3/21
夜明けと共に見事なモルゲンロートが展開され、一刻も早く稜線に立ちたくなる。東京からやって来た岳友のK君と共に、日勝峠まで送ってくれた友に感謝。快晴の日勝峠から出立。風は弱く、-8℃の実感もない。登り斜面から振り返ると、ウペペやニペまで望まれ、幸先の良いスタートだ。
日勝ピークの肩から1359の腹を巻くようにして国境に合流する。降雪直後の針葉樹林帯は造形美そのものだ。登り返して1300から上で少し潜るが、スノーシューでのラッセルで問題なさそうだ。
ペケレベツへの急登で少し風が出るが、春の匂いを運んでいるので恐ろしくない。右手奥には、沙流岳が白く輝く。ペケレから東を見下ろすと、低い雪雲が十勝平野をゆったりと渡っていく。
南に目を転ずると、ペンケヌーシや芽室の先は雪雲で隠れているが、穏かな眺めだ。
1458付近では脛まで埋まってはかどらない。ペケレと1458の南斜面は結構急で、積雪状況によってはアイゼンが必要だろう。
1337付近は危惧していた程埋まらずに済むが、1576への登りではさすがに一日の疲れが出てきた。クラストしているピーク直下を踏みしめ、1576に立つ。
北日高らしい、たおやかな稜線が南北に伸びている。
少し下って、雪庇の陰に絶好のテン場を確保。二人用テントなので手狭だが、風の唸りからも隔離されて平和な一夜を過ごす。眼下には、ひときわ明るい帯広の夜景が広がる。ラジオの伝えるイラク攻撃は全くの別世界。
日勝パーキング7:10-8:501160コル9:03-10:38ペケレベツ10:44-
12:11145812:21-13:181337-14:32157614:39-14:461480
写真上:ペケレベツ北面 下:1576からの南望
3/22
太平洋から昇る朝日は荘厳だ。
ピラミダルな芽室西峰が凛々しく聳える。ペンケヌーシ分岐(1654)までは、小さなアップダウンを繰り返しながら登って行く。
ウエンザルから吹き上げる風は昨日より強い。1654直下は完全なクラストだが、広い上にさ程急でもないのでスノーシューで問題ない。頂上に立つと、素晴らしい展望が飛び込んできた。
1967の冒しがたい氷壁、はるか彼方にはカムエクの勇姿。もちろん、先週届かなかった札内もよく見える。北は夕張山地までクッキリ浮かんでいる。
1318コルからの急登沿いには、かなり発達した雪庇が続いているのが見える。これまで恐ろしい雪庇はなかったが、あそこは要注意だ。
1318へは、カンバの巨木を縫って急下降。
正面に屹立する芽室西峰の北面には、ダイナミックな雪崩道。すぐ脇の針葉樹林帯を直線状になぎ倒したに違いない。
かつて十勝と日高を結ぶ杣道が通っていたというコルから、首が痛くなりそうな400mの登り。一歩一歩進むより他はない。主稜線で400mを超す標高差は、他にカムエクの南位だろうか。
1500付近で、雪庇を踏み抜いて胸まで埋まるが、割れなかったので事なきを得る。端から15mは山側だったが油断は禁物だ。気温が上昇したため、時折ハイマツ帯に埋まりながら標高を稼ぐ。ニセピークから最後の30mはカチンカチンで高所登山の雰囲気だ。
西峰は見ても登っても甲斐がある。強風の中、念のためアイゼンに履き替えてハイマツ帯を下る。コルも風が強く、適地を見つけられず1690へ。時間も早いので本峰をピストンしてから下って幕営とする。烈風の芽室岳に座る。寒いが、阿寒や十勝連峰も覗いて満足。
西峰からは激しく雪煙が舞い上がる。
今思えば、午前中の通過で正解だった。この日は1280まで下る。この二日間はK君と一緒だった筈なのに、各自が勝手に稜線を歩き通したためか、殆ど会話らしいものを交わしていなかった。明日は下山のみと思うと、緊張がほぐれて酒宴に花が咲く。
14807:45-9:0016549:05-10:20131810:25-11:55芽室西峰
12:05-12:49169013:02-芽室岳-169013:35-14:261280
写真上:ペンケヌーシ分岐へ 中上:ペンケヌーシ分岐に立つ
中下:芽室西峰への急斜面 下:西日の芽室岳
3/23
夜になって季節風が本領を発揮したのか、テントがすっかり埋まってしまった。塞がった出口の雪を押し分けるのに一苦労。朝一番の仕事は、テント周りの雪掻きだ。
風はすっかり弱まった。空は昨日よりは少し霞んでいるが、今日も穏かだ。登りなら苦労しそうな柔らかい雪面を一気に下り、登山口へ。森には、春を謳歌する小鳥の囀りが溢れている。スノーシューのまま渡渉し、林道歩き。消えかかったスキーのトレースを頼りに、純白の稜線に見送られながら円山牧場へ。
12807:55-8:57芽室小屋9:08-展望台分岐10:30-10:50円山牧場
('03/3/21〜23)