白州町について ひこじいさんのブログより転載

 私の掲示板を通して知り合った通称「ひこじい」さんが、平成29年6月7日のブログ【耕作放棄地がまた増えた。 (1)】で、白州町に関する説明と有害鳥獣による農作物被害の現状を書いて下さいました。非常に参考になるブログでしたので転載させて頂きました。



  • 山梨県は田舎暮らしに人気のある県として、ランキングの上位に常に入っている。特に、北杜市の人気は高いといえそうである。
  • 山梨県北西部にあった白州町(はくしゅうまち)は、平成16年(2004)11月1日に北巨摩郡7町村が合併し北杜市となった。これにより北杜市は県内最大の面積となり、市内の高低差が約400mもある。以前は白根町・櫛形町・甲西町・敷島町・中道町・上野原町・河口湖町とともに、白州町も「まち」と読む自治体であった。合併により河口湖町は富士河口湖町に、白州町は北杜市白州町となった。
  • 白州町はそれまで地元の人でも「はくしゅうちょう」と呼び慣れてきた経緯もあって、現在も「はくしゅぅちょぅ」と呼ぶ人が多い。花崗岩の山肌が削られ運ばれてできた、「白砂の扇状地」が町の名前の由来とされている。
  • 白州町の面積は138㎢・世帯数1,700戸・人口は3,800人であるが、旧白州町では旧来の住民より移住者や別荘族の方が多数を占めるともいわれている。
  • 西に南アルプス甲斐駒ケ岳・アサヨ峰・地蔵・薬師・観音の鳳凰三山が聳え、北には八ヶ岳連峰を望むことができる。登山好きな人の他に、山の景観や良質な水・澄んだ空気を好んで都会からの移住者や別荘暮らしをする人が多い。
  • 内陸性の気候のため、年間・昼夜の寒暖差が大きい。夏には30℃を超えるが、冬は-10℃以下になることもある。日中30℃を超えても夜間25℃を上回ることは少ないので、エアコンが無くても暮らすことができる。
    唯一辟易するのが、強い季節風である。冬季は連日西~北の20mを超える強風が吹き荒れることが多く、八ヶ岳颪の名前で呼ばれる。


  • 北杜市には自然が多いことの裏返しで畑の作物を荒らす、イノシシ・ニホンジカ・ニホンザル・ハクビシン・アライグマなどの野獣が多い。
    土地購入時には知らなかったのだがそのころにはすでに、中山からサル・イノシシ・シカ・ハクビシンが町のあちこちに出没して農作物を荒らすようになっていたのだ。

  • イノシシは人への警戒心が強いと言われるが住宅地や耕作地に日中も出没し、水稲・イモ類・果樹・野菜の被害地が広域化している。
  • シカは4700頭が適正生息数とされているが、環境省の平成24年調査では約15倍の約69,917頭の生息が推計されている。
    餌を求めて山際や河川沿いを中心に、水稲や野菜の食害が発生している。
  • 調査結果によるとサルは北杜市内に、約11群(1群30頭~100頭)が生息している。この集団が集落や農地に出没し、農作物が大きな被害を受けるようになった。
    保護管理計画の3以上は捕獲が必要とされるレベルとされるが、白州町はレベル4以上と判定されている。
    ※レベル4とは
    出没場所 ○山間部で群全体が、農地にほとんど通年出没する。○人家に侵入する。
    人に対する反応○人を威嚇する行動を見せる。
    農作物等の被害状況○果実、野菜、稲などの農作物を食べる。○人の肩などに乗り、持物を奪う。○かみついたりひっかくなど人身被害をおこす。
    (特定鳥獣保護管理計画技術マニュアル(ニホンザル編)2000年(財)自然環境研究センター)
  • サルの被害を防ぐには姿を見るたびに追い払い集落や農地へ近づかせないことが重要だが、成果に時間がかかる。その上追い払い対策を日常的に持続することが難しく被害者以外の対策意識が低く地域内での連携が困難であり、効果が上がらない。
  • ハクビシンは家族集団をつくって、果菜や果樹を荒らす。特産のスモモやプルーンなどは完熟前に全て収奪され、トマトは収穫期になると食い荒らされほとんど収穫がゼロになってしまう。
  • 自衛策としてイノシシには電気柵が有効だが、サルにはほとんど効果がない。
  • 山荘周辺には田畑が多いが、耕作者の高齢化に加えてサルやその他の動物による食害により放棄される耕作地が増えている。
    山荘の隣にある知人の白州の爺やさんの300坪の農地も、動物被害により今年から耕作をやめた。山荘の裏の米作農家は田は貸して、畑での野菜作りを止めた。
    人の手が入らなくなって2年もすると草木が育ち始め、おそらく百年以上前の人が人力で苦労して切り開いたと思われる農地がやがて原野に戻ってしまう。
    何の収穫も得られない動物の餌作りのための畑を借りて見たところで、労力に見合うものは得られないので無意味である。
    今年も5月27日の夜中に山荘の菜園へイノシシが入り、畑の一角を掘り起こしヌタ場にし定植した長ネギと収穫間近なホウレンソウを踏みつぶして行った。
    さらに同じ日の午後別の場所でキウイの授粉作業をしている間にサルが出て、未だウズラの卵ほどの大きさにしかなっていないジャガイモを引き抜いて行った。
    同じ時間に隣家の菜園のジャガイモは、サルによって全滅した。
    イノシシはこんな小さなイモの時には掘り起こさないが、後1か月もして収穫前の6月末になるとやってきて畑を全滅させる。
    幸い電気柵が有効で、きちんと通電していればおそらくは大丈夫であろう。
    サルの防除については、打つ手がない。
    特にサルが好むニンジン・サツマイモ・トウモロコシ・エダマメ・秋ダイコン・ナガネギなどは、栽培しないことにしている。