妙敷山(大正ノ沢)

本流侮るなかれ

 折角の四連休も不安定な空模様。ヤオロを終えた放心状態では厳しい沢に近寄れない。比較的短い大正ノ沢を辿ることにする。

 採石場に車を駐め、出合の対岸に降り立つ。股まで浸かる戸蔦別本流の流れは強く、初めから緊張を強いられる。

 細い流れを、河原伝いに遡る。地形と無縁な「大正ノ沢」との命名では、昔を偲ぶ想像力も働かない。肌に感じる空気の冷たさは秋の深まりを感じさせる。わずかに沢らしい

 735を720と見誤って一度右に入りかけるが、いつまでも右岸が涸れているので引き返す。735を左股に入ると、しばらく広いガレ場が続く。850で右に入りかけるが、15mの滝にぶつかって頭を冷やす。二度も読図ミスを犯すとは、気が緩んでいる。

 850を左に入るが、20mも登ると伏流に。見通しのない蒸した涸れ沢を潅木をかき分けながら突き進む。経験上、もう一度水に会えると分かっていても不安は消えない。

 喘ぎながら登るうち、1060で再び流れが現れる。天気は下り坂だが、まだなんとか青空が覗く。

 ひっそり紅葉1200付近で小瀑が続くものの、殆どが直登可能だ。1300を過ぎ、流れを塞ぐエゾマツやカンバの風倒木をくぐりながら標高を稼ぐうち1430で水が切れる。いつしか上空は薄雲に覆われている。

 ここから稜線までは薄いが急な薮が続き、スカイラインも見えずはかどらない。2時間近い退屈な薮漕ぎの末、曇天のピークへ。予想通り、潅木に覆われて展望は利かない。戸蔦別流域には雲海が押し寄せ、峰々の頭だけが望まれる。

 下りだすとすぐに濃いガスに包まれ、視界を失う。押し寄せる下降点に結わいつけた赤布を見失って一瞬焦る。丹念な探索の末になんとか見つけ出し、一安心。

 辺りが暗くなったと思ったら雨粒が落ちてきた。岩が濡れても特別な難所はないのでどこか気は楽だが、本流の増水だけは気懸かりだ。

 本流の出合に到達。ゴールが見えている分余計に恐ろしいが、幸い増水はしていない。渡渉中に杖が折れ、流れの真ん中で四つ這いに。体中が濡れるが、流される訳にはいかない。意味不明な叫び声で気合を入れ直し、ほうほうの体で対岸へ。すっかり冷え切った体で、無事帰着できた安堵感に浸る。

写真上:プチ滑滝 中:最後の青空 下:沈黙の戸蔦別川

('04/9/24)

  • コースタイム: 
         5:28-6:417356:47-8507:30-9:1313409:21-
        稜線(1600)10:30-11:17妙敷11:52-134013:04-14:0985014:11-
        73514:32-15:08

  • 印象:眺めが開けないので沢地形は実感できない。沢らしい見せ場は乏しいかも。