その十三 北千住之景
俳人・松尾芭蕉が、「奥の細道」へ旅だったゆかりの地です。江戸時代、日光街道の宿場駅「千住宿」の北組の掃部宿として栄えました。旧街道筋を歩くと、名所旧跡が今も残されています。それらをひとつ一つ見て歩くと、往時の雑踏した宿場風景がタイムスリップしてきます。今も交通の要路である北千住には、都の内と外を結ぶ主要駅として、JR常磐線・東武伊勢崎線・営団地下鉄日比谷線が走り、周辺地域に向かう都営バス・東武バスとさまざまな交通網が縦横に伸びています。そして商店街が東西南北に広がり、デパート、スーパー、金融機関、遊技場、雑居ビルが、駅前通り、新旧両日光街道沿いにびっしりと並んでいます。それらのビルに挟まれるようにして、重厚な和瓦、切妻屋根、連子格子、店蔵造りの老舗がのれんを守っています。商店街を一歩横町に入ると、ネオンが瞬くカフェバーの隣に、地蔵尊が立っていたり、ブティックの前には、閻魔堂があったり、商店街をカジュアル・スタイルで行き交うヤングと、豆腐を引き売りがラッパを吹きながらすれ違うなど、普段着の庶民の生活文化の混在が魅力を生み出しています。祭りも大変盛んなところで、その新旧合体の活力を肌で感じさせてくれます。