★★★★★......Excellent
★★★★..........Very Good
★★★.............Good
★★................Fair
★...................Turkey
1/2は★半分。

「セルラー」
The Cellular
2004米 95min.
David R. EllisDirector Chris Morgan/Screenplay 
John Ottman/Music Gary Capo/Photographer
CAST/Kim Basinger,Chris Evans,William H. Macy,Jason Statham

おお!この映画かなり面白いですよ!!

キム・ベイシンガーや名脇役ウイリアム・H・メイシー等が出演している んだけど、かなりB級テイストに感じる作品。
仮に別の役者が彼らの役演じてたとしても、面白い映画だったと思います。
昔、2番館の2本立てで大作映画の同時上映で前知識無しで たまたま観て、帰りはお目当ての大作の事はスッカリ忘れて、 その映画の話ばかりしてしまう、、、
そんな映画ってなかなか無いでしょー最近。
これはまさにそんな感じです。(笑)
上映時間90分そこそこってのもいいね。

多分、予備知識無しで観た方がいいと思います!
(特にストーリーとかは読まないほうがいい)
「セルラー」って浮かぶのはアレ、、と思ったらまさに 携帯がテーマの映画だったのか。

冒頭、キム・ベイシンガーが息子を小学校に送りつけたあと、 いきなり何者かに誘拐される所から始まり、それとは対照的な 能天気サーフー兄ちゃんの同じ時間軸の話に変わります。
キムが監禁された部屋に電話があって、その電話叩き壊されちゃう んだけど、なんとか回線繋いで助けを求めると、 この兄ちゃんに何故か繋がる。

そっから90分もの凄いテンポで話が展開していきます。
ちょっとオフザケも多いけど、ある意味ワンアイディアだけで 映画が成立しているので、そこが気に入りました。
冒頭フラれた彼女に、主人公がが苦し紛れに「ビーチにボランティアに 来た」って言うのが違う形で成立してしまうんですよね。

携帯が物語の主軸になっていて、日常誰でも経験ある「通話中の電池 切れ・電波切れ」とか、着信履歴のリダイアルとか、 携帯ショップが整理番号制でイライラするとか、そんなのが上手くネタとして 盛り込まれていて、上手い脚本だなーと思いました。

あとで知ったけど、原案はラリー・コーエン。知る人ぞ知る B級映画(C級映画か)の巨匠。「悪魔の赤ちゃん」とかね。
ジョエル・シューマッカー監督の「フォーン・ブース」は 彼の脚本で、こっちは固定電話の電話ボックスだけに 限定した話。
この映画は正反対のようで、主人公の携帯使いながら青年が 移動しまくる映画になってます。

メイシー以外の脇役も、気になる人が多くて、誘拐グループの 一人はあのガイ・リッチーの「ロック・ストック・&スモーキング ・バレルズ」「スナッチ」のジェイソン・ステイサムだし、 (この人地も怖いんでしょうね、たしか元ボクサー)
刑事の人は「トウルー・マンショー」の親友役だったノア・エメリッヒ 等、結構キャスティングが面白いです。

最初「あれ?こんな頼りないヤツが主人公?」ということと、 彼女はそんな彼にアイソを尽かしているのを観客に提示して おいて、わずか数時間の間に、彼が誰にも知られずに英雄 的な活躍をする。
観ていると思わずがこのクリス・エバンスを 応援したくなっちゃう作り!
ラスト「知らない女だ!」って言う所とかとっても良かったな。

上映している劇場も少ないし、すぐに上映終わるみたいなので、 気になる方はお早めに。。
まあ、DVDで観ても遜色ないような映画でもありますが、 劇場で笑ったり、ハラハラするのもいいですよ!
まさにジェットコースター・ムービー!と思ったら 「デッドコースター」の監督だったんですね。

kazuponの感想・・・★★★★

http://www.cellularthemovie.com/

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「ボーン・スプレマシー」
The Bourne Supuremacy
2004米 108in.
Paul Greengrass/Director Tony Gilroy,Brian Helgeland/Screenplay 
John Powell/Music Oliver Wood/Photographer
CAST/Matt Damon,Franka Potente,Joan Allen,Brian Cox

これを劇場で観て、面白かったので、改めて未見だった1作目の 「ボーン・アイデンティティー」を借りて観たという変則的な鑑賞を してしまった。

1本目は記憶喪失になった男が助けられた所から 始まるので、途中まで「こいつは一体誰なのか?」という 謎解き的要素と彼女との出会いの描写が主軸にある構成だったけど、 続編はその部分はほぼ省略して、過去の 彼が冒した任務のトラウマとトレッドストーン計画の謎に 迫るストーリー。

個人的には今2作目のほうがさらにテンポアップしてて、 さらに面白い映画になってると感じました。

ロバート・ラドラムの3部作の小説がベースとのこと (日本では「暗殺者」というタイトルで出版) 1作目はアクションシーンが多かったけど、今回は、 控えめで、ボーンの精神的な面に触れるシーンが多かった。

前半で起こる悲劇的な出来事が、ラストの過去の 出来事に繋がるシーンに上手く連動していて、 上手いなあと思いました。

カーチェイスシーンって、とても生々しくって 派手、というよりも「痛そう」なカーチェイスシーンが 秀逸だなあと思いました。カーチェイス映画より 出来いいんじゃない?
モスクワでロケしたのかな?運転席の横から他の車が突っ込んで くる描写なんてどうやって撮影したのか、と思う位 生々しい。

数日前に「きみに読む物語」観たばかりだったので、 あの厳格な母親役やってたジョーン・アレンが 女性諜報員を渋く演じてて、 また全然違うので、驚きました。この人いいですねー
彼女が出ている「カラー・オブ・ハート」がとても好きなんだけど、 彼女いると映画がぐっと締まる感じがします。

マット・デイモンって日本で人気あるのかな?微妙ですよね。 昔は(今もか)ジミー大西に似てるってよく言われてたけど(笑) ファンの人ごめん。
個人的には、「オーシャンズ12」の仲間にからかわれる ボンボンの役ってめっちゃハマってるなあと思うんですけど。

kazuponの感想・・・★★★1/2

http://www.thebournesupremacy.com/

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「きみに読む物語」
The Notebook
2004米 123min.
Nick Cassavetes/Director Jan Sardi,Jeremy Leven/Screenplay 
Aaron Zigman/Music Robert Fraisse/Photographer
CAST/Ryan Gosling,Rachel McAdams,Gena Rowlands,James Garner

いい映画なんだけど、なんとなく惜しい映画です。
個人的には現在から「過去に遡る」物語って好きな映画が多くて、 大好きな「素晴らしき哉、人生!」もそうだし、「ニュー・シネマ・パラダイス」 また「Love Letter」なんかもそうですね。
その過去の部分がドラマチック、ノスタルジックに描けていればいる程、 現在へのドラマに感動的に繋がっている物語に弱いんです。

この映画は、病院で痴呆症の女性に,同じ病院の入院患者の男性が、ある物語を 読む、その男女の恋愛物語が実際に映像で語られて行きます。
これ有名な恋愛小説が原作だとか。物語は正直かなりベタだと感じました。

この映画で良かったなと思った点。
@映画と原作そのものテーマ。
A映像がキレイ。特に、湖や農園周りのシーンは美しかった。
Bサム・シェパードのノアの親父がらみのシーン。

逆に??と思うところ。
@意図的に「ドラマチック」になる所を盛り上げない演出をしている感じを受けました。
 特に、彼が出した手紙が実は母親が持っていた場面。本当は一番盛り上がる所なはず。  また、二人の再会シーン等もそう。
A同様に、実は物語の二人は、この現在の老人二人である!という  のを初めて観客に気づかせることも意図的に途中でアッサリ提示?
B7年も相手の事を強く思っていたという描写が少なく、後半の  二人の再会がなんだか弱い。
C登場人物に深みが無く、薄っぺらい感じ。

原作がそうなのか判らないんですが、お金持ちの娘と田舎の貧乏青年の恋に お金持ち親が反対して、、、、ずっと手紙を書いてたのに渡されて無いって(笑)
ある意味典型的なベタストーリーを、直球勝負しないで、ハズして演出している分、 中途半端な印象を持ってしまいました。それとも演出力が無くてああなった?
んじゃあ7年間彼女のほうは手紙書かなかったの?とかツッコミ所も 実際多いですし。

とはいえ嫌いな映画じゃないです。部分部分はとてもいいし、 絵もキレイだし、特にノアの親父との交流のシーンをもっと増やしたら、もっと 彼女が彼に惹かれていた部分とかが強調できたような気が するんだけどねー。
「もっとこうだったらもっと傑作になったのになー」と思ってしまう映画でした。

今純愛ブームとのことですが、「セカチュー」も「いまあい」もまだ観てませんが これがやや気に入る自分はいけそうな気がしてきました(笑)
「いまあい」はなかなかいいらしいですねー^^
この映画もそのラインで宣伝してるのがありありとわかるんですが、製作サイドの 狙いは決して「泣き」ではないように思います。だから感動的になる 所も過剰な演出を避けているのかなあと。。。

ところでエンドロールにChemistryのプロモが流れるとの事が冒頭に 出て、それを観ないで出てきましたが(笑)映画製作陣にも、観に来た人にも ケミストリーにもマイナス面しか無いのでは?って思うんですけど。。
なんでそんなコトするんですかねえ。

kazuponの感想・・・★★★1/2

http://www.thenotebookmovie.com/

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「レイ/Ray」
Ray
2004米/英140min.
Joel Schumacher/Director George Andrew Lloyd-Webber,Joel Schumacher/Screenplay 
Andrew Lloyd-Webber/Music John Mathieson/Photographer
CAST/Gerard Butler,Emmy Rossum,Patrick Wilson

この映画のライヴのシーンは、リアリティがあって、ライヴの演奏する側からの感覚が 良く出ていて、映画中のバンドを映像化したものの中でも秀逸な出来栄え。
でも僕はこの映画に「ノレ」ませんでした。
本質的に音楽の素晴らしさを描いた映画では無かったから。

当然ライヴやレコーディングの風景を随所に入れて、ミュージシャン映画ならではの 作りはあるものの、、彼の弱い部分、ダーティな部分に多くスポットライトが当てられています。
その闇の部分が製作者の興味の対象だったんでしょう。
僕は観ていて徐々に製作意図そのものに疑問点を持ち始め、最終的には この映画に腹立ちを覚えるようになってしまいました。
そりゃ昔のミュージシャンですから、ヤク、女、金ってのは付いて回った問題だと思いますが、 そこに焦点を当てたら、ギャングの転落ものと同じじゃないですか。
(なんとなくマーティン・スコセッシのその類の映画と同じ感覚を感じた)
彼の音楽家としての才能、それから歌、そういったもへの尊敬の度合いが薄いのではない かと。全く彼の音楽を知らない今の子供達が何かのキッカケでこの映画を観たら、音楽その ものよりもそういった「ダーティ」な部分にのみ、興味を持つようになるよ。コレ。
しかも人生の途中段階で「はい、レイのドキュメンタリー はここまで!続きは次回!」って感じで終わりますし。

レイ・チャールズは昨年の6月に亡くなったから、まだ死後1年も経っていないですね。
勿論この映画は彼の存命中に彼の意見も入れながら作られた物だと思います。
とにかく、ほぼドキュメンタリーに近い感覚で作られていて、彼が18歳の時に シアトルに移ってバンドマンとしてのキャリアを始める所から、R&Bのアーティストとして 頂点に辿り着く65年くらいまでの約20年くらいの話。
その後40年彼は実際にはバンバン活躍する訳ですから、人生の半分までを描いたドキュメンタリー な訳です。
後半の人生は、成功した状態から映画のように平穏なままずっといくのかもしれませんが、 これだけ音楽史上多くの貢献を残した彼だからこそ、もっと典型的な転落もののような ステレオタイプな映画ではなくて、違うものを作って欲しかったと思いました。 特に絶対あったはずの他のミュージシャン達やバンドマン達との交流が 確執のあった同じバンドメンバーと旧友のクインシー・ジョーンズ以外一切出てこなかった のも気になった。
もっと色んないいエピソードもあったハズなんです。絶対に。
ここにも製作者の興味が音楽に向いてない事が伺えます。
だから音楽、バンドが好きな僕としては映画としては力作なんだろうけど、 好きになれない映画でした。ごめんなさい。

ジェイミー・フォックスは「コラテラル」でとても上手いです。
何でも元々ピアニストだったそうで、この映画でピアノ弾いてる所は彼の演奏が使われている との事。スゴイ!
この人は元々ものまねを得意とするスタンダップ・コメディアン だったそうで、この映画では「レイ」そのもの。
多分この映画で色んな賞を獲って行くと思うんです(オスカーも?)
でもレイ・チャールズって日本のものまね芸人もマネをするくらい、特徴ありすぎる (つまりマネし易い!)有名人だと思うんですね。だから、彼そのものとしてのマネ 演技になればなる程、どうしても「モノマネ」に見えてしまって。。。
映画観ながら、日本でモノマネし易い実在の人物を主人公にした映画、、、とか想像 しちゃいましたよ。

たとえば「Kunie/邦衛」。
田中邦衛の生涯をモノマネで演じきる!って映画あったとしたらどうかな?(笑)
ってそんなバカなことを映画観ながら考えてしてしまったのも、映画にノレなかったせいです。

日本ではレイ・チャールズR&B好きな通好みな人が知っているアーティストから、 「ブルース・ブラザース」の映画あたりから、何となく一般レベルまで知られたと 思います。
特に大きく認知されたのは、あの日本ではバブルな頃に流行った「We Are The World」 のラスト、R&Bシンガーらしく、主線を大きく外してアドリブっぽく歌ったので、 多くの人が「このジーサンかっこいい!」と思った事でしょう。 その後、毎年のように日本でコンサートする海外ミュージシャンの一人になりましたね。
日本って海外からはほんとドル箱でちょろい国だと思われてる、みたいな時期がありましたよね。 僕はレイ・チャールズ凄いと思いますが、多分コンサート会場そのものもバブリーな 観客の感じがしそうで(笑)あえて観にいこうと一度も思わなかったですが
ジェームス・ブラウンのライブとは違ってディナー・ショーもやってましたしね。
映画の通り、死ぬまで「音楽で稼ぎ続けた」ミュージシャンだったのは凄いと思います。

実は一度レイ・チャールズに至近距離数メートルで遭遇した事があって、 たしかロサンゼルス空港だったと思うんですが、数人のボディ・ガードが前に立ってて、 空港のベンチに一人で座ってました。
その感じ、たまたまだったんでしょうがとても「孤独感」を僕は感じたんですね。
そのレイ・チャールズの姿は今でも目に焼きついてます。

kazuponの感想・・・★★★

http://www.raymovie.com/

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「オペラ座の怪人」
The Phantom Of The Opera
2004米/英140min.
Joel Schumacher/Director George Andrew Lloyd-Webber,Joel Schumacher/Screenplay 
Andrew Lloyd-Webber/Music John Mathieson/Photographer
CAST/Gerard Butler,Emmy Rossum,Patrick Wilson

初日に観てきました。僕の鑑賞前の期待度については1月25日のブログ参照↓
http://yaplog.jp/kazupon/archive/75

素晴らしい!!
まず、アンドリュー・ロイド・ウエーバー版のミュージカルが好きな人なら 、かなり満足の行く出来栄えではないでしょうか。
ウチの近所のシネコンは土曜の夜でもあまり満員にならない所ですが、 一番大きな劇場がほぼ一杯になってました。
映画が始まってからの周りの期待と緊張感がビシバシ伝わったよ。
初日だったんでファンが沢山いたと思うんですが、 とにかく劇場が静まり返って、息を呑んで 集中して映画と曲を聴いている感じが伝わりました。
この雰囲気は結構珍しいです。

これだけ世界中にファンの多い舞台ですから、変に作家嗜好を 入れて作る訳にいかなかったんでしょう。
というか,あえてそうしなかったと思います。えらい。
思った以上に展開はミュージカルの通りに忠実に進みますし、 映画的な創作といえば、途中数回挿入される年老いたラウルと、 怪人の子供時代の回想くらいでしょうか。
怪人の過去のエピソードは??って感じでしたけどね(笑)
逆に、ドンファンの練習場面が無かったな、そういえば。 今まで舞台を見た時に理解出来てなかった部分もようやく判りました(笑) 特にマスカレード前の支配人達の曲の歌詞が良く判ってなかったんで、、

舞台版の方もどちらかというと後半少しダレるんですが、この映画も 同じ(笑)しかし、2時間半の長丁場を映像と音楽でグイグイ引っ張る 力は凄いです。あっぱれです。

著名な大スターの主演ものにしなくて良かったと思いますね。
歌に関してはクリスティーンのエミー・ロッサムはほんと凄いし。 (あのイーストウッドの「ミッスティックリバー」で殺されちゃう ショーン・ペンの娘やってた子が、こんな才能ある人だったとは!)
ラウル役のパトリック・ウイルソンはミュージカル畑なの?上手いです。
肝心のジェラルド・バトラーの怪人はCD聴いた限りではイマイチ だったんですが、映画を観るとさほど気にならくて良かった。
アントニオ・バンデラスがやる案もあったようですが、彼だったら やっぱりスター性が前に出てしまってバンちゃんの歌うオペラ座ーって 感じになってしまってたでしょう。

しかし改めてシネコンの大音響で聴くと、曲の良さを改めて感じました。
キャッチーな「オペラ座の怪人」よりも、クライマックスの劇中劇の Point of No ReturnやAngel Of Musicなどはじんわり染みて来ます。

美しい美術も、舞台をブローアップした感じで良かったです。
この映画が舞台を観た僕が違和感無く楽しめたのは、この 作品そのものが、劇場の世界(その多くは舞台上)が舞台にな っているからではないでしょうか。
たまにミュージカルを記録した DVDなんかも観ますが、実際生で観る以上の感激は得られない んだけど、これ究極の芝居を記録した映画ともいえますね。

僕のような作品そのものが好きな人にはたまらない作品だと思うんですが、 映画版で初めてこの作品に触れる人はどんな感想を持つのか 正直わかりません(笑)
物語としてはどうってことない話ですし、映画的なカタルシスのある物語 だとは思えませんし。
ただ言えるのは、映画で初めて観て、曲が気に入って、サントラを買って、繰り返し 聴くうちに舞台版を観たい!と思う人が沢山出てくるだろうなあと思います。
自分も例えば「エビータ」はあのマドンナの映画で始めて観ましたが→サントラ →舞台版サントラへと進みましたし(残念ながら舞台はやってくれないから観てない)
舞台ってのは生モノですから、その瞬間でのライブの歌と、毎日違う楽曲の 仕上がりってのが醍醐味のひとつ、そこがミュージカルの良さだとおもうんですが、 映画ってのは一度作ってしまうと、もうやり直しがきかない、そして 半永久的に観られていくモノなので、多くの人にこの 素晴らしい曲の数々を届けられる映画として、また、舞台版のファンを 裏切らなかった作品として残って行くでしょうね。

ジョエル・シューマカー監督って「バットマン&ロビン」がせっかくの ティム・バートンの世界観をゲイテイストたっぷりに描いてくれて あまり好きじゃなかったんですが、見直しました。やるね。

とにかくこの映画、DVDで観るのと大スクリーンの大音響で観るのとでは 天と地の差があると思うので、興味ある人は映画館へ行きましょう。!
最近夢の世界へ連れて行ってくれる娯楽映画少ないですし。これなんて 日常を映画を観ている間は忘れてしまう作品ですよ!
ミュージカルと同じ感覚を味わえるゴージャスな作品なので、 ミュージカルに行く気分で観る前にどこかで美味しいゴハン 食べて、ゆっくり楽しんで欲しいですね。

kazuponの感想・・・★★★★

http://phantomthemovie.warnerbros.com/

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「オーシャンズ12」
Ocean's Twelve
2004米125min.
Steven Soderbergh/Director George Nolfi/Screenplay 
David Holmes/Music Chris Connier,Peter Andrews/Photographer
CAST/George Clooney,Brad Pitt,Julia Roberts,Catherine Zeta-Jones,Andy Garcia,Matt Damon

えっと、昨晩観て来ましたが、翌日の今、、、、
どんな映画だったかサッパリ忘れてますね。終!
というのは冗談ですが、なんとなくそんな感想の映画でした。

前作オーシャンズ11(前の感想)はなかなか面白い!ソダーバーグやるじゃん!と思って観てたほうだったけど、感想もコメント凄く少ないですから、やっぱり、印象の薄い、 特徴が無い映画だったんですよね。
ほら、前作どんなだったかDVD持ってる人は別にして、ちゃんと覚えてます?
僕が想い浮かぶのは未だにラストのドビュッシー「月の光」だけです。(笑)
冒頭、1作目の出演者が巨額のお金を手にして、今何をやってるか?
というのが延々と語られますが、前作の印象が薄いので 「あれ〜こんな人いたっけ?」って感じなんですよね。

それで本作。はっきり言って脚本がイマイチ。
大筋としてヨーロッパの美術品を盗む対決が主軸にはなってますが、 それが主軸になりきって無い為に、すごく判りにくい話になってしまってます。
また、セレブが沢山出ているので、特にメインの4人(ジョージ、ブラピ、マット、ジュリア) 出演場面はアドリブがあったかどうかは別として、ジョーク交じりな感じが、 やり過ぎで、かえって散漫な映画になってる印象。
映画とは関係無いけど、最近プレミア来日でのインタビューなんかを目にしましたが、 終始マトモに答えずにジョーク飛ばしていて、映画も全くそれと同じ印象ってのは 如何なものかと。
あと、途中のヴァンサン・カッセルがアクロバット体操(笑)でレーザー探知をかわすシーン。
長すぎ!(笑)失笑が起こってましたよ。「エントラップメント」のパロですよね?これ。
その映画といえば、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ!
「ターミナル」も自然で良かったけど、これも 一人で映画を引っ張っているのではと思えるくらい存在感バッチリでした。
まあいい役どころなんでしょうが、ジュリア・ロバーツが「なんか疲れてそうだな〜」 って印象なのに対し、映画の中でも衣装7変化する、頭のいい刑事の役 どころはなかなか良かったです。峰不二子みたいだったね。

彼女いなかったら、この映画えらい事になってたかもです。
でもまー何も考えないで楽しめる映画としてなら、こんなもんでいいのかもなあ。とも思います。 最近これくらい力の抜けた娯楽映画少ないですしね。
どうせ、オールスターキャストの映画で、出るほうも楽しみながら出るんだったら、毎年 ささって作って(来年は当然オーシャンズ13!)昔の「初春狸御殿」(知ってます?) シリーズや、香港旧正月映画みたく、お正月恒例お遊び映画として続けて欲しいですね。
ラストは観客に向かって出演者全員が「Happy New Year!」とかね。
でも監督はソダーバーグじゃダメです。なんか秀才っぽい感じがどうもして、シャレが判らな そうな感じがするんですよね。この映画の欠点は実はそこかもしれない。
そうですねーベン・スティーラー監督とかなら面白そうだな。
チャウ・シンチーでもいけそう。(笑)

kazuponの感想・・・★★★

http://oceans12.warnerbros.com/

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「ネバーランド」
Finding Neverland
2004米/英100min.
Marc Forster/Director David Magee/Screenplay 
Jan A. P. Kaczmarek/Music Roberto Schaefer/Photographer
CAST/Johnny Depp,Kate Winslet,Julie Christie,Dustin Hoffman

ゆったりと、そして少し穏やかな気持ちで観れるとてもいい映画だと思いました。
主人公の作家バリの家や芝居劇場はなんとなく重苦しく描かれているのですが、 犬を連れて散歩に行く公園の芝生の緑や、別荘へ行く道などのシーンは 陽光が降り注ぎ、どれも印象的な美しいシーンに。

「大人になれない子供」の代名詞として「ピーターパン」が使われますよね。
そもそも「大人」と「子供」の定義っていったい何時からあるんでしょう。
僕は言葉で言う「子供」の中身ってホントは大人が思っている程子供じゃないとも思います。
だからこの映画の主人公がだんだんと子供達に対して一人の人間として向き合うようになる部分に共感。

映画はピーターパンの着想や物語にはあまり触れず(そのへんは、物語を知らない人に
は判りにくいと思うので少し不親切だとは思いましたが)子供達と過ごす日々を描写していき、 それらの体験が彼の創作のベースになっていきます。

本来人には豊かな「想像力」があるのに、年を取るにつれて色んな常識や慣例等を 身に纏っていくと、今まで知った何かに物事を当てはめてしまい、
新しいものが生まれにくくなったり、「楽しむ」事を忘れてしまっていたり。

そんな意味でも感動的なのは、小難しい顔をしている社交界の連中に混ざって 孤児たちを観客として招待して芝居が始まる所。最初は批評家顔で観ている 観客も、その芝居の素晴らしい内容でだんだん子供達と同じ笑顔に変わっていきます。
劇中の台詞にもあったけど、みんな演劇(Play)とはそもそも遊び(Play)であること、 楽しむことを思い出すんですね。
この映画、一応モノを創作する事に携わっている自分にとってはイロイロと 考えさせられる映画でしたね。

ケイト・ウインスレット、やっぱり上手いですねー。圧倒されました。
ジョニーデップも彼ならではの役って感じで良かったな。
彼の「ブレイブ」ってたしか唯一の監督作、評判悪いんですが、 これも家族への無償のピュアな愛についての映画で、僕とても好きな映画なんです。
とにかくおすすめの一本となりました。

kazuponの感想ー★★★★

http://www.miramax.com/findingneverland/

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「カンフーハッスル」
功夫 Kungfu Hustle
2004香港129min.
Stephen Chow(周星馳)/Director,Screenplay 
Raymond Wong/Music Poon Hang-Sang/Photographer
CAST/周星馳,元秋,元華,梁小龍

尊敬するチャウ・シンチー(周星馳・以下愛称の星仔と記します。)の待ちに待った最新監督作。
そりゃもう面白いに決まっております。あたりまえです。
とにかくこの映画、最近あまり観られなくなった、作り手側の「映画への愛」に満ち溢れた傑作だ と思います。
「食神」の頃にも庶民感覚でマトモに娯楽映画を作れる作家としては 世界1じゃないかと思いましたが、その考えはこれを観て改めて強くなりました。日本でやっと認知 されて来たのも嬉しい限りです。
これから観に行かれる方は出来たら「少林サッカー」のような笑いを期待しないで 観て欲しい。
笑いも当然あるけど、メインは自分が大好きだった功夫映画への オマージュでしょう。
「武状元蘇乞兒」(キング・オブ・カンフー」92年おもしろいですこれ)なんてかなり功夫寄りの作品はこれまで もありましたが、
数年前にジェット・リーとのコラボでブルース・リーのオマージュ映画を 作るプランがたしか流れ、今回の映画でようやくちゃんとした功夫映画 が撮れたんじゃないかな。
貧しい街をヤクザが脅かし、普通の人だけど実は武術の達人が守ろうとする、、というのは 香港クンフー映画王道のパターン。
本人の出番は少し控えめにし、前半部分は巨大な セット(これがいかにも古き良き香港活劇映画の雰囲気が出ていてグー)で シネスコ画面の中、住民3人が本来の力を発揮するシーン。もうここでぐっと来てしまいました。
最強敵のハゲのおっさんはブルース・リャン(梁小龍)ってのは知ってる僕らは驚きなんですが (なんせ昔の面影全く無いですから)本人以外の役者の見せ場にかなり時間を使っております。
星仔らしい笑い(例えばナイフがささる繰り返しギャグとかはいかにも星仔らしい。)は控えめです。
ラスト近くまではほぼ完璧な映画だなーって思ってましたが、達人として覚醒するのが いつもドラマチックに変貌させてくれる星仔の作風からしたら、ちょとイキナリ過ぎる点のみ 残念です。
それを差し引いても面白い映画には間違いないですが。
やっぱり星仔はクリエイターとしての努力が滅茶苦茶ある人だなーって改めて感じました。 映像もかなり凝った場面が多かったと思います。
これから過去の星仔の作品を見ようと思われる方に アドバイスですが、とにかく彼が製作にかかわっているもの「食神」「少林サッカー」など、、が 出演だけしている映画よりも数段面白い映画に仕上がってますからまずそちらから。
初監督作「0061北京より愛を込めて」から共通する彼の映画の特徴は
@主人公が前半は、頼りなかったり、ダサかったり、嫌な奴だったりする。このへんは 「ドラゴンへの道」の影響がかなり大きいと思われる。
Aその主人公が途中で「おおーそうだったのか」という力の持ち主だと判る場面が出てくる。
「0061」で言うとアニタ・ユンの前でぬいぐるみにナイフ投げて見せて、「失敗じゃないの」って 思われる所。実はハズした訳があったわけで、、、。
「少林サッカー」は二箇所。シンが蹴った缶が壁にめり込んでいるのを発見する所と、例の覚醒シーン。
Bベタなくらいの繰り返しギャグ。これの代表は監督作じゃないけど「チャイニーズオディッセイ1」の 火がついた股をみんなに何度も蹴られるシーン(笑)「食神」だと少林寺13鉄人?だっけ。あそこ。
C出演者に身内が多い。繊細な人なんで、映画が作り易くなるのかな?
Dヒロインは必ずハンディキャップがある。「食神」はブスメイク、「喜劇王」はナイトクラブの はすっぱな女の子、「少林サッカー」も自分がブスだと思っている女の子で、今回のは口が聞けない 設定でしたね。
現実ではすぐに競演女性とウワサになる星仔なんですが、女性は精神的に純粋で あってほしい、、という気持ちが現れているように僕は感じるんですが、、。ただ 演じているのが常に美人なんですけどね(笑)顔と性格の不一致で痛い目に遭っているんでは ないでしょうか(笑)
特に上記3作品は星仔の女性観がなんとなく出ていて面白いですね。
とにかくそんなこんなで香港映画にしては異例に時間を掛けて映画を撮る完全主義的なところも あるようです。
次回作が待ち遠しいですね!

★★★★1/2

http://www.sonypictures.jp/movies/kungfuhustle/

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「バッドサンタ」
Badsanta
2003米/米91min.
Terry Zwigoff/Director Glenn Ficarra,John Requa/Screenplay 
David Kitay/Music Jamie Anderson/Photographer
CAST/Billy Bob Thornton,Tony Cox,Lauren Graham,Bernie Mac

「ゴーストワールド」のテリー・ヅワイコフ監督最新作。
お正月に観るのもどうかと思いましたが(笑)
残念ながらなかなか面白かったけど期待ハズレでした。
隣の劇場の「スーパーサイズ・ミー」のほうがお客さんいましたね。
なにやらネガティブっぽい雰囲気はタイトルからして伝わります(笑)
ゴーストワールドも、「どんな映画だった?」って聞かれたら
説明が難しい映画でしたが、これもそう。
ビリー・ボブ・ソーントンがクリスマスシーズンのショッピングモールの
子供向けイベントのサンタクロースのバイトをしてるんだけど、
いつも泥酔状態で、子供には悪態つきまくり。
彼には裏の顔があって、実は毎年同じような手口で、クリスマスの夜に閉店した
モールの金庫を破る常習犯だったのである。
という話なんですが、裏の顔は実はどうでもよくて、話の本筋はデブでいじめられっ子の
男の子との奇妙な信頼関係についての映画になっています。
この監督は人の見方がシニカル、、というかマトモな人は全く出てきません。
特にあの少年、、、たしかにいてそうなんだけど、ステレオタイプのいじめられっ子 とはちょっと違うんですよね。
ゴーストワールドでもスティーブ・、ブシェミの一人モノの中年男性の描き方が絶妙で したが、この映画のビリー・ボブ・ソーントンも地ではないか(笑)と思える程、 いい味出してます。
コメディとして作っているんだろうけど、ブラック過ぎてちょと笑うのが難しい、、
そんな印象の映画でした。
ビリー・ボブはこんな役ぴったりですね。

★★★

http://www.wisepolicy.com/bad_santa/

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「ターミナル」
The Turminal
2004米/英129min.
Steven Spielberg/Director Sacha Gervasi,Jeff Nathanson/Screenplay 
John Williams/Music Janusz Kaminski/Photographer
CAST/Tom Hanks,Catherine Zeta-Jones,Stanley Tucci

最近の飛行機は座席にプライベートモニターがあって、好きな機内映画が選べる機種が増えて嬉しいですね。
この映画も香港帰りで関空直前に最初の30分だけ観てしまいましたが、、先程ちゃんとシネコンで鑑賞。
見知らぬ国の入国審査って判ってはいても期待と不安が入り混じる変な所です、、。
どの国に行ってもあのパスポート見せる所って当たり前に無愛想ですよね「ねーくすと!」って 感じでね。
映画サワリだけ観たあと空港ロビーに行くと、そんな空港の感じ、良く出しているなーって関心しました。なんでもこの空港 巨大セットなんだとか。
やっぱお金の使い方がハリウッドは違うね、、でもロケしてるように見え過ぎて、そんなにお金かかっている ように観えない映画でもあります(笑)
前作「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」は男の子向けエンタテイメントじゃないせいか、 なんとなくスピルバーグらしくない映画だなっていう印象があったけど、この映画もそうでした。
うーん可も無く不可も無くというか、、かなりアッサリしている映画です。
空港で知り合う人達とのエピソードもあまりにもとってつけた感じがするし、トム君がニューヨークに来た理由 も前半シークレットにしてる割にはなんだか弱い。また、トムの空港内の「敵」となるのが 自分の出世と保身だけを考えている「局長」だけって事になり、このキャラも極悪人でもないし 、どーも盛り上がりません。
この設定だともっとおもしろく出来たような気がするんですけどねー。スピちゃんだし。
ある意味「密室劇」になるストーリーだと思うんだけど、観ている方は空港が大きすぎるからか、 その構造はサッパリ判りませんし(笑)
ただ、あんな好意的な女性は現実にはいなさそうだけど、キャサリン・ゼタ初めていいなと思いましたね。綺麗!
何故あんな男と友達になってるのか?っていう局長の問いに
「あなたのような人間には一生理解出来ない事」って言う場面は良かったです。
僕はネイティブの英語判りませんが、トムの演技がどの 程度「異国人」として上手く演じているのかがこの映画のポイントだと思います。
「○○アルヨー」みたいなレベルなら台無しですもんね、そこが判らないのが少し残念。
つまらないかおもしろいかと言うと、おもしろい映画なんだけどねー。
ちょっとホロっとするし、息抜きに観るにはいいかもしれませんよ。
★★★

http://www.theterminal-themovie.com/

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「僕の彼女を紹介します」
Windstruck
2004韓国/英123min.
Kwak Jae-yong/Director, Screenplay 
Jung Hunchul/Photographer
CAST/Jeon Ji-Hyeon,Go Myungwoo

あまりの酷評で(読んでないけど雰囲気は伝わりますんで)見送ろうと思っていたんですが、
想像よりも面白い映画。(期待せず観たのも大きいかもですが)
宣伝は83パーセント?の人が泣いた?、、、カップルをターゲットにしてますが、本質的には 実はそういう構造の映画では無いんです。
香港映画やインド映画によくあるパクリ所満載、話はハチャメチャ、でも泣かせる所もあって、、、 という娯楽作品ってこんなもんで、これはそういうノリの映画です。
映画のテンポがころころ変わるし、発生するエピソードがあまりにも唐突なものばかりなんですが、それでも主人公の人となり! (ほんとは凄く正義感があって、性根が優しい)という二人のキャラクターが判る冒頭の 警察署前後のシーンは良いです。
二人は捜してもなかなか、ヘタすれば一生見つからない「気の合う人」。
これが映画のテーマだとすれば、日常のエピソードを何点か入れるだけで、「死」への悲しみは伝わってきます。
ただ、泣かせようという演出が、意図的なのがバレバレなのはこの映画の欠点だと思いまさした。 彼女が絶叫するシーンなんかは一箇所のほうが感動出来たと思います。
「猟奇的な彼女」は前半、二人のやりとりをコメディ風に見せておいて、後半、 その男の子が行方が判らなくなってしまった彼女の幻影を追うせつない展開がラストを劇的に盛り上げる構成だったけど、 この映画では前半は同じで、後半は女の子が死の幻影を追いつづける構成になってます。
ストーリーは相手の男の子に観客が好感を持つように作られているので、その彼がいなくなる後半はちょと弱い。
が、凡作なんだけど、憎めない魅力があるんですよねーこの映画。不思議だわ。
構成がどうとか、ストーリーが辻褄あわないとか、エピソードが滅茶苦茶だとか、そんな事言い出したら そりゃあんたダメに決まってますやん。なんでもありのインド映画なら面白がるくせに、、、、、。
ただ、XJAPANの曲だけは個人的には台無しレベル100でございました。
冒頭の「konockin on a heavens door」とか挿入のオールディーズ(曲名忘れた、、、バンドでカバーした事 あったくせに;;;)のアレンジ曲がかなりよかったので残念。
また、空撮とかカメラ回すの好きな監督ですな。

★★★1/2

http://www.yeochinso.com/

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「Mr.インクレディブル」
The Incredibles
2004米/英115min.
Brad Bird/Director, Screenplay 
Michael Giacchino/Music
CAST/(voice)Craig T. Nelson,Holly Hunter,Samuel L. Jackson

傑作です。PIXAR製のCGアニメはずっとクオリティ高いけど、またも凄い映画を作ったもんです。
よくコントや漫画で昔のヒーローが落ちぶれ、「昔は良かったなー」等とガード下で飲んだくれてる ようなパロディてたまにありますが(あくまでイメージ。)その世界をブローアップして、 冒険活劇の要素を贅沢に加味した一級のエンターテイメント作品に仕上がってます。
「トイストーリー」の頃は、人間がチラッと出る場面は違和感を感じさせるようになっていたけど、
この映画では人間の世界が舞台になっているものの、そのディティールはあくまでマンガ的に表現 終始して、3Dアニメであることを忘れてしまうほど、物語とスピーディな展開でおもいっきり 楽しませてくれる。脚本と演出の力だと思います。
アメリカ人なら「いるいるこんな家族」と思えるんだろう、典型的な中年夫婦メインの家族。
前半はホームコメディを観ているような楽しさで、その家庭が普通だからこそ、一転して大活躍 する後半、最高に胸躍る物語展開がうまい!と思った。
実は秘密の力があるけど、日常世界では使ってはいけない家族、、って設定は最近では「スパイキッズ」 とかもそうだったし、昔からたくさんありますよね。「妖怪人間ベム」とか(笑)
特に娘がゴスっ娘なのが笑えた。いままでアニメであんなリアルな女の子出てきたことなかった んではないかなーと思えるくらい、現実にありそうなキャラ。
主人公が保険会社に勤めていても、どうしても人助けをしてしまう、、ってとことか、黒人の ヒーロー仲間と夜な夜な「こっそり人助け」やってる所とかの細かいディティールが全てきいてます。
また各キャラクターがそれぞれ違う能力があるってのも、ヒーローもののお約束事を上手く使って 映画をさらにおもしろくさせる要素になっていました。
前作の2Dアニメだった「アイアンジャイアント」も、物語の素晴らしい映画だったけど、
下の「スカイキャプテン」の製作陣よ見習って!
技術云々はたしかに大切だけど、 やっぱり観ていて「ハラハラドキドキ」が作り出せるかどうかって大きいですよね。
★★★★

http://www.theincredibles.com/

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「ハウルの動く城」
2004日本119min.
宮崎駿/Director, Screenplay 
久石譲/Music
CAST/(声)倍賞千恵子、木村拓哉、美輪明宏、我集院達也

この映画最近の宮崎監督の映画の中では評価低い方だろうなーと思います。でも自分は最近のジブリ作の 中では一番好きかも。映画としてのクオリティは相変わらず高いですが、このなんとなく雑 な感じは好みです。
実は全く期待してない、、多分合わないだろうなあと思って観に行ったのですが(笑)
これまでの宮崎駿の映画で好みを挙げると「ルパン」「トトロ」「宅急便」「紅の豚」。。
どちらかというと軽い感じの映画が好きで、最近の「もののけ」「千と千尋」等はちょと重すぎるのと 説教臭い感じがどうも苦手、、、作品に力はあるのは認めるんですけどね。
ノリ的にはけっこうあっさりしていて前者 の映画群に近い感じで、想像していた印象と随分違う映画で気に入りました。
特に前半1時間くらいは、なんとなくハッピーな感じがずっと続きます。。。まさかこのままずっと行くのではと 期待したんですが(たまにはそんな映画があってもいいじゃない)、後半はいつもの宮崎節(笑) になっていきます。やっぱりねえ。
前半、主人公ソフィーが老婆になってしまうけど、悲しみ嘆くような描写は全く無く、街の風景や自然の美しさを 再認識する所。ちょっと最近の作品には無い爽快感があって良かった。
彼女の顔が老婆になったり少女になったり、その中間くらいになったり、置かれている状況 でどんどんと変わるのが印象深く、その説明は劇中全く提示されません。自分的には強い意志を 示したときに少女の顔になる、、、のではと思いましたが。。意見様々なんでしょうね。
人間は老いによってプラスになる事はあるけど、感覚が衰える事はその人次第って事が言いたいのでは。
ただ残念な点を挙げると、声は有名な人を使わないで、普通の声優さんでやって欲しかったなあ、せっかくの世界に入り込むのをジャマしているような気がします。特に主役の倍賞千恵子は ミスキャストのような気が、、
マルクル(子供)の声の子役が自然な感じで良かっただけに残念です。
原作がある話なんで仕方ないんだろうけど、主人公とハウルの関係が前作の千尋とハクとの関係に似ていて ちょと二番煎じな印象も。
ソフィーのように何でもない一日を美しいとか楽しいとか感じる小さな幸せをを、意味の無い戦いは ブチ壊していきます。ハウルがいったい何故、黒い扉から出かけて行ってボロボロになって戻ってくるのか、、
これは世界的に評価された宮崎監督になったからこそ、今、戦争について言っておきたい事を 少し、この映画にメッセージとして入れておきたかったのではとも感じました。
黒澤明が晩年に「八月の狂詩曲」でストレートに原爆への気持を海外に向けて発信 していたように。

★★★★

http://www.howl-movie.com/

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「エイリアンVS.プレデター」
Alien Vs. Predator
2004米100min.
Paul W.S. Anderson/Director, Screenplay Walter Hill,Joel Silver,Shane Salerno/Screenplay 
Harald Kloser/Music Keith Partridge/Photographer
CAST/Sanaa Lathan,Raoul Bova,Colin Salmon

昔なら「キングコング対ゴジラ」みたいなもんか(笑)
ってことはどっちかは子供、、じゃなくて人間の味方ーって展開になるのではと思ったら やはり、、。
南極に誰も今まで知らなかった謎のピラミッドがあって、そこに探検隊として派遣されたひとたち が閉じ込められてしまい、、そこは実は異性の生物の巣窟となっていて、、、
っていうプロットはなかなかおもしろいと思ったし、前半登場人物を丁寧に性格描写 しているのでちょと期待したんだけど、、ほとんどあっけなく序盤で死んじゃうので 全く意味無し。まあそこそこに楽しめる娯楽 映画にはなってると思ったけど。
はっきり言って、無理にエイリアンとプレデター出さなくても この設定使ったまま新しいキャラクターで映画作ったほうがB級テイストの おもろい映画が出来たんではないかなーって思います。
プレデターはまあおいといて、エイリアンって結構キャラクターとしては風格のあるもん だったと思ったけど、この映画で格落としちゃったね。
この監督は「バイオハザード」シリーズの監督だったのか、、、ありものキャラではなくて、 オリジナルなもので映画作ったら面白いの作りそうなんだけどなあ。

★★★

http://www.avp-movie.com/

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