〜8月の奮闘録〜
8月4日(水)「エレベーターガールの裏話」
今回のデザインコースは、アーティストのやなぎみわさんが講師です。
「エレベーターガール・シリーズ」等の作品で話題になっている
やなぎさんは、美大生だった頃からの制作裏話を色々と
お話して下さいました。
「人のために作品を作らない。自分のための制作であって
人に認められなくてもそれは仕方がない事」と、我が道を行くタイプの
芸術家やなぎさん。
いつものデザイン中心の講義よりは、物作りの話を聞く方が
「なるほどなぁ」と共感を得ることも多く、面白いです。
色々なタイプの作家さんがいます。そう言う人達を知ることも
このコースでの勉強なんだなと思います。
8月5日(木)「いい営業ファイルの作り方」
先月デザインコースにいらした、アートディレクター(AD)の
藤本やすしさんがイラストコースに登場です。藤本さんと言えば
カリスマ的な人気AD。作品を見て貰いたいイラストレーターは
山ほどいるけど、郵送でなくてはファイルを受付て貰えないほどの
人気かつ多忙な方です。(実は私も昔、送った事がありますが)
その藤本さんに直に作品を評価して貰えるなんて、これは本当に
すごいチャンスです。先週まで少し減り気味だった受講生の数も
今日は一気に増えて、みんな活気に満ちています。
なにせダイレクトにお仕事に結びつく方の登場ですから、
自ずと力も入ります。ところで今日の課題は「実際に営業に
持っていく用のファイルを作ってくる事」でした。
イラストレーターの先生に見て貰う時は、好きなアクリル画を
中心としたファイルを持っていくのですが、営業用となると
「やはり仕事で描いた物が中心のファイルだろうな」と
前半はペン画、後半はアクリル画のファイルを作ってみました。
今日の授業はいつものシアター形式ではなく、藤本さんを中心に
机と椅子を配置しての円陣形式です。(後に机も椅子も邪魔だと取っ払いましたが)
そしてファイルを見て貰う人は、(面接のように)藤本さんの隣に座ります。
作品評にはもう慣れていても(いつも最前列に座っているため)
みんなの目線には慣れていません。これはものすごく緊張します(>.<)
藤本さん曰くイラストレーターには2種類いるとのこと。それは
「自分のキャラ(世界)を際だたせた人」と「実用的な絵を描ける人(個性的ではない人)」で
みんなの作品を手早くめくっては、上記のパターンに分けて適切なアドバイスをして下さいました。
「もっと料理の手順みたいな絵を描いた方がいい」とか「明るい色を使うと良い」とか色々。
私の作品に関しては「(ペン画は)説明をそのまま描くのではなく、もっと自分の
解釈を加えて描くと良い」と。このコーナーで使っている先生方の似顔絵作品を見ても
「もっと自分なりの表現を加えたら面白いよ」とも。また「仕事が続かないのは仕方ない事で
地道に営業活動するしかないんだよね。それでも仕事の場が取れるのはすごい事だよ」と
励ましてもくれました。
そして「ペン画よりはアクリルの方がいいと思うから、こっちを進めてみたら?
もっと情景だけじゃなくて物(リンゴとか帽子とか)をひとつひとつでも
描けるようにした方がいい」とアドバイスしてくれました。
更には「作品数が少ない(ファイルが薄い)から、これの倍のファイルで
ペン画とアクリルを分けて2冊作ってくるように」とも。なるほど、納得です。
藤本さんがみんなのファイル作りを指摘するにはわけがあって、
実は次回再登場して下さる12月の(最終回前の)授業の時に、スカウトマンを2人ほど
連れてきて、作品ファイルを見ながら実際に事務所に所属して貰うイラストレーターを
探すとの事。今回の授業はその日に向けてのレクチャーなのです。
「スカウトしたからには、力を入れてその人を育てますよ。うちの事務所も
お金持ちになりたいからね(笑)」
12月に自分の作品が選ばれるかどうか、良いファイルが出来るかどうかは
今後4ヶ月にかかっているわけで・・・。選ばれると良いなぁ。でもどうかしら。
とにもかくにも、今は頑張って描くしかないですが。
それにしても藤本さん、似顔絵にてなくてすみませんね(笑)
8月26日(木)「ふわふわバッサリ、不思議な世界」
私の無謀な野望(要するに夢)のひとつに「アトリエ付きの家を建てる」
と言うのがありまして。(これぞニシン御殿ならぬ、イラスト御殿)
そんな私の憧れを女手一つで実現した人が、今日の講師、めぐろみよさん。
様々な雑誌で、沢山の可愛いイラストを描いている方です。
昔、この人の建築記を読んでから、一体どんな方かしらと非常に興味を
抱いていました。きっとバリバリやり手のキャリアウーマンかも・・・と。
ところが登場しためぐろさんは、ピンクのTシャツがとてもよく似合う
すごく可愛らしい方でした。優しい笑顔に鈴を転がしたような
可愛らしく柔らかい声、まるで花でも背負っているかの様な錯覚を起こす
独特の雰囲気の方でした。・・・全然イメージが違ってビックリです。
ゆっくりのんびり、私達に「そうだよね?」とか「これでいいよね?」なんて
確認しながら話す姿は、心なしかフレンドリー(笑)
が、しかし。
よくよく聞いてみると、実はものすごく厳しい事を言っている気も・・・。
この毒舌ぶりは、かの飯田さんを凌ぐほどのすさまじさかも!?
でもあまりにも優しくはかなげな雰囲気に、みんな一瞬ひどい事を言われても
わかりません。5秒位して「あれ?」と気がついたり。恐るべしめぐろさん。
「実際の仕事を想定した作品を描いてくる事」というのが、本日の課題で
私は昨今の作品を組み合わせて、冊子の表紙をレイアウトしてみました。
みんなも文庫本の表紙とか、ダイエットのページとか、色々イメージして
描いています。
私の作品をしみじみと眺めて下さっためぐろさんは「よく言えば懐かしい絵ね。
悪く言えば古くさいかな。古本屋さんに売っている本みたいね」と容赦なくバッサリ。
その後、手を口元にあてて「あ、私ひどいこと言ってるよね?
ごめんなさい、悪気はないの」と、ニッコリ。(以下、全ての人に対しこんな感じ)
確かに良く「懐かしい感じの絵」とは言われるけれど、それが一体どういう意味なのか
ずっと考えていた私。よくぞ誰もが言えなかった事を、ズバリと言って下さった・・・と
言う感じです。(注:怒ってないよ)「どうやったらあか抜けた絵になるかなぁ。
でもどことなく味があって憎めないから、このままでも良いかなぁ」と一生懸命考えて
でも結論の出せなかったそのお姿を見ては「これも神様が私に与えた、
なにがしかの試練かも知れない・・・」と思わずにいられない私。う゛う゛・・・(T.T)
雑談を交えながらも、丁寧にきっちり2時間で講評を終えためぐろさん。
しかしその後に実際仕事で使った作品や、(ご本人曰く)本邦初公開の
ラフスケッチなどを取り出して下さったから大変です。
みんなから矢継ぎ早に「どんな手順で制作しているんですか?」とか
「使っている画材は何ですか?」とか、仕事に対しての質問が飛び交うことに。
かくいう私もずっと「マーカーで作品を描く人は、あの薄いマーカー用紙を
一体どうやって入稿しているんだろう?」と不思議に思っていたので
それに関して2度も質問したり・・・と、気がついたら1時間も延長した
白熱授業になっていました。
結局の所「私は一体これから先、どんな絵を描けばいいのだろう」と言う
漠然とした疑問は残ったものの、マーカー作業の手順など
ずっと知りたかった事を色々教えて貰えて、満足がいく授業でした。
ふんわりした容貌ながら、上手い絵の人も容赦なくバッサリ切り捨てる物言いの
不思議な雰囲気を持っためぐろさん。でも授業の後は「結構好きかも知れない、
こういう感じの人」と、以前にも増して親近感が持てました。