札内岳(ピリカペタヌ沢)

この展望は癖になる

              


 気圧の谷がなかなか抜けない。せっかくの連休だが、南日高縦走は諦めて、唯一晴れそうな中日に札内を目指す。ピリカペタヌ沢なら、水量も大丈夫だろう。

 ここには以前、苦い思い出がある。6月の融雪期に、急な雪渓を詰めきれずに撤退したのだ。今回の水量は、その時よりはるかに少ない。五ノ沢から沢に降り、背の高い草が覆い繁った右岸の林道跡を突き進む。早朝から気温が高めで、結構続くヤブがうるさい。

 途中からは、右岸に近い新しい踏み跡を辿る。結構な人数が歩いたようだ。空が明らむ。やや広い八ノ沢出合まで約1時間。連休だけあって、テントが3張り。ここを通過すると、やや川幅は狭まるが、しばらくは傾斜も緩く、クルマユリが目を楽しませる。前回と違って、まったく雪が出てこない。巻き道伝いにスムーズに進むうちに、後方の勝幌が見え出す。 

 1050mあたりから、両岸が迫り、暗くなる。滝が連続するが、左岸に巻き道がつけられている。結構滑りやすい。ロープが下がっているが、触れないほうが無難だ。2つ目は結構な高巻きで、前回は雪渓のすぐ上にこの道が出ていた記憶がある。水温が下がってきたが、ここまで来ても、雪渓は出てこない。

 川幅が狭まり、渡渉を繰り返す。もう滝は終わったか、と思いきや、眼前に落差およそ30mの大滝だ。幅は広くて明るい。右岸に明瞭な巻き道がついている。ここを過ぎると、流れはやや急なカールに吸い込まれていく。

 当然ながら、勝幌からの稜線を辿った春とは景色は一変している。キンバイ、フウロ、無数のオヤジの糞が迎えてくれる。トレースは明瞭で、特に危険な個所もない。高度を上げるうちに、十勝平野の雲海が目に入ってくる。ヤブ漕ぎもなく、札内から北東に伸びる尾根(1810m付近)にぶつかる。最後まで雪渓を目にすることはなかった。ピークまでは展望は我慢だ。

 今期三度目の札内ピークは、またしても晴天だ。芽室からペテガリまで、青みを帯びた朝の稜線が一望できる。今年の残雪はやはり少なめだ。

 昼寝しようにも、虫が鬱陶しくて落ち着かない。目を落とすと、アブが交尾している。短い夏を謳歌しているのか。展望を満喫し、下山する。大滝よりも、その下流の滝の巻き道の方が緊張する。八ノ沢から下流では、膝以下の沢の中を歩く。ヒンヤリした水が、足に心地よい。720m付近の左岸に聳える岩壁は圧巻だ。('01/7/21)

 

写真上:ピリカペタヌ大滝 中:札内岳東カール 下:朝の国境稜線

  • コースタイム: 車4:06−5:03八ノ沢出合5:06−7:011360大滝7:06−8:09札内岳9:05
             −11:36八ノ沢出合11:46−13:00車

  • 印象: 雪渓が落ちきってしまえば比較的近い。滝の巻き道は、雨天時には要注意。        

  • トイレ: 戸蔦別ヒュッテが最終。