その二十 江北之景

昔からあった集落の鹿浜あたりと、環状7号線ができてから整備された表通り沿いだけが住宅の密集地帯で、典型的な郊外都市です。表通りをはずれると、畑があったりして農家もあります。屋敷森もかなり目につきます。未整備の空地や駐車場が混在している住宅地です。一昔前までは、農村集落として地域が成り立っていましたから、周辺に寺社が多く見られます。そうした環境から、古くから伝わる祭礼や民俗行事が今でも大切に行われています。郷土芸能として、祭囃子や区の無形文化財である「鹿浜の獅子舞」が残されているのは、かつて、このあたりが農業を中心として成り立っていたところという歴史を示しています。この一帯は、公園やスポーツ施設があちこちにあり、かなり整っています。鹿浜橋から江北橋にかけての堤防の下には、大規模な桜並木があって、春になると一斉に開花して見事な桜通りが出現します。こうした自然環境を配慮して、堤防際に隣接する工場の大きな煙突には、カラフルなデザインが施されています。高圧送電線の鉄塔もニューデザインにかわり、童話の「ジャックと豆の木」を描いたりして、地域住民に気を配った工場や企業の絵心、遊び心が見る人の目を楽しませ、町に彩りを与えてくれます。