その二十五 浮間之景
ここは、工場地帯と住宅地域がはっきりと区分されています。新河岸川両岸の一帯は、一部には団地がありますが、ほとんど工業地帯で殺風景です。そんな景観を救っているのが、あちこちに見ることができる桜の並木です。それは住宅地帯に見事に連なっています。春の桜、秋の紅葉と季節感が楽しめます。環八通りを挟んだ南側は山の手になっていて、古くからの住宅地です。そこには、薬師の泉庭園や、小豆沢公園、小豆沢神社があって、春になると全山が桜に覆われて、山すそからの眺望は目を奪われるほどです。JR埼京線北部の新興住宅地には、都立浮間公園があります。桜の開花時になるとたくさんの花見客でにぎわいます。浮間公園は「さくら草」の名所でもあり、春先になると「さくら草祭り」が開催されて愛好家が訪れます。園内の浮間ヶ池には、秋から初春にかけて、北方から渡ってきた水鳥であふれ、バードウォッチングを楽しむことができます。また、釣り堀もあって、終日、太公望の姿が絶えません。山の手の小豆沢公園には、板橋区立の体育館や競技場、テニスコート、プール、武道館、弓道場があり若者たちが集まります。小豆沢神社では、7月に「餅つき祭り」があり、古くからの住宅地の温もりが感じられます。