「装幀とイラストレーション」 平川スクール1期生展ルポ
2008年11月27日(木)搬入日
本日搬入日。
大雨の中、大荷物を持って原宿のペーターズギャラリーへ。
12人の作品は、みな大きさや枚数がまちまちなので
バランスを整えるため、飾り付けには結構時間がかかった。
13時に始まって、ギャラリーを出たのが夜の20時。
延べ7時間、トンテンカンテン。


作業は大変だったけど、テイストの違う作品が一堂に会し
ものすごく面白く、見ごたえのある内容になった。いい感じ。
それにしても、このスクールのメンバーは前から「上手い」と思っていたが
今回作品を見て、ただ上手いだけじゃ済まされない気がしてきた。
「もしかして、みんな天才か?」
授業中は何度も、ファイルを抱えて逃げ出しそうになったが
今回搬入を終了した時点で「来年あたりおとなしく引退して
こぶ茶でもすすりながら、残りの余生を生きていこうかな…」と
半ば本気で思うほど、自分の力の限界を感じた。
とにかくそれぐらい見ごたえのある展示会です。
こうご期待。
11月28日(金)開催初日
いよいよ展示会初日。
18時過ぎに会場に到着すると、パーティはすでに始まっていて
なかなかの賑わい。次第にどんどん人が増えてきて
あっという間にギャラリーが溢れんばかりの大盛況となる。
改めて平川さんはすごいなぁ。師匠恐るべし。

はじめましての人も、駆けつけてくれた友人達も
それから思いがけない人脈で
再会できた人達も…
本当にびっくりするぐらい沢山の人に
来ていただけて、嬉しかったです。
ありがとうございました。
私は人と話してばかりいたので、食べられ
なかったんだけど、会場にはメンバーが
持ち寄ったごちそうやお酒が、いっぱいあった。
特にpoeさんが作った
「平川先生とゆかいな仲間たちおにぎり」が
とびっきり愉快だった(笑)↓


平川さんに感動の花束贈呈が終わった後、一同2次会へ。
来賓のほとんどが2次会に参加したんじゃないかと思うほど
ここも大盛況。(50人ぐらいはいた様な気がする)
こんなに盛大な2次会もすごいけど、ここにいる恐らくほとんどの人が
絵に携わっている人達と言うのも、またすごいなぁと思う。

イラスト界の重鎮・灘本先生に
「イラストレーターはとことん描きなさい」
「舞台では拍手をもらえるけど、絵は立ち止まってもらう事が
拍手の代わり。君の絵は悪いけど、通りすぎちゃうねぇ」と
優しく笑われ、そうか…隠居してこぶ茶飲むには
(先生から見たら)まだまだ若いか、と考えを改めた。
来年は千本ノックならぬ、千枚描く気で奮起します。
楽しい展示会、まだまだ続きますよ。
こうご期待☆
11月29日(土)2日目

展示会2日目。外は気持ちの良い秋晴れ。
週末のせいか、会場は今日もたくさんの人で
賑やかでした。ありがたいことです。
スクールのみんなも会場に来ていたので
半日ゆるゆるお話ししたり
昨晩の酒場の記憶が半分なくなってる
平川師匠もいらしたり
友人達にもたくさん会えて嬉しかったり。

会場には作品のほかにも、スクールの
概要がわかる資料が掲示されていて
その中のひとつに「生徒の日記コーナー」がある。
poeさんと森本さんと私の日記が抜粋されて
いるんだけど、まさか日記が人目につく形に
なるとは想定していなかったので
「ああー、もっとまともな人間らしい事を
綴るんだった…」と思ったが、もう後の祭りだ。
少なくともパレットの時みたいに
絵日記にしても良かったな。

そして会場には、私たち生徒の作品だけでなく
平川さんの手掛けたデザイン本も
ケースに入って飾られている。
これがなかなか壮観でカッコイイ。
同じデザイナーさんが手掛けた物でも
ずいぶん色々な文体や構図があるんだなと
眺めているだけでも勉強になります。
11月30日(日)3日目
展示会3日目。今日もすごくいいお天気。
昨日と同様、ギャラリーはとても賑わっていて嬉しい限り。
色々な友人達が来てくれたり、様々な出会いが
あったのも嬉しかった。
それにしても私の「人の名前と顔が覚えられないよ病」は
著しい悪化をたどっている。
前半戦だけでどれほどの失礼を繰り返したか
思い出すだけで胃が痛い…。
みんな、頭の弱い私を許して(涙)
今日はパティシエの友人、はるかさんが
手作りのお菓子を持ってきてくれたので
その場にいたメンバーで美味しく頂いた。
いつか個展の時に、来て下さったお客様みんなに
彼女のお菓子をふるまう事が
目下のささやかな夢である。
お客様の中には、セツの星先生もいらした。
私はセツ生ではないけれど、先生は数回会っただけの私に対しても
「あなたの作品はどこにあるの?」と、ファイルまでしっかり見て下さる
とてもとても優しい方である。
そして先生は線画よりも「アクリルの作品がいいね、これはいい」と
アクリル画を推して下さった。
貴重な機会なので、先生に作品のことをいろいろ尋ねてみた。
問1「どうして私の絵はタッチがこんなに違うのでしょうか?」
先生曰く「確かに普通の人は、統一したタッチの絵を描くけれど
あなたの場合は不思議と二つ(ペンと筆)のタッチで描けるんだね。
たぶん『こういう風に描きたい』と言う気持ちが、色々あるんだろうね」
問2「タッチは仕事などを考えた時、統一した方がいいでしょうか?」
先生曰く「『このタッチで描く!』と決めつけない方がいいですよ。
どちらのタッチがいいかは…本人よりも、周りが決めてくれる時がある。
周囲の評価で、仕事が来たり、勧められたり。その流れに(柔軟に)
任せていればいいんですよ」と。
他にも色々と、励まされる言葉をたくさん頂けて
なんだかとっても元気になった。
作品を見て下さる人の言葉は、珠玉です。後半戦も頑張ります。
追記
展示会に来てくれた友人達が、展示の様子を次々にUPしてくれています。
私の主観的な日記よりも、客観的なので全貌が分かりやすいかも(笑)
よろしかったら見に行ってみてくださいね。
☆パティシエはるかさんの日記
☆イラストレーター金川かもめさんの日記
☆イラストレーター三枝文子さんの日記
☆イラストレーター時川真一さんの日記
12月1日(月)4日目
今日は折り返し地点の展示会4日目。今日もいい天気。
さすがに週末の盛況さは波が引いたけれど、それでも月曜日にしては
沢山の方が来て下さったように思う。ありがとうございました。

展示がこういう内容なだけに、やっぱり
装丁のお仕事に興味がある人や
このスクールに入りたい方や、仕事関係の方が
様子を見にいらっしゃるのかな〜と
漠然と思っていたのだが、ここ数日色々な方の
話を聞く内に、平川師匠の人望の厚さを
改めて感じた。このスクールに限らず、師匠は
今まで様々な所で色々な方に、懇切丁寧な
接し方をされてきた事が判明。
その温情が今回の展示の大盛況に
反映しているんだなとわかった。
平川さんはイラストレーションを「イラスト」と「コミュニケーション」を
併せた言葉だと考えていて、人とのつながりが大事だと
良く口にされている。でも確かにそうなんだなぁ…と、この4日間で
しみじみ思った。私もブラックかぶを返上して、いい人になろうと思う。
そんな平川師匠が夕方ふらりと会場にいらして、おもむろにポケットから
『切り花を長持ちさせる薬』を取り出した。
今日来たのは、会場に飾ってあるお花を長持ちさせようと
この薬を持ってきたかったから…とか。
師匠、なんて優しい人なの(感涙)。


今日は色々なイラストレーターの方や、お仕事関係の方が
いらして下さった。お友達も来てくれてうれしい限り。
その中でイラストレーション誌の編集長さんに、作品を見ていただく
機会に恵まれた。アクリル画も悪くないという事、線画は細かく書き込んである部分が
いいという事、キャラクターは類似の物が多いからなるべく
やめた方がいいのでは…など、優しく的確に評価して下さった。
毎日が勉強の場である。
少し時間に余裕がある時は、スクールのメンバーとゆるゆるお話ししている。
でもあと2日でお終いなんだなーと思うと、寂しいな。
こんなに短いワークショップで、これだけ仲良くなれるのは
本当に不思議だけど、これもきっと平川さんパワーのせいかもしれない。
類は友を呼ぶんだなぁ。
12月2日(火)5日目
今日はあまりお天気がはっきりしない、真冬の陽気。
早い時間のうちは、緩やかな客足だったので
「やっぱり平日の昼間は穏やかなんだな…」と、
油断していたのも束の間、夕方からどんどん人が増えはじめ
会社帰りの方が来る時間帯には、週末と劣らぬ盛況ぶりになった。
今日はお仕事系でお世話になった方や、貴重な時間を割いてきてくれた人、
イラストレーターの友人達等に会えて嬉しかった。
そして今回は、会場に飾ってあるメンバーの作品を紹介します。

会場に入ってすぐ右手に飾られたのが
三溝美知子さんの作品。
静寂感が漂う、美しい雰囲気の絵を描く人です。
でも「悪夢のドライブ」の課題で、躍動的な絵を
描いてきた時は、意外な一面を垣間見た
気がして面白かったです。
クールビューティなイメージが強かったけど
話していると、とても愛嬌のある可愛い人だと
いう事が今回の展示でわかりました☆

お隣は森本ふみさんの作品。
目に飛び込んでくるカラフルな色調。
その存在感はさすがです!
展示期間中、額装について話したんだけど
話をするまで彼女の額が目に入らなかったぐらい
絵自体にインパクトがあります。
強くて伸び伸びとした作品です。(しかも可愛らしい)
彼女の作品を見ていると
「大きな絵をバーンと描きたいな」と言う
壮大な気分になってきます。

そのお隣が三浦由美子さん。
人物も味があるけれど、HPを拝見したら
動物に絶妙な良さがありました。
なかなか印象的な絵を描く人です。
一度見たら忘れられない、なぜかまた
戻って見たくなる・・・そんな力のある作品です。
今回は猫の絵を展示していましたが
その表情のふてぶてしさが、師匠はじめ
見る人の心をがっちり掴んでいました(笑)
(画像は私の写真が良くなかったので
彼女のHPから拝借しました)

次は鈴木よしみさんの作品。
コラージュ系で、素材は革を用いてます。
なかなか斬新。
彼女の作品が平川さんの手にかかると
急に生き生きと動き出すのも、また魅力でした。
デザインしやすい作風なのかもしれないです。
一つ一つの作品には、良く見ると
ちゃんと世界観があり、それを知った上で
見直してみるとまた面白い発見が出来る、
そんな魅力のある絵でした。

「お洒落な人は、お洒落な絵を描く」と
イラスト業界では俗に使われる格言だけど
カッコいい人は本当にカッコいい絵を
描くんだなぁ…と、3rdeye(サードアイ)さんの
作品を見るたび、しみじみ思いました。
写真は小さくなってしまって残念だけど
ものすごいセンスの持ち主です。
しかも与えられた課題を的確にこなす
能力にも長けている人。
缶コーヒー持って立ってるだけでも絵になる
素敵イラストレーターさんです。
今後の活躍が楽しみ!

2階に上がって、一番初めに
飛び込んでくる作品が、いしかわのぞみさん。
彼女の絵は技術も高く、色合いも絶妙で、
とにかく上手い。ため息出ちゃうぐらい上手い。
会期中もたくさんの人が立ち止まって
しみじみ作品を眺めている姿が印象的でした。
彼女の作品を見て、私も一から出直そうと
改めて決心しましたよ(涙)
きっとこれからたくさん素敵なお仕事を
されていくんだろうな…と、とても楽しみです。
お肉を食べたら、きっと手相も濃くなるよ☆

かなざわまこと君も「どうしてこんな絵が
描けるの!?」と、問いただしたくなるぐらい
上手い絵を描く人です。末恐ろしい…。
授業でも一番頑張って、たくさんの課題を
描いてきた根性のある人です。
すごく偉いと思う。でも性格はとっても
お茶目さん。笑いの殿堂です。
そんなある日、いしかわさんが真顔で
「かぶらぎさんと、かなざわ君はコンビを組んで
何か始めた方がいいと思います」と言いました。
何かって何だろう…やっぱお笑い?

高橋ユミさんは、いつもニコニコ笑っている
とっても可愛らしい雰囲気の人。
描く絵もすごくキュートです。
絶妙なかすれ具合が、私の好み。
こんな風に描けたらいいなぁ。
私のローラーと違って、彼女の技法は
デジタル。でも手描きの温かさを意識して
作成しているせいか、見ているお客さんが
たびたび「これは版画?」と言っていたのが
印象的でした。映画好きなのも、自然と絵に
表れていて素敵でした。

中島梨絵さんの作品は「ちょっと待った!」と
思わず待ったをかけたくなるぐらい、すごい。
上手いなんてもんじゃなかったです。
構図も色合いも、表情もアイデアも絶妙で
仕事としても考え抜かれているし、
そうかと言って、作品本来の力も失っていない。
末恐ろしいイラストレーターです。
話を聞くと、やはりたくさん努力して
描いてきた方の様。彼女の描く装画の数々は
宝物にしたいぐらい美しいです。
彼女の絵を見た時、私は一瞬引退しようかな
って思ったほどでしたわ。ガクブル。

写真、小さくなっちゃって見えにくいけど
poe(ポー)さんの作品たちです。
ここには優しくてかわいらしい世界が
繰り広げられています。面を塗る絵に比べたら
初めのインパクトは薄いかもしれないけれど
でもきっと、ずっとお部屋に飾って置きたくなる
ような、人の心を和ませる作品だなぁ…と
しみじみ思います。
ご本人も柔らかい感じの、優しい方。
でも搬入の時はすごくテキパキしていて
実は頼れるしっかりさんなんだなーって
思いました☆

トリは小林宏光君の作品。
ドーンと気持ちがいいぐらいダイナミックで大きい
絵が描かれているが…大きすぎるだろ!?
「ルール守れなくてごめん(笑)」と本人も
言っていたが、でも逆に空間をフルに使える
展示ができて、かっこ良かったと思います。
独特の構図と色合いは、さすが。
かなり個性的な色を使っているのに、好感が
持てるところが彼の絵の魅力だと思います。
特に犬の毛並みが良かったなぁ…。
もっとたくさんの作品を見たくなる、そんな
味のあるイラストレーターさんです。
以上。
彼らと共に学んだ私が、授業と展示を通じて
何度も逃げ出したくなった気持ちが、読者の皆様に伝われば幸いです。
12月3日(水)最終日…そして。
展示会もいよいよ今日が最終日。朝から気持ちの良いお天気。
ギャラリーを開けて1時間ぐらいは、人の入りも穏やかだったんだけど
それを過ぎたらどんどん会場が賑わってきて「さすが最終日」と
感心するぐらい、今日もたくさんのお客様に会えました。
結局この展示会は、最初から最後まで満員御礼でずっと賑やかでした。
沢山のご来場、本当にありがとうございました。


私は今回は線画ばかり(課題作含め)9点を出品しました。
いつもはアクリル画なので、それに比べると線画は「弱いなぁ」と思うけど
このスクールでは敢えて線画で描くことに臨んだので
新しい分野を開拓できて、得る事も多かったです。

線画を強く見せるには、どういう飾り方をした方が
いいかとか、このタイプの作品が観た人に
どう受け止められるか…など
会期中は色々な事を教えてもらいました。
皆さまから頂いたたくさんのご意見は…
良いところだけ覚えておきますね!
師曰く「これらの題材の中から『アート入門』を
選んだ時点で、自分の絵を良く理解していると
思った。自分の得意なフィールドで自分の得意な
絵を描く。それがイラストレーターの基本。(中略)
(イラストレーターは)常に客観的に自分を
見る事が大事」と。
でもやっぱり、私は描けるジャンルの絵を
そつなく描いてるよりも、描きたいジャンルの
絵を描きたいと思います。
仕事になりやすい絵と、自分が描きたい絵の
2本立てで、これからは基本に戻って徹底的に
描き込んでみようと思いました。
(左は今回の展示のために平川さんが
デザインして下さった課題作です)
さて夕方6時からは即興クロージングパーティが行われました。
お客様と一緒に差し入れのお菓子や頂いたお酒で、展示会の成功を
お祝いです。森本さんのお母様が焼いたチョコレートケーキも絶品!
ほろ酔い加減の一同、搬出が終わった後はいつもの居酒屋さんで
打ち上げです。「ホームグラウンドに戻ってきたねぇ!」って誰かが
言っていたけど(師匠か?)、ホームはペーターズじゃなくてここだったのか…。
オープニングでは人の多さに緊張して、全く酔えなかったけど
最後はメンバーだけの飲み会だったので、みんな大いにリラックス。
ちょっとのお酒でも何だかフラフラです。そして最後に平川さんが
「一期生のみんなは、やっぱり特別な存在でした。僕はみんなの事を
決して忘れないよ!」と、またまたありがたい言葉を。
「先生…!いや、平川さん!!!(一同号泣)」
こうなったら歌うしかないだろう、あの歌を!!
そして総勢13名の酔っ払い、肩を揺らしながら「贈る言葉」を大合唱。
(ワンフレーズだけだが…でも正確にはどこまで歌ったか記憶が定かでない)
最後も名残惜しくて、お店の前で再会を熱く誓い合い
とうとう店の人に注意されるという落ちがついて
スクールの全ての行事が、無事に(?)終了しました。
授業と展示会の2本立てでお送りした、平川スクール日記も
これでひとまず、完。
長文お付き合い下さり、ありがとうございました。
そしてたくさんお世話になった平川さんはじめ
ペーターズギャラリーのスタッフの皆様、
一緒に楽しい時間を過ごすことができたスクール生のみんなに
改めて感謝します。
