腐食しきったマフラーから発する愛車の爆音に限界を感じ、借り物車で久々の札楽古へ。入り口でW氏と待ち合わせ、夏道登山口に車を置いて本線よりも走りやすいペンケ札楽古林道へ。久々の二人行動なので気は楽だ。
蒸し暑い林道歩きも、存在感のあるオヤジの黒糞で一気に肝が冷える。きっとどこかから睨みを利かせているはずだ。
林道脇のロープで囲われた一角に、「2,4,5-T剤埋蔵地なので立入禁止」との看板。20年以上前の営林署による枯葉剤の不法投棄が、こんな山奥に未だに影を落としている。
オオタカも舞う広い河畔沿いの集材道は307まで。
岩盤の河床が目に優しいが、何故か魚影は薄い。明瞭なユックの道に導かれ、河畔林を一心に辿っていると、太古の感性が蘇ってくるようだ。暑さに耐えながら黙々と高度を稼ぐうち、500二股に出る。右股にはブリッジのトンネルが涼しげに口を開けている。
580二股から上流で沢は一気に狭まり、小瀑布が連続する。610では落差30mの三段の滝が迫る。雪渓から右岸の急な草付きにそろりと降り、ユックのトレース伝いに高巻く。小沢の出合う680から仰ぐと、遥か高くに国境が望まれる。

ここからも微妙な巻きが続く。
710の滝(15m)は倒木を利用して左岸から突破。肝心な時なのに、右上の岩角が遠い。珍しい780"四股"で下界を見下ろし一息つく。
が、核心部はまだ終わらない。直登困難な10m級の滝が続く。900からの雪渓はかなり急だ。930で右股に入り、あとは楽かと思いきや、嫌らしい巻きと微妙な雪渓が続き、安堵は遠い。1200付近の容赦ない急登は専らユック道頼みだ。十勝港を見下ろせる標高まで一気に登る。
水の切れる1290の急な雪渓ではピッケルが命綱だ。1300からはいよいよブッシュに突っ込む。安心だが体力の消耗が著しい。最初の潅木帯は案外疎だが、尾根付近の這い松には散々弄ばれる。直下(1410)からの夏道では急に体が動かなくなり、這うように頂きへ到達。無数の虫に出迎えられる。
眺めも風もない東コルでW氏とフンペク。
徐々に北側の稜線が雲海上に幻想的な姿を現す。十勝岳を照らす夕日と楽古川へ落ちる雲瀑が圧巻だ。
夜半に目が覚めると、雲天の隙間から天の川が覗いている。もしかしたら明日は晴れるかもしれない。
かすかな期待を裏切り、何となく夜が明ける。曇天なので鳥達の囀りに身を委ね、ゆっくり起きる。展望はそこそこだが、空は全体に白っぽい。前日の登りが堪えたのか、下りでは膝がガクガクだ。カンバ帯を過ぎ、蒸し暑い急斜面を一気に下ると玉の汗。ササが多いのでダニが心配だ。重くなってきた空と競い合うように、札楽古川へと駆け下りる。
('04/6/26〜27)
写真上:ようやく沢らしく 中:核心部の始まり 下:ゆるやかに流れる