11/22
風唸る暗黒の空から湿雪が落ちてくる。なかなか外に出られない。夜が明けてからようやく始動。林道を歩き出すが、案じていた程の荒れ模様ではない。
595の砂防ダムを過ぎ、足を止める。二箇所の渡渉をすっかり失念していた。付近を見回すまでもなく、勢いよく流れる沢には転石など全く見当たらない。
気温2℃、小雪の舞う中、意を決して靴を脱ぐ。雪面に素足が冷たすぎる。愚図愚図してはいられない。すぐに渡渉する。初めの三歩までは温かく感じる。が、四歩目からは頭の芯から硬直してしまう。本能が目覚めたのか、意味不明の呻き声を上げながら向こう岸へ。すっかり憔悴しきってしまう。思考を取り戻すのにしばらくかかる。
もう二度と渡りたくはなかったのだが、直後に再度渡渉。帰りを思うと憂鬱だ。
五ノ沢林道の積雪は10cm程度。はじめ左岸、750付近で右岸に渡って再度左岸へ。結氷してはいないが飛んで渡れる幅。視界が悪くてやる気も出ない。
800を超えると旧林道も判然としない。910出合には集材道が見当たらない。うまく取り付けるかが不安だが、勘で広い方の左股に入る。幸運にも、960で取り付きを発見。
尾根を跨ぎながらジグを切る。潅木が邪魔だが結構しっかりと続いており、1300まで快適に高度を稼ぐ。それにしても、よくもこんな奥の沢にブル道をつけたものだ。
1300からは、木を掴みながらの尾根登行。ササの少ない尾根の北西側の方がややましか。1400付近では低木に悩まされる。
1542に出ると、冬の轟音。積雪はわずかだが、はかどらないハイマツ帯に消耗する。一気に‐8℃まで低下している上に、全身を叩く西風が一気に体温を奪う。尾根からわずか東に下りたササ原に、風の当たらない適地を見つけ、幕。小雪が降り続ける。
車(ピリカペタヌ出合)6:30-8:20五ノ沢出合8:30-10:00910二股-
10:25集材道取付(960)10:35-11:37127011:50-13:391542-13:541545
11/23
朝の気温は-9℃。稜線の東側では穏かな朝日に包まれるが、ひとたび尾根に出ると烈しい西風に晒される。昨日の雪でササ原はきりたんぽ畑になっている。
1590からは岩稜帯とハイマツが交互に現れる。積雪が少ないので巨岩を巻くのは楽だが、いつしか-11℃に下がっている。1655から遥か南方に望む札内には、雪煙がたなびいている。本当に届くのだろうか。
1610までは風の陰で比較的穏かだが、その先は一転して冬模様。指先も冷えきっている。鹿道らしい踏み跡も、ハクサンシャクナゲやハイマツに覆われて途切れがちだ。1625コルで稜線の東に逃げ、干芋を補給し人心地つく。振り返れば、十勝平野のパッチワークが鮮やかだ。
クラストしてきたので1720でアイゼン装着。が、1771を超えると暖かくなったせいか、再び柔らかい雪となって進まない。1800から200m程南下し、近くに迫ったピークを見上げる。この調子では頂上まであと1時間。下手をすると帰着が4時を過ぎるかもしれない。日没時間を慮り、残念だが無理をせず引き返すことに。
1771の北東斜面はナナカマド帯でスキーには最適だろう。徐々に雲が切れ、東には神威も見え始める。南に見える黒いシルエットは、1823と1839だ。
天場に戻るとさすがに安心する。青空をぼんやりと眺め上げると、ちょっと触っただけで壊れそうな雪片が煌きながら飛ばされていく。今日の西風は、ラジオで耳を塞がなくても過ごせる位に優しい。
十勝の夜景がシーイングで揺らめく。顔が痛む寒さの夜空には、天の川が流れている。
15456:30-7:4016557:50-8:331610-9:1516259:33-10:40
180010:45-11:301625-12:45156513:08-13:30165513:40-14:201545
写真上:きりたんぽ畑 中:勝幌拝めば心も和む 下:ピークに届かず
11/24
勝幌の背後から燦然と朝陽が昇る。申し分のない天候が少し恨めしいが、ゆったりした気分で下ることにする。
1542で戸蔦別流域を眺めているうち、雲が切れて67が神聖な姿を現す。戸蔦や幌尻は拝めないが、満足だ。下りは往路を戻るだけだ。
集材道に繁る低木の枝が顔に刺さって痛い。まだ暗い五ノ沢では、一昨日とは打って変わって結氷が進んでいる。小滝は来春まで動きを止めたようだ。
陽光の中、帰りは躊躇うことなく攻めの渡渉。脛まで浸かってインナーブーツも濡れるが、車までの距離は知れている。
15457:10-8:221290-8:559609:09-10:21五ノ沢出合-10:33渡渉点10:55-11:38車
写真:清らかな1967
('03/11/22〜24)