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友人に誘われて、亀戸天神の鷽替えに行くことになった。 鷽とは、木彫りの鳥で、怪盗ゾロのような、黒い目の周りと、くるりと跳ね上がった、背中の羽が特徴である。それをだるまのように、机や棚の上にでも置いておくと、日常起こる、様々な嫌なことをみんな嘘にしてくれるらしい。 そうして一年経つと、ご苦労様の意味を込めて、天神様に納め、また新しく買う。それが鷽替えだ。 |
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「嫌なことが嘘になる」平成不況の世の中で、こんなに魅力的なフレーズはあまりない。 快晴の一月二十五日、亀戸天神に向かった。鷽替えは、天神様の神社で行われる。東京では、湯島天神と亀戸天神のものが有名だ。亀戸にしたのは、浅草生まれ、浅草育ちの江戸っ子で、普段着が、パッチという、友人の旦那の強い勧めである。 |
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亀戸駅から徒歩5分。亀戸十三間通り商店街を北に向い、左手にある、但元豆店を目印に、西に曲がる。少し行って右手が亀戸天神である。(地図参照) 季節柄、但元豆店で、豆まき用の豆を買った。ちなみにその店は恐ろしいくらいに大量の野鳩に取り囲まれている。商店街は、車避けの柱をはじめ、どこもかしこも鷽の置き物が置いてあり、みんなが鷽を大切にしているようだ。 【←野バトで殺気立つ、但元豆店】 |
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たくさんの出店の出た、亀戸天神は、かなりの人手だった。もちろんお年寄りが大半で、肩身の狭くなった友人と私は、お互い、年をとっても出来る趣味(下町散歩)があってよかったと励まし合う。 友人の旦那が、小さい頃は無理だと渡らせてもらえなかった、急な勾配の太鼓橋を二つも越えるとやっと社殿である。天神様に付き物の梅もさることながら、大きな池を取り囲む、どこまでも続く藤棚が見事で、藤の季節にはかなり見物だろうと思う。 |
【でっかい!丸太鷽!】 |
丸太のように巨大な二体の鷽の立つ社で御参りをする。そして、いよいよ鷽替えである。(と、いっても、鷽替え初心者の私達に、納める鷽はなく、正確には鷽買いであった。)御酉様の熊手のように、鷽も一号から特号までの大きさがあり、毎年少しずつ大きくしていくものらしい。私は一番顔がかわいいと思われる、二号から買うことにした。厄年の友人や、部署の移動で落ち込んでいる、後輩など、いろいろな人の顔が思い浮かんで、結局、5体も買ってしまった。贈答用にも活躍する鷽である。 |
【ここで鷽を替える】 |
ちなみに鷽はかなりかわいい。黒い頭に、鮮やかな赤いクチバシ。そこに一文字に切り込まれた口は、どことなく笑っているようである。寝癖のように跳ねた、うなじのところの羽がまた、ユーモラスだ。昔の町娘達は、サンリオグッズ感覚で、鷽を買っていたのではないかと、想像してしまうほどだ。 出店で甘酒を飲み、名物の船橋屋の葛餅をお土産に買って、帰ることにした。寒くなければ、亀戸から木場へ行く、水上バスに乗って帰るのもいいだろう。 |
【藤棚が情緒たっぷりの船橋屋】 ここの葛餅は、歯ごたえがあって、ほんとうにおいしい! |
私の会社のパソコンの上に置かれた、鷽二号は、いつも暢気に微笑んでいて、なかなか和む存在である。嫌なことが合った時、「嘘だよ。」と言ってくれているようで、けっこう重宝しているのである。友人達に配った鷽も大変好評だった。 後日、友人の一人が私の席に来て、鷽は鷽替えの時にしか、購入出来ないのかと聞いた。なんでもその子の友達が、九州に転勤になるそうである。今年33歳のキャリアウーマンで、この歳で知らない土地へ行ったら、もう結婚出来ないかもと、かなり深刻に、悩んでいるらしい。 |
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やはり、現代の働く女性に、鷽替えという行事は、けっこう需要があるのかもしれないと、しみじみ感じてしまうのである。 |
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おまけ。翌年も、鷽替えに行きました。今度は、亀戸名物の餃子屋さんに入りました。有名でなければ入れないだろうなー、と思うような、荒っぽい(?)お店でしたが、餃子の味は、信じられないくらい、繊細。皮も薄くて、きゃべつがしゃきしゃき。お土産に買って帰ったら、おおうけでした。また、来年も行きます!! |
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