5時過ぎに到着した登山口はまだ暗い。おまけに寒いので、歩き出す気になれない。
薄明るくなってきたので出発。「ポンヤオロマップまで6km、ペテカリまで14km」この手の距離表示は役に立ったことがない。今回は久々の尾根歩き、沢の緊張感はない。取り付きは急だ。ただただジグを切って登山道を辿る。
450で尾根に出る。小さな鉄梯子を越える。
650付近からは、時折見事なエゾマツの巨木が眼前に現れる。この時期になると、落葉樹の葉は全て落ち、すこぶる見通しがよい。右に目をやると、ポンヤオロ北尾根が赤く染まっている。北尾根1240の北側はカール状で、急な斜面は所々崩れている。標高が低い割に、変化に富んだ地形が見て取れる。
登山道自体は単調な樹林帯で、急登もない。843からは、木々の間からわずかに南日高が望まれる。陽が昇ると暑いくらいで、この季節としては勿体ない程だ。
936を一度乗っ越してから、急ではないがおよそ200mを一気に登る。ササが出てくるとほどなく「1119標高点」だ。
尾根はここで西に折れ、せっかく稼いだ標高を使い果たす。樹林の中の細かいアップダウンが続き、以前歩いた祖母傾の縦走路を思い出す。道はしっかりしていて、迷いようがない。天気は最高で、南方にピリカ、ソエマツ、早大尾根が見渡せる。
風がないのは幸せだ。
前方に聳える三角形のヤブ山がポンヤオロだ。南尾根が迫ってくると、ようやく最後の登りだ。標高差300m強だが、最後の岩場、約100mがいやらしい。
急登を終え、ゆるやかな坂を終えると山頂だ。澄み切った青空が眩しい。今年最後の小春日和だろうか。白くはないが、国境稜線はばっちりだ。東は勝幌、北はエサオマンまで遠望がきく。ルベツネ南東斜面に襞状に刻まれた谷と、1720南のカールの美しさに息を呑む。ここから見る限り、「ペテカリCカール」よりも「ルベツネカール」の方がふさわしい。
「ペテカリ東尾根が、この先どうなっているのかこの眼(足)で確かめたい。」ゆっくり昼寝でもすればいいものを、貪欲な性分が前へと進ませる。短い昼間を逆算して、折り返しを10時に設定して出発。
下りきると山頂では木で隠れていた南方の眺めが広がる。アップダウンはさらに厳しく、特に1231の北東は急峻だ。特別なヤセ尾根ではないが、岩場によっては鎖、ロープも留置されている。
1417へはゆるやかな登り。1119同様、最後はササを漕ぐ。苦労の割には、展望は開けない。ここから3、4分南に下った平坦地が幕営地だ。夏に二泊分の水をここまで担ぎ上げ、ペテカリを往復するなんて想像もしたくない。タイムリミットだ。早大尾根JPが目前だが潔く引き返す。
ふと左手の谷に目をやると、キムクシュベツ沢支流に真っ黒な雪渓が残っている。殆ど日が当らないということか。南日高の谷の深さを見せつけられる。1231から上りきって、ルベツネとペテカリの展望が気に入った1330で大休止。秋らしい筋雲が峰々にアクセントを添える。
右手はるか下方には、ポンヤオロマップ川源流部の水面がキラキラと輝く。ポンヤオロを越えると、展望は楽しめない。前半のアップダウンが、ボディーブローのようにきいてきた。あとは何も考えずに戻るだけだ。
写真上:ルベツネ(正面)の渋い襞 下:晩秋の中部日高