芽室岳

赤ワインのうめきと共に


 前日飲み過ぎた赤ワインがまだ頭の中を駆け巡っている。帯広から羽帯までの記憶もはっきりしない。当然カメラも忘れてきた。一緒に登る約束のSさんとの待ち合わせ時間はとうに過ぎている。おまけに空はどんより。ひょっとすると帰ってしまったか、との不安を胸に円山牧場の先から林道に入る。路面は悪くないし、標識も出ていて二日酔いでも登山口まで迷うことはない。こんな時間から対向車か、と思ったら、なんのことはない、同行のSさんである。平謝りし、登山口へ向かう。

 小さいながらもしっかりした小屋の前に車を停める。駐車スペースは結構広い。先行は2台。沢にかかる木橋を渡り、登山道に入る。  

 最初から尾根に取り付く登山道は日高にあっては珍しい。刈り分けも十分すぎる位で、迷う心配はない。唯一の敵は二日酔いだ。地面が近く、傾斜が倍以上に感じられる。Sさんも「酒臭い」と迷惑顔。こんな不心得を怒ってか、空も前日とは打って変わって暗い。  

 周りを見渡す余裕もなく、地面とにらみ合いながら高度を稼ぐ。尾根とはいっても途中の展望がないのは日高だから仕方がない。カンバの紅(黄)葉にはまだ早いようだ。針葉樹林がいつしか広葉樹林に変わっている。比較的傾斜が緩いのが幸いだ。徐々にペースを取り戻し、ハイマツが混じるようになると、高度感が出てきた。  稜線に出、左に折れると東峰は間近である。コケモモ・ガンコウランの実もちらほら見える、高山の雰囲気漂う砂礫帯を踏みしめ、ピークへ。雲のため展望は利かないが、休憩するうち頭上にポッカリと青空の窓が覗く。すっかり高く、澄んだ青さは秋そのものだ。  

 山頂で体を横たえ、なんとか通常に近い体に戻る。鞍部の向こうになだらかに続く西峰まで足を伸ばす元気は、当然ない。下山は来た道を引き返すのみ。特に迷いやすい所はない。頭は既に次回の七つ沼へ飛んでいる。  

 下山後、清水町の温泉フロイデ(日帰り350円)に浸かると、全身がふやけていった。('98/9/6)


  • コースタイム: 時計さえ忘れるていたらくだった。およそ登り3時間、下り2時間弱

  • 印象: 道ははっきりしているし、傾斜もきつくない。ピパイロ・チロロ方面の展望が利く。
        アプローチ・コースタイムとも比較的短いので、日帰りには最適。

  • トイレ: 芽室岳登山口の避難小屋にあり