山菜採りと茸狩り

15年くらい前、N県農協中央会にNさんと言う方がいた。この人が言うには山に入ったら1年365日山菜で取れないものはない豪語していた。 Nさんのお話を聞いていると、この人は世の中が食糧危機に陥っても最後まで生き延びることの出来る人ではなかろうか? と本気で考え、何とか私も覚えたいと思ったものだ。 風の便りではあるが、今は退職されて山菜採りのコンサルタント会社を経営されているとか。 Nさんに連れられて何度か山に入って色々なものが食べられるのを知った。 よく採ったのは「わらび」「タラの芽」「タケノコ」「なずな」「せり」「ふきのとう」「ぜんまい」「こごみ」「ヤマブキ」であるが、「行者にんにく」「やまうど」「山わさび・葉わさび」「じねんじょ」など当時 知らなかったものも多く教えてもらった。よく採った場所はワラビは聖高原、タラの目は長野市郊外の浅川の近くの山や飯綱高原、等であるが正確な場所は秘密にしていた。

タケノコ
画像
 撮影=坂本ひで子様
タケノコと言ってもここでいうタケノコとは、信州の北の方で盛んに採っている「ネマガリダケ」という笹の芽のこと。 同じ信州でも松本より南方面ではあまりタケノコを採るという話は聞かない。 会社の仲間とも良く飯綱・戸隠・志賀高原方面に行って採り、その場で味噌汁を作って食べたもの。どういうわけか中にサバの水煮を入れる。 雨の後など笹薮の中に潜り込むのでかなり大変でクタクタになった上にビショビショ。 でも、その後のタケノコ汁とアルコールが美味い。ついでに、天ぷらも作る。岩魚、ヤマメを釣ってくるやつもいたりして山の中で宴会となる。 天ぷらのネタが無くなると、その辺の花や草を手当たり次第揚げてしまう。

タラの芽

画像
 撮影=坂本ひで子様
信州の平地から山にかけてタラの芽が出るのは4月から5月中旬位迄である。 芽の出る頃のタラの木は裸で目立つ。そのため良く見えるため道から見えるようなタラの芽は 小さい頃からすぐ無くなってしまう。従って結構山の奥まで入り込む。 またタラの木はトゲがあり、大きいのは一番上にあるので高い木の場合取るのが難しい。 そこで私は秘密兵器を持っていく。ばらしてしまうと何てことはないが、古い傘である。 これを逆に持って手繰り寄せ頭にある芽を手でもぐ。 鎌で切る人がいるが、こうすると来年だめになる。 タラの芽はなんといっても「天ぷら」。これは美味い。

なずな

画像
 撮影=八木沢薫先生(横浜市 私立関東学院小学校教諭)
画像:大日本図書HP(http://www.dainippon-tosho.co.jp/yagi/1997/9721/NAZUNA.htm)より引用
    
なずな、これは山菜ではなくいわゆる春の七草の一つでぺんぺん草とも 呼ばれ、全国どこでもあぜ道や畑や道端に生えているポピュラーな草。 ただ最近はあまり食べたという話を聞かない。 私は信州松本の生まれであるがよく採って食べた。 また昔は八百屋なんかに売っていたものだが今は売っているのを見た事がない。 白い花が咲くが、花の蕾が膨らむ前位に採ってきれいに洗い軽く塩を振ってお浸しで 食べるのがお酒の肴に最高!。私の家の近くの川沿いや畑の土手にも沢山ある。 初めは茶色の色をしている部分も多いが、湯がくときれいな緑色になる。 洗うのが面倒なのではやらないのか?人気のないのが今でも不思議。

キノコ

画像
 撮影=小野木 時夫様
キノコの中で私の一番好きなのは「じこぼう」と言う雑キノコである。 松本近辺では「リコボウ」と言うが唐松茸の一種らしい。 ナメコのように表面がヌメッていて、そのヌメリはナメコどころではない。 山に入って唐松の林の下に熊笹が生えている所で多く採れる。 味噌汁に入れて食べるととても美味しい。
クリタケと言うポピュラーな茸がある。これはない時には全く採れないが 一度見つけると大量に採れる事がある。一度大勢でキノコ狩りに出かけた際、 殆ど収穫無しで落ち込んでキジウチに入った薮の中の枯れ木に群生していて 大鍋に入りきらない位採れた事もあった。
キノコ名人は毒キノコも良く知っていて区分けできるそうであるが、私はとても その域には達せず、自分で良く知っていて食べた事のあるキノコしか採れない。 残念であるが、自信のあるのは、こむそう茸・アミ茸・ヒラ茸・ムラサキシメジ・ナメコ などせいぜい10種類程度だ。
トップのページに戻る トップのページに戻る