その二十一 岩淵之景

ここは、岩槻街道と旧奥羽街道が合流しているところです。そのため跡地が沢山あります。昔は、志茂から神谷にかけて工場地帯だったため、戦災でかなりの部分が焼失しましたが、岩淵町の一角には、今でも昔の面影を残している家並みがあります。赤羽交差点周辺の民家や、東京23区内で唯一の酒造会社、小山酒造の建物もそうです。岩淵橋のたもとには、安藤広重が描いた名所江戸百景のひとつ、「川口の渡し」跡があります。この他にも、宝幢院前の道標、熊野神社の絵馬など、歴史散歩の材料に事欠かない所です。ここは、明治から大正にかけて行われた、荒川放水路開削の出発点でもあります。そのシンボルでもある旧岩淵水門が荒川の中に残されています。門扉が真っ赤にに塗られていたことから、地元では、「赤水門」と呼ばれて親しまれています。現在水門の役目は、少し下流の新岩淵水門に代り、隅田川との重要な接点となっています。堤からの眺望は素晴らしく、対岸の川口の町の豹変ぶりも手にとるように見えます。建設省・荒川下流工事事務所に隣接する、「荒川知水資料館」では、荒川に関する資料や展示が行われています。ここでは荒川についての歴史や水利など荒川の知識を集成してあり、楽しく学ぶことができます。