十三、チベットで進められている計画出産政策の問題
茉 莉:
チベット亡命政府は一貫して中国政府がチベットで計画出産政策を行っていることを非難していますが、産児制限はこの人口過密化している地球に必要なことではないかとわたしは考えています。中国政府がチベット人に提示している産児目標指数は二人ないしは三人で、わたしたち漢人の一人っ子政策より緩やかです。
アンドゥクツァン・タムディン・チュキ(亡命区チベット婦人会主席)
わたしどものチベットは土地が広い割に人口がまばらなので、産児制限の必要はまったくありません。それなのにいまやチベット人は避妊手術を強制され人工中絶する人たちが多くなっています。制限がかなり緩やかだった時でもチベット人は三人までの出産を許されていただけで、それ以上生むと重い罰を課され、その子は戸籍のない子になってしまうのです。
茉 莉:
わたしたち中国内地では、計画出産に従わない者が処罰を受けるというのは早くから行われていたことです。
アンドゥクツァン・タムディン・チュキ:
それは中国人自身の事情です。チベット人はもともと人口が少ないのですから、このような産児制限を行えばいずれは民族滅亡ということになってしまうでしょう。
茉 莉:
チベット人は少数民族として二。三人の子どもをもつことができ、実際にはもっと多いかもしれません。けれどもわたしたち漢人女性は一般に一人しか産めないのです。まるで漢族であるがゆえに出産の権利を奪われているようなものです。人権という点からいえば、わたしたちは母親として同じ出産の権利があって当然ではないでしょうか。
クンサン・ベンジョル:
世界中どこでもみな計画出産を必要としており、わたしはこれにまあまあ賛成しています。というのも人間の素質を高めることができますからね。しかしそれを人に強制することには反対です。選択の自由があってしかるべきです。
中共がチベットで行っている計画出産のやり方はよくありません。それに携わっている多くの人たちに問題があり、技術の上でも劣っています。
茉 莉:
チベットの男性にはラマ僧になる人がとても多いですが、これも人口が少ない一つの原因になっていると思います。もし、あなた方チベット人の一部がラマ僧になって子どもを成すことができないということで、他の人たちがより多くの子どもを設けて人口の不足を補う必要があるというのなら理解できますが。
ラサの娘さん:
計画出産は仏教を信仰しているチベット人にとっては、“殺生”の問題でもあるのです。人工中絶を強制することは仏教の教規を犯しています。チベットは現在、仏教信仰等の原因で人口が減少してきています。わたしたちのチベット高原は土地は広いけれど人口はまばらです。人口密度は一定したものでなければなりません。チベットの生態系を守るのに、いまのところ計画出産はまったく不必要なのです。
もし将来、チベットが計画出産を必要とする日が来たら、わたしたちも自ら進んでそうすることでしょう。
(1998年6月、録音に基づいて整理)