|
|
|
|
|
竹本 |
・・・ |
歌舞伎独特の言い方で、義太夫の創始者の竹本義太夫の名から来ている。
歌舞伎の伴奏としての義太夫を特にこう呼ぶ。 人形浄瑠璃文楽の義太夫か
ら来ている為情景描写だけでなく、台詞の部分をも語ることが多い。
舞台上手(客席から見て右側)の上方にある「床」(ゆか)と呼ばれる小部屋
(前面に御簾がある為、客席からは演奏者が見えない)で演奏されるか、その
真下あたりに床を作って演奏されることがほとんどである。
たいがい太夫(義太夫を語る)1人と三味線1人だが、舞踊などではもっと大人
数での演奏の場合もある。
歌舞伎音楽は「語り物」と「唄い物」に大別されるが、義太夫はもっとも語りの
要素が強い。 腹から出す低い力強い語りに合わせて、三味線も「太棹」という
棹の太い低音が出るものを使用する。 |
|
|
|
|
|
立廻り |
・・・ |
「殺陣」(たて)とも言う。戦いのシーンの動きのこと。普通の演劇に比べてかな
り動きが緩やかで様式美を重んじる。200種類ほどの型があり、「山形」「千鳥」
「唐臼」などの名前がそれぞれに付いている。これを「殺陣(立)師」と呼ばれる
人(大部屋の役者が兼ねる場合もある)がその場面に合わせて組み合わせ、構
成する。
立廻りには「からみ」と称する人々が付き物で、ほとんどの場合大部屋の役者が
やるが、これは立廻りの時に主役にからんで、主役をより引き立てる役回りであ
る。立廻りでは、主役より、この「からみ」の上手下手が重要と言われる。
立廻りでは「トンボ」と呼ばれる一種の宙返りがよく出てくるが、これは主役に
倒されたことを様式的に示すもので、主役自身が上手に「トンボ」が出来る(トン
ボを切る、と言う)人だと、からみのトンボを返すのが上手いと言われる。
立廻りでは、武器の他に梯子、戸板、床几、縄などいろいろなものが使われ、
アクロバティックな動きで観客を魅了する。
立廻りが見事な演目として「新薄雪物語」「倭仮名在原系図」(通称:蘭平物狂)
「義経千本桜」などがある。
殺陣師の地位は決して高くはないが、先年亡くなった坂東八重之助は、名殺陣
師として人間国宝に指定された。 |
|
|
|
|
|
だんまり |
・・・ |
「暗闘」とも書く。真っ暗闇の中での争いのことを言う。「時代だんまり」と「世話
だんまり」がある。時代だんまりは、数名の人間が、暗闇の中で大事な宝物や
書き付けなどを奪い合うシーンで、たいがい幹部俳優が顔見世的に揃って登場
する。これは「お目見えだんまり」という、一座の俳優の襲名披露などの口上代
りの独立した一幕を、演目の中に取り入れたものだからである。
「鞍馬山のだんまり」「宮島のだんまり」「鯨のだんまり」などが代表的。
だんまりにはいろいろな約束事があり、座頭が柱巻きの見得(柱に片方の手足
を巻きつける見得)をするとか、全員が一列になって前の人を引きとめる形をす
る「蛇籠」という動作をするなどがある。
世話だんまりはこういった約束事を、日常的な世話物からガラッと変わっただん
まりのシーンに取り入れたものである。
「四谷怪談」や「宇都谷峠」などが代表的。
だんまりは字の如く、台詞のない所作だけのシーンである。 |
|
|
|
|
|
宙乗り |
・・・ |
元禄時代からある手法で、昔は手動で動かしていた。(天井に木製の台車を取
り付け、そこに綱を通し「連尺」(れんじゃく)という着込み(吊られる為の装具が
付いたベルトのようなもの)を付けた俳優を吊るして動かす)
今は市川猿之助が得意としているが、ワイヤーロープを使ったものに改良され、
相当の重さにも耐えられるようになり、また機械操作に変わった。
宙乗りは通常は舞台(花道)から三階席に向かって上昇していくものだが、「加
賀見山再岩藤」に登場する岩藤の亡霊のように、舞台を上手から下手に向けて
平行に移動するものなど、バリエーションはいろいろある。(この岩藤の場合は
通常「ふわふわ」と呼ばれる) |
|
|
|
|
|
ツケ |
・・・ |
舞台上手の隅で、黒子姿の大道具係り(関西は狂言方)が正座した膝の前に
欅の板を置き、拍子木でその板を打つ。 この音は俳優が見得をきったり、物を
落とす演技をしたり、走ったりなどの擬音として強調するために使われる。
この担当を「ツケ打ち」と呼ぶ。
歌舞伎では舞台上の、観客から見えるところで打たれるが、人形浄瑠璃では
見えないところで打たれる。(「かげ」を打つ、と言う)
役者と合図無しに息を合わせる為、昔はそれぞれの俳優専属のツケ打ちさん
がいた。 |
|
|
|
|
|
つっころばし |
・・・ |
和事(写実的で柔らか味のある演じ方をする芝居。上方の芝居に多い)に登場
する二枚目で、何となく頼りなさそうな若旦那の役などに見られる。ちょっと突く
と転んでしまいそうな不甲斐なさげな様子から「突っ転ばし」と名付けられた。 |
|
|
|
|
|
遠見 |
・・・ |
狭い舞台で遠近感を出すために、遠くにいる人物を子役が演じること。
「逆櫓」や「一の谷」の組討場面が有名。 |