体育の日は、山で紅葉の名残りを楽しめる最後の機会だ。同僚のTさんと南日高三山の一つ、神威岳へ向かう。
登山口となる神威山荘を目指し、国道235号線を浦河町荻伏から野深方面に折れる。この時期らしい高い青空。はるかかなたに神威岳の山容が望まれる。しばらくするとニシュオマナイ川に沿った林道となるが、あまりの長さ(27km)に閉口する。川岸の崖沿いに蛇行している上、路面もかなり荒れており、登る前から緊張を強いられる。
1990年築の神威山荘は外観も新しい。連休のためか、10台分以上ある駐車スペースが埋まっている。小屋の裏手にどうにかテントを張る。札幌から合流するO先輩の到着は、辺りが暗くなり始めた頃。運転には相当気を使ったろう。
翌朝、まずまずの天気である。予報では、ゆっくり下り坂のようだ。登山道は、ニシュオマナイ(ニセウ・オマ・ナイ=どんぐり・ある・川)川に沿って付けられている。本流に出るといきなり右岸への渡渉だ。登山靴で無理やり渡るが、この先の沢歩きを考えると沢の足ごしらえはあった方が良いだろう。その先は、広い造林道跡を辿る。440m二股まではこの道をのんびり進む。道が狭まり、一旦左股に下りる。ここを渡り、乗っ越して右股に下りる。
すぐに渡渉し、函の巻き道を辿る。
その先の踏み跡は不明瞭で、適当に歩きやすい方の岸を選ぶ。河原は比較的広く、この時期なので登山靴でも歩ける。
524m二股で一息入れる。この時期としては暖かく、歩くと汗ばむ。ここからは左(本流)を取るが、いつの間にか傾斜が急になっている。10月ともなれば、山は駆け足で冬に向かう時期だが、この辺の紅葉は所々にカエデの赤が映える程度だ。710m二股を右手に入り、5分もしないうちに赤テープが目に入る。尾根への取り付きだ。
ここからは日高ならではの「グイグイ尾根」だ。道はしっかりしている。三人各自のペースで登る。ダケカンバの黄葉の中、直登するうちに後方の眺めがどんどん広がる。少し平坦な1150m地点で道はやや右へ折れる。この辺りからニシュオマナイ岳からの国境稜線が前方に迫り、登攀欲が湧いてくる。
少し斜度が緩くなり、右手からは直登沢からそそり立つ岩峰、左手からはニシュオマナイ岳が近くなり、国境稜線との合流点(1450m)に出る。
合流点は一応分岐点だが、国境稜線にははっきりした踏み跡はないようだ。稜線に立つと、北にペテガリ、1839、ヤオロ、カムエクまで見渡せるものの、薄い雲が空を覆い始めている。
岩稜帯の稜線を少し歩き、北東斜面の笹藪につけられた山頂への道を進む。標高差程遠くは感じられない。ハイマツ帯を少しだけ縫って頂上に達する。強風の頂上からは南方に鋭い山容のソエマツ、ピリカ、楽古が望まれる。山は全体に赤茶色で、すっかり冬支度を進めている。初め雪を頂いた大雪まで見渡せたのだが、みるみる雲に覆い隠されていく。展望が得られたのは幸いだ。
天気が下り坂なら長居は無用、と下山は夏道を忠実に引き返す。迷いやすい場所はない。('99/10/10)
写真上:中日高秋景 下:ソエマツ岳