Cet emplacement est Mathieu Ganio FanSite officieux
2012.4.12 Update

マチューの公演レポート集です。
心に残った公演、ご覧になれなかった公演をレポートでお楽しみください。

このページは皆様からのレポートで作られています。
マチューの公演(最近のものでも昔のものでも)のレポートをお書きになりましたら、ぜひお寄せくださいませ。

なお、各レポートのコピーライトは各ライターさんに帰属します。

 
New! 【Dances at a Gathering、他】 【白鳥の湖】
パリ・オペラ座来日公演 【シンデレラ】
ルグリと輝ける仲間達2007 【Aプロ】
【クラスレッスン】
【椿姫】 【リーズの結婚】 【プルースト〜失われた時を求めて】
【スカラ座ガラ】 【マリンスキーフェスティバル】
【カリギュラ】
【ジュエルズ】


「Dances at a Gathering」公演レポート、他
2012.3.30 パリ・オペラ座
レポライター:Nicole
  パリで3月30日の公演を観てきました!!
マチューは、前半 Jerome Robbins 振付の"Dances at a Gathering" のトップを(brun のソロで)飾りました。ダンサーはマチューの他9名。この演目は、男女複数のダンサーが黄色、緑(2人)、ピンク、紫、青(2人)、薄紫、煉瓦色の衣装で、踊りの連鎖を作っていくといった感じのダンスでした。「恋する男女」を思わせました。音楽は、ショパンの楽曲をピアノ伴奏のみ、舞台装置も特になく、ライティングのみというシンプルなものでした。その中でマチューは、グループではなく、男性あるいは女性ダンサーと2人かソロで踊る方が多かったです。マチューが舞台に現れると華やかなオーラがかもし出されていました。マチューは、技術の高さはもちろん、顔の表情が豊かでした。満面の笑みで優雅に踊る姿にはうっとりしてしまいました。また女性パートナーが思わせぶりに「スルリ」とかわすと"pourquoi ?"という表情をしたり。特にマチューの笑顔は、男性ダンサーの中ではピカイチでした。私の隣の熟年 Madame も(フランス語で)ご主人らしいお連れの方に”あれがマチュー・ガニオよ”って興奮ぎみに話していました。最後の挨拶の時、マチューは中央に立ち、伴奏のピアニストを舞台にお迎えする役もマチューでした。マチューの素敵なダンスを間近に見られて本当に夢のような時間を過ごせました。
後半は、Mats Ek 振付のコンテンポラリーの演目”Appartement"でした。舞台装置は、各ナンバーによってアパートにある日常のオブジェが象徴的に数個現れ、ダンサーはそれと絡んで踊るというものでした。たとえば、トップのナンバーでは中央にトイレの“便器”が。またあるナンバーでは、ダンサー全員が掃除機を振り回しながら踊っていました。中盤からは4名の演奏者による生演奏(エレクトロニックバイオリン、チェロなど)と共にプログラムが進みました。この演目は、クラッシュクバレエの要素も残しつつ、他のジャンルのダンスを織り交ぜたブロードウェイのミュージカルを思わせるような感じのものでした。一言で "cool ! "! 前半の演目に対して観客は、もちろん盛大な拍手を贈っていましたが、、後半の演目に対して、より「ブラボー」の声が多かったです。今の傾向としては、観客はコンテンポラリーダンスの方により魅力を感じているのでしょうか。私もコンテンポラリーダンスにも魅力を感じますが、クラシックの方によりフランスのエスプリを感じるので、この伝統を是非、死守してほしいと願っています。マチューもクラシックの方が好きなようですし。本の中でも「(15歳の時)「ぼくはコンテンポラリー・ダンサーになるつもりはなく、それまで学んだクラッシックのテクニックを捨てたくありません。」と言っていました。ただ、マチューもコンテンポラリー・ダンスを全く踊らないというわけではないようですね。今回、オペラ座のブテックて買い求めた”LA DANSEー Le Ballet de l'Opera de Paris“ の中で、マチューがコンテンポラリーダンスのレッスンを受けている様子やコンテンポラリーの演目を踊っているある舞台の一部が収録されていました。マチューはコンテンポラリー・ダンスの方も "bien"ですよ!(これはうれしい発見!)

 公演の後でブテックに寄りました。マチューの本「パリ・オペラ座バレエのエトワール」も山積みされていました。その時、本の隣にイベントについて書かれた小さなビラを見つけました。小さくて、しかも全部フランスで書かれていて見逃しそうになりましたが、よく見るとそのイベントは翌日「31日」となっていました。翌日、ブチックに電話で問い合わせたら、「サイン会」が行われるということでした。もうワクワクしてしまい、落ち着きませんでした。たくさんの人が待っていて長蛇の列になってしまうことを心配し、14時半ごろブチックに行きました。スタッフにたずねると「マチューは疲れていて、中止になりました。でも夜の公演の後、あるいは明日行われるかもしれません」と言われました。「えーそんな。」その後、どうしようか考えながら30分ほどブテックをうろうろ。また別のスタッフに確認しました。「マチューは他のダンサーの代わりに昼、夜、2公演踊ることになったので、今晩か明日、サイン会が行わる可能性はありません」と言われてしまいました。その瞬間、わたしの緊張感は途切れてしまい、仕方なく東駅へ行き、帰りのTGVを待っていました。それでもやはり諦めきれず、17時半ごろまた電話で問い合わせました。すると「一旦はキャンセルになったんですが、やはり予定通りに行われ、今ちょうど終わったところです」と言われました。その時のショックといったらありませんでした。マチューは疲れていたでしょうが、ファンのために考え直したんですね。 マチューに身近に会える絶好の機会を逃してしまったことは、私の一生の中で最高の後悔の一つになりました。(涙、涙)
電話に出た方は「マチューは本当にいい人だから、また機会があるかもしれないよ」と励ましてくれました。(ブテックの人にまでそう言われるということは、マチューは本当に人望が厚いんだなあと惚れ直しました。)
こうしてマチューとの直接会見は夢と消えてしまいましたが、素敵なマチューのダンスが見られたことを心から感謝しています。
次の「マノン」は、マチューが全幕踊る予定だそうですね。ホントに観たいです。でもパリまではそんなに頻繁には行けないので、8月の東京とか来年5月の名古屋公演、絶対観に行きたいです。そしてまたパリへ行って、ますます磨きがかかったマチューの新しいダンスが見られる日を楽しみにしています。

Copyright (C) 2012 Nicole
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「白鳥の湖」 公演レポート
2010.12.16 パリ・オペラ座
レポライター:Futaba
  Mathieu、リニューアルされた衣装が良く似合って、まぁ、美しいこと!
2幕のソロ、ラインが映えてましたね〜。ため息が出るほど綺麗でしたよ。
終始、甘く優しく八方美人な王子で、ラストは仰向けになってスィートに眉間に皺を寄せ、「あ〜、行っちゃったよ〜!」。
…な〜に、この王子ならすぐまた新しいロマンスが芽生えるに違いない、というのは褒めているのか分からない感想ですね。
この超甘な王子像は、Laetitia と Benjamin の饒舌ゆえではなかったかと思うのです。
もし、Cozetteのような寡黙な相手役なら、Mathieuはまた違った王子を演じたでしょうね。
Karlにしてもしかり。二人とも役作りに余念がないもの。
そうそう、1幕で、ウォルフガング初舞台のBenjamin Pech が荒っぽく動いて、時々音符 ♪ を余らせちゃうんですが、Mathieuが上手に埋め合わせてました。
今回はAgnes降板の件といい、オペラ座のチームワークを感じることが多かったです…。

Parisでは、Mathieuがダンスマガジンで紹介していたグラン・パレの「モネ展」を見ようと思ったのですが、小雪の舞う極寒の屋外で3時間待ちの長蛇の列!夜のバレエ観賞に差し支えては・・・と泣く泣く諦めました。

(初出DansomanieサイトのレポにFutabaさんの追記を加えこちらに再掲載させていただきました。Futabaさんありがとうございます)

Copyright (C) 2011 Futaba
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レポライター:Marie
 
3月13日、いよいよパリオペ祭り、マチュー祭りの始まりです。今回のパリオペ公演についてはNBSさんが写真とレポをまめにアップして下さっているので、マチュー一行の日本到着から写真で見ることができました。マチューは公演のない時は無精髭でいる事が多いようで、今回もそれかなーと思ったのですが、映画スターのための役作りだったのですね。輝くスターによく似合うお髭でした。体調もよいようで去年のバレエフェスの時とは別人かと思うくらい、ジャンプもステップも(私の大好きな)腕の動きも素晴らしく、「やっぱりマチューは踊っている時が一番素敵!」と思わせてくれる舞台でした。
そして今回は私的にひとつ発見、マチューというと憂える王子様というイメージですけど継母に迫られて腰が引けるところや3幕のダンス教師達とシンデレラを探しに出かけるところ、酒場の女性や義理の姉たちにガラスの靴をはかせるところなど、コメディタッチの演技もなかなかいけるなと思いました。今、具体的に作品は思いつきませんが、こてこてのコメディを踊るマチューもありかもしれません。
出待ちは相変わらず長蛇の列でしたが、マチューはサインや写真など一人一人丁寧に応じてくれてました。本当にいい人ですよね。15日はカーテンコールがのびたため、マチューも他の皆さんもメイクを落とさずに出てきました。(私服でメイク顔ばっちりというのはなかなかすごいものがあります。)おまけに中打ち上げがあるらしくマチューはサイン等を最後まで出来ないことをとっても申し訳なく思ったようで、タクシーが走り出して手を振る私たちに窓にへばりついてキッスをしてくれました。
パリオペ祭りはまだ続いていますがマチュー祭りはこれで終わりです。体調万全なマチューのアルブレヒトも観たかったけど、それは又次の楽しみにとっておきましょう。
次のマチュー祭りはエトワール・ガラ、1年に2回もマチューの舞台を観られるなんて今年は幸せです。それまでけがのないように元気でまた日本に来てくれることを祈っています。

Copyright (C) 2010 Marie
レポライター:あやや
 
ほんとにステキな公演でした!
マチューの登場は2幕の途中からで、映画撮影所の大階段の上からキラーンと出てきます。
シャンパンゴールドの衣装で、前髪は後ろに流してるのでデコ全開で、レッドバトラーみたいな口ヒゲつき。
(口ヒゲは、ムッサンより年上に見せるためかも?)
この衣装、袖がフワっとしてて優雅なマチューの腕の動きにピッタリだし、ウエストがキュっとしてるのでキレイな背中のラインが見やすくて、白タイツじゃないパンツスタイルでブーツインのボトムもスラーっとして見えて、ほんとにマチューに似合ってます。
映画スターという役のせいもありますが、マチューが出てくるなり舞台がキラキラと華やかになる!

そしてこの演目の特徴のひとつが、ドロテや継母たちとのコミカルなシーンがあることでした。
そんな超かっこいい映画スターが、ドロテたちに引っ張られ、ぶつかられ、すごい迫力の継母に後ずさる、なんてシーンは思わず笑ってしまいます。 コミカルな演技のマチューも楽しめる演目!

でも、シンデレラが現れると、その美しさに映画スターもうっとり・・・バレエ教師の振り付け指導のもと2人(3人)のイキもピッタリ☆
このあたりの踊りも見ごたえあってすてきでした。
しかしシンデレラは12時にいなくなってしまい、残されたガラスの靴を持った映画スターがセンターで立ち尽くして、2幕終了。

3幕は、映画スターたちがあちこちにシンデレラを探しに行くのですが、
先ほど強烈だったドロテたちが役柄を変え、ロシア風や中国風で現れてマチューと踊ります。

それぞれの場所に行く合間に、シャンパンゴールドの男の子たちやマチューたちが舞台を斜め切りしながら踊りすぎていくのですが、ここがおもしろいです!
ミュージカル風の振り付けも楽々こなすマチューがカッコイイっ
ソロでのジャンプ、回転が満載でマチューファンはたっぷり楽しめます。
キレのある動き、指先のむこうまで優美な腕、しなやかで美しい背中、元気満載のジャンプと回転!!!
日本でマチューの踊りがこんなにたくさん観れるなんて!と感激しました。

そして遂にシンデレラの家を訪ねた一行は、ガラスの靴を差し出すシンデレラと出会うのでした。
ガラスの靴を履いて証明しようとするシンデレラを優しい手で制するマチューが、愛に満ちた感じで、クライマ〜ックス!

この後、二人は結構難しいであろう振り付けを次々披露して、最後は白い布をはためかせる印象的なシーンで終了します。
ちなみにこのラストシーン、マチューの顔は見えません(笑

マチューを中心に書いてみましたが、隅々まで豪華な出演者に壮大な舞台セット、笑いあり愛もありドラマチックさもあり、そしてヌレエフ演出も堪能できる、素晴らしい舞台でした。

15日はカーテンコールの拍手が熱狂的で、それがあちらにも伝わるのか、幕が下りた後に出演者たちの歓声があがるのが聞こえましたヨ(笑
両日観ましたが、私は個人的には15日の方が素晴らしいと思いました。
もちろん13日も素晴らしかったですけれど!


Copyright (C) 2010 あやや
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【椿姫】 公演レポート
2008.7 パリ・オペラ座
レポライター:Pochi
 
 マチューファンの皆さま、お久し振りです。昨年の丁度、今頃、『ラ・フィーユ・マル・ガルデ』のレポをこのサイトに掲載して頂いたPochiでございます。今回、1年振りに渡仏いたしまして、ビデオで見て以来、是非、生の舞台で見たみたいと願っていたノイマイヤーの『椿姫』をガルニエ宮で見る機会を得ました。折角の機会ですから…と、事情が許す限り、滞在中のチケットを押さえておきましたが、幸いにして、6月23日、7月1日、7月3日と、3回も、また、マチューの主演日の舞台を見ることが出来まして、昨年の『ルグリ…』の折りの『白鳥の湖』以来、1年振りの、また、また、マチューづけの日々でございました。

 いきなり結論になってしまいますが、「こんなに素敵なマチューは、見たことがない。」と申し上げましたら、熱烈なマチューファンの皆さまは、かえって、お気を悪くされるでしょうか?いえ、いえ、確かに、いつでも、マチューはとても素敵です。ただ、私が、舞台上で見る機会に恵まれた全幕物、つまり、『ジゼル』、『ラ・フィーユ・マル・ガルデ』、『白鳥の湖』の主役と比べた時−−『ラ・フィーユ・マル・ガルデ』のコラについては、役柄の雰囲気が全く異なるので、比較しにくい部分もありますが−−、マチューにとっての「はまり役」のひとつと言えるのではないか、と思うほど、情熱的で、身も心も愛する女性に、全て、捧げることを幸福と感じる青年を熱演していました。
 単に、年齢や容貌といった外的な条件が当てはまっている、ということではないと思います。マチュー自身が、おそらく、原作やオペラや、自分の人間的な経験を通して、アルマン・デュヴァルという男性を理解し、彼なりの解釈を持って、演じ切ったからこそ、「素敵」だったのでしょう。更に申せば、20代も半ばとなり、エトワールとしても、着実に実績を積み上げつつある彼に対して、ただ、「素敵だった。」というより、寧ろ、「素晴らしかった。」という方が、ふさわしい賛辞と言えるかも知れません。

 今回のパリ・オペラ座の『椿姫』は、初日、プレミアにおいて、アルマン役のモローが怪我のため、2幕が終わった時点で降板を余儀なくされ、3幕は、プリマも含めて、シィアラヴォラ/ビュリィヨンのカップルにそっくり交替するということになりました。初日の舞台は、好評の様子で終わったものの、その後のキャスティングがどうなるのか…という、いささか不安を感じた幕開けです。

 23日の晩になりました。マチューにとっての、今シーズンの『椿姫』の初日です。幸い、予定されていた通り、マチューは、過去の2度のシーズンの上演で一緒に踊ったオスタと共に、舞台に登場いたしました。
 『椿姫』の舞台では、通常の舞台空間に加えて、両袖にオーケストラ・ボックスに蓋をするような形で、張り出し部分が加えられていて、この張り出し部分がフルに活用されます。舞台に向かって、左手の張り出し部分には、主に、アルマンの父親であるデュヴァル氏や、マルグリットのパトロンである公爵などが影のようにひっそりと佇むことが多く、他方、右手の張り出し部分では、恋したアルマンがぼんやりと夢想に耽ったり、終盤では、ひとり淋しく死んでいった彼女の「日記」を読み返しながら、嗚咽したり、という形になります。
 さて、舞台は、ビデオと同じく、マルグリットの亡くなった後の競売のシーンから始まります。開演時間前から幕が上がったままになっており、舞台装置をよく見ることが出来ます。開演時間になっても、客席は、すぐには暗くはなりません。まだ、観客のざわめきが消えない中、ひっそりと、マルグリットの召使いのナニーヌ役であるマルテルが、旅行鞄を手に、舞台の左手に現れます。競売を訪れる客達が行き交い、マルグリットの残した家具などが次々と運ばれて行く中、客席は段々と暗くなって行きます。と…、全幕を通して、ライト・モチーフとして使われるショパンのソナタの3番のラルゴの部分を、ピアニストが舞台上のピアノで奏でます。そのもの悲しげなメロディに呼び覚まされたかのように、そこに、アルマンに扮したマチューが駆け込んで来ます。
 アルマンが、マルグリットの残した紫色のドレスを見て、激しく嗚咽すると、舞台の奥、薄いヴェールのような幕の向こうを、幸せな時を過ごした時の、白い衣装姿でマルグリットが通り過ぎて行きます。やがて、苦悩のあまり、アルマンが倒れ込むと、その彼をデュヴァル氏が駆け寄り抱き抱えようとします。その内に、舞台の背景が変わり、内幕が上がり、ピアノとオーケストラがショパンのピアノ・コンチェルトの2番を演奏し始めると、第1幕の幕開けとなります。

   ところで、23日、私がオペラ座から割り振られたチケットは、一等席ではあったものの、今回、貰ったチケットの中では、一番、場所が悪かったのです。されど、何が幸いするか分かりません。というのは、舞台に向かって、一番、右端だったからです。既に、お話いたしましたように、その目の前には、舞台の右手の張り出し部分があります。マチュー扮するアルマンが、そこに佇むと、本当に、手の届きそうなところに立っている、という感じで、彼から目が離せなくなってしまいました。

 勿論、全幕を通して、見せ場は沢山あります。半ば、戯れながら、あるいは、ためらいながら、アルマンの求愛を受けるマルグリットの心を、次第次第に溶かして行くような、実に、情熱的な青年を演ずる第1幕のパ・ド・ドゥ。マルグリットが公爵の庇護をしりぞけ、恋の幸福に酔いしれる2幕のパ・ド・ドゥ−−ご存じの方も多いと思いますが、ノイマイヤーの振り付けは、リフトが非常に多いので、あれだけ、リフトを続けながら、自然な笑顔を保つのは、かなり、大変なのでは…と想像いたします。また、第2幕の終盤、マルグリットに裏切られたと思い込んだアルマンのヴァリアシィオンも、技術的には、男性ダンサーの見せ場でしょうし、アルマンの怒りや悲しみ、絶望が入り交じった複雑な感情を、若々しいダンスと迫力のある表現力で、見事に演じていたと思います。そして、再び、マルグリットと愛を交わし合う第3幕の官能的なパ・ド・ドゥも−−殊に、7月1日や3日の方が、席が良かったので、評判に違わぬオスタ/マチューの見事なパートナーシップと生き生きとしたダンスを堪能したことは、言うまでもありません。特に、回を追う毎に、オスタが瑞々しいと言ってよい程に、美しさを増し、同性でも惚れ惚れする程でした。勿論、その美しさを引き出しているのは、パートナーであるマチューの巧さでしょう。

 とはいえ、23日は、過去のシーズンで好評を博したマチューのアルマンをとても楽しみにしておりましたから、尚更、手の届かんばかりのところに立つマチューに見惚れてしまいました。うっとりと恋の余韻に浸る時の表情や、ドゥミ・モンドの馬鹿騒ぎを抜け出して、彼に白い椿の花を渡しに来るマルグリットに向ける幸せそうな微笑み、第3幕になって、オランピアの誘いに乗っては見たものの、マルグリットを思い切れずに見せる複雑な表情、どれもこれも、こちらの方が、うっとりと恋に落ちてしまいそうなくらい、はまっております。

 少しだけ、皆さまを差し置いて、ひとり、ミーハーするのをお許し頂けますか?23日の日の私の正直な心境は…というと、「きゃー、きゃー、目の前にマチューが立ってる、きゃー、手が届きそう、きゃー、きゃー、きゃー…。」という感じで、ヒロインのオスタは、ともかくとして、いくら、席の位置関係で、コール・ド・バレエのダンスなどが見づらかったとはいえ、マチューに目が釘付けになってしまっていたような気がします。

 ダンスについては素人の私が、とても、面白いな、と、興味深く見たのは、第3幕のアルマンについての、各ダンサーの解釈の違いです。第3幕のアルマンは、マルグリットに裏切られた、と思い込んで、オランピアの誘惑に乗る振りをしたり、彼をいさめようと訪ねて来たマルグリットと、束の間、情熱に身を任せ、愛を確かめ合ったり、再び、彼女に去られた後は、腹いせに公衆の面前で、彼女を侮辱するような行動に出たり…と、かなり、複雑な男性の心理を表現しなければなりません。

 先ず、誰より、マチューのお話からいたしましょう。彼のアルマンは、オランピアの誘いに乗ることで、振られた男性の意地やプライドといったものを感じさせながらも−−怒った時のマチューの表情も、目鼻立ちが整っているだけに、迫力があります。−−、常に常に、目の端でマルグリットを追い続けており、むしろ、彼女に対する未練や、愛する女性を失ったつらさの方を強く感じさせる、(良い意味で)甘くセンチメンタルな印象のアルマンでした。他方、ルグリは、ウルド=ブラーム扮するオランピアと、これ見よがしに戯れて見せて−−当てつけている訳ですから、勿論、マルグリットのことは意識しているんですけれど、男性の自尊心や矜持を前面に押し出している感じがして、ある意味、大人っぽいアルマンでした。ボッレは、というと、こちらは、振られた男性の「意地」などというものは、微塵も感じさせず、ただ、ただ、恋人を失った絶望と激情に身を任せている、という様子で、どこか(肝心の『椿姫』は、最近、見ていませんが)ヴェルディのオペラの恋に悩むテノールの絶唱を思わせるようなアルマンでした。ボッレは、イタリアの人ですから、やはり、オペラの影響が強いのでしょうか。ペッシュの解釈は、マチューと共通する部分もありましたが、「愛する女性を失ったつらさ」に耐えている、というより、「振られた自分を哀れんでいる」という面が強く、そういったナルシシスムを感じさせる演技は、あるいは、原作者のデュマ(フィス)自身、多分、そうであったろうと思われるロマン主義的な青年に、一番、近いのかな、というのが、私の判断です。ビュリィヨンも、全幕を通して、メランコリックでロマン主義的な青年としてアルマンを捉えていたと思いますが、私が見た2日は、ルテステュと初めて踊る、ということもあり、ヒロインとのパートナーシップを優先していたせいか、彼自身の演技は、他の男性ダンサーより、やや、控え目だったいう印象がありました。

 という訳で、マチューのアルマンは、とても情熱的である一方、一番、自然体に見え、若々しく、(繰り返しになりますが、良い意味で)とても甘く切なげなアルマンでした。

 プリマについては、ルテステュ、オスタ、ムッサン、アバニャートそれぞれに美しいので、甲乙つけ難いです。ただ、私が不思議に思ったのは−−プリマの年齢に触れるのはタブーかも知れませんが、オスタ/マチューのペアが、実年齢では、一番、年が離れているのではないか、と思います。他方、原作のモデルとなったデュマ(フィス)と彼の恋人だった女性は、同い年です。そして、オスタのマルグリットは−−私がこれまで、彼女に抱いていたイメージは、キュートな雰囲気が強かったのですが、時にリリカル、時にドラマティックなマルグリットで、若いマチューと全く、不自然さを感じさせない程の、若々しいヒロインでした。特に、第3幕のパ・ド・ドゥの後半で、ヌード・ベージュの衣装に変わってからの、彼女の腰から肩にかけての胴のうねるような動きは見物でした。あるいは、腕の動きがそういった錯覚を起こさせるのかも知れませんが、ネオ・クラシックと言われるノイマイヤーの振り付けを堪能したような気がします。

 脇役では、(マチューの出演日ではありませんでしたが)プリュダンス役のジルベールとガストン・リューに扮したパケットが、初日、一番、客席を湧かせていました。 また、次々と怪我で降板した男性エトワールに代わって健闘したビュリィヨン、デュケンヌも賞賛に値すると思います。

 夢のようなオペラ座での時間が過ぎ去って、現実に戻った今も尚、ショパンのソナタの3番のラルゴが耳に蘇ると、第3幕の終盤、舞台の左手奥で、マルグリットが、つかむことの出来ない幸福に恋焦がれるかのように、空に手を伸ばしたまま、倒れ込む姿が目の奥に浮かんで来ます。そして、舞台の右手には、スポットライトに照らし出されたマチュー扮するアルマンが、マルグリットの形見の「日記」を手にしたまま、悲痛な思いに耐えるかのように天を仰いでいます。そのまま、幕が下りた次の瞬間、客席からは、アンコールを催促する手拍子が沸き上がりました。

Copyright (C) 2008 Pochi
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レポライター:scripps
 
8日と10日の両日行ってまいりました。
白の組曲は、オペラ座での公演の優雅さを推し量れるすばらしい内容です。特にアニエスの優雅さは驚嘆の粋でした。指先の表現や、舞台袖にさがる様子まで、優雅です。マチューは、白孔雀のような舞ですね。昨年パキータで来日中止になって涙してからのずっと待っていた感がありましたので、期待に十分応える踊りでした。男性4人で踊る際もずばぬけて優雅でありながら、回転のきれのよさは、着地の安定感をさらに増しているように思いました。キリアンの「扉は、必ず」では、私は、ルグリのうまさを感じました。すごいです。花を投げあうシーンで、顔の向きと反対で、花を受け取るとき、さらに高くあげることによって、使える空間を最大限利用し、時間と空間における視覚の影響を計算尽くしており、サイエンスを感じました。スパルタクスは女性がいいですね。足の線がきれいですし、ダイナミックです。今後楽しみとプログラムでも書いてありますが、その通りだと思います。ドリープ組曲は、いうことなし、両日とも、安定したエトワールの舞です。 第三部では、マチューとドロテのペアですが、マチューは、両日とも文句なしの貫禄でした。特に男性ソロパートの跳躍は、舞台が狭くみえるほと、華麗にして正確。個人的にドロテは大好きです。彼女は、8日のほうが良かった。歯切れのいい踊りがマチューのゆったりした動きとシンクロしていい相性です。髪の色も、マッチしていいペアです。10日は、お疲れでしょうか、少し、元気がなかったような。反対に椿姫では、私は8日唯一満足できなかった舞台でした。それはピアノが踊りと前半部分ミスマッチで、非常に踊りにくそうに見えたためです。拍の最初にあわせるような弾き方にしないと踊り手は精一杯合わせていましたが、踊りにくいと思います。しかし、昨日は、ずっと良かったです。ミスマッチは気になりませんでした。三角帽子は、ジョゼ様が昨日カーテンコールの際もステップを踏まれていましたが、観客に合わせて臨機応変にアドリブでいれるところが、さすがでございます。オネーギンは、心理描写の域まで達しており、震えるほどの舞台です。完成度は、多分100%。昨日は、観客が良かったですね。最初にAプロ取れなかった人たちの熱気が感じられました。最後のカーテンコールでのほぼ全員のスタンディングオベーションは帰国されるであろうAプロのみのアニエスたちにも、きっといい思い出になったと思います。バレエを愛する私たちに超一流とはなにかを教えてくれた舞台でした。感謝!
Copyright (C) 2007 scripps
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レポライター:
 

Copyright (C) 2007
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レポライター:あやや
 
レッスンは11時で本開場は10:38でしたが、バーを並べたステージには既にマチュー他数人がいて、それぞれに柔軟をしていました。
マチューは黒のDANZAの半袖トップスにラフな感じのダークグレーのボトム、黒のシューズにグレーの靴下。
ロシアのTVに映ってたニットカーディガンとショルダー、ポカリスエットが持ち物。
マチューは柔軟もバーレッスンもセンターも、ひとつひとつとても丁寧にこなしていて、しかも、基礎レッスンなのに動きも形もとても美しかったです。
ステージでは微笑みをたたえている顔も、レッスンの時は無の境地といった表情なのも珍しい眺め。
途中、靴下を脱いだのですが、キチンと脱いでキチンとたたんでキチンと床に重ねておいていました。
センターレッスンの時の順番待ちのときなどは、アクセルやシャルリーヌ、またはモローと楽しげにおしゃべりをしていました。
ステージでの微笑みとはまた違う、大口をあけて笑う素の姿が新鮮。
ちょっとした時にシャルリーヌに甘えてる姿や、ボーっと指を口元にもっていく姿も、オフショットという感じで面白かったです。
途中、先生のサポート?のような感じで順番を説明してあげたりするシーンもあり。さすがエトワール。
またレッスンとは別に、後ろの方でクルクル回る練習を黙々としていたり、バーの棒に土踏まずを乗せていたり(竹踏みですね)、体を整えるのにとても真剣な様子が伺えました。
毎日毎日、こういうレッスンをしながら、演目の練習もしているのですね。とても楽しい見学会でした。また、機会があったら行きたいです。

Copyright (C) 2007 AYA
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レポライター:Pochi
  マチューファンの皆さま、初めまして。Pochiと申します。
 今回、渡仏した折り、La Fille mal gardeeを初日プレミアから6月23日、25日、26日、29日と5回、鑑賞し、いわば、マチューづけの日々が送れる、という幸運に恵まれました。そのせいで、目下、お財布はからっぽ、夏のバーゲンにも行けませんが、心はとても幸せです。
 ビデオで英国ロイヤルバレエのアシュトン版は見ていましたが、実際に劇場(しかも、パリのガルニエ宮)でこの演目を見るまで、こんなに楽しいバレエだとは思いませんでした。マチューがフルステと共に、第2キャストとして、登場したのが、プレミア翌日の土曜日の晩です。土曜日の晩というのは、当然のことながら(日本同様)オペラ座も混みます。初日とともにチケット完売のようでしたが、特に、土曜日は、キャンセル待ちの行列がすごかったです。

 マチューがコラ役で舞台に登場した瞬間、(私、たまたま、12月にも彼のアルブレヒトを見ているのですが)その『ジゼル』の時より、また、ひと回り、逞しくなった、という印象を受けました。ぎりぎりまでキャスティングが決まりませんでしたから、どのくらいリハーサルの時間があったのか、ちょっと心配していましたが、フルステとの息もあって、楽しそうに踊るリーズを見つめるやさしい眼差しがとても魅力的でした。
なんて言ったら良いのでしょうか、第1幕でアルブレヒトがジゼルを見つめていた時の笑顔とはちょっと違って、本当に幸せ一杯で楽しそう、という感じ。
アラン役のヴァラストロとも一緒のパ・ド・トロワのところなんかでは、コミカルに演じつつも、ちゃんとプリマをサポートして、3人の呼吸が上手く合っていました。
でも、やはり、バレエとしての一番の見どころは、1幕2場(DVDの2幕に当たります。)の恋人同士のパ・ド・ドゥだと思います。アシュトンの振り付けは素人目にもかなり難しそうでしたけれど(でも、その分、男性ダンサーにとってはやりがいがあると思います。)、理想的なプロポーションに恵まれたマチューが踊り出すと、舞台全体がぱっと明るくなるようでした。特に、ラストのリフトはすごい力業。マチューというと、繊細なイメージが似合う感じですが、これなら、カリギュラ役でもさもありなん…という力強さも感じさせてくれました。
 ただ、23日(つまり、マチュー自身の初日)は、少し、緊張していたのかな、とも思います。というのは、(結局、私は、3回も見られたのですが)マチューは、回を追うごとにどんどん良くなっているように思いました。

私がオペラ座に足を運んだ最終日の29日はボリショイのプリマのルンキナのパートナーとして登場した訳ですが、勿論、彼ら、一流のダンサーにとっては、色々なプリマと踊るのは当たり前でしょうし、まして、ボリショイ劇場から招かれたプリマの相手役に選ばれる、というのは、名誉なことなのだと思います。とはいえ、正式に発表されたのが公演初日の10日くらい前だったでしょうか?ただでさえ、初役、フルステとのリハーサルもあるでしょうし、ルンキナがいつ、パリに来られるのか、ろくにリハーサルの時間も取れないんじゃないか、更に、言えば、ボリショイとはスタイルも違いますし、さて、どうなるのか、と期待も膨らむものの、とっても心配なのも本音。でも、そうした困難な状況も自分の貴重な経験として財産に変えてしまうところはやはり「エトワール」でした。
というのは、ルンキナと踊った晩、マチューは一層、のびのびと楽しそうに踊っていたからです。ルンキナは、マイムなどは上手くこなしていたと思うのですが、コンディションが万全でなかったのか、ちょっと技術的に不安定なところがありました。でも、マチューがその辺りを巧みにサポートしていて、一流の男性ダンサーのサポートってすごい、と改めて、感心した次第です。彼自身の踊りにも磨きがかかって、なにより、底抜けに明るい青年の役がとても良く似合っていました。
明るい役って、やさしそうに見えますが、結構、むずかしいと思います。「憂い顔のプリンス」役の彼も素敵ですが、こんな風に楽しいのもとってもいいな…と思って−−お若い方々はご存じないと思いますが、その昔、『花咲ける騎士道』というフランス映画で、ファンファンという滅茶苦茶明るい青年を演じていたジェラール・フィリップという俳優を思い出しました(マチューと同じように、気品あふれる美男子で、高貴な騎士役が当たり役でした。)。
29日、カーテンコールの最後で、ルンキナとレベランスを交わしてから、マチューは、また、コラに戻ったかのように、恋人、リーズを軽々と抱き上げて、幕の影に消えて行きました。その後、三々五々、立ち去る観客にも、幕の向こうで楽しそうに(おそらく)ルンキナを歓迎しているらしいダンサーの声が聞こえていました。
いつまでもその場を立ち去りたくない、と思ったものです。

 プリマについて一言。ジルベール、フルステ、ルンキナのいずれがリーズ役に似合っているか、という議論はさておいて、ジルベール、きれいでした。単に、美人というより、まさにプリマの輝きを放っていました。プログラムにマチューとリハーサルしている写真が載っていました。マチューッたら、無精ひげなんか生やしちゃって、出来れば、ふたりが踊るのも見たかったなあ…(贅沢で済みません。)。この夏の『ルグリ…』での共演を楽しみにいたしましょう。

 最後になりますが、ふられ役のアランで喝采を浴びたヴァラストロ、リーズの母親役を演じた3人の男性ダンサーにもこころからの拍手を送りたいと思います。

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レポライター:miore
  プルーストのレポートします。あまり、演目の解説は出来ないかも・・・。言葉にするのが難しい演目です。

3月26日のガルニエ公演に、まず行きました。このときサン・ルー役は、モローでした。プルーストという作家が書いた「失われたときを求めて」という本を、バレエにした作品です。

インターネットで、このバレエのチケット取った後、小説を読んでみようと文庫本を買いました(この失われたときを求めてという本は何巻にも及んでいて、さらに一冊一冊が大変分厚いです。一冊目だけ買いました。)。ひらがなが多いのですが、何を言っているのか、解読するのが難しく、まったく読み進めませんでした・・・。

バレエを観たほうが、楽しいです。というか、大変に美しい作品です。一部、二部と分かれていて、一部は天国、二部は地獄を表しているようです。一部は女性が沢山出来て来ます。二部は男性が沢山出来てます。パリの芸術の極みって感じでしょうか。


あまりにも美しい作品で、これはマチューの出る舞台を観なければいけない!!!と直感しました。28日にマチューがキャスティングされていることを知っていたのですが、キャストが発表される前にチケットを取ったので、28日はバスティーユのドン・キホーテのチケットを取っていました。しかし、ドン・キホーテには、行かず、チケットを無駄にして、ガルニエのボックスオフィスで28日当日に、プルーストのチケットを買ったのです。

28日は、26日とはキャストがかなり違っていて、ルグリも出ていて、豪華だなって思って観ていました。しかし、26日の方が全体の出来は良かった気がします。アバニャートがあまりいい味を出せていませんでした。繊細さに欠けるダンサーだと感じました・・・。

そして26日にモローで観たサン・ルー役は、二部の後半に出てきます。マチューがまず一人で登場して踊るのですが、初めて観るマチューがあまりに美しくてびっくりしました。26日のモローなんて、比べ物にならないくらい物凄い輝きでした。男でも女でもない美しさを体現した聖なる存在って感じでしょうか・・・。モローが無骨に見えるくらいマチューはしなやかで、そして気品と威厳に満ちていました。サン・ルー役は、マチュー以上に美しく踊れる人がいたら凄いことだと思いました。

マチューが一人で踊っているところへ確かもう一人一緒に踊り始めて、そして良く見るプルーストのマチューの写真のあのポーズを何度かするのですが、もうマチューしか観れなかったです。

この作品の解説になっていませんが、とにかくマチュー・マチュー・マチュー!って感じでした。

マチューのサン・ルーを観ていたら、モナ・リザを思い出しました。
色んな絵画があるのに、モナ・リザは、そこにあるだけで、世界に輝きを灯しているので、みんなが世界中から観に来るのです。

ルーブルにあるモナ・リザは、他の沢山の絵と一緒に美術館にあります。マチューも他のダンサーと一緒にいます。パリオペラ座というバレエ団の中の一人でしかないのです。モナ・リザもルーブルの絵の一枚です。

しかし、油絵を描いたことがない人もモナ・リザのことを知っています。モナ・リザの絵を観たら、誰もがその絵の神秘に打たれるし、実際に観に行かなくても写真でも、素晴らしさはある程度伝わります。

モナ・リザとマチューの踊りは似ています。マチューについては写真では良さが分からないところが残念です。マチューが踊れば、世界がひれ伏す・・・って感じでしょうか。しかし、カーテンコールでも、まったくおごった様子もなく、ルグリ先生の隣で、穏やかな笑顔をしていました。この人、何者?って思いました。

マチュー・ガニオが、どうしても観たいという気持ちが抑えられなかったのですが、本当に観ておいて良かった。マチューが大好きというより、神々しい人という感じでした。

とにかく、凄かったんです。


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レポライター:Stella
  マチューは素晴らしかったです!
彼のアルブレヒトは優雅で美しさに満ちていました。
これほど強い印象のアルブレヒトを私は見たことがなかったので、
見終わった後に泣きたくなったほどです。
ポリーナ・セミオノワは神秘的で悲しく、信じられないほどの素晴らしさでした。
私は彼女が大好きになりました!
そして、Ganioを大好きになりました!
ここミラノで、彼らは大きな成功を収めました。
劇場では、興奮した拍手がいつまでも鳴り止みませんでした。
ボッレの「Le Jeune homme et la Mort」もすばらしかったです。
私は、とてもとても幸せです。

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レポライター:ミール
  マリンスキーフェスティバルの「ドンキホーテ」でサンクトペテルブルグにまさにパリの風が吹きました!

パリオペラ座からのゲストのマチュー・ガニオのバジルはセクシーで申し分なかったです。
舞台の上では、こないだのマチュー君(「公演前レポ」参照)とはまるで別人で、想像以上にムードたっぷりの落ち着いた演技で、さらにパリの香りに魅了されてしまいました。
パリから持参のカラフルな衣装もとてもお似合いでした。この衣装は、マチュー君の甘い雰囲気にぴったりでとても素敵でした。

マチュー君の過剰なほどのパリ風の演技に刺激されて、キーロフダンサー達も相当引き締まっていましたね。
そのせいか、エスパーダを踊った若手のアレクサンドル・セルゲーエフも気合が入ったようで、そこまでやるかーっていうぐらい、気が狂ったようにはじけた演技を披露していました。

キトリ役のアレシャ・ノヴィコワは、小柄でキレのあるテクニックを披露していましたが、パートナーがマチュー君となると、呑み込まれてしまう。
例えば、もっとパワフルで大胆に踊るタチアナ・トカチェンコと組むと、おもしろくなるはずだと思ったけど、マチュー君はマッチョではないから、彼女のリフトは難しそう。う〜っ、プルプルってなっちゃいそう。ノヴィコワが最近げっそりした理由がわかりました。

それにしても、マチュー君のカリスマ性には本当に魅きつけられました。
外国の大劇場でも、余裕たっぷりで、満員の客席からもブラボーでした。
私は、彼のロシアとは違うパリ風のスタイルをとても気にいりましたが、ロシア人のダンサー達は、好きじゃないと言っていました。
「確かにつま先は綺麗で、開脚ジャンプも美しいけど、あの踊りのスタイルが気にくわない」と。
ライバル心メラメラって感じですかねー。
それもそのはず、あの若さと才能溢れるマチュー君が、外国からゲストで来たら、ロシア人ダンサーもたまりませんねー。
まさにパリの気品漂う甘い風と、情熱的なバルセロナの風が吹いた「ドンキホーテ」となりました。

公演前レポ:----------------
「誕生日のマチューくん at マリンスキー劇場」 2006.3.16

ハッピバースデー マチュー君!
実は、マリンスキー劇場でマチュー・ガニオに会ったのです。
今日からフェスティバルが開幕して「オンディーヌ」が初演されたのでマチュー君も観に来ていたのだ。
昨日のリハーサルも観に来ていたが、私はマチュー・ガニオを観たことがなかったので、どこかの外国のお兄さんだと思っていた。
ところが、今日お話をして、もしやマチュー君?と思ったのだ。
彼は本当にキュートだし感じがいいですねー。
あそこまで感じが良い人も本当に珍しいくらいです。
私が日本人だとわかって、何度も両手を合わせてあいさつをしてくれたけど、日本ではそんなあいさつしませんよ、マチュー君。
本人は日本ではそうすると思ってるのかもしれないけど、美男子の新手のギャグにしか見えなかったですよ。内心かなりウケましたケド。

帰ってきて早速、Webで確認し、やっぱり彼だったとわかった。
しかも、今日誕生日だったなんて・・・おめでとうと一言いってあげれば良かったです。

それで、行く予定がなかったのですが、土曜日に彼がゲストで「ドンキ」を踊るので行くことに。
とにかく初めてなので、ワクワク。
あの若さで国際フェスに呼ばれるなんて、なんという名誉!
今日で22歳になったのですね。
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Copyright (C) 2006 ミール
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【カリギュラ】Caligula 公演レポート
2005.10.21-11.14 パリ・オペラ座
レポライター:Lis
  体調不良の中で見ていたので、記憶が前後していたり、覚えていない所があり、また、1回観ただけでは、理解できなかったので、私の勝手な感想になっていますが、すみません。

全5幕で休憩無しの1時間半。
ビヴァルディの「四季」は、1幕「春」、2幕「夏」、3幕「秋」、4幕「冬」で使われています。
5幕だけ「春」〜「冬」が使われます。
また、幕間にゆっくりなエレクトロな音楽とMnesterと白いスカートをはいた男性3人(従者?)が現れてパントマイムをします。
振り付け、音楽、照明全てにセンスの良さが感じられる舞台でした。

開演前から緞帳は上がっており、公式サイトに以前あった写真の通り、左右に4本づつ赤い柱があります。
舞台頭上には、逆さまにしたドーム。
このドームは、普通の月、赤味を帯びてくる、灰色になって皺が入る、一部分だけ黄色味を帯びる、雪が降るように白いものがちらつくなど、話が進行するごとに映し出される映像が変化していきます。この変化は、Mnesterのパントマイムと共にだったと思います。

ケレアと黒い衣装を着た元老院達(男女)と、セゾニアと金色っぽいスカートを履いた従者達(男女)が舞台に現れます。
舞台奥の幕が少し上がり、中央に白い大階段。その階段を下りてくる美しい足。マチュー@カリギュラの登場です。
物思いにふけったような表情のマチュー。
空を見つめる眼差しにドキッとしてしまいました。
マチューの美しい踊りに見とれていたら、イレール@Mnesterが現れ、確か舞台を一周して消えました。

AYAさんがカリギュラについてインタビューをされたマチューの回答にある、現実世界と想像の世界とは、現実世界は、ケレア、セゾニア、元老院達、従者達との場面で、想像世界は、Lune、Mnester達との場面のようです。

現実世界のカリギュラは、その後、「舞台下手で威嚇する獣のようにグワーッと口を開ける→痙攣してバタッと倒れる→はちゃめちゃに暴れた後一人の男の腹の辺りを切り裂き血が噴出すかのように赤い布地が噴出す→硬直してビクビクして無理やり踊らされているような感じの従者達を見て満足そうに笑い、セゾニアと顔を合わせて爆笑する」など、暴君になり、そんなカリギュラに耐えかねた感じのケレア筆頭の従者達によって殺されます。
マチューの今までの「にこやかで美しい王子様」のイメージはありません。
カミュの戯曲を読んだ時から「カリギュラのイメージはマチューには合わないのでは」と気になっていたのですが、実際に演じたマチューを見ると、表現力豊かでとても感動的でした。
暴君ぶりを発揮していても、それが下品過ぎず、また中途半端になることなく、バランス良く表現し、見事に現実世界と想像の世界の間で自滅して行く姿を表現できていると思いました。
私は美しい王子様が好きですが、どんな役でもきちんと演じる事ができるダンサーはもっと大好き。
今回、マチューの新たな一面を観る事ができ、益々惹かれました。

想像の世界は神秘的で美しいです。
2幕1場でLune(月)が登場します。配役表によると、カリギュラの幻影とあります。
Mnesterの従者達?3人組が抱える白い包みが舞台に置かれ、その包みが転がり中からズスペルギー@Luneの登場です。
カリギュラは這いずり回り、珍しそうにLuneに近づく。
カリギュラはLuneに覆いかぶさったりするのですが、美しいパドドゥでした。
また、Lune登場の2幕だったか、再登場する4幕だったか忘れましたが、ズスペルギーのパドブレが美しかったです。
月は、カミュの戯曲では、カリギュラは妹のドリュジラの死によりこの世が不条理なものと感じ、月(不可能なもの)を手に入れたいと考えるのですが、読解力が乏しくいまいちこのLuneについて理解できていません。
戯曲でカリギュラが月について語る場面がありますが、そこで想像した情景を思い浮かべてパドドゥを見ていたら、何となくしっくり来た気がした(笑)のでそういうパドドゥだったのかなと勝手に思うことにしました。
また、Luneは4幕でも1幕でカリギュラが登場した白い大階段を後ろ向きで降りてきます。カリギュラが「捕まえた」と思ったら、Luneがするりと逃げる。そんなパドドゥが続きます。

そしてLune以上にもっと理解ができていないのが、Mnester。
彼がパントマイムをすると頭上のドームが変化していったり、彼の従者と思われる3人組がLuneを連れてきたことなどを考えると、やはり、想像世界の人のようですが、Mnesterのパントマイムは威厳があり、不可能なものも操れそうなカリギュラの心にある大いなる者のような気がしました。

その他、4幕2場では、カリギュラの馬が登場します。音楽は、「冬」のLargo。
カリギュラが手綱を持ち、手綱をくわえた馬が音楽に合わせてパカパカと周り、手綱を離され退場します。
ファボランの馬はリズミカルで美しく本当の馬のようでした。

5幕は「春」〜「冬」が今までを回想するかのように流れ、「冬」でカリギュラは死にます。
カリギュラが死ぬまでのソロは、何かを語りかけている感じで、最後にバタっと倒れて死んだ時は、死んだ後にも余韻があり、すばらしかったです。

Copyright (C) 2005 Lis
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【ジュエルズ】Joyaux 公演レポート
2005.10.28-11.13 パリ・オペラ座
レポライター:Lis
  幕が開くと、舞台中央には、マチューとレティティア。
マチューの踊りをパリで観るのが初めな私は、まだ現実の気がせず(笑)、ただボーッとマチューを見ていました。
一つ一つの動きが美しく、まさに「エメラルド王子」といった感じです。
ソロ部分では軽やかなステップで若々しさがあり、ただ美しいだけで無く、メリハリがありました。
また、レティティアとのパドドゥも最初は「タイミングが微妙?それともこういうタイミングなんだっけ?」と思えるところがありましたが、良いペアでした。
マチューのリフトは丁寧で、フワ〜と綺麗に上げていたと思います。
レティティアのソロは動きがやや硬いような?気がしましたが、表情は愛らしかったです。
パドトロワのティボー。堂々として良かったです。
クレールマリ&カデールのパドドゥ。しっとりとして大人なパドドゥでした。
ティボー、マチュー、カデールが踊る部分は、ティボーの若々しさ、マチューの美しい清潔な青年らしさ、カデールのどっしりとした落ち着いた大人の男性のオーラ、それぞれの雰囲気がエメラルドのグラデーションを観ているようで素敵でした。

「ルビー」
幕が開くと中央に立つ、マリ=アニエス。
2年前にルビーを観た時は、てっきり「この人はエトワールなんだ」と勘違いしたほど圧倒的な存在感でしたが、今回は前回ほどの印象は受けなかったものの、大柄な肢体を活かした堂々とした踊りで、素晴らしかったです。
代役のアレッシオも良かったですが、オーレリが衣裳も振り付けもピッタリで、とてもキュート!もう少し観ていたかったです。

「ダイヤモンド」
2年前に美しいジョゼ&アニエスペアを観て感動し、もう一度このペアで観たかったので、ジョゼの降板は残念でした。
アニエスはさすがでした。ちょっとしたポールドブラにも表情と深みがあり、群舞と同じ動きをする場面では、当たり前ですがその踊りの違いがはっきりしていました。
コゼット&シアラヴォラは、お互いのイメージが合わない気がして、やや違和感を感じました。
シアラヴォラは、他のダンサーよりゆったりとした動きをしていて美しかったのですが、踊りに表情が無いのが少し残念でした。

今回は最上階の正面席で観ていたので全体を見渡すには、良かったのですが、やはりもっと舞台に近い席で観たかったです。


Copyright (C) 2005 Lis
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