二神島 大クロ


第一章 プロローグ

  ここ3週間というもの色んな釣り雑誌を見た結果、どうも我々のクロ釣りは間違っとるのではないか
 と反省した。
 冬場のクロは深み中心と思い1号負荷の浮きでドボンと落し込んでいたが、釣り名人の記事を見ると今
 や極力軽い仕掛けが主流ではないか。
 全遊動、はたまた沈め探り釣りといった難しい釣法が時代の主流をなしている。
基本的に努力・研究をしないというのが我々のポリシーであるが、たまには人がうらやむ程釣りたい。
  なるほどと思い釣具店に直行した。様々な浮きが並んでいる中で『ダイワ センサーフロート・PR
 O』1,280円を購入。タイプはレギュラーの2Bを選択。最後のPROという文字とギリギリ仕上
 げの説明が心をくすぐり何となく釣れそう。
 ついでに玉網6.3mも購入する。これは今使っているのが、如何にもボロで何度も掬い損ねることが
 あるからである。
 最近は先端の玉網の付け根がバカになりクルクル回っている。
 とても上手な釣り師の道具とは言い難い。
 新しい玉網を購入しこれで万が一大物が来ても掬い損ねる筈はない。
 ついでに競技グレ4号という極小針も購入。これで4号、5号、6号と揃った。
  この時期の二神島はクロが調子いい筈と思い浦丸に予約を入れる。3月2日は予定通り午前4時の出
 港である。
 予約を入れた後、釣り紀行別冊『ザ・近場』で二神島の攻略について学習する。何度も見ているが再度
 確認する。
 これで何処に瀬上がりしても的確な攻めが出来る。筈だ。

第ニ章 瀬上がり

  平成14年3月2日(土)中潮 曇。
 午前3時に名護屋港につくと既に5,6台の車が並んでおり出港時間まで仮眠を取っている。
 瀬上がりが5時頃なので、最初の2時間は籠で真鯛を狙い、日が昇ったらクロ釣りに替えるという二兎
 を追うもの方式で攻める計画である。
 従ってふかせ用の撒きえが主体であるが、ボイルも1角購入している。この辺は節操がない。
  4時に時間通り出港した。本日は10人程度で以外と少ない。波は最初2m、後2.5mの予想なの
 で、早めの勝負となりそう。
 約40分の航海で小ニ神に到着するが、ここを希望したのは1名のみ。
 真鯛、青物なら小二神が良いのだが、クロは親ニ神が良い。
 普段なら超一級ポイントのギンザであるが、迷った結果、後半時化るかもしれないので我々は親二神の
 灯台裏を希望した。
 ここは夏場よくイサキを釣る場所で足場もあり勝手がわかるので3人で上礁する。

第三章 クロを釣る

 瀬上がりしたら早速籠仕掛けを作って真鯛を狙い仕掛けを投入するが、足場がコケですべり思うように
 足が踏ん張れない。へっぴり腰で投入するも巨大ふぐが釣れたのみであった。
  明るくなったのでふかせに替えて磯際からクロを狙う。
 仕掛けは当然センサーフロート2BにBの小粒水中浮き、ハリスはトヨフロンLハードを2ヒロ取り、
 中程に噛み潰しをつけて水面下ギリギリに浮きがある。実に完璧なプロの仕掛けと言える。
 浮き下3ヒロに浮き止めをつけて半ヒロほど遊動にする。
 針はグレ6号を付けた。食い渋ったら号数を落とす計画とする。
  この辺はかなり理性的、且つ論理的な思考過程といえる。
 私の計画では足元2ひろ程度で入食いになる筈である。ならなければいけない。
  しかしそうはならない。
 潮は上げに変わった筈だが、依然下げの動きをしている。
 浮き下3ヒロでしぶとく竿1本先を探っていたら、しもった浮きがゆっくり沈んでいった。
 軽く合わせると、いきなりスプールから道糸を思いっきり引きずり出す強烈な引きがあった。
 万が一を考えてハリス2号にしておいたので安心してやりとりする。
  仕掛けを作る際に食い渋りを考えて1.5号ハリスにしようか迷ったが、やはり数釣るより
 万が一の大物を確実に釣る方が満足感は大きい。よかった!
 3,4回の突っ込みをかわして取り込んだのは42センチ2Kの口太であった。
 2号ハリスがザラザラになっていた。
  でかい!

第四章 カモメを釣る

 今度は多少遠めを狙い仕掛けを投入し、こませをかぶせようと柄杓を取ろうと目を離したら、竿引き
 の当たりがあった。慌ててあわせたが、針掛かりしない。しないけれどもまだ竿を引っ張っている。
 よく見ると竿が上方に引っ張られている。
  なんだ!こりゃー!と竿先から順に見ていくと上空に変な動きのカモメがいた。
 着水した付け餌を近くのカモメが食って飛び上がったらしい。
 手繰り寄せようにも中々近ずいて来ない。玉網にも入らない。
 四苦八苦しながら何とか手繰り寄せ、森井さんにカモメを持ってもらい、針を外そうとしたらパク!
 と指を噛まれた。
 今度は嘴も持ってもらいやっと針を外した。
 やっと自由となったカモメはお礼も言わずに逃げるように大空に飛んでいった。お互い迷惑な話である。
 亀を助けたら竜宮城に連れて行ってもらえるが、カモメは何の礼もしない。
 カモメに言う。付け餌は食うな!

第五章 お食事

 満潮近くなり磯の先端を波が洗うようになったのでお食事とする。
 最近の楽しみは何といっても磯の上でのお食事である。釣りに来ているのか、飯を食いに来ているか
 よくわからない。
 本日はカレーラーメンと阿蘇だご汁を持ってきた。前日スーパーサニーにて購入。
 コッフェルでお湯を沸かし食事の準備をする。今日は春は名のみの風の寒さよ!の日である。
 磯の上での暖かい食べ物は実にうまい。
 出来上がった食べ物は百円ショップで買ってきた木製ドンブリで頂きます。
 このドンブリがまた正月の雑煮を入れるような豪華作りで磯に全く似合わないが便利で愛用している。

第六章 帰港後の反省会

 本日は小ニ神は不調であったみたい。昨日は結構釣れたそうであるが。
 9時頃から時化はじめ、後半は釣りにならなかったのが原因でしょう。
 それでも私のクロが一番大きかったみたいで、気の良い船長に記念写真をとってもらった。
 他ではチヌも釣れていたので今後はチヌも期待できるのはないか。
 上げ潮の途中で沖に一時潮目が出来、そこをダイレクトに狙うと若干型は小さかったが尾長も来た。
 また、瀬際で3ヒロのふかせに型の良いイサキが釣れた。不思議!
 ここ最近、親ニ神の灯台裏だけイサキが来ているそうである。
 イサキは4〜5月に一旦いなくなり、6月くらいから本格的にまた釣れ始める。
  3月中にもう一回は二神島をトライしたい。
 クロの型は五島と遜色ない。