| 1260(札内川四ノ沢源頭) |
麓にさえ近づけずカムエクから引き返した三日後、「札内川に悪いイメージを残したくない」との口実で再度ピョウタンのゲート前に立つ。今回は東尾根なので初めから気が楽だ。 風はやや強いが、四日前に比べると格段に穏かだ。山岳センターの横を通り抜け、尾根に取り付く。H氏の情報通り、最初からスムーズだ。 一昨日の雨のせいか、細かい孔が穿たれたザクザクの雪面を踏みしめながら標高を上げる。気温は‐5℃。上空の青空とは対照的に、札内上流部には雪雲と轟音。 650を越えると尾根が痩せてくる。雪の間からは黒と黄色の縞ロープが覗く。どうやら夏道がついているらしい。720からは平坦な尾根歩きとなるが、伐採跡なのか若木ばかりで風情がない。780までブル道が登ってきている。北風が頬を刺すが、雪面の白さが増してきて心が弾む。 824にはテープが巻いてある。沢のどん詰まりでもない尾根の一地点に「南札内岳」というセンスのない名が冠せられているのは、日高では珍しい。ここを過ぎると、ようやくダイナミックな枝振りが目立つようになる。880から札内上流部を眺めるが、相変わらず真っ白で進む気が萎える。 しばらくアップダウンを繰り返し、950手前でやや急な登り斜面となる。遠く響くエンジン音は、ダム付近を除雪する重機のものか。950から1066までのヤセ尾根には細い木々が立ち塞がり、案外手強い。特に1000から1066のエゾマツ漕ぎはゆるくない。 ようやく1066を乗っ越すと、40mの急降下。クラストしていないので難なく下る。小雪が舞う。西風が続く限り、この天気は変わらないのか。左手奥へ伸びる白い筋は札内一ノ沢か。 国境から離れているので風も弱く、時折射す薄日に近い春を実感する。1201を越えてもピラトコミ下降尾根がうっすら見えるだけで眺めは変わらず、八ノ沢を正面に望む筈の1298まで行く気も萎む。 薮の登下降に終始した一日だったが、自分を鍛え直すには良い機会だったのかもしれない。 日没前の十勝平野に交互に点滅する、青と白の光は空港の誘導灯か。気づけば勝幌だけが暮色に染まる。明るい月夜だが、国境稜線は見るからに恐ろしげな雲の中だ。 夜半、重苦しい風が唸り続ける。テント内も‐12℃まで低下した。 1260に立つと、眼前にピラトコミが大きく聳える。カムエクはおろか、23も姿を現す気配がないので戻ることにするが、ここで小雪庇を踏み割って肝を冷やす。小規模でも雪崩は恐ろしい。 1240に戻ると、雪雲がペテカリ方面を隠し始めている。昨日と同じ空模様で、眺めは期待できない。真冬日の予報通り、-4℃までしか上がらない。強まる風から逃れるように、重いザックを背に往路を戻る。下りきると、ピョウタンのゲートが解放されていて何故だか拍子抜け。
コースタイム: 印象:1200からやや展望が開けるが、「労苦が報われる」程ではない。
トイレ: 上札内市街が最終。
細かいアップダウンにも疲れてきたので、1240で幕営。
太平洋から朝陽が力なく昇る。と、コイカクから南の稜線がぼんやりと茜色に浮かび上がる。ここから眺める右肩下がりのルベツネと、「長大」という表現がふさわしいペテカリ東尾根が印象的だ。
ピョウタンの滝5:43-8:13824-8:37880J8:49-95010:06-
10:58106611:13-12:321170J12:42-13:401240
12406:22-6:4012606:52-7:1712407:50-1170J8:15-
10:05106610:10-880J11:10-82411:25-11:55ピョウタンの滝