走りやすい野塚林道をひたすら沢に沿って進む。無理をせず道が川を渡っている手前に駐車し、歩き出す。日の出は見えたので雨にはならないだろう、そんな希望的観測を胸にしばらくは林道歩き。
411二股の土場には車が数台(すべて釣り)。急に林道は途切れて沢に入る。あまり明瞭ではないトレースを辿り、程なく430二股着。ここは広いので間違えようがない。ブル道がついているのでそれに沿って右股に入る。露で早速全身ビショ濡れだ。
沢はここで大きくU字状に屈曲している。あっさりと570二股到着。地形図から想像していたより小ぢんまりしている。空は明るく、すぐに崩れることはなさそうなので左股を取り、オムシャに向かう。
最初の釜が曲者。右岸の泥壁を崩しながら強引に突破。ひょっとすると左岸が正解かもしれないが、下りは遠慮したい。この先も滝(多くは滑滝)が連続する。易しめで巻けるものが殆どだが気は抜けない。細かい雨粒が落ちてきて気が滅入る。
740の滝では右岸を大きく巻きすぎて、河原に下りられず難渋する。崩れやすい岩場をなんとか飛び降りる。780の滝は落差3m程度で幅は狭いが両岸ともツルツルで手がかりがない。大巻きには懲りていたので、両腕で左岸、両足で右岸の岩を押さえ、「つっぱり棒」の体勢でじりじり登る。ここを勝手に「SASUKEの滝」と命名する。
825を右股に入ると、水量の減った沢の表情は一気に和らぐ。小さな滑滝を次々と越えていく。見た目は急な970の滑も中を快適に直登できる。雲が上がり、わずかに青空がのぞく。
1070で伏流となり、ほどなくゴーロに出る。結局スノーブリッジは一箇所もなかった。天候回復はぬか喜びだったようで、時折ガスの中に。足元のイワウメが映えない。対象的に東の空は雲が低く、振り向けばコバルトブルーの広尾の海。
トレースが判然としないので適当に登っていくと、コルよりもだいぶ上で稜線に合流する。ヤブ漕ぎもなくオムシャの頂きに立つが、真っ白で面白くない。風は強くないものの気温が低いので、少し下った岩陰で体を休める。ポットの茶が有り難い。ここからは稜線が望める。トンネルを挟んだ西側斜面には、日が当たっているようだ。
体が冷えないうちに出発。
野塚への尾根は部分的にヤブ漕ぎだが、背は低く歩きやすい。忠実に尾根の地形を辿るのが吉。岩場には大体尾根の西側に踏み跡がある。ハイマツの赤紫の花が地味ながら美しい。
大きなアップダウンもなく進むうち、トヨニ川からニオベツ上二股に抜けるという三人組(Gさん、Kさん、Tさん)とすれ違う。山で会うのは初めてだが、皆さん爽やかな表情だ。
時折薄日が射す1220へ。ようやくガスが抜け、礫地に咲くヒダカゲンゲの向こうに野塚本峰が現れた。野塚平まで一度下る。幕場には適しているが、辺りを花が埋めていて踏みつけたら良心が傷みそうだ。
野塚ピークへは一息だ。山名標が置いてあるのには驚いた。トヨニは雲の中だが、1300以下は見渡せるのでそこそこ眺めは良い。
休んでいるうちに、ガスが立ち込める。仕方ないので下山。野塚平からの下降点を見つけるのにやや手間取る。最初、獣道様のうっすらしたトレースを取るが自信を持てず、一度引き返し、付近を偵察。「ここしかない」と確信してから下り直す。草付きの急斜面を一目散に下るうちに、小さな滝が現れる。
こちらの沢はオムシャ側よりも広く、大きくU字状にえぐり取られた形になっている。明るい雰囲気の筈だが、小雨が落ちてきて陰惨な気分になる。770の滝は浮き岩が多く、落石注意だ。600までは小さな滝が連続する。大きな危険箇所はないものの、時折、適当な巻き道を見つけられず苦労する。怪我だけはできない。
570二股に出れば、あとは鼻歌混じりに来た道を戻るだけだ。('02/6/23)
写真上:滑滝を越えて行く 中:イワウメ(右上)と野塚西峰
下:南日高には双耳峰が多い