〜11月の奮闘録〜


やさしい11月のひと時11月4日(木)「絵は楽しく描きましょう」
今日の講師はイラストレーターの福井真一さんです。テキパキそつなく
お話される方で、みんなが持ち寄った課題(テーマは「グラデーション」)を
丁寧に講評して下さいました。ご自分でもイラスト教室を開かれている
だけあって、「絵は楽しく描かないと、その人が描いた時の想いがそのまま
見る人にも伝わるんだよ」など、色々的を得た講義はとても参考になりました。

さてグラデーション。普段PCで描いている人には、きっとお茶の子さいさいな
テーマでも、私含む手描き組には結構難しい課題です。これはもう
どうやって描くかと言うと、ひとえに「気合い」もしくは「超集中力」のたまもの。
細心の注意を払って微妙な濃淡を表現するのは、非常に脳みそを
酷使するので、課題でなければグラデーションなんて描きたくないなぁ〜(笑)
私が思いついたアイデアは(なぜか)宮沢賢治の「やまなし」。
水をグラデーションするならエアブラシが最適だろう・・・と、久しぶりに
使ってみました。その後「季節柄、落ち葉の変色も綺麗かも」と、普段の技法で
もうひと作品描いてみました。タッチが違う課題を二つ揃えたわけですが
その講評やいかに・・・。

教室では、みんなもそれぞれ工夫を凝らしたグラデーションを
描いていました。さすがにPCで描いた物は綺麗。
今すぐ仕事で使えそうなぐらい完成度は高いです。


しかし、先週のエージェントさんならPC作品を即戦力として選ぶだろうけど
今日はイラストレーターの方が講師です。「PCが悪いわけじゃないけど、簡単に
描けちゃうんだよね・・・」と、完成度よりもむしろ、努力した面白い手描き作品の方を
誉めてくれました。見る人によっても色々なのです。

福井さんはどちらかというと「誉めて伸ばすタイプ」の方。私の作品も
「最近はエアブラシを使う人があまりいないから、人と違う画材を使うのは面白くて
いいね。これはこれで良いですけど、落ち葉の絵の方が面白いかな。
本物を見ているからしっかり描けているし、本の表紙なんかに良い作品かも。
色使いも綺麗だけど、少し葉っぱが整いすぎているかな。もう少しねじれた物があっても
面白いかも知れませんね」と優しい講評でした。

課題だけでは足りないから「他の作品も見ていただこう」と、授業後に作品ファイルも
見て貰いました。ところが教室とは変わって、今度は結構手厳しい講評です。
(授業が厳しい人は反対に、マンツーマンになると意外と優しかったりします。なぜか)
恐らくもっと評価して貰いたがっている生徒には、きちんとダメなところを指摘して
伸ばしてあげようと言う、福井さんなりの優しさなのかもしれません。で、「少し綺麗に
描きすぎているから、もっといい加減さを持った方がいいよ」とズバリ。更に色が少し濃いから
もう少し濃淡のコントラストを控えめにとか、人物も全く違ったタッチで描く方がいいのでは・・・等、
色々細かいアドバイスをしていただきました。なるほど。まだまだ自分に対する課題は数知れずです。

今日は嬉しい事にファイルを見て貰う順番待ちの時、原田さんに再び
作品を見て貰える機会がありました。原田さん曰く「ローラーで描くのにこだわっているなら
背景だけじゃなく、手前の物にも使ってみたら面白いんじゃない?」と。そして
画材屋さんで売っているマスキング材料を使うといいよと、アドバイスしてくれました。
そうか、その技法があったかと、目から鱗の助言です。早速やってみようかしら。
更に「これ知ってる?」と見せてくれたのは、なんと私が大好きなフランスの絵本
「マドレーヌ・シリーズ」の画集!!おおー、こんな本があったのかと、驚くぐらい
そのフランス語で書かれた分厚い画集に釘付けです。原田さん曰く「マドレーヌの作者の事が
描かれている本なんだけど、この人も沢山の人に影響を受けて色々と作風が
変わっているんだよね。初期の頃なんて漫画を描いていたんだよ」と。

これまた目から鱗。画集を見せてくれる事で「沢山の人(物)から影響を受けなさい」とか
「画風はどんどん変わっていく物なんだよ」と教えてくれた原田さんの優しい励ましに
感謝です(T.T)世の中には勉強する要素は山ほどあるし、私自身の作品もまだまだ×2
改善する余地が沢山あるんだなぁ・・・と、先の長い道のりに何となくワクワクする気分で
11月の授業も頑張ります。


久々の実技授業11月11日(木)「条件平等、久々の実技授業」
イラストレーターの都築潤さんを迎えて、本日は久しぶりに
実技の授業を展開しました。
みんなで机を囲んでする作業は、何だか和気あいあい楽しい感じです。
とは言え・・・わずか30分の間に「(白いコピー用紙に)好きな画材で
名前とプロフィール、都築さんへの質問、最近気になった事を
イラストと組み合わせて描く」と言うテーマに、みんな頭をひねって
うんうん唸っていた・・・というのが正直な状況かも(笑)

普段PCで描いてる人も手描きの人も、描くのに時間のかかる人も
そうでない人も、みんな同じ条件の中で描くというのは、とても新鮮な
試みです。私は筆ペンで「えいやっ」とばかりに漫画っぽい作風を殴り描き。
「線に自信が満ちあふれていて良いね」なんてコメントを頂戴する
投げやりな・・・もとい、勢いの良い物しか描けなかったのですが
みんな「あの短時間でよくぞここまで」と感心するぐらい、綺麗な色を
沢山使ったり、文字のレイアウトに凝ったり・・・と創意工夫のたまもの。
うーん、刺激的。

都築さん曰く「与えられた画面で、出された情報を如何に
絵と組み合わせられるかは、グラフィックデザインの訓練に
つながる」とか。なるほど、自分のデザイン力の無さを改めて知る思いです・・・。
この日も授業後、作品ファイルを見ていただきました。
師曰く「切り口(物を見る視点)が面白くて良いね」とのこと。イラストは
「技術よりも切り口が大事。それが個性につながるから」だとか。
最近描いてる野菜シリーズや動物シリーズを中心に誉めて貰えました。
(都築さんはとってもにこやかで、明るく優しい誉め上手な方なのです)(*^.^*)
「この切り口を生かしながら、これを人物とか小物とか・・・色々に応用させて
描くと良いよ」とアドバイスをしてくれました。

ところで都築さんと言えば、独特の昆虫イラストが印象深い今日この頃。
「あれはどうやって描いているんですか?実際の昆虫を目の前に置いて・・・?」と
質問してみました。すると「イメージで描いてるから、よく見るといい加減なんだよ(笑)」。
とは言え、子供の頃よく虫で遊んで観察したという下地があるからこそ
イメージで描けるものなんだとか。
「だってあんまりきちんと描いちゃうと、見る人も窮屈でしょう?」との言葉に
またまた目から鱗。そうか!先週福井真一さんに「綺麗に描きすぎてる・・・」と
注意されたのは、こう言うことだったのか・・・と、急に頭の回線がつながり大いに納得。
嗚呼、日々是勉強なり。
「たくさん描く内に(いい意味で)力の抜き加減って分かってくる物ですか?」との
私の問いに、都築さんはニッコリ笑って「そう言う感覚は絶対描いている内に
分かってくるよ。大丈夫だから頑張って」と明るく励ましてくれました。
今日はなんて元気が出る授業だった事でしょう。よしよし、頑張らなくちゃね(*^.^*)


可士和さん、制作裏話を語る11月17日(水)「天才、可士和さん現る!」
デザインコースの講師陣を知った時、一番受講してみたかったと
言っても過言でなかったのが今日の講師、佐藤可士和さん。
日常生活の中で「これ格好いいな」とか「すごいじゃん」と
目に留まるデザインのほとんどが、この人の作品と言って
可笑しくないぐらいの、天才的なアートディレクターさんです。

そんな憧れの可士和さんは「デザインとは視野を変えて
新しい見方を人々に提示すること」と、独自のデザイン論を
語ってくれました。「人生そのものがクリエイティブ」と言うなれど
一体全体、あの斬新なデザインはどうやってアイデアを
出しているのかしら・・・。

実は「そんなに苦労しなくても、色々な事が思いついて無限にアイデアが広がる」のだとか。
本当ですか!?だとしたら、まさに天才。うーん、お見逸れしました(@.@)
しかし天才と言えども時には失敗をおかすらしく、色々なお仕事の
滑稽な裏話なども教えてくれました。例えばSMAPのベスト版CDには本物の
(ミニチュア)ベストを着せてみようと試みたけど、出来上がった試作品は
どうみてもベストではなく鍋つかみ・・・格好悪くて使えない上に
締切も間近で非常に焦ったとか、今後は(飛ぶ鳥を落とす勢いの)楽天で
広告類の制作に携わっていくとか、等々。

それにしても改めて数々の作品を思い返しながら、ご本人を前にすると
やっぱりこの人のセンスはすごいなぁの一言に尽きます。
可士和さんの作品を見ていると初めて「デザインって面白いかも!
デザイナーって格好いいかも!」と素直に思えてきます。
今更ですけどね〜(笑)


大自然の魅力、シゲチャンランド11月18日(木)「イラストゲームの攻略法」
今日の講師、イラストレーターの大西重成さんは
以前某モ○バーガーの冊子「モスモス」で表紙に立体作品を
掲載していたことでも知られる方です。今は北海道に移住して
手作りの美術館「シゲチャンランド」で作品を展示しているとか。
その様子をビデオで見せていただきながら、なんて雄大な
制作活動なのだろう・・・としみじみ感心です。

大自然のおおらかさそのままという感じに、大西さんご自身も
明るく穏やかな方でした。ニコニコ微笑みながら「イラストレーターを
長くやっているとね、本当に山あり谷ありなんだよ」と道を説いてくれました。
それこそ電話代を払えない状態の時から、海外へ何度も行けるような
時まで浮き沈みが激しいようです。
「だからね、ゲームをやるつもりで面白がってやらないと
こういう仕事は続けられないよ」と。そのゲームを少しでも有利に動かす
重要な要素が「観察力」なんだそうです。

「まず自分を知る(観察する)事。だってこれが自分の持ち札だし
ゲームの切り札になるから、上手に使わないとね。次に社会(世間)を知る事。
世の中は何を欲しがっているか・・・これを組み合わせてイラストを作る。
360度見回して観察して、人の見てない所を見つけるんだよ」と。

そうは言っても難しいなぁ〜と思っていたら「この要領はなんにでも応用できるよ。
例えば恋愛も同じ。大抵の人は好きな人を観察してどう攻めるか(アプローチするか)
色々組み立てるでしょう?」と。あーなるほど!一同深く頷きます。すごい説得力です(笑)
なんだかイラストと同時に人生論を教えていただいているような、奥の深い講義の後は
「自分の性格を描く」と言うテーマで、簡単な実技の授業を行いました。
沢山観察して面白いものを描いて、多くの持ち札を得られるような
そんなイラストレーターになりたいものです(^.^)

江口さん11月24日(水)「本屋さんについての一考察」
今日のデザインコース講師は、「ユトレヒト」のオーナー江口宏志さん。
ユトレヒトは代官山にある、何だか落ち着いた感じのぬくもりある本屋さんです。
アート系の本を中心に、古本あり、小さなギャラリーあり・・・の
ちょっとしたこだわりを感じるお店です。

そこで今日の講義は「本屋さんについてのお話」あれこれでした。
PCを使って画像(写真)を壁に写しながら、古書のオークション会場の様子や
外国の本屋さんの様子、都内にあるこだわり系の本屋さんの紹介・・・等々
ちょっとした裏話を披露して下さいました。

最近都心には次々と大型書店が開店し、何かと話題をさらっていますが
例え品揃えの点では劣っても、こうした確かなこだわりと温かみを持った
お店(本屋さん)は、いつの時代になっても無くなって欲しくないな・・・と
思います。そんな場所に置いて貰える本を描きたいものです。
ちなみに江口さん曰く良い本というのは、決してベストセラー云々ではなく
「自分が持っていたい、ずっと自分の本棚にその本があったら良いな・・・」と
思える本なのだとか。この意見には大共感です。


よっしゃ!11月25日(木)「リベンジ!飯田さん」
イラストコースはほとんどの講師の方と、一期一会状態なのですが
時には二度いらして下さる方もいます。イラストレーターの
飯田淳さんもその一人。7月に「窓」の課題を出して以来
約4ヶ月ぶりの再会です。

思い返せば4ヶ月前「塩の入っていないスープみたいに退屈な絵」
から始まり、辛口批評で数々のダメ出しを受けた私。
「今度会う時には、絶対ギャフンと誉めて貰えるような絵を
描いてみせる!!」と、あれ以来一人密かに(と、言うか勝手に)
リベンジに向けての闘志を燃やし、ひたすら描き続けてきた日々。
さてその結果たるや、如何に・・・!?

ところでこの日の課題は「自分の星座を描く」でした。女性誌で
長年占いの絵を担当している飯田さんらしい課題です。
でもこれが王道なだけになかなか難しい・・・。

色々考えた挙げ句、星座→占い→日常的→日用品という構図が頭の中に出来上がり
日用の小物と併せて描く事にしてみました。この日課題を提出したのは25人。
星座って意外と偏るらしく山羊座、獅子座、蠍座の順でこれらが圧倒的な数を占めてました。
これが選挙なら山羊座は大激戦区だな・・・。更に驚いたのは乙女座を描いたのが
私一人だけだった事かも。乙女座、独り舞台です。別に何もメリットはないけど・・・。

オレンジジュースのパックをアレンジして「乙女座100%占い」の絵を描いた私に対する
飯田さんの評価は「考え方はすごくいいじゃない。そのアイデアは面白いと思うよ」と
笑顔でOK!思わず「よっしゃー!」と立ち上がって万歳とかしたい気分ですが
授業中だからやりません。一応大人だから我慢です(笑)

授業後、作品ファイルを持って再び飯田さんに作品を見て頂きました。
「前にダメ出しされた所を踏まえて、作品全部(40枚)書き直してみたんです!」と
勝手に意気込む私に、飯田さんは「なんでそんな事したの」と思わず吹き出します。
・・・言われてみれば、何でだろう?そんなに気張らなくてもいいのにねぇ(笑)
でもファイルをめくる飯田さんは「いいじゃない。すごく上手じゃない」と大肯定。
(でもやっぱり「人物は今ひとつだけどね」・・・と言われてしまったけど(涙))
野菜や動物、小物などの作品を見ながら「下手な人物描いて物語を作るより
このスタイルの絵で攻めた方が全然いいよ。このファイル持ってどんどん営業に
行ってみるといい」と背中を押す言葉をかけて下さいました。大感激です(ToT)

いやぁ、今まで頑張ってパレットに通ってた甲斐があったなぁ。
もう私のパレット生活に悔いなしって感じです。感涙(T.T)
・・・と、ここで終止符を打つのはまだ早く、最終月の来月も山場は続きます。
安西水丸さんに見ていただく課題を描いた後は、いよいよ藤本やすしさんの
ファイルスカウトが行われたり・・・と、最後まで気を抜けない授業展開です。
今日得た自信を糧に、ラストスパート頑張りますね。乞うご期待。