北海道は、来年(2002年)から春のヒグマ駆除を渡島半島で再開するという。「科学的データに基づくので、以前の駆除とは異なる」、と主張する割りに、道は具体的な捕獲頭数や駆除基準を示していない。おまけに、始める前から「成果次第では日高山系や夕張山地にも拡大」という方向を示している。対応に迫られ、一番手っ取り早い対策として、駆除再開を宣言した、という意地悪い解釈も成り立つのだ。 駆除よりも専門職員の育成が急務、という意見もある。確かに、地域ごとに専門職員を育成し、地元の人々を巻きこんで、その土地のクマをよく知ることが望ましい。適切な個体数管理や土地利用も可能になるだろう。 何よりも、「なぜ、クマがあえて危険な人里に出てくるのか」、という根本的な問題に踏み込まないのが気がかりだ。場当たり的な駆除は、問題を先送りするだけだし、一歩誤れば全道で2000頭しか生息していないヒグマを絶滅に追いやりかねない。 私たちの意識にも問題がある。多発する人身事故を受けた対応とは言え、「人と遭遇する可能性の高いクマを駆除する」(堀知事)という発想には危うさが付きまとう。そもそも、森や川を切り刻み、その恵みを吸い尽くす人間本位の活動が、クマを養えるだけの豊かさを、山から奪ってしまったのではないか。そのような便利さだけを追求し、不都合なものはすべて排除するやり方は、いつか痛いしっぺ返しを食らうだろう。クマの人里への出現が、私たちへの警鐘のような気がしてならない。亡くなった方々と、射殺されたクマの冥福をお祈りする。 |