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2008.7.30
Mathieuファンのための「Les Enfants du pardis」の作品紹介
 2008年10月21日から11月8日にパリオペラ座での上演が予定されているLes Enfants du pardisですが、これは、(あるいは、ご存じの方の多いと思いますが)通常、『天井桟敷の人々』と邦訳されているフランス映画史上に燦然と輝く名作を、ジョゼ・マルティネズがバレエに脚色するもののようです。
映画の監督は、マルセル・カルネ、脚本を書いたのはフランスの詩人、ジャック・プレヴェールで、日本では、シャンソンの『枯葉』の作詞者として有名です。主役のバチストは、ジャン=ルイ・バローという往年の名舞台俳優が演じました。時代設定は、1940年代、つまり、『椿姫』とほぼ同時代です。当時、パリには、「犯罪大通り」と呼ばれる通りがあり、その周辺には、さまざまな芝居小屋が立ち並んでいました。主役のバチストは、その中のひとつ「フュナンビュル座」のパントマイム役者で、いわば「魔性の女」とも呼べるガランスと彼を慕う座長の娘ナタリーとの間で、心惑い、揺れ動くと言う役所です。映画の中には、劇中劇で、ロマン主義の時代、フランスでも盛んに上演されたシェクスピアの作品の中でも特に、有名だった『オセロ』が登場します。
既に、発表されているキャスティングの中に、『オセロ』のヒロイン、デズデモーナ役もありますから、映画同様、舞台裏で繰り広げられる恋愛劇と、劇中劇が重ね合わせられるのかも知れません。
2008-2009シーズンのオペラ座から配布されている冊子に掲載されている解説の一部をここに邦訳してみます。最後のところが少し、自信がないので、あるいは、誤訳もあるかも知れませんが、ご了承ください:
 「ジャック・プレヴェールのシナリオは、群衆のうごめきと、他方、より親密なシーンを、はっきり区切って配置することで、既に、ひとつの振り付け作品のようなリズムを持っている。だから、このバレエは、舞台上や街角の、人々がうごめく、生き生きとした、喜びに溢れるこの世界に合わせて振動し、手から逃れ行く理想化された愛の探求に伴う夢ヤ甘さ、悲しみと暴力の連なりを描き続けることとなる。」

 バチストは、ガランスへの思いを断ち切れず、ナタリーと結婚し、一子をもうけた後も、再び、ガランスと愛の一夜を過ごします。けれど、結局、ガランスは、彼の下を去って行くのですが、その別れのシーンで、ジャン=ルイ・バロー扮するバチストが着ていた白いシャツが忘れられません。あの雰囲気には、マチューはばっちりはまりそうな感じがして、今からわくわくしますが、パリまで見に行けないのがとても残念です。せめて、写真くらい載りますように。
 また、映画の前半で、ジャン=ルイ・バローが絶妙なパントマイムで、観客を魅了します。バレエにもバロー役がありますが、ジョゼが演じるのでしょうか?色々、想像するだけで、楽しみが尽きません。
By Pochi さん