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A Contrastive Study of Japanese and English
日本語教師・英語教師と学生のための
日本語と英語の対照研究
 
定価 2000円(税込)
送料 210円
はじめに(Preface)
 人間は、思うことや感じることを表現するために、言語を使用するが、その言語は文化と密接な関係を持っている。このように、言語・思考・文化は三位一体になっていて、切り離して考えることはできないのである。
 言語習得に関する教授法の研究は、以前は主に言語の分野だけで行われていた。しかし、現在はより一層広い分野にわたり、社会学・心理学・神経学などからの情報を利用した社会言語学・心理言語学・神経言語学や、また、特に応用言語学の分野においては、新しい教授法の理論を開発し注目を浴びている。
 英語国民は、一般に論理的で合理的なものの考え方をするので、第二言語/外国語を学ぶ時も、言語学・社会言語学・心理言語学などによる理論に基づいた習得法を要求するため、ただ単に日本語は英語とは違うというだけの理由では、学習者は満足しない場合が多い。
 そこで、理論的かつ論理的に日本語と英語を対照・分析することによって、英語母語話者の日本語への言語転移(language transfer)において生じる諸問題の要因を考察する。文の構成や文法的な面ばかりではなくその他の面においても、すべてと言ってもいいほど、英語話者の日本語への言語転移は、「負の転移」(negative transfer)の性格を持っているだけに、英語話者には日本語は想像以上に習得困難な言語なのである。
 しかし、日英語の相違に関する知識が教師にあれば、英語話者が習得段階において直面する様々な問題の原因がわかるので、教師は学習者が表現しようとしていることを容易に理解することができるようになり、学習者の言語習得の指導に大いに役に立つことは確実である。
 本書は、本来は日本語教師のために書いたものであるが、英語教師そして英語を学習する学生にもぜひ読んでいただき、日本語と英語の思考・表現の仕方に関する知識を身につけ、異文化間コミュニケーションにおいて、自分の意見を相手に誤解されることなく、十分に意思の疎通ができるようになっていただければ幸いである。

f">もくじ

T.文の構造 (Sentence Structures)
 1. 語順 (Word Order)
 2. 修飾語句 (Modifiers)
 3. 省略 (Ellipsis)
 4.修辞法 (Rhetoric)
 5.受身/受動態(Passive Voice)

II. 談話におけるきまり (Discoursal Conventions)
 1.言語伝達 (Verbal Communication)
 2. 非言語伝達 (Nonverbal Communication)

III.異文化間コミュニケーション
(Crosscultural Communication)

 1. スキーマ (Schemata)
 2. スクリプト (Scripts)
 3.発想と表現 (Concepts and Expressions)
 4.表現構造 (Expressional Structures)
 5. 会話構造 (Conversational Structures)
 6.異文化理解 (Crosscultural Understanding)
 7.コミュニケーション能力と適切性
   (Communicative Competence and Appropriateness)

IV. 英語から日本語への言語転移
 (Language Transfer from English to Japanese
)

X. 英語から日本語への語用論的転移
 (Pragmatic Transfer from English to Japanese)


Y.日本語と英語における婉曲表現の対照研究
  (A Contrastive Study of Japanese and English:
Indirectness)

  参考文献(References)
<<書評>>

 グローバリゼーションや国際交流・国際理解が叫ばれて久しいが、日本に対することに欧米など英語圏の人々の理解は必ずしも深まっているとは言いがたい。また、日本人のそれも同様の課題に直面している。
 これは、外国人に日本語を伝える日本語教師をはじめ、日本人に英語を教える英語教師、さらにそれを学ぶ学生たちが、ともすると文章の構成や文法重視に偏った教授法、学習法のため、異文化間コミュニケーションの基本である、言語・思考・文化を三位一体として捉えるという発想や視点、そして習得法が不十分なためといわれる。

 そこで求められるのが、日本語・日本人と英語圏人の思考、表現の仕方の違いに関する対照研究に基づく知識・情報である。しかし、この種の一般向けの書籍はまだまだ少ない。

 本書は、著者の長年にわたる日本語と英語の対照研究と実践指導から生まれた、読みすやく分かりやすい貴重な一冊である。

<著者紹介>

板谷絢子(いたや じゅんこ)
テンプル大学 ジャパンキャンパス 名誉教授
専門:TESOL(英語教授法)
研究分野:日本語と英語の対照研究
お問合せ先 (株)トロント
〒107-0061
港区北青山1-4-1-808
電話 03(3408)1521
   FAX 03(3408)1448

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