劇場へのお誘い


歌舞伎も最近はテレビでも放送されることが多くなりましたが
やはり劇場で実際に見るのが最高です。 舞台上の役者と客席
の観客とがお互いに影響しあって作る舞台は、同じ演目でも毎
回違ったものになります。 だからこそ昔から同じ演目が何度
も再演されたりするのです。 まだ実際の歌舞伎を観たことの
無い人には、ぜひ一度生の舞台を見て欲しいと思います。 
この頃は歌舞伎座以外でも、地方でも観るチャンスが増えてい
ますし、ぜひ劇場に足を運んで感動を味わって頂きたいと思い
ます。



1.劇場に行く前に

 まず何を見に行くかを決めなくてはならないですね。 
もし周囲に歌舞伎にくわしい人がいれば、アドバイスを受けるのが早道ですが
そういう人がいなければ新聞の劇評や、世間で人気になっている役者が出てい
る、といったことで決めてもいいのです。
こういう決め方で観に行って、「はずれ・・・」って思うこともあるかもしれ
ません。 でも生身の人間が演っているものですから、他日同じ演目をみたら
「面白い!」と思うことも、っていう当たりはずれがあるものまた生の舞台の
魅力・・・(汗)
全く初めてという人は、時代物より世話物(用語の説明ページ参照)から見始
めた方が、理解しやすいかもしれません。スーパー歌舞伎という選択肢もあり
ますね。 とにかく劇場へGO!! 



2.チケットを買う

 今はいろんな劇場で歌舞伎が上演されるようになりましたが、ここでは例
として歌舞伎座でのチケット購入について書いてみます。

(1)座席の種類

 座席はたいがいいくつかの種類に分かれていますが、歌舞伎座の場合、桟
敷席(1階と2階の両脇にあります。)、一等席(1階と2階があります。)
二等席(2階の後方)、三階席(前方のA席と後方のB席があります。)、こ
の他に歌舞伎座だけの特徴とも言える一幕見席(4階にあって、一日にいく
つか上演されるお芝居の一つだけを見られる)があります。
それぞれの席については・・・(値段はその時によって変わることもありま
すが、平均的なものを記載しておきます。税別です。)

★ 桟敷席 ・・・ 1階と2階の両脇にあって、2席ずつ囲いがあり掘りご
たつ風になっていて座布団と背もたれがあり、靴を脱い
で座ります。 ここならリラックスして座れます。
またお茶セットも用意されていて熱いお茶を飲みながら
お芝居を見ることも出来ます。 置いてあるメニューの
お弁当や葛きりは席まで届けてくれるので、お大尽気分
での観劇にはぴったりでしょう。
ただ見やすさから行くと、席によっては見にくいところ
もあることは否めません。
また値段もかなり高いかも・・・。(16,000円)

★ 一等席 ・・・ 1階の全部と2階の前方。 
役者を間近で見たい人は、1階のかぶりつき(一番前)が
おすすめですが、通常は「と・ち・り」席(1階の前から
7・8・9列目)が見やすいとされています。 
また舞台全体を見るには、1階の後方よりは2階の前方が
お勧めです。 1階の花道(客席を分断して舞台から客席
後方まで伸びている道(舞台の一部))より下手(舞台に
向かって左側)は、花道に立った役者の後ろ姿しかみえな
いことがあるので、ちょっと損するかも。
出来れば正面から近い席を選んだ方が無難でしょう。
(14,000円)

★ 二等席 ・・・ 2階の後方。
傾斜の少ない構造の劇場だと見にくい席かもしれません。
(10,000円)

★ 三階席 ・・・ 前方のA席と後方のB席があります。 
三階は通好みの席と言われお芝居が好きで何度も見たい、
という人達もいたりします。 
また「大向う」(用語の説明ページ参照)さんもいて、お
芝居の雰囲気に浸れる席かもしれません。
上手側(舞台に向かって右側)最前列あたりでないと花道
が見えないかもしれませんが、舞台全体は見えます。
(でもやはりA席最前列がおすすめ)
歌舞伎座の三階席は席も間隔も狭いので、長時間の観劇は
慣れないと大変かもしれませんが、宙乗りの時とかは席に
よっては自分に向かって役者が飛んでくる実感(?)が味
わえます。
何しろ安い値段で歌舞伎を楽しめるのが魅力。
(A席 4,000円  B席 2,400円) 

★ 幕見席 ・・・ 歌舞伎座独特のシステムで、一日に上演されるお芝居を演
目ごとに切り売りという感じで、その演目によって値段が
違います。百円単位から高くても千円台です。
これは前もってチケットを売るのではなく、当日行って幕
見席専用の切符売り場で買います。たいがい列になって並
んでいる人がいますからすぐにわかります。
この席は100席くらいは席がありますが、自由席なのでい
っぱいの場合は立ち見になります。 
また4階まではエレベーターなどが無いので狭い階段を上
がり降りすることになりますので、要体力?かも・・・。
でも、空いた時間にちょこっと見てみるにはお勧めかもし
れません。

(2)購入方法

 座席表を見ながら買うには直接劇場に行って購入するのが一番ですが、電話や
「チケットぴあ」などを利用することも出来ます。 
松竹系のお芝居でしたら「チケットホン松竹」(03-5565-6000)でも購入出来ま
すし、郵送もしてくれます。(有料)
直接歌舞伎座で購入する時は、1,2等席と、3階席は窓口が違いますので注意
しましょう。
チケット発売日の前になると新聞などに広告が出ますので、注意してみておくと
いいでしょう。(12〜14日頃) また劇場に直接問い合わせても教えてくれ
ます。 
その他、大きな書店でしたら「演劇界」(演劇出版社)がありますので、これを
買ってチェックすると、前月の批評や来月の舞台などについてくわしく載ってい
ます。
また、お気に入りの役者さんが出来たら、その人の後援会に入るという手もあり
ますね。

(3)切符の受け取り

 歌舞伎座では切符の預かり所という窓口があって、切符を預かってくれます。
 誰かと一緒に行く時には、ここに預けておけばお互い遅刻を気にせず先にお芝
居を楽しんでいられます。
ここはその月のお芝居の切符なら預かってくれますので、ついでの時に預けてお
けば、当日忘れて慌てる、ってこともなくてすみます。
また電話予約を直接劇場にした時には、10日間切符を取っておいてくれますので
観劇当日受け取ることも出来ます。



3.劇場に着いたら

 時間にゆとりを持って到着するようにしましょう。 
また電話予約を直接劇場にした時には、10日間切符を取っておいてくれますので
プログラムを買ったら席についてそれを読むくらいの時間があると、お芝居を見
る前に予備知識やあらすじを知ることが出来て、より楽しく見られるでしょう。
 また歌舞伎座(最近は歌舞伎座以外でも置いてあるところも・・・)ではイヤ
ホンガイドといって、上演中に解説が聞ける機械の貸し出しをしています。 
初めての人はこれを借りておくと(使用料600円、保証金1,000円。この保証金は
終演後、機械を返却すると返してくれます)よりいっそう分かりやすくお芝居を
みられると思います。タバコの箱くらいの大きさです。
歌舞伎座では休憩時間に座席でお弁当を食べてもいいので(場内には持ち込み出
来ない劇場の方が多いですが)、どこかで買って持っていったりしてもかまいま
せんが、歌舞伎座の場内には、いくつものお食事処があります。 開幕前に予約
しておけば休憩時間に待たずに食べられます。
歌舞伎は上演時間があわせると4〜5時間にもなりますから飲まず食わずはきつ
いですからね。予約は1階ロビー売店(入り口左側)前で出来ますが、直接お店
でも予約できます。
気軽に食べるには3階におでん食堂、カレーとコーヒーのお店(開演前だとクッ
キー付き)、2階の蕎麦食堂などもあります。 他にもステーキのお店や立ち食
い蕎麦(これは歌舞伎座の外側にありますが、歌舞伎座では途中で外に出ること
が出来ますので(チケットは必ず携帯すること)食べに出られます)などもあり
ます。 1階には洋菓子の店、2階にはお茶と和菓子の店もあります。
ロビーの両側には売店があって、お土産品やブロマイド(月の初めにはありませ
ん)などが買えます。開幕前や休憩中にうろうろしてみるのも面白いでしょう。
席が舞台から遠くて見にくい人には、オペラグラスの貸し出しもあります。
各階ロビーの壁にはいろいろな写真があるので、見て歩くのも楽しいでしょう。
国立劇場2階には小さな資料館があり、その月で展示品が変わりますので(その
月の上演演目に関係するものに)一見の価値ありです。



さぁ、お芝居を楽しんで下さい♪


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