芽室岳〜神威岳 その1

(芽室〜1570)

暑いの何の

         


 4/27
 出発前夜、熊が沢山出てくる夢を見た。追い払っても近づいてくるのは好かれている証か。

 林道は芽室小屋まで問題ない。先客は2台。気温が妙に高く、霞んだ空に真っ赤な朝陽。ゆっくりと登りだす。

 固く締まった雪面を快適に登る。1000からはハイペースの日帰りパーティがトレースをつけてくれたので、更に楽だ。芽室西峰1400から上では昨日降った雪が積もっている。しかし、8時の時点で気温20℃とは。無風なだけに、脱水が心配になる。

 1690までの急登もアイゼン不要。やや霞んでいるが、コルからの南望は申し分ない。目指す札内ははるか彼方だ。芽室ピークで出会った先客は、熊の巣やカバノアナダケの場所を知り尽くした御仁。しばし歓談し、南下を開始する。

 南斜面のせいか、時折腿まで潜る。この時はまだ良かった喉の乾きも相当だ。1490の二つ沼付近は広大な台地で、巨大雪庇が発達している。無雪期にはハイマツに覆われるのだろう。

 気温は更に上昇し、腐れ雪に行く手を阻まれる。1633での休憩が効いたのか、それ程消耗せずに1622を登りきる。初日にこれ以上無理をしても仕方がないので、1622を越えた1590で幕。

 平和な午後だ。1726の東面はすっかり雪崩ている。はるか遠方には1967。全くの無風で、テント内なら下着一丁で丁度良い。ビールのないのが悔やまれる。

芽室小屋5:05-6:149606:20-7:3013307:45-9:27芽室9:47-11:53163312:13-13:131590

写真上:芽室西峰を仰ぐ 下:広い尾根 

4/28
 朝から薄曇り。凌ぎやすいが感動は薄い。出発から1時間弱、憧れの1726にあっけなく立つ。生暖かい朝東にはトムラウシと美生ダム。ルベシベへ突き上げるパンケヌーシ源流部が魅惑的だ。

 1520への下りでは、西風が強まる。この先、ルベシベ分岐までは崩れかけの雪庇と腐れ雪で消耗する。ここだけでもスノーシューが欲しいところだ。分岐に上がると足跡が現れる。ひょっとして熊?と恐る恐る近づいてみると新しいスノーシューのトレース。ピパイロ八ノ沢からルベシベへ向かったようだ。

 ここまでで予想以上に時間を食っている。先を考えないで歩くつもりだったが、天気の崩れが気に懸かる。枯死カンバの上にハイマツが1644南面のハイマツ帯を押し分けて下り、快調に雪堤を登り返す。

 と、突然足元の感覚が失せ、あっという間に雪庇の割れ目に落ち込む。ポッカリ空いた頭上の穴を見上げるうちに、言い知れぬ恐怖に包まれる。雪庇を蹴りながら何とか雪面まで這い上がり、生き返る。3m程度で済んだから良かったが、割れ間がもっと広かったら・・・

 勿論、そこから先では全く雪庇に踏み込めず、一歩毎に膝上まで埋まるためまったくはかどらない。1696までの辛抱、と自分に言い聞かせ歩き続ける。

 1600まで登るのに何時間かかったろう。かつてない苦しみだ。ストックの先も雪に取られかける。やっとの思いで1696に立つ。想像どおり、この先はキレット状なのでやや緊張するが、進んでいるのが実感できるので精神的に楽だ。

 1712手前の切り立った一枚岩は、靴幅しかないのでチロロ側の基部を巻く。1712から西に折れる尾根では、地面が出ている。すぐだと思った1590までが遠かった。この区間は夏も春もはかどらない。これ以上の雪漕ぎは御免蒙る。結局この日は鞍部1570まで。風が強まってきた。明日の天気はいつまで持つのだろう。

15905:26-6:2117266:28-8:2716448:42-10:05148010:14-169611:55-13:07170713:12-171213:45-14:371570

  

写真上:1726の夜明け 下:生命力
 

 


  • 印象: 腐れ雪の登り(特に1696まで)は精神的に辛かろう。尾根が広いからと言って油断はできない。