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何だかんだで酒が進めば、会話も弾む。この雰囲気の中で、上手い具合にライエルをけしかけたいところだ。酒を酌み交わしつつ、リーヴスがタイミングを見計らっていると、そこに現れた邪魔者…。
− プイィィィ〜〜ン… −
どこからともなく入り込んだ蚊が、ライエルの耳元で羽音を立てると、ぴたっと頬に張り付いた。
− ペチッ! −
人間、酔っぱらっていても、蚊に止まられたら何故か反応してしまう。ご多分に漏れずライエルも自分の頬を叩いたが、叩き終わって見た手のひらに、獲物の姿はなかった。
少しムカッとしながらも、ライエルはまた酒と会話を継続する。ところがまたしても現れる邪魔者…。
− プイィィィ〜〜ン… −
今度はこともあろうに、ライエルの目の前を横切って鼻先に止まった。
− ベシッ! −
逃すまじ!とばかりに目にも止まらぬ早さの平手打ちが飛ぶが、すんでのところで取り逃がしてしまう。力任せに打った鼻先の痛みもあって、ライエルのムカムカは治まるどころか増す一方だ。ライエルはグラスと置くと、両手を開いて用意し、臨戦態勢を取った。
− プイィィィ〜〜ン… −
羽音を追ってライエルの目玉だけが動く。その目が小さな黒い物体を捉えるや、ライエルの両手が繰り出される。
− パンッ! −
第一段はかわされた。
− バンッ! −
第二段もかわされた。
− バシッ! −
第三段もかわされてしまい、ライエルのこめかみに青筋が立った。
ライエルはガタリと椅子から立ち上がると、いきなり愛剣2本を引き抜き振りかざす。これにはさすがのリーヴスも焦った。
「ちょ、ちょっと、アーネスト!
気持ちは分かるけど、いくら君でも剣で蚊を斬るのは無理なんじゃ…。」
いかなる剣豪だって、蝶ぐらいは斬れても蚊は無理だろう。止めにかかるリーヴスに、ライエルは不敵な笑いを漏らす。
「…ふっふっふっ…俺の剣はそんなみみっちい技は繰り出さん!」
「みみっちいって…それじゃ、何をする気なんだよ。」
「蚊1匹などと言わずに、百匹だろうと千匹だろうと一網打尽にしてくれる!」
「え…ま、まさか…。」
「敵を叩きのめすのに遠慮はいらん!」
「わぁっ!それはダメだ!少しは遠慮してくれぇっ!」
「いくぞっ!」
− 全周囲攻撃! −
ライエルの剣から繰り出された風刃は、かまいたちのように周囲の物を切り裂いていく。棚の物は叩き落とされ、カーテンはズタズタ、テーブルの下に避難したリーヴスの服もボロボロになってしまった。
台風一過…。とんだ「あー惨劇場」となってしまったのである。
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