交換できます。 4.2.トランシーバが送信にならない 4.2.1.PTT形式が違う場合  PTTは,マイクロホン端子を2.2Kオームによって接地する形式 で制御しています。したがって,トランシーバの形式によっては PTTがオンにならない場合が生じます。その場合,対象とする トランシーバのPTTに合うように改造してください。 4.2.2.大電流を流さないとオンしない場合  key-outのトランジスタは,コレクタ電流10mAまで引込める 仕様のものを使用しています。最近のトランシーバのCW入力 は,1mA以下の電流でオンになりますが,トランシーバによって は,20mA近くの電流を流さないとオンにならない場合があります。 後者の場合,トランジスタを50mA程度まで流せる型に変更して ください。 4.2.3.携帯無線機のPTTがオンしない場合 電圧が低くて,トランジスタのオン・オフではPTT制御ができ なくて,リレーによらなければならないときには,PTT-OUT端子 の外に電流増幅回路とリレーとを追加してください。 4.3.FM変調度の調整[3 Sept.2000追加]  R3(VR100K)を100Kから減少させると,FMの変調が深くなります。 接続対象の無線機で送信し,他の無線機で聴取しながら,FM変調 度を強く(深く)していくと,音が大きくなり,更に音が変る点 にきます。音が変る手前(VRの抵抗値の大きい方)に設定します。 ご注意:FM変調度を強くしすぎると,無線機によっては,スプリ アスが発生する場合があります。 4.4.PICマイコンプログラム  F2-Keyer用のプログラム第1.5版が書込んであります。この LSIは,PIC16F82として,1個数百円で市販されています。 しかし,市販品のままでは,プログラムが書込まれていない ため,F2-keyerとしては動作しません。したがって,PIC16F82 を交換する場合,製造者まで申出てください。 4.5.速度選択スイッチの交換  速度選択スイッチは,ノーマリ開きで,16進数に従って,オン のビットが閉じるようなスイッチです。極性がノーマリー閉じ のスイッチもありますので,反対を買われないようにご注意 ください。 4.6.スピーカの音量を大きくする 内蔵スピーカは,現在,小さい音だけしかでません。これを 大きい音にするには,次の2とおりの方法があります。 A)インピーダンス(8オーム)変換トランスの追加。 超小形トランス(2000:8)をスピーカの前へ挿入すると,幾分 大きい音になります。ただし,そのトランスをどう箱の中に実装 するかが課題です。 B)音声増幅回路の追加 音声増幅IC[LM386などの増幅回路]をスピーカの前に挿入す ると,音量を増加させることが可能です。ただし,電池の消費 量が増加します。