3/14
今日は無風、加えて快晴。戸蔦別本流は二週間前よりも割れが目立ち、春を実感する。広尾の教訓から、林道歩きはスキーと決めていたが、それ程深くもないのに案外時間を食う。
ピリカペタヌ林道を少し入ってからマツ林に入る。植林のくせに巨木がちらほら、不思議な森だ。明るい斜面をトラバースするうち、造林道に出会う。有難く終点まで利用する。
一度スノーシューに履き替えるが、膝まで埋まって使い物にならない。季節風の轟きを聴きながら、引き続きスキー登行。いつしか空には雲がかかる。寝不足も手伝ってか、足取りが重い。そんな鈍さを知ってか知らずか、目の前をエゾリスが横切る。
樹林の深雪はひたすら単調で忍の一文字。900を越えると、ようやく背後に十勝平野の晴れ間が望めるようになる。一方、ピリカペタヌの源は曇って見えない。行く手にこんもりした雪帽子。クマの篭り穴か、と観察するが手がかりはない。
1000を過ぎ、さすがに雪は締まってきたが今度は荷の重さが効いてきた。小雪の中、1313までの急斜面を進む。
ここからは潅木の茂るヤセ尾根で、スキーでもかなり難渋する。やっとのことで1369着。風は唸るが全く当たらない快適な幕場。夕方、雪は止んだが雲が湧いてくるのか、勝幌と1655が見え隠れする程度。明るい夜景が懐かしく感じられる。
安井さん宅前6:03-7:11オピリネップ沢7:19-7:50ピリカペタヌ沢-
8:43造林道終点(640)9:00-10:4791011:05-14:291313-15:111369
3/15
晴れる筈だが朝から雪。寒いと思ったら-9℃。やる気は出ないが、札内を目指して雪堤伝いに歩き出す。今日はスノーシューだが空荷なので小回りがきく。
1330コルから90mの急登はまずまずの締まり具合だが、狭いのでスキーでは厳しかろう。時折、樹幹に赤テープが巻いてある。この長大な尾根を踏んだ先人達の労苦が偲ばれる。
季節風が唸りを上げる尾根の北西側は冬の表情だが、南東の空は明るくなり、勝幌のシルエットが浮かび上がる。最後の急斜面は油断すると腿まで埋まってしまう。やっとのことで1524着。いつしか青空が広がっている。
ここも樹林が稜線を覆っているので風の心配はない。風下には涙滴のような風紋が形成されている。広いピリカペタヌ五ノ沢源流をぐるりと巻くように、1542へ。薄雲の向こうに、幻想的な札内岳が浮かんでいる。
雪堤が発達しているが、恐ろしい雪庇にはまだ早いようだ。
広くて平坦な1570付近は雪遊びにもってこいだ。1600付近で巨岩が行く手を塞ぐ。日なたの東斜面が楽なのだが、雪崩が怖いので西からフカフカ斜面を巻く。たかだか10mだが消耗する。
1655に立つと、展望が一変する。ガケノ沢カールを従えた札内はもとより、遠くにはピラミッドがうっすらと望める。エサオマンから西は隠れたままだが、対照的に勝幌は高笑い。
札内までは更に2時間以上かかりそうだ。帰着が16時になるのは避けたいし、何より穏かな眺めに満足したのでここまでとする。休んでいるうちに、カムエクの頭や1839も覗いて言う事なしだ。
春の空を楽しみながら帰路につくが、昨日の疲れもあってか案外時間を食う。1330からの登り返しは足にきた。午後は無風のテン場から正面に勝幌を眺め、久々に贅沢な午睡。
13696:30-7:5415248:00-9:091590-9:42165510:25-
11:33152411:45-12:301369
3/16
夜半から風が強まったようだ。
小雪模様で眺めもないのでさっさと下山。勿論、スキーは引き摺って歩く。1210まではやや平らなため、スノーシューでは埋まって辛い。轟音を背に下るにつれ、天気は回復し、気温も上昇してきた。日当たりの良い所では地面が見えそうだ。造林道からはスキーに履き替える。
ピリカペタヌ沢出合に出ると、スノーモービルのトレース。便利なので使わせてもらうが、自分の通った跡が残らないので興醒めだ。オピリネップ沢出合では、騒音と共に近づいてきた3人連れと出くわす。以前なら無視だったが、一応会釈だけはしておこう。
現代に生きておきながら「不便さを享受しに」山へ行くなんて、感傷もいいところだろう。が、不便だが心配のない林道歩きでは、山の余韻を噛みしめつつ、余計な考えを巡らすことができる。今日は山から下界へ一足飛びで引き戻されてしまった。
13696:41-7:101313-7:4411007:54-9:036109:20-
9:44ピリカペタヌ沢-11:30安井さん宅前
写真上:1655からの北望 中:遠すぎた札内 下:一足早い春
('03/3/14〜16)