その二十八 戸田之景

荒川堤の上からは東西に伸びた戸田漕艇場のコースが満々と水をたたえています。また、レガッタのボートを漕ぐ若者の姿が見られます。春には桜並木が見事です。このあたりは、主に野菜を生産する農家が主体の農村地帯でした。旧中山道の川岸には、浮世絵にも描かれた「戸田の渡し」跡があります。江戸五街道のひとつである中山道の沿道には、今でも古い民家があったり、昔風の商家が数件残っていて、当時の面影を伝えています。JR埼京線が開通するまでは、このあたりは公営交通は極めて不便なところでした。そのような土地でしたから、オリンピック通りの南側にあたる部分は、高騰する都心の倉庫料を避けて物流倉庫の移転が相次ぎましたが、北側は、畑の名が一部に見られます。寺院もあり、桂林寺には、モダンな彫刻が並んでいて美術館のようです。古くからの暮らしの営みも感じられますが、ほとんどが新興住宅地で構成されています。JR戸田公園駅の東側には、遊園施設の「こどもの国」があります。また、戸田市のメインストリートである中央通りには、スーパーや金融機関の建物が並び新しい住宅地域として発展しています。