[Eve.Night]



 満月。
白く澄んだ光が、ものの色以外のすべてを映し、浮かび上がらせる。
 まだ洗い髪も乾かないスティーブを、その光の下へ、ベッドの上へ、どすんと雪尾は押し倒した。
座った半目でスティーブの腹の上へ馬乗りになり、自分のタンクトップのボタンを外してゆく。
「ちょっといろいろ、してみてもいい?」
 スティーブ、かわゆく上目で見て、
「雪尾が攻? オレ受?」
 雪尾はボタンを外す手をぴたりと止め、横目でちょっと考える。
「…そこまで考えてなかった」「いろいろしてみながら決めたいとこですね」
 ボタンを全部外してから、スティーブの両脇に手をつき突っ張って体を支えながら、
「とりあえずスティ、何もしなくていいから。僕がいろいろしてみたいので」
「ハイ」
 こくりと肯くスティーブに満足してにいっと笑うと、そのまま腕の力を緩めて伏せ、キスする。
軽く唇を合わせること数回、スマックを繰り返して促すと、スティーブはうすく唇をあける。
 誘われるように、しっとりとくちづけた。
 激しさのない、けれど甘くて深いキスを何度も重ねる。くちづけの合間につく吐息さえも、艶めいて甘い。
 また軽いキスまで持っていくと、頬をたどり、耳元へ唇を移動させる。やわらかく耳朶を噛んで、耳の下のあたりに唇を当てて吸い上げると、スティーブがびくりと身動ぎした。
 雪尾は理解し、何度も唇を押し当てる。舌先でくすぐったりもする。
「…、っ…」
 腕の中で身を縮めるスティーブに酔う雪尾。
 そのまま首筋をたどり、胸へ降りる。
「…ん…っ」
 スティーブの顎が上がり、小さな悲鳴が漏れた。
 すっかり満足した雪尾は、そのまま胸でしばらく遊ぶ。
胸や腹にたくさんキスを降らせて、2つ3つ跡も刻んでみる。顔を上げて視線を戻すと、目をつぶり、少し眉をひそめるようにしたスティーブは、頬が染まって息も荒くなっている。 ものすごく、かわいい。
「…堕ちないヤツなんて、いるわけないよな」
 咲き乱れる花も色褪せてしまうようなスティーブの、今まであまり見ることのなかった色香に、苦笑して呟く。
 またやわらかくくちづけながら、短パンの中のスティーブ自身に手を触れた。
 ひくり、と腕の中の体が揺れる。
 雪尾のほうは、受としてのスティーブのあまりのかわいらしさに、暴走しないよう理性をつなぐのが一苦労だ。
――なるほど、世の攻連中からは、こういうふうに見えるわけか。
 知っていると思い込んでいた未知の事実を確認させられて、少し複雑な心境。微妙に嫉妬も混じる、湧き上がる征服欲。
 スティーブの下肢へゆるやかな刺激を送りながら、自分は熱い息を吐いて体を冷まそうと雪尾は努める。
 力づくででも手に入れたい、というスティーブに懸想する世の男たち、女たちの感情と同調しながらも、それを上回る望みが、雪尾にはあるのだ。
 絶対傷つけずに、気持ちよくしてあげたい。
――あ? そういえば。
 そういえば自分も、傷つけずに気持ちよくしてもらってるなぁ。
 男同士で体をつなぐのに、傷つかずに気持ちよく、というのは技術がいる。暴走してしまっては駄目だ。加減を知る部分を残しておかないと。
――やっぱり上手なんだよねえ。
 微苦笑して、今はただ雪尾の与える快楽に任せて細く息をついているスティーブにやさしいキスを残すと、雪尾は体をずらし、服を剥ぐとスティーブの雄芯を口に含んだ。
――ッ」
 背をしならせ、顎を反らせて、声にならない熱い息を吐くスティーブ。雪尾の髪に指を入れる。そこから引き離したいかのように、またはもっと刺激が欲しいかのように。
 傷つけるつもりはまったくないが征服欲も殺しがたく、雪尾は自分の思うままに、愛撫を施した。
――、っ、…ゆ、き…っ」
 せつなく、かすれた声で呼ばれる。荒い呼吸が聞こえる。顔を見れないのが残念だなあ、と雪尾は思った。頬を上気させて息を荒げて、解放を乞うスティなんて、きっとものすごくかわいくてやらしくて、キレイなんだろうに。
 強く髪を引かれる。しばらくはいたずらのような、軽くて焦らすような愛撫を続けていた雪尾だが、やがて堰き止めるように押さえていた手を離すと、キツく吸い上げた。
――ッ、は…!」
 自由になった途端に強烈な刺激を与えられ、逆らわずにスティーブは自分を解放する。
自分に快楽を委ねているスティーブを愛おしく思いながら、雪尾は受け止めた。



 軽く目をつぶり、呼吸を整えているスティーブを見ながら、やっぱり攻もいいよなぁ、と思う雪尾。
その場限りの欲求解消ではなく、人と肌を合わせることを心地よいと感じたのは実はスティーブとそうなってからだが、(そしてスティーブ以外とはもう全然楽しくないどころか不快でさえあるのだが、)だから結局スティーブとでさえあれば何がどーでもまるごとオッケーなのだが(しかしそんなことはたとえバレてるとしても死んでも言えない台詞だ)、攻と受では翻弄される度合いが違いすぎる。追う者と追われる者、流す者と流される者、捕らえる者と捕まる者、だ。
 あんまりかわいいスティーブにやられて、このまま攻でもいっかなーむしろ攻でありたいとゆーかなどと考え、提案しようと覗き込む。
「スティ、あのさ」
「…雪尾…」
 わずかに頬を染めた強烈に色っぽい表情でやや上目加減に見つめられ、恐ろしく艶のある声でやわらかくしっとりと名を呼ばれて、雪尾の心臓が一瞬止まる。
――あぶねえっ。死ぬっ…
 強烈な色香にビビりつつ呑まれて赤面したまま凍りつく雪尾の肩に、するりと腕を投げ出すようにして、スティーブはうっとりと、
「オレも今、考えてたんだけど…」
「…え?」
「…あのね…」
 蜜が滴るような甘い声で、スティーブは囁いた。
「やっぱりオレ、攻がいいな」
「…えっ?」
 雪尾が我に帰る前に腕を絡めて引き寄せると、くるっと身を反転させる。
シーツを背にスティーブに組み敷かれた体勢で、ようやく雪尾は現状を把握した。
「なにいっ!? どゆことだこの状況はッ」
「ん?」
「いろいろしてみたいんだよ僕がっ。スティOKって言ったじゃんかっ」
「うん。オレも今ちょっとされてみてわかったんだ」
「何をだっ? まさかもしかして僕は下手かっ!?」
 スティーブ、にこにこ笑顔で首を横に振り、
「全然そんなことないよ。けど」
「けどっ!?」
 スティーブはかわいい顔からカッコいい顔へ激変モデルチェンジ、雪尾の唇を親指でつうっとなぞりながら、
「こっちもいいけど、やっぱり」
 雪尾の耳元へ唇を近づけ、熱い息を吐くように囁く。逃げ場のないよう、肌をぴたりと密着させて。
「雪尾の、内のほうがいい」
「……ッ!」
 熱い吐息混じりの台詞ひとつだけ。なのに雪尾の全身に鳥肌が立つ。これだけ肌をつけていたらバレてしまう、官能の。
 恥ずかしさを全面怒りにすり替えて、赤面しながら言い返そうと開けた口を、スティーブが塞いだ。
「っ…んぅ…ッ」
――やばい…っ。
 反射的に引こうとした顎を捕らえられ、より深く唇が合わせられる。胸を押し返すよりも早く、はだけた上着が脱がされた。
 スティーブのキスには、雪尾は絶対逆らえない。そこらの初な娘よりもたやすく、墜とされてしまう。
それはキスの巧さもさることながら、普通よりも深く互いに触れていることによって、共有めいた感情の波が揺れるからだ。
 
結局のところは、雪尾にも触れたい、触れられたいという欲がある。だから堕ちる。
「…、ふ…っ」
 抵抗が弱まると、スティーブは唇を半分だけずらして呼吸をラクにさせてやりながら、顎を押さえる手を外して頬を包むように回し、甘いキスを繰り返す。抵抗は弱まったものの怒りの波動はおさまらないので、一端キスをやめて口を自由にしてやる。しかし情勢を譲る気もないので、頬にスマックしてから耳元へ唇を移動。
「…かわいい、スティ、見せろっ」
 雪尾にしてみれば今日は自分が受のつもりではなかったので(途中から受のつもりでなくなったので)、抱きすくめられている状態はきわめて不本意だ。 しかもこの、180度形勢逆転という状況。
 さっきまであんなにキレイでかわいかったのに。いや今も綺麗だけど。ものすごい色っぽかったのに。もっと見たい。触れたい。欲しいほしい。
 スティーブはしかし、返事の代わりに雪尾の耳の下を吸い上げる。
 腕の中の体が、びくんと跳ねた。
 欲の中に、少しだけいぢわるも混ぜて。背に回した指をすうっと背骨に沿って降ろしながら、今度は印を刻むほど、強く吸う。
――っ、ア…!」
 殺しきれなくなった悲鳴を、雪尾が上げた。
 いい声だな、とスティーブは思う。
 かわいいスティをもっと見せろ、と雪尾は言った。別に出し惜しんでいるつもりはないが、スティーブは自分を知っている。逆に雪尾は自分を知らない。雪尾がスティーブによって、どんなふうに開いて、そのときどれだけやらしくて素直で貪欲で、綺麗でかわいいかを。
 攻と受では翻弄される度合いが違う。別に雪尾が攻でもいいのだけれど
――やはりおそらく、違うと思う。快楽のレベルが。
余所でいくらでも作れるような、スマートでおざなりな関係が欲しいわけじゃない。雪尾はスティーブにとっても替えのきく存在ではない。ならば、雪尾とでしか結べない絆を。他の誰とも共有し得ないつながりを、持ちたいと思う。
――そのほうが、おもしろいし楽しいし。
 という思惑を、雪尾のほうは気づいているのかいないのか。
 とりあえず、譲歩半分いたずら半分な気分で、耳朶を噛みながら言ってみる。
「オレもね。かわいい雪尾が、見たいんだ」
 ぴくりと雪尾の肩が震えた。
 たぶん、真っ赤になりながらも、またいぢわるされてんじゃないかと疑って、眉をひそめていると思う。
 確認しようと顔を上げると、雪尾がぐいとスティーブの頬を押さえてこちらを向かせる。
 照れと恥ずかしさとで頬を染め、それが転化して少し怒ったような表情、というスティーブの読みは当たり。しかし雪尾はその後に、
「…なら、理性捨てて」
 と言った。
「もちろん遠慮も加減もしないで。僕は、絶対に傷負ったりしない」
――スティだから。
 言外の想いまでも拾い上げ、スティーブはうすく笑む。
「そりゃ傷にはならないかもしれないけど。明日立てなくなるんじゃない?」
「かまわない」
「風呂は? 一緒に入る?」
「いいよ」
 スティーブは目を細める。
 予想外の反応。 あれほど一緒に風呂に入ることを嫌がるくせに。 それこそ、温泉に出かけてもひとりで入るほどに。
 この、頬を染め、瞳をわずかに潤ませて、なお、噛みつきそうなほど強い瞳
――強烈な意志。それに支えられた、欲。
スティーブを欲しがる、射抜かれそうなほどまっすぐな瞳。 その想い。
 ふと、その瞳が揺らいで、怒ったように困ったように伏せられる。さらに頬が紅くなる。
「あ、…ていうか、その、膝立たなくなったら、ええと、…してもらわないと、だめなわけだけど…」
 今度は少し目をまるくするスティーブ。
 さらに予想外の発言。
――きっと本人は、気づいてないのだろう。
 予測内の反応も、予想外の反応も、その艶もかわいさも、すべてが相乗して、自分を惹いているのだと。
 別にあの男(名前何だったかな)に体当たり食らわせなくたっていいのに。
 あ、でもやきもち妬く雪尾もかわいいからいっか別に。
 などとは微塵も表に出さず雪尾にも悟らせず、スティーブは月下美人のように微笑する。
夜にしか咲かない花のような笑みを、月の光の中で見せられて、雪尾はまた息が止まりそうになる。
 ゆっくりと、触れるだけのキスを、スティーブは雪尾の唇へ落とした。
「いいよ? してあげるよ、もちろん」
 睦言そのままに甘い声で囁くと、今度は噛みつくようなくちづけで、雪尾の呼吸を奪った。



 
――獣のような、夜になった。
射す月光は、こんなに清廉なのに。



「…う、あ、ぁっ…」
 大きく反りながら、雪尾が熱い息と甘い悲鳴を吐く。
 もう、どのくらい経ったのか、時間の感覚がない。何度交わったかも覚えていない。
ふたりの体も、シーツも。汗と体液でぐしゃぐしゃに濡れている。
 背面座位でスティーブを受け入れている雪尾は、肩と胸を支えられているせいでかろうじて姿勢を保っている。スティーブが腕を解いたら、前のめりに倒れてしまうだろう。
 部屋の空気もねっとりと濃くまとわりついて、熱を持つ体を冷ます術がなく、喘ぎっぱなしなので口の中がカラカラで、スティーブのキスで唾液をわけてもらっているようなものだ。
 爪の先までも、髪ひとすじまでも、快楽に冒されていない場所はない。
それは、スティーブも同じこと。 
――翻弄の振り幅が違うとはいえ。
 「…っ、ふ、ぁ…」
 飛びそうな意識をこらえる雪尾。スティーブが何もしなくても、動かなくとも、ただ触れられているだけで肌が灼けるような快楽が起こる。 火がつくように。
 耳元や首筋にかかる息が熱い。当てられ、吸い上げられる唇が熱い。すべる掌が、たどる指先が熱くて、貫かれている腰が、熱い。体が溶けてしまいそうなほど。
 スティーブは胸を支えている手を降ろした。何度果てようとやはりスティーブに導かれて目覚めてしまう雪尾自身は、今も解放を待って張りつめている。やさしく手にして、先端を弾くように擦ってみる。
「い、あっ…あ!」
 雪尾は喉を反らせて啼く。包む内がうねって、受けた快楽をスティーブへ返した。
 スティーブは唇を舐め、熱い息をついた。
 この自分が今、雪尾の望む『理性を捨てている』状態なのか、正直なところはっきりわからない。
やはり攻と受では振り幅も違うし、スティーブの性格にもよるだろう。 しかしとりあえず、手加減も遠慮もせず、思うように貪欲に雪尾を抱いている。 自分によって傷つけられることはないと雪尾は言った。おそらくそれは本当で
――たぶん、スティーブが必要以上に気遣わなくとも、受け身にはできていない男性体の雪尾は、スティーブにだけは、その体を開くのだろう。
 仕掛ければ仕掛けた分、あるいはそれ以上に、快感が返る。
 それほどに共有し合える。 心も、体も。
 スティーブは雪尾の腰を支え、自分は身を引き、自身を抜いた。
「っ、や、あっ…、…、か、ない、で…っ」
 抜かれる感覚さえも双方に肌が粟立つような快感を与え、しかし雪尾は不満で訴えた。
汗を伝わせ、頬を上気させて、涙で潤んだ瞳で睨みつけてくる様は、怒りよりも強烈なせつなさと艶を見せつける。
 スティーブは振り向いてキスをねだる雪尾に応えながら、その身を押し倒して膝を持ち上げ、体を開かせる。雪尾は羞恥と欲と鬩ぎ合うような迷いの表情を一瞬浮かべ、すぐに両手を広げてスティーブを招いた。
「…スティっ…来、て…っ」
 何度も交わり、ほぐれて、収めきれない体液をあふれさせているそこへ、スティーブは挿し入った。
「っ、ア…!」
 電撃のように背筋を走る衝撃と快感に、雪尾は身を竦ませる。
かまわずスティーブは深く腰を進めた。
「っ…は、ぅ…っ…!」
 かたくスティーブを抱きしめて受け入れながら、内側から灼き尽くそうとするスティーブを恐怖し、歓迎し、こちらこそ喰らい尽くし返そうと、やわらかい内壁でキツく締めつけてくる。
「…っ、く」
 こらえて波をやり過ごす。体と体の間に手を入れて雪尾の雄芯を探ると、泣きそうな声で喘ぎ、また内の自身を絞られた。
 こんな状態で、昇りつめるのは早い。
――っ、は、ぁ…ッ!」
 揺さぶられ、強く抱きすくめられ、限界まで貫かれて、雪尾は高い悲鳴を上げて喉を反らした。反射的に、腰の内が思い切りうねって締めつけられる。
「…く、」
 スティーブは歯噛みすると、雪尾の奥へ、熱く迸らせた。
 体の深くに灼熱の塊を受けて、内側から灼かれるような感覚に、雪尾も引きずられて己を解放した。
「っ、ふ、あ…ぁっ…!」
 自分をここまで高ぶらせ狂わせる、ただひとりのそのひとを、きつく抱きしめながら。



――真夜中すぎ。
 指先を動かすのも困難なほどの疲労感に、雪尾はつぶれてシーツに埋もれている。
 隣に横たわって四肢を伸ばしているスティーブも、相当脱力していた。
 あれからもまた体を重ねた。最後まで意識を保てたのが、いっそ不思議なほどだ。
 2匹の狂った獣が、ふいにスイッチが切れて人間に戻る。狂気に似た欲がようやく満たされて、高ぶった感情がゆっくりと穏やかなものに還ってゆく。
 後に残ったのは、2個の体。満ち足りた感覚と疲労とが詰まっている。おまけに雪尾は喘ぎすぎて声も嗄れた。
「…雪尾?」
 熱を冷ますようにベッドに転がってだいぶ経ってから、ゆうるりと上半身を起こし気味に、スティーブは雪尾を伺った。
 シーツにくるまれている雪尾の、軽く閉じられていた瞳が、うすく開く。
 そしてはにかむような、満足そうな、
――しあわせな、笑みを。 やわらかく浮かべた。
 だいぶ位置を変えた月の差し込む光と相まって、二重の月の光を思わせるような、満ち足りて静かな、微笑。
 スティーブは目を細め、だるい腕を持ち上げて手を伸ばし、雪尾の頬に触れた。うっとりと目を閉じる雪尾の顔をなぞり、指が唇に触れると、くすぐったそうに軽く噛まれる。
 身を起こすと、気づいて雪尾が瞳を上げた。
 近づいてまた横たわり、シーツごと雪尾を抱き寄せる。
 うすく瞳を開き、小さくクスクス笑う雪尾に、スティーブは花びらからこぼれる雫のような、綺麗で清しい笑顔をくれると、いたずらっぽくスマックする。
 そして深くやわらかく、くちづけた。



――引き続き、(スティーブにとっては)お楽しみ♪
 雪尾が、やっぱり風呂はひとりで入ると言い出した。
 だるくて思うように動かない体を意地と根性だけで起こし(もちろん足は立たない)、シーツにくるまりながらじりじりとベッドの上を逃げる雪尾と、疲労感は残っているものの雪尾よりは回復も早く、何より目的のためならどんな状況もクリアできてしまうスティーブ。逃げる雪尾をこれまたじりじり(余裕で)追いつめる。
『だだだいじょうぶだから』『やっぱひとりで入るから』
「約束が違うじゃないか。ひどいっ」
『なっ、何がだよっ』
「オレが後のこと引き受けるってことで理性外したんじゃないか」(←本当に外れていたかどうかは不明)
『…………だってやっぱあの』
「ん?」
『………は…』
「ん?」
『……………は』『…ずかしいし』
「そんなことないよ? 何も恥ずかしいことなんてないよ。だってオレ」
『あああ言うな言うな』
「雪尾のこともう何もかも全部知っ
わあああ言うなってっ
今さらってやつ
言うなっつの
 スティーブの口を塞ぐために、全身真っ赤になって歯ぎしりしながら気力と根性でスティーブに飛びかかる雪尾。にこりと笑ったスティーブに、実にあっさり捕らえられる。
わあっ!?
「さ、じゃ入ろうか♪ もたもたしてて腹壊しちゃうと困るし♪」
 ひょいと雪尾をお姫さま抱きに立ち上がる。驚異的回復力のその腰。
『あ、あ、あの、ホントに、ホントにだいじょぶだからっ、できるからひとりでっっ』
 腕を振り回すのも難儀な雪尾、しかし後がないので必死に力を込め、スティーブから逃れようとその胸や肩を押し返す。スティーブは軽く抱き寄せ、キスほど近く唇を寄せて、
「何も心配しなくていいよ雪尾。オレが責任持って、
ちゃんとしてあげるからvv
『………っ…』
 恥ずかしさと困惑で、だらだら汗を流しながら一層強く雪尾は暴れた。
ひっ、ひとりで入らせろおぉ――っっ お願いっっ!!』
ハハハハーv
受け身も取れずに落ちてもかまわないと覚悟で暴れる雪尾を余裕で強く抱きかかえ直すと、スティーブは楽しげに笑いながら風呂場へ消えた。




Fin.






いらっしゃいませ。いかがでしたでしょうか、満足して頂けたでしょうか。…え、ぬるい? これは失礼致しました…えっち原稿は
まだまだたくさんありますので、頑張ります。精進致します。リクエストなどございましたら、言ってみますか?

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