The Battle of Evermore by 清水義央 (2004)


●KENSOギャラリーおよびDVD[AYR]の価格変更について

写真1 写真1
居酒屋“けいすけ”の御主人 小森啓資氏自筆、
“本日のお品書き”。
御主人の良心と工夫が満点だ。

写真2a 写真2b
写真2a
お品書きを前に、今日のメニューを熟考する御主人。
写真2b
お品書きを前に、今日のメニューを熟考する御主人。
   
写真3 写真3
かなりいいムードの御主人を“お品書き”とともにカメラにおさめようと真剣な表情でケイタイを駆使する小口氏。
前方には居酒屋に於いても新曲のリズム解釈について議論する清水、三枝、光田の姿が。
   
写真4 写真5
写真4
アメリカでの修行により、親指がすごくよく曲がるようになったと主張する三枝氏。
まだまだ修行が足りない清水氏。
写真5
新曲「あの頃モビーディックと」の解釈について熱く議論する清水、三枝、光田。
後方にて既にできあがっているかに見える陽気な人物は、、、、居酒屋“けいすけ”の御主人か?


新生KENSOのライブまであと一ヶ月、非常に充実し、しかも楽しいリハーサルを重ねている。
きっと、きっとエキサイティングなライブになることだろう。
観ないと絶対に後悔するよ!



[AYR]の定価が、「鬼気迫而暖ライブ2004」のチラシに“税込予価3000円”となっているのに、
実際の価格が税込4200円になっているーーなってしまったーーことについては、
既にこのコラムで一度触れているし、具体的に価格が決定した現時点で
何らかのかたちで触れないといけない思っていたが、関係者の一人から忠告されたこともあり、
きちんと説明することにした。
とはいえ、言い訳めいたことをぐずぐず書くのもなんなので、ここは自主制作でこれから
CDやDVDをリリースしようと思っている方にも多少役にたつような切り口で書いてみようと思う。

1980年に自主制作でファーストアルバムを発表してから約24年にわたり、
いわゆるメジャーのレコード会社、インディーズレーベル、そして自らのレーベルPathograph、
海外のレーベル、、、、などなどさまざまなフォーマットでKENSOの音楽作品をリリースしてきた。
所属プロダクションが全面的サポートしてくれるわけではないので、もちろん
MUSIC PLANTの野崎さんを始めとしてお世話になった方は数人いるが、
基本的には細々した雑用もすべて自分でやってきた。
経理やサンプル盤送付の宛名書き、、、とほほ。
音楽だけ作っていればよいのなら、なんて楽なんだろうと感じたこともあったが、
苦労して運営してきたおかげで貴重な人脈もできたし、人生勉強もさせてもらった。
屈辱的な言葉を投げかけられたことも80年代にはあったが、それも私の闘志をかき立ててくれた。
さて、そういったことを20年以上も続けてきたお陰で、ひとつのアルバムを作るのに、
作曲とか演奏とかといった純粋に音楽的な部分以外に、
どういったプロセスが必要で、どういった届け出をどこへ出さないといけないかなどとということに
ついては、だいぶ詳しくなった。もちろん今でも著作権の各論的な事柄について専門家に質問をして
「ええええええっ、そうだったの!」と驚くこともある。

でも、以上はあくまで“音楽CD”の制作に関してのこと。

数年前に初のビデオ「秘匿性心象」を制作、リリースした時、自分がいかに映像制作について
無知であったかを知らされた。もちろん映像について素人だということは百も承知であったが、
自分の曲を自分のビデオに使用する際に生じる著作権使用料というものが、音楽CDの場合と
ずいぶんと異なることに驚かされた。

そう、今回[AYR]の税込み予価3000円が税込み4200円に変更せざるを得なかった元凶がこれだ。
自分の曲を使用するのに、著作権料を支払うっていうのは、まあ、仕方ない。
日本著作権協会に自分の楽曲の管理を依頼するために「登録」したのは他ならぬ私なのだ。
世の中の仕組みに従うしかない。
しかし、高い!映像に使用すると高いのだ。
しかも、例えば「AYR」の場合だときちんとマルチレコーディングされ、スタジオで
“かっこいい音に”トラックダウンされた6曲だけでなく、リハーサルシーンで、
演奏が途中で止まったりしている“ちょい役”の曲にもかかってくる。
まあ、それはある程度は分っていたのだが、、、、。

でも、甘くみていた、、、、ことになるな。
著作権使用料に関する見積もりが出来てきて、「えっ、なんで?!」
「ええええええっ、こんなのにもかかるんだあ」と驚きました。
でも、仕方ない。
“作品”ということを優先させた場合、これらのシーンをカットするわけにはいかない。

とは言え、これはとても支払う余裕がないということで、カットした部分もある。
それは「陰鬱な日記」の直前に私が某ロックバンドの超有名リフをちょこっと弾いているシーン。
たった7秒なのに10万円(じゅうまんえん)以上!の使用料を払わないといけないという見積りが来た。
いやあ、驚いたね、これには。
こんなの払えねえよおおお。

ということで、この著作権使用料の予想を遥かに超えた金額が制作経費アップの第一の原因。
参考までに触れておくが、著作権使用料の計算の仕方には、CDなりDVDを製品化してくれる
会社と著作権協会との間で取り決めが色々とあるようである。
今回だけのことを言えば、基本使用料●万円プラスDVD一枚あたりにつき●●●円、といった具合。

次に、DVDのプレス(実際にディスクにする工場)の選択。
当初はアジアの某国の工場での安いプレス会社を予定していたのだが、
納期の正確さや細かいトラブルへの対応を考え、やはり国内プレスーー
「ハレ紀」の時にお願いしたのでコミュニケートしやすいということと、
会社国内有数のプレス工場であることから間違いや不良品が出る心配があまりないーーー
にしたことも、経費アップの一因。でも、[AYR]がここまでの作品に仕上がった今、
この選択でよかったと思っている。

さらに、これは作品として明らかに当初の予定を遥かに超えた充実した内容になったことに
つながるので、間違い無くよかったことなのだが、ビデオ編集者、レコーディングエンジニア、
ジャケットデザイナーといった実際にこのDVD[AYR]の制作に携わった方々の意気込みが
結果として制作費アップにつながってしまったという現実がある。
誤解を生まないように断っておくが、彼らのギャラが高かったということでない。
(むしろ、きっと普段の彼らのギャラからすれば、破格に安いのではないか)
最初に「あまりギャラは払えないけど」と、いう雰囲気は伝えてあるにもかかわらず、
それぞれの担当者が意気に感じて本当に献身的に作品を仕上げてくれているのを感じ、
私としても「こんなに一所懸命やってくれるなら、できる範囲で彼らのアーティストとしての
欲求にも応えてあげたいな」と考え始め、、、、少しずつ、制作費がアップしてしまったという訳だ。
例えばジャケットワーク、当初はCD[KENSO 76/77]的な文字だけのにして、とにかく
安くあげようと思っていた。
DVDの内容についても、最初の計画では「秘匿性心象」みたいに、ラフに映像をつないだものにし、
クラブチッタでのライブから数曲抜粋したシーンだけはきちんと見ごたえのあるものにしようと考えていた。
それが、どうだろう。
結果としてジャケットは新生KENSOが内包する潜在力を暗示する素晴らしい作品となったし
DVD[AYR]の映像は新生KENSOのスタートを飾るにふさわしい、
「ハレ紀」とは別の意味で見ごたえのあるものになった。

今回も「ハレ紀」同様、映像作家/野呂氏の多大な協力がなければ実現しなかったわけだが、
実は経費が膨張するのを「仕方ないね」と、ただ「仕方ない、仕方ない」と
見送っていたわけではなく、完成度の向上に注力しつつ、コストダウンの努力もしてくれていた
ことを感謝とともに強調しておきたい。例えば、、、

長時間収録だった「ハレ紀」ではクオリティーを優先したため片面2層にしたが、
[AYR]の編集段階では緩慢でムダなシーンは限界まで削って収録時間を抑え、片面一層でも
見劣りしない程度の画質で収まるようにした
映像の圧縮と映像/音声/字幕などの素材をDVDビデオにまとめるオーサリング作業を、
「ハレ紀」よりも廉価なシステムを使って大幅にコスト削減

また、制作途中に彼からきたメール、私に元気を与えてくれたメールを紹介しておこう。

『それとこれは(レコーディングエンジニアの)大迫さんとも話していたのですが、
「良いものを作りたい」という気持ちのある人間にとってはKENSOは
やはり他ではなかなか得られない環境です。
メンバーの皆さんも含めて携わる人間すべてが本気で取り組んだ結果ですから、そ
れをTDなり、編集なりをするとなると、生半可な気持ちでは取り組めません。音楽
が挑戦してくるんですよ、「お前に俺を料理できるのかよ?」って』

以上のような事情で、当初の野呂氏と「ハレ紀の半分の価格で出したいね」という希望のもと、
また、ライブチラシを印刷に回す締めきりの事情で予定価格3000円としたものが4200円になってしまった。
ご理解いただきたいと思います。

最後に、、、、
[AYR]制作に関わった方々には心から感謝しています。
こんな時代にあって、人間的に関わりながら、それぞれの才能や専門的知識、スキルを生かして、
ひとつの作品を作り上げるというのは大きな価値のあることである。
4、5年もすれば「ああ、そういやあ、そんなバンドあったね」と忘れ去られてしまうような
セールス第一主義、マーケティング重視の作品を作ることでは絶対に得られない喜びがここに在る。



拝啓、おもしろ情報室

8/15クラブチッタ川崎でのKENSOライブに遠方からはるばるおこしの方々に
ひとつ面白い情報をお教えしよう。
いや、面白そうな、、、というべきか、いや、人によっては面白いかも、、、、
私は楽しめそうなんですけど、、、という極めて自信のない情報です。

川崎市市民ミュージアムというところで「日本の幻獣」展/未確認生物出現録という催しが
7/3から9/5まで開かれてます。ただし、ライブの翌日、月曜は休館。
人魚のミイラとか、、、ははは、なんで私がこんな宣伝してんねん。
でも、私は行ってしまいそう。
だって、新聞に折り込まれた地方情報紙に載っていた人魚のミイラの写真がかわいいんだもの。
でも、行っている時間ないかもなあ、、、ライブさえなければなあ、、、冗談冗談。

御興味のある方のために、、、開館時間とかは自分で問い合わせてね。
電話は044-754-4500
http://home.catv.ne.jp/hh/kcm/

つまらなくても、私は責任を負いません。
場所は、川崎駅からはちょっと離れているようです。

それと、川崎までの長旅のお伴に最適な本も紹介しておこう。

岡田尊司著「パーソナリティ障害」PHP新書だ。価格は780円。
私自身、自分の毎日の歯科臨床でも
「うーーーむ、この人のこの感じ方はどういうことなんだ。」と首をかしげて
しまう患者さんがいたり、一方私生活では突然“異常”としか思えないメールを送ってくる人がいて、
数年前からパーソナリティ障害について興味があり、自分なりに本を読んできたが、この本はとても
分りやすく、周囲にこういう人がいる方や、自分もそうなのかなと感じている方にも
おすすめ。「何それ?関係ないよ」と言う方も、将来こういった人と出会う可能性もおおいにあるわけで、
その時に大きな過ちをしないためにも知っておいたほうがよいと思う。
著者は私より3歳ほど若い精神科医だが、医学部の前に哲学科に学んだ方で、その思索の広がりにも
好感がもてる。もちろん私は精神科医ではないので、専門的にみてこの本の価値がどれほどなのかは
分らないが。
ただし、“境界性パーソナリティ障害”や“自己愛性〜”“演技性〜”“反社会性〜”あたりまでの
分類にはついてゆけたが、その後も次々とでてくる種類には正直「まだあるのかよ」と感じてしまった。

まあ、でもたった780円で「パーソナリティ障害」についての概略は知ることができるので
なかなか良い本だと思う。
ちなみに同じ著者で平凡社新書から「人格障害の時代」という本も出ており、立ち読みをしたが、
うーーーん、立ち読みだから何とも言えないが、PHP新書「パーソナリティ障害」のほうが読みやすそうだ。
あとは、皆さんの判断で、書店で手にとってみてください。

7/17,18と日本歯科心身医学会へ出席し、久しぶりに音楽や町医者としての慌ただしさから離れて
リフレッシュした。興味のある分野の勉強は、やはり楽しい。体は疲れたけど。

あとはライブへ向けてエンジン全開だ!!
その前に、40肩と背中の寝違えを治してしてもらおう。

書を捨てマッサージへゆこう、、、

7月19日

追伸 はみだし情報室

昨年同様、FM世田谷「おやつ気分で茶っとタイム」に出演します。
26日からのOAになりそう。
OAの時間などは決定次第ニュースページにて。
モノマガジン通算500号記念号、御覧になりました?
一ケ所誤植がありました。
「ハレ紀」は“昨年”ではなく“一昨年”のライブを収録したものです。
モノマガジン編集部が選んだKENSO必聴盤3枚、いずれもジャケットが美しいですね、、
なんて、、、他人事のように、でも自分のことのように、なんか嬉しかったです。


●「あの頃ペニーレインと」と「あの頃モビーディックと」

お子さんをお持ちの方は、それぞれ情操教育というものに関心がおありだろう。
ことにむずかしい年頃すなわち思春期をむかえようとしている子どもの心の教育というのは
大切であるのは言うまでもないが、これが現実にはなかなか難しい。
ジークモンド・フロイトの説を全面的に認めるわけではないが、性エネルギーというのは
測り知れないものであり、、、、

という前置きはさておき、インターネットや氾濫するマスコミのいい加減な情報から
我が子を守るため、親は色々と心を砕くという話から今日は始めよう。

あ、今日はJ-POPのファンの人も読んで大丈夫よ。
従って抗議のメールを書くための虚しい準備もいりませんよ、ははは。

さて、昨年秋だったか、妻と「そろそろ我が子に“純愛”的な映画を見せておいたほうが
よいのではないか」という相談をした。
これには色々な経緯があるのだが、長くなるので省略。
でも、思いませんか?
この時代に子どもの心を健全に育ててゆくのは大変なことだと。
インターネット、明らかに歪んだ性表現を満載したコミック本、、、、

きちんとした恋愛、まあきちんとした恋愛というのもおかしな表現ではあるのだが、、
そういう映画や文学に触れさせておこうと我が家では話がまとまったと。
(でもそれは「世界の中心でプログレ!と叫ぶ」とか、「世界の中心で変拍子で踊る」とか
 そういうことではないからね、念のため)

でも、私も音楽と違って、そんなに沢山の映画を観ているわけではないので、誰か映画に詳しい人は
いないかと考えていたら、、、、いるじゃないの!
DVD「ハレ紀」と「AYR」を制作してくれた野呂さんが。
というわけで、あまり過激な性描写(これは経験ある方もおられるだろうが、
一緒に観ている親の方がテレるのだ)のない良質な恋愛映画をいくつか挙げてもらった。
その中のひとつが映画「あの頃ペニーレインと」だった。

野呂さんからの最初の回答__________________________

KENSO清水さんとしてはやはりこれではないでしょうか。
米国ではそこそこ当たったものの、日本ではまるで宣伝されず知名度は低い映画で
す。

http://www.sonypictures.jp/archive/movie/almostfamous/
http://www.sonypictures.jp/homevideo/catalog/catalogDetail_JPDVDTSDD-32180.html

しばらく廃盤になっていた161分版が再発されましたが、レンタルで劇場公開版の
123分版があると思います。私の場合、青臭いだけの青春映画だと見る気にならな
いのに、レンタルで見て気に入ってDVDを買ってしまった唯一の映画です。「現代
ハリウッドの良心」という感じでしょうか。

何しろキャメロン・クロウがローリング・ストーン誌のライター時代を自ら描くと
いう内容だけに、考証のいい加減さがなく、70年代の雰囲気を見事に再現していま
す。でもそれ以上に内容が良いです。そんなに深いテーマがあるわけじゃないです
が、無理な感動路線でもないので心地良い映画です。

ただしLSDでラリったDJが出るシーンなんかもあるので、家族で見るのは「?」で
す。主人公がグルーピーに童貞奪われるシーンとかも。ただし全編を通して露骨な
ベッドシーンはありません。でも女優の脱ぎはあります。
________________________________

で、私は野呂氏が教えてくれたサイトに行って、「これだ!」と
思ったね。
で、もう観たくて観たくて仕方なくなった、、、と。
もうその時点で“こどもの情操教育”は頭を離れ、
ZEPのDVDを観たい!のに近い、ただ自分の興味。
観たい欲求、個人的希求あるのみ。

またしても野呂氏にメール
________________________________
野呂さん、清水です。
「あの頃ペニーレインと」
見たくてたまらなくなってきました。

で、AMAZONを探してみたら、
初回限定版には36ページのブックレット付きと
書いてあります。
でも、もう初回限定版は出回ってないですよね。
横浜のタワーにも2枚組のはあると
いってましたが、
それは最近リリースされたものでプックレットはついていないとのこと。

もしかして、野呂さんが持っているのはブックレットつき?
(しつこい、でも
そそられます。おとといまで知らない映画だったのに)

レンタル屋にもVHSはありましたが、
もうDVDを買うことにしました。
制作日記、、、ではなく、ブックレットつきのは
どこかで手に入らないのかな。

______________________________
翌日、診療始まる前と昼休み、診療直後は大手CDショップに電話かけまくり、
果ては発売元にまで電話。
2枚組の実態とその初版特典のブックレットについて詳細な情報を得る。

野呂氏にも現状報告、大手のCDショップではなく、
在庫管理のずさんなさびれたCDショップがねらい目ではないかとアドバイスされ、
診療終了後に診療所近くの夏になれば「サ」がバカのように
流されるレコード屋や駅前の怪しげな輸入盤屋をチェック、でもみつからず、、、。

あきらめて電車に乗り駅を出て自宅へむかう途中、、、
「あ、そういやあ、ここにもさびれた、、、ていうか、
 とても音楽とは思えない稚拙なJ-POPバンドのポスターがベタベタと貼られ、
 そこに入るだけで蕁麻疹でそうなCD屋があるでないか」

いやだけど、甘ったれた奴らが好みそうな甘ったるい声のJ-POPが
垂れ流されているその店に入り、DVDの棚を観た、、、、、
興味のわかないタイトルを「あ行」のほうにさかのぼると、、、、
ウソお!、、、あ、あ、あった!!
売れ残っていたせいかケースの背の部分が色褪せしている、、でもたしかに
2000年リリース分だ、、、だって、ついてるじゃん、ブ、ブ、ブックレットが!

レジ周辺につったっている頭悪そうな店員
(こんなひでえ音楽の中で毎日働いているんだもの、
人間だもの、こんな表情にもなるわな)にも
「これ昔でたモノですよね」と確認。
とても日本語とは思えない対応も今日は気にならない、、、くらい嬉しい。

「野呂さん、俺は、やったぜ」と思いながらウキウキと帰宅、
報告メールしようとパソコンを起動させると、、こんなメールが飛び込んできた。

__________________________

清水さん、やりました。
見事に「あの頃ペニー・レインと」の初回版を2つ入手しました。

行きつけのTSUTAYA●●店で残ってました。
このお店は以前からお宝が出てくる確率が高かったんですが、ここまで来ると見事
というか、文化レベルが低い地域というか(笑)

背ラベルがやや退色しているのが気になりますが、問題のブックレットは在庫の棚
に挟まっていたので綺麗です。パッケージは今出ているものとまったく同じで、ち
ゃんとdtsのロゴも入ってました。

気になるブックレットの中身ですが、これが何と「キャメロン・クロウによるレッ
ド・ツェッペリンのインタビュー記事」で、ローリング・ストーン誌に掲載した記
事の転載です。映画の内容とは直接関係ないけど、すごくうれしいものでした(た
だし写真は映画のスチルですが)。
それでは。
________________________
ということで、ほとんど同時に野呂氏も入手していた、しかもふたつ。
で、休診日の前日まで待てないでみてしまいました翌朝早くから、、、

私としては出勤前だから、
短い劇場公開版を観ようと思いDVDプレイヤーに入れたつもりだったのですが、
観ているうちにそれはクロウ監督の特別編集版ロングバージョンであることに
気がつき「やばい、全部観てしまったら仕事に遅刻する」と思ったのですが、
あまりの素晴らしさに途中でやめられず、、、全部観てしまいました。
幸い、遅刻はしませんでした。

夜、早速野呂氏に感想のメール、、、
(>は野呂氏)
ちなみにキャメロンクロウ監督と私はまったく同い年。
____________________________

野呂さん、清水です。

> 70年代にもロックにも思い入れのない人に見せたことがありますが、時代背景がわ
> からなくても感動していました

私は、もう全くもって自分の青春と映画が
シンクロする時代なので、かえって、
70年代ロックに無関係な人がどう感じるのか
分りません。
「あ、サイモンカークだ!」
なんてシーン、多いですよね。

ベッドの下からお姉さんが置いていった
レコードを引っ張り出すシーン。
次々と自分が愛聴したレコードがでてくるので、
そこでもう一回目の落涙しました。

バックステージの映像の時に
おそらくステージ上にいる(という設定の)ブラックサバスの
曲が聞こえてきますが、
そのリアルなこと。
大きい会場のバックステージって、こういう音
しているんですよね。
それとスティルウォーターの楽屋で、
ウオーミングアップしているギタ−の音色とか、、、リアル。
とにかく、ディテールがすごい。

きっと、くりかえし何度も見るとよりそう感じるでしょう。
もちろん、青春映画としても爽やかで、
とてもよかったです。

ところで、このバンドのボーカリスト役の人は、
映画「JESUS」でイエスキリストを演じた人ですね。
イエスキリストの時とほとんど変らない髪型でした。

> 70年代やロックを題材に使う映画は数あれど、70年代ロックに対する思い入れもこ
> こまで満足させてくれる映画もなかなかありません。それゆえ清水さんにとっても
> 「ツボ」じゃないかと思ったんですが、やっぱりそうでしたね。

「ツボ」でした。
気持ちがハイになり、
新曲のイメージがわき、
曲のタイトルもでき、
出勤途中で、「あの頃モビーディックと」のリフを
作りました。

> DVDの特典映像もなかなか興味深いものがありますので、お楽しみください。
> 特に未公開シーン集のなかには飛んでもないものが入っていますので、ぜひ「天国
> への階段」を用意してご覧ください(笑)。

______________________________

そうです。
次のライブで初演する「あの頃モビーディックと」という新曲は
「あの頃ペニーレインと」に感動した直後にモチーフが浮かんで
できた曲です。
モビーディックというのは、もちろんあのZEPの曲の「モビーディック」から
とりました。
J.ボーナムの強烈なドラムソロ曲であった「モビーディック」。
強力なロックドラマー小森啓資を迎えた新生KENSOの輝かしい門出を祝う曲にしよう!
いう思いも重なり、一気に出来ました。

ライブでも、もちろん演奏します。
御期待ください。

追伸: 素晴らしい映画「あの頃ペニーレイン」、もし機会があれば、是非
特別編集版を御覧ください。
「スクールオブロック」のような「そりゃないだろっ」というくさい展開も
なく、さわやか、、、しかも70年代ロックに関するマニアックなギャグも満載。
特典映像も面白いし。
また、映画内のバンド(役者であり楽器の演奏は素人で、この映画のために特訓したらしい。
でもなかなか良い演奏しており、その役者魂に感心した)の演奏指導をした
某有名ミュージシャンが某バンドのマネジャー役で出演していたり、
かなりマニアックにも楽しめます。
私はキャメロンクロウ自体に興味を持つあまり、「ローリングストーン風雲録」なる
書籍から「シナリオ集」(シナリオを読みたかったのではなく、クロウのインタビューを
読みたかったので)まで読みあさり、いまやこの映画の伝道師となっております。


小口くんはレンタルしてきて、諸事情から“音を消した状態でのみ”この映画を観たことがあるとのこと。
う〜〜ん、やはり彼は違うな、ああいう個性的な曲を作る小口くん、1983年に初めて彼に会った時からやはり
ただものではないと思っていたがあの映画を音無で観るなんて私にはとても信じられないがでもそれは小口くんの
自由だし観ないよりは観たほうがいいのだとは頭ではわかっているのだがでもどうして?という疑問はわきあがって
くるのだよ彼とはつき合いはもちろん長いしでも長くてもその人間のすべてが分っているわけではないしだって人間
なんて自分自身のことだって全部理解しているわけではない。これはヘルマンヘッセも言っている。

7月7日
七夕の夜に若き日の小口くんの髪型に思いを馳せて
BGM:小口くんの若き日の演奏が聴ける「ピノキオ」のテープ。

写真の説明:東京タワー鑞人形館に8/15のコンサートの成功祈願に訪れた際、鑞人形館自体は
写真撮影禁止なので、同じ館内の別な施設で撮影。
御存知の方も多いと思うが、ここの鑞人形館にはマニアックなロックコーナーがある。
ロバートフリップの人形の前で我が子に「パパはね、日本のロバートフリップって言われてたことが
あるんだよ」と話すと珍しく「へえ、パパってすごいんだ」という反応、
嬉しくなって、すぐ近くにいたリッチーブラックモアの前であの有名なポーズをマネしながら
「パパ、この人のマネしてギターを振り回していたんだよ」と熱く語ったら、
もうええわって感じの冷ややかな反応、あせってトニ−アイオミの人形の前でサバスのリフを
激しく歌ったら、、、、、、「こういう音楽好きな人もいるんだ、ふーーん、、」、、、、、
そ、そ、それはね!
あなたのパパなんだよ。
眼の前にいる鑞人形ではない切れば血がでてくる生身の肉体を持ったパパ、、、
あああ、そのパパは、そのパパの首は!


●DVD[AYR]のプレス関係への紙資料

8月15日クラブチッタでのライブにて先行発売される新生KENSOのDVD[AYR]、
リリースに際してプレス関係に配布する資料をご紹介いたします。
   
KENSO DVD[AYR](エーユーアール)

プログレッシブロックをルーツとして、唯一無ニの音楽を紡ぎ続けるKENSO。
その独創的な音世界は、解放された耳と心を持つリスナーを深く魅了し、
今や海外にも多くのファンを持つにいたっている。
1990年に前任キーボード佐橋俊彦に代わって光田健一が加入して以来、約13年に
亘って不動のメンバーで活動してきたKENSOであったが、2004年1月に
ドラマー小森啓資を正式メンバーとしてむかえて活動してゆくことを発表、
ファンの大きな期待の中、新たな地をめざしてバンドは歩み始めた。

当初、小森は2回のコンサートを乗切るためのサポートメンバーとして要請されたが、
リハーサルを重ね、スタッフやオーディエンスとともに、
まるで思春期の熱狂の真只中で生きているかのような時間を共有してゆくうちに、
その臨時編成バンドは、いつの間にか新生KENSOとして羽ばたいていた。
本DVD「AYR」はその道のりをたどって、前作DVD「ハレ紀」に引続き、
このバンドをこよなく愛する映像作家が、KENSOの音楽とまさに真剣勝負で
作り上げたドキュメント作品である。

2003年11月のクラブチッタでのライブ終了直後、小森は自らのホームページで
「KENSOと云うバンドは“プログレッシブ・ロック”と云うカテゴリを既に飛び越えて、
恐らく世界で最も感情と知性と情熱の歯車が、危険な程に繊細に絡み合っている
ロック・インスト・バンドだ。今回サポートさせて頂いて本当に痛感した」と書いている。
またリーダー清水は
「サポートドラマーが小森以外であったとしたら、
あの臨時編成KENSOが新生KENSOに発展することはなかっただろう。
まさに運命的な出会いであったことを今しみじみと感じるし、昨年11月のクラブチッタの
ステージ上で私を貫いた衝動と歓喜は、“そういうことだったんだなあ”と思う」と語っている。

この「AYR」、
彼らの複雑なアンサンブルの秘密を垣間見ることができるリハーサルシーン、
バンド発祥の地であり、KENSOというバンド名の由来ともなったリーダー清水の出身高校の
創立40周年記念式典での演奏、そしてハイライトである11月2日川崎クラブチッタでのライブから
厳選された6曲、更に新作のレコーディングシーンなどの貴重な映像により、
結成30年目にあたるこの年に新たな一歩を踏み出したKENSOの貴重な“時”が、
しっかりと刻まれている。

さらに、小森の音楽に対する真摯な姿勢と暖かい人間性が強く伝わってくるインタビューシーンは
本DVDの重要なエレメントとなっているが、
なかでも彼が1992年にKENSOのライブを初めてみた時の衝撃、
そして「今後これを聴いてしまったら毒されてしまうので、それ以来一切、KENSOを封印した」
と語る部分や
「KENSOは“バンド”である」ということを、長い時の中で形成されてきたKENSOの
アンサンブルに挑戦する過程で感じ、それはどういうことなのか、
そこで共に演奏するためには何が必要なのかという思考の過程を語る部分は大変に興味深い。

本DVD、海外のリスナーの為に英語字幕が設けられている他、
クラブチッタのライブ6曲のみを再生するモードなど、
リスナーに対する様々な工夫がされており、更に特典映像として
小森インタビューのアウトテイクが収録されている。

■AYRクレジット

KENSO:
Yoshihisa Shimizu: guitars
Kenichi Oguchi: keyboards
Kenichi Mitsuda:keyboards
Shunji Saegusa: bass guitar
Keisuke Komori: drums
Guest:
Keiko Kawashima: cante flamenco y palmas
Produced by Yoshihisa Shimizu
Video direction and editing: Seikau Nolo

■クラブチッタライブからの収録曲目

1:精武門
2:美深
3:Tjandi Bentar
4:Echi dal Foro Romano
5:陰鬱な日記
6:空に光る

■相模原高校記念式典ライブから
 新曲:暁に楽師が

以上です。

なを、8/15クラブチッタでの即売およびオフィシャルCDショップで
御購入の方には新生KENSO誕生秘話満載の清水義央著
「OPEN YOUR EYES YOU CAN FLY」を差し上げます。
____________________以上、[AYR]紙資料__________________

耳寄りな情報

「モノ・マガジン」誌 7/16発売号に清水義央の記事が掲載されます。
「モノ・マガジン」編集部からのメールを一部転記します。

私どもモノマガジンは7-16日発売号にて通巻500号を数えます。
その記念号の特集「THE NIPPON〜日本発世界標準」におきまして
2ページの企画記事で「キーワードで語る日本〜音学」というコーナーがあります。
当方では、言葉の厚い壁のあるわが日本では、海外においては
インストルメンタルがその突破口になっていると認識しております。

〜中略〜

そこで今回は清水氏に、日本から音楽を発信すること、インストルメンタルと日本、
国籍を問わない音楽といった点につき、取材、あるいはコメントいただきたく存じます。

取材は、6/26に無事かつ爆笑のうちに終了しました。
ぜひ、御覧になってください。

6月29日
●新生KENSO、ついに本格的に始動!

5月の末、新生KENSOの第1回目のリハーサルがあった。
また、それから一週間後には、早くも2回目のリハーサルが。
8月15日のクラブチッタのでライブまであと2か月とちょっとだが、
今回はKENSOとしては過去に例のないくらいリハーサルの日程を確保できている。
とにかくメンバー全員、やる気に満ちているのをひしひしと感じる。
(実はスタッフも、かなり気合い入っている。有難いことだ)

2回目のリハーサルの後、スタジオから最寄り駅まで光田健ちゃんの車に乗せてもらった時、思わず
「いやあ、この歳になって、こんなに楽しいバンド活動ができていいのかってくらい楽しいね」
と呟いてしまった。でも、これはホントのこと。

新生KENSOのリハーサルは、まずは今までになく、秘蔵ロックビデオの交換から始まる。
「これ、ジェフベックの●●年と○○年のツアーなんですけど」
「え、プロショット?」
「いえ、揺れまくってます(笑)。特に、◎◎のあたりは、揺れ過ぎて
 まちがいなく“酔う”ので気をつけてください」
「×★年のボジオが叩いているのが一曲だけ入手できるかも」
「えっ、そんなツアーあったんだ」
などなど、、、、。
まるで“オタク、他にどんなの持ってます?ウチは、こんなの萌え萌えだけど”みたい。

また、休憩時間には5月にNHKで再放映されたKISSの日本公演(小森くんのHpにもコメントあり)
について、多感な時期にこの番組を見て大きなショックを受けたという『KISS世代』の小口、三枝、小森の
大盛り上がり大会には、もうウンザリさせら、、、、、ウソウソ、、、私、とりのこされた思いでした。
実は私はこの日本公演に行っているのですが、もう20歳くらいで「もうロックも終わりかなあ」などと
感じつつ、既にジャズやクロスオーバーを聞き始めていたので、、、、、、。
KISSって、それほどきちんと聞いていないんだよね。
だから、「あそこ、ドラムが走ってるよね」「そうそう」などという会話についていけないんです。
厚見く〜ん、ちょっと来ておくれ!

私がクイーンの話をした時、小口くんが「えっ、清水さんがクイーンですか?
KISS,QUEEN.AEROSMITHっていうのは僕達の世代ですけど、、」などと年寄り扱いしやがって!
何が「僕達の世代」だ。
歴史的名盤「FREE LIVE 」も聞いたことないくせに!
それに、QUEENの最高傑作であるセカンドは1974年リリース、私が高校2年。
君らは小学生ではないか。
こちとら、エアロの初来日だって行ってるんだぜい。
などと、、、、まあ、他愛のない話題で盛り上がり、良い感じでまたリハーサルへ入ると。

「あの頃モビーディックと」
「そこはまあそこはかとなく」
「三つ縄6/8」
「風の中の菲林」

といったまったくの新曲も、みんな悲鳴をあげたり溜息をつきつつも
良い感じで“音楽”になりつつあるし、昨年私がVG88で弾いた「シヅカへの扉」も
違うアレンジでやろうと思っている。
また、お馴染みの某曲の[60's blues rock version]は、おそらく今回だけの曲。
これがヘビーで、かっこいい!
小森くんのスティックから、スライムが粘ついて垂れているような
重〜〜いビートが最高だ。

とにかく物凄く快調だ、新生KENSO。
是非、ライブを楽しみにしていてほしい。

DVD[AYR]は、小森くんのインタビューが入って、すごく引き締まった印象。
また上田氏の協力を得て、英語字幕をつけることになった。
もうすぐ完成、、、、、、だよね、野呂さん。

サインする清水先生
写真のコメント


「天鵞絨症綺譚」イタリア盤のジャケットにサインする清水先生に
励ましのお手紙を出そ、、、さなくてよいです。

6月末のNEARfest(U.S.A.)会場でのCD即売の為、
内袋100枚をリビングの床に並べてサインしているところ。
内袋?
そう、「天鵞絨症綺譚」イタリア盤は、ジャケットデザイン違いの
しかも紙ジャケ仕様なんです。
音質は、どうなんだろ、日本盤のほうが良い気がするが、、、
「データで渡しているのに、音質が違うことがあるのか」と
友人のエンジニアに質問したら、そういうこともあるのだ、とのこと。
よって、日本盤がまず基本アイテムですな。
でも、なかなかマニア心をくすぐる紙ジャケです。

BGM: KISS世代であり、かつブルース・リ−のファンでもあるキッス・リ−・小口氏が
コピーしてくれたGarth Hudsonの「The sea to the North」。
いいね、これ。   暖かくて、才能溢れてて。

6月10日
●厚見レイ氏との長電話、そしてAYR

5月某日、前回紹介したPANGAEAのプロデューサー&キーボーディスト、厚見氏から
電話があり、2時間24分の長電話。
今年の2月に、石黒君や難波さんと会った時もそうだったのであるが、
どうして同世代とのロック談義って、こんなに面白いのだろう。
そして、面白いことに、ちょっとずつ年令がずれている石黒くんと難波さんとより更に
同い年の厚見くんとは話が妙に合うんだよな、まあ、年令ってことだけじゃない
んだろうけど。
業界のオフレコ話も面白かったけど、マニアックなロック話が最高に楽しかった。

清水 「ケンヘンズレ−のオルガンて、どうやって歪ませているの?」
厚見 「どこかのスタジオで実際に彼のオルガンを弾かせて
 もらったけど、ハモンドから●●社のギターアンプに通して、
 それからレスリーに通しているんだ。」
清水 「ああ、それで歪みを作っているんだ」
厚見 「レスリーだけじゃ、ああいう歪みはできないからね。
 でもさ、歪み過ぎてて、Aマイナー弾いてもAメジャー弾いても、
 その違いはわからない!」
     爆笑!
   
清水 「ブリティッシュロックって言う言葉からまず連想するのは、
 WISHBONE ASHなんだよね。」
厚見 「あ、ロンドンだかで見たよ。もう新しいギタリストになってたけど。」
清水 「あ、テッドターナーの代わりのね。でも、テッドって決してテクニックが
 すごいわけではないけど、あのストラトの音が、いいんだよ。」
厚見 「あの新しいギタリストは、80年代的なロックギタリストなんだよね。
 で、その時のライブも途中からテッドが加わったのよ」
清水 「へえええ」
厚見 「そしたら、途端に“あの”WISHBONE ASHの音になるんだよね」
   
70年代初頭のブリティッシュハードロックについての会話の後、
厚見 「しかしさあ、普通ZEPみたいな凄いバンドがでて、しかも爆発的に売れたら、
 クローンが沢山でてきたり、他のバンドも同じようなことやったりしてもいいはずなのに、
 他のバンドも執拗に時分のスタイルを追求しているよね。あれが、すごいと思う。」
清水 「やはりオリジナルであることにこだわったんだろうね。それが、良い結果を生んでいる。
 面白い作品が物凄く沢山作られている一因だろうね。今の日本と違って」
厚見 「カンタベリー系の連中だって、たとえばD,スチュワートだって、エマ−ソン見て
  ショック受けたって言ってるけど、自分のスタイルはエマ−ソンからのモロの
影響なんてかんじさせないじゃない」
清水 「まあ、ブラックサバスなんて、かなり意識している音、、、まあ、意識せざるを得ないだろう
 けど、、、アコースティックギター使い始めたりして、、3rdとか結構面白い。
 意識はしていてもマネはしない。
 まあ、サバスにZEPのマネはやろうと思ってもできないだろうけど」
   
プログレッシブロックについても、、、、、
厚見 「清水くんには悪いけど、GENESISは、もちろんFOX TROTとかは素晴らしいと思うけど、
 ポップになってからのほうが好き」(って、言っていたような)
清水 「え、なんで?」
   
などなど、、、なにしろ2時間24分ですから、ここにはとても書ききれません!
   
もうひとつだけ、前回の「音色」ということに関して印象に残っている話。
厚見 「スタジオミュージシャン的なギタリストは、歪みを足で切り替えるけど、
 あれは、ギターのボリュームでやるほうが、かっこいいよね。」
清水 「まったく同感。まあ、例えばロバートフリップみたいに、ハイワット(アンプです)では
 まったくクリアにしておいて、ファズで強く歪ませるとか、クリーントーンと
 歪み音のコントラストがそのギタリスト独自の個性にまでなっていれば、別だけど。」
   
私が自分の担当以外の楽器の音色についても「こうじゃなきゃ」というこだわりがあるのと同様、
厚見くんにもギターの音色やタイム感についてかなりのこだわりがあることを知り、とても嬉しかった。
そしてふたりとも「ジミ−ペイジのタイム感は凄い」「あれを下手だとか言うやつは●●だ」と
意見の一致を見た。

厚見くんの紹介してくれたロック映画「スパイナルタップ」(最近ビデオ屋でも見かけないらしいが、
私は彼からダビングしてもらった。感謝!)は面白かった。
面白いというより、おかしかった。とにかく笑えた。
最近劇場公開された「スクールオブロック」もその御都合主義のストーリーにはウンザリしたが、
ロックに関するギャグの部分は、なかなか面白かった。
でも、「スパイナルタップ」の方がより可笑しく、爆笑の連続だった。
変に教訓めいた筋書きがないところも潔いし。
(「スクールオブロック」について映画評論家の品田某が朝日新聞誌上で“要するにこれは、世の
落ちこぼれたちに対する応援歌なのだ”などと可哀想なくらい見当外れの映画評を書いていたが、
きっとロックについて何も知らないんだろうな)
「スパイナルタップ」、ロックについて、またロックミュージシャンのインタビューやドキュメントを
沢山見たり、読んだりしてきた方には、絶対にお薦め。
繰返し見る事で、可笑しさもひとしお。
ロック映画については、いつか書こうと思っている。
KENSOの新曲「あの頃モビーディックと」も、あるロック映画に触発されて書いた、、、というより、
見終わってすぐ、その感動のパワーが書かせてくれた曲だ。

さて、今回はKENSOの活動状況についても書きましょう。
新しいDVD「AYR」(エーユーアールと読んでください)のトラックダウンも終了、
ただ今、インタビューシーンの撮影、そして編集の最終作業へと入るところだ。
キクヤさんによる今までとは違ったイメージの素晴らしいジャケットワークも
もうすぐ上がってくる、、、、はず。
「ハレ紀」とはまた違った味わいのドキュメントタッチの作品になるであろう。
ライブ会場での即売用のおまけ「OPEN YOUR EYES YOU CAN FLY」(仮)も
書き始めてます。

ところで、ライブのチラシに「AYR」の価格を予価3000円としたが、これは
もしかすると、変更になってしまいそうだ。
というのは、最初はもっとざっくりとラフな編集で安価に仕上げる計画だったのだが、
作業を進めてゆくうちに、メンバー、スタッフそれぞれのこだわりが出てきて、
そこはやはり作品のクオリティを第一に考えようということになり、既に
チラシを印刷に回してしまったにもかかわらず、経費が完全に予算をオーバーし始めてしまったのだ。
まったくお恥ずかしい限りであるが、
まあ、この“予価3000円”というのも、「ハレ紀」の半分くらいの価格で提供したいねという、
私と制作監督の野呂さんの目標価格だったんで、どうかお許しいただきたい。
でも、「ハレ紀」よりは絶対に安い価格ではあるので、、、、、すみませーーーん。

さて、あと数日で、新生KENSOがついに実際に活動を再開する。
「あの頃モビーディックと」「そこはまあそこはかとなく」などなど、新曲5〜6曲をセットリストに
含む8/15のライブへ向けて、ついに離陸。
楽しみだよ〜〜!

5月27日

BGM:光田くんに借りたフォーレの「ピアノ5重奏曲、第一番、ニ短調」


●本当の音色、そしてPANGAEA

ティーンエイジャーに大きな共感を呼んでいる(らしい)作家、
森絵都さんの「つきのふね」を、子ども部屋の書棚から拝借して読んだ。
なかなかよくできた作品で、しばし自分の思春期について思いをめぐらせ、
時代は違えど、そういえばこんな気持ちで生きていたことがあったなあ、としみじみ思った。
児童文学には、なかなか優れた作品があって、あなどれない。
対象年令は「つきのふね」よりも若干下がるのかもしれないが、
2年くらい前にやはり子どもに借りて読んだ「本当の空色」という作品も印象に残っている。

さて、本日のテーマは「本当の音色」ということ。
新生KENSOのドラマー小森啓資君のHPを覗いてみたら、少し前に偶然同じようなテーマで
書かれていた。この小森君の文章は是非、皆さんも読んでみてほしい。
こんな気持ちで音楽を作っている音楽家と一緒にこれから新しい音楽を力を紡いでゆくのが
本当に楽しみだ。
既に録音済みの新曲においても、彼の素晴らしい音色が曲を大きくふくらめてくれている。
これはいずれCDとなって皆さんのもとに届くことだろう。お楽しみに。

小森くんの文章にもあるように確かに世の中のポップミュージックの中には
不必要なくらいにエフェクトをかけて、一見過激にしたサウンドがかなり多い気がする。
(しかし、その音楽が本当に過激なものかどうかは疑問である)
ちょっと前はコンプかけまくりのが流行っていたように思うが、
80年代には、長〜〜いデジタルリバーブや、いかにもって感じのゲートエコーをドラムにかけまくり、
今聞くとかなり恥ずかしい、そして今や既に古臭くなっているサウンドが溢れていた。
ZEP「移民の歌」のドラムが、30年以上経っても“すげえ良い音!”って感じるのと正反対。
ま、それはともかくとして、今の若者が、ホントに「素」の状態の良い音に触れるチャンスは、
その人が心してそういったものを追い求める姿勢がないと難しいかもしれない。
いや、若者に限らないな。
例えば私なんかも数年前に神谷百子さんのマリンバ リサイタルに行った時、
そのダイナミックレンジの広さに驚いた経験がある。
繊細なピアニッシモからまるでPAスピーカーを使っているのかと思うくらいの強烈な低音まで、
ここ数年、せこいステレオのスピーカーからしかマリンバの音を聞いていなかった私には衝撃的であった。
そしてあらためて、音楽における音色というものの重要性、“エフェクタ−で何とかする”という
前に、まず“音色を磨く”ことの大切さを痛感したのだった。
昨年、相模原高校のライブの後に、軽音楽部のクリスマスコンサートに行った話は紹介したよね。
あの時「清水さん、ギター弾いてくださいよ」と言われ、ちょこっと演奏したのであるが、
私が「いいよ、どんなギターでも」というと、ギターを私に手渡しながらある生徒が下級生に
「おい、歪み系エフェクター持ってこいよ」というので、
「いや、いいよいいよ、ちょこっと弾くだけだからアンプ直で、、」、、、で弾きました。
少なからぬ驚きの表情と
「えっ、ギターからアンプ直で、こんな音がするんだ」、、、、という可愛い反応。
まあ、その詳細は長くなるので省略するが、少なくともエレクトリックギターに関しては、
ギターとアンプの間のエフェクターが少ないほど自分の右手と左手で弾いた細かいニュアンスが出るし、
従って自分の心に渦巻くエモーションも伝えられる、
「自分の音色」を追求するには、そのあたりが重要なんだよ、というような話を
後輩たちにしたように記憶している。
音楽は自己の内面の表現だから、と私が言った時の彼らの反応はまちまちだったが、、、、。

閑話休題。

本当の音色、、、からの連想、メロトロンの本当の音色。
メロトロンというのは、簡単にいえばテープに録音された楽器の音を鍵盤を押すことで再生する機械である。
(メロトロンって何?っていう人は、自分で調べてね)
だから本当の音色というのは、その録音されたバイオリンやビオラや
フルートの音じゃないのかというのは“まあね”的意見ではあるが、、、、
今日は、メロトロンの本当の音色について考えさせられた作品を紹介したい。
当たり前のことだが音色というのは弾き方によってぜんぜん違う、それはメロトロンのような
“機械”でもそうなんだ、それを“楽器”として弾こなす演奏者のセンスが大切なんだ。

そのバンド、実態は19歳!の二人組ユニットらしいのだがバンド名をPANGAEAという。
(www.pangaea-music.net/)
デビューアルバムのCDRは、旧友:厚見レイ氏が私のクリニックに治療に来た際に、
「清水クン(彼と私は同い年)、これが例のアルバム」といって手渡された。
診療時間内だったので、ほとんど話す時間もなく、実を言うと“例のアルバム”と言われても、
「あれ?なんだっけ」と感じたのであるが、思い出したふりをして、「どーも」と受け取った。

診療終了後、院長室でCDを聞き始め、私は目をむいた。
「えっ、何これ。すごくいいじゃん。このメロトロンのアレンジ、、、、、、あれ?
 もしかしてこれ弾いているの厚見くん?
 いや、でもこの音はまぎれもなくイギリスのバンドの音だしな」

「あれ?日本語だ。これ日本のバンド?じゃ、やっぱ厚見くんが弾いているんだ」

曲が進み、まさにBritish Rockそのもののハモンドやmini Moogが出てくるに及び私は確信した。

「厚見くんの新バンドなんだ、これ」

 何年か前に彼に「厚見くんはソロアルバムとか作らないの」って聞いたことがあって、
「まあね、いつかは作りたいとは思うけど、でも自分の名前をのっけるバンドは、やっぱり
 それだけの音楽を作れるものでないと」というふうに彼は答えていたけど、、、これか、なるほど。
それにしてもこのフルート、いいムードじゃん。
ポセイドン、ポセイドン。
風に語りて、、、、
あれ?もしてかして、これイアン マクドナルド?
そう言えば厚見クン、4年くらい前にイアン マクドナルドにインタビューしていて、
その内容の8割くらいがメロトロンに関する質問で「君はずいぶんメロトロンに興味があるんだね」
ってイアンに言われてたよな。
あ、ぜったいそうだ。これイアン マクドナルドだ。
曲もいいなあ、ドラムの音も、あの時代のロックバンドの音と最近のコンプ系の音を
うまく使いわけているし。

そんな感じで聴き進み、翌日質問をまとめて彼に電話した。
「これ、本物のメロトロン?それと、このリバーブは何を使っているの?」
彼から聞いたことは企業秘密だから公にはできないが、、、「へええええええ、そうだったの」
と、ちょっとした衝撃であった。
とにかく、自分がKENSOにおいてサンプラーでメロトロンの音源を鳴らし
(ちなみにKENSO 3rdでは、本物を使ってます)
「お、けっこうメロトロンっぽいじゃん」とやってきたことが、本当に恥ずかしくなった。

メロトロンにはメロトロンの弾きかたがあるんだ、当たり前だけど。
そして、単に和音を鳴らしただけでは、あの例えば初期キングクリムゾンの深遠な響きはでないのだ。
厚見くんのインタビューやイアンマクドナルドのインタビューが掲載されたユーロロックプレス誌を
読み返してみて、あらためてうなってしまった。
メロトロンを弾く際の、鍵盤から手を放す微妙なタイミングやメロトロンのさまざまな機種の
アウトプット端子のことや、メロトロンの上に置いてあったテープエコーのメーカーにも
言及しているではないか。
クレイジーだ!メロトロン・クレイジー。
でも、こうでなくちゃいけない。こうでなくちゃ面白くない。
1985年ごろ彼の部屋に初めて遊びにいった時、天井まで高く積まれたメトロトンのテープに
驚かされたが、それが今、私の目の前に圧倒的な畏怖の念とともに甦ってきた。
このPANGAEAのファーストアルバムは、おそらく3台のメロトロンによるメロトロンを研究しつくした
厚見くんならではのアンサンブルで幕を開ける。
そして全編に、60年代後半から70年代半ばまで(同い年の私にはとても良くわかるのです)の
British Rockをこよなく愛した彼の魂がこめられている。

もちろん19歳のふたりの才能も賞賛したい。
演奏も曲作りも優れた個性を持っていると思う。
こんな時代にあって、19歳の若者がこんな音楽を作るなんてまだまだ日本も棄てたものじゃないなと
感じた。歌唱力や音程に時々危なっかしいところも感じるが、それは今後向上させることはできるだろうし、
そんなことより大切な“表現欲求”が彼らからは強く伝わってくる。
もともとはふたりで、多重録音で音楽を作っていたらしいので、何か自分と近いものも感じる。
これから作品の創作を重ねてゆくのだろうが、周囲からの雑音にまどわされず、
この独特な世界に磨きをかけていって欲しいと思う。
チャンスがあれば、いつか共演してみたい。

以下、私なりにレビューをしてみた。
M1: ま、とにかく冒頭のメロトロンのアレンジに脱帽。また、弾かれるメロディがいかにも
メロトロン向きっていうか、、、、日本の「お城系お姫さま系プログレ」の演歌みたいな
メロディとはじぇんじぇん違うって。
曲もいいし、ドラムの音もいい。
M2: これは歌がいいムードだ。英語の発音の善し悪しは私には分らないが、歌詞の韻の踏み方が
実にBritishぽい。むかーし、厚見くんに、例えばKANSASのようなアメリカのプログレ系の
バンドの“歌”が、どうしてどこから見てもアメリカっぽいのか、っていうことについて
レクチャーしてもらったことを思い出した。
バックに隠し味的に使われているハモンドオルガンがいいんですよ。
これは是非、ヘッドホーンでチェックしてほしい。
M3: これは、ちょっと歌が“心配”な感じではあるが、、、、発音が、、どうなんだろ。  
日本語だったら、もっと印象が違っていたかも。
でも、イアンのアルトフルートが良い味だしてる。厚見くん、好きなんだな、ホントに。
M4: 楽曲的には、さほど面白くはないが、ハモンドの歪んだ音からバンドに突入する感じとか、   
ベースラインとユニゾンするMiniMoogとか、ドラムの音色とか、いいですね。いいですね。
M5: 一転してドラムがコンプサウンド、私の知っている範囲内ではRADIO HEADとかの感じかな。
19歳のメンバーのベースもかっこいいし、バックで鳴るメロトロン、エンディング付近での
キングクリムゾン的ムード、エンディングの「あれ?YES?」も楽しい。
M6: 冒頭のLeslie を通したギター、これも19歳の彼が弾いているんだ、、、へえ。
フルートの音色のメロトロン、この不安定な音程のハーモニーが、まさにメロトロンなんだよな。
シンセで平均律的に正しい音程(この表現が適当かどうかは分らない)で
“メロトロン的な音”を弾いても、やっぱりちょっと違うよね。
そして、この不安定さを音楽の中に生かしている厚見くんのセンスがgood。
あの時代に、あの音を好きだった人にはたまらないだろう、私も感涙にむせぶ。
中盤、ルネッサンス的(ジェスロタル風とも言われたらしい)なピアノからの展開部で
バイオリン登場、やたら上手いし音色が素晴らしい、、、、、なんと金子飛鳥さんだそうだ。
私としてはソロパートより以上に後半の歌に絡むバイオリンに感動しました。
Fallen Angelを彷佛とさせるエンディングもいい。
M7: この御時世に24分の組曲。
メロトロン、ハモンド、MiniMoogというのがあの頃のBritish Rock Keyboardの
三種の神器だったというのを再確認した。これらを縦横無尽にあやつる彼のロックへの愛情と
こだわりがひしひしと伝わってきた。そして、UK的な(と、私は感じたのだが、どうでしょう
小口くん)CS80なのかな的シンセ(CS80もダイニングに置いてあったよね)の使い方が上手い!
この組曲は特に後半の2曲が、素晴らしい出来だと思う。
好きなんだな、やっぱ、イギリスのロックが。
   
私も青春時代、イギリスのロックが大好きだった。
TheBeatles、 R,Stones、The Who、Jeff BecK Group、Cream、ZEP、SABBATH、
D.パープル 、U.ヒープ、Free、テンペスト、沢山のプログレッシブロック、初期のクイーン、
グラムロック、そしてWishbone Ash、、、
イギリスのロックにしかない“香り”や“翳り”が大好きだった。
そしてまったく同じ時期に、違う場所で同じような音楽を聞いて育った日本人がいた。
そういった共通した好みがこのアルバムの評価に影響する部分は勿論あるだろう。
でも、そんな「世間のしがらみ」みたいなことでは私はここでこんなふうに作品について
書こうとは思わない。
このページを読んでくれている方々に対する責任もあるし。
ロックに対して半端でない愛情を持った友人が、若い才能と組んで作り上げたこの作品自体に
本当に心を動かされたから、レビューを書く気になったのだ。
KENSOのHpで紹介するよという連絡をした時、
厚見くんに「誉め殺しはやめてくれ」と言われたけど、
昨日あらためて朝5時から集中して聴いて、アルバム全編聴き終えた時
「これは、素晴らしいわ」とひとりごちた。
このPANGAEA、もちろん私にとってさえ、さほど面白くない部分もあるが、それを補って余り有る
“良い!”と言える部分があるので、皆さんにもお薦めする次第だ。
特に前述の3種の神器を使おうと思っている人や使っている人は、ぜひ。
ロックって、これなんだよな!
ロックに心底打ちのめされ、また心から愛情を持っている人間にしかロックは作れないのだ。

ギターはムーンダンサーの沢村さん他が参加しており、アコースティックギターを多用している
印象を受けた。ギターに関しては、まあ、私もイギリスの音を色々と研究しましたので、
「私ならこうするな」というマニアックな感想があるのだが、長くなるので割愛。
そんなことを書いたところで意味があるとは思えないし。

以上、駆け足のレビューで申し訳ないが、あとは皆さんの耳でこの
「日本人が作った最高のBritish Rock」を堪能してください。

付記1: 本文中で触れたユーロロックプレス誌、ええとVol6あたりから11あたりに
掲載されている厚見クンのインタビューや、彼とイアンマクドナルドのインタビューは
一読の価値がある。とにかく面白い。タイガーマスクのレコーディングのエピソードとか、
ロサンゼルスでタクシーに乗ったら運転手がBrandXのJ,Gだったという話とか、、
付記2: 厚見レイ氏について知らない人がいる?
まあ、いるかもね。 
小口も影響を受けたっていってたし、石黒くんも「厚見さんのマネはできない」って言ってたけど、
私のお薦めは、ムーンダンサーの前の「サイレン!」っていうバンドの1977年頃のライブ。
もし、当時の私が渋谷の「屋根裏」でこのバンドのライブ見てたら落ち込んだろうな。
同い年の奴らがこんなにも本格的イギリス産の音を出しているなんて!と。
それとムーンダンサーの後の「タキオン」もよかった、、、ってまるで
ムーンダンサー悪いみたいだけど、、、まあ、まあ。
付記3: 「清水さん、トークショウを開いてほしい」などという人がいるが、厚見くんこそ
開いたらいいのに、と思う。
おもっしろいよーーー彼がVOWWOWでロンドン滞在中の話とか。
付記4: M7のCS80的に感じられた音について厚見くんに質問してみたら、
CS80ではないとのことでした。
   
5月12日  さあ、チケット発売間近だ!

BGM: 私にとっては謎の、でも大好きなBritish Rock Band(だよね、たしか)である
Capability Brownの傑作『VOICE』。アナログ盤時代から、時々無性に聴きたくなる作品だ。
けっこう自分の曲作りに影響を与えてくれてたことを再確認。


●日刊「絶叫日記」

加賀乙彦著「永遠の都」全7巻をやっと読み終わった。
一ヶ月くらいかかり、途中他の本に浮気したり仕事上の本を読まないといけなかったりで、
中だるみがあったことは否めないが、最終巻はできるだけたった独りで集中して読めるように
時間を調整したため、物語に入ってゆくことができ、著者渾身のライフワークを堪能することが
できた。今も余韻が残っている。
読んでよかった。

それにしても、こういう長篇を読むたびに、あああ、学生時代に大作をもっとたくさん
読んでおけばよかったとつくずく思う。
片思いしてた女の子の機嫌をとるために彼女の卒論の手伝いをしたり、けっこう
虚しい時間の使い方してたよな。
いい若いモンが貴重な夏休みに「昼のメロドラマ」を毎日見てたり。

とにかくいわゆる働き盛りの中年オヤジにとって、充分な読書の時間を確保するのは至難の技、
同年輩の皆さんもそうでしょうけど。
音楽も聴きたいし曲も作りたい。でもこれ以上睡眠は削れない。
というなかで、小刻みにしか確保できない読書タイムで、
長篇小説にチャレンジするのは結構大変なことではある。ま、でも楽しいけどね結局。

精神科医、臨床心理学者、文学者らが我々の内部で醸成される「不安」というものに
対し、それぞれの立場からアプローチした講演録集「こころの病ーー不安と文化」(岩波書店刊)
という本を1998年に読んだ。それ以来、この多くの示唆に溢れた本を
院長室に常備し時々読み返しているのであるが、
この本に収録されている「鬱病と文学」という加賀さん(作家/精神科医)の文章を読んでから、
いつか加賀作品を読んでみたいと思っていたので、ここ数カ月は念願がかなったとも言える。
「フランドルの冬」、「宣告」全3巻、「帰らざる夏」全2巻、そして「永遠の都」全7巻
と続いた加賀作品読書も、いったんここで終わりにしようかな、、、なぜなら、、、、
買ってあって読んでない本が!部屋に!
溢れかえっているからだああああああああああああああああああああ!と本日の絶叫1。

4/18の日曜日、パスポート申請関係の用事のため山下公園近くに家族で行った際、
とても天気が良かったので、大桟橋から光田のソロライブで昨年訪れた赤れんが倉庫方面へ
散歩をした。こどもが1,2歳だった頃のことを懐かしく思い出しながら、、、、ところが!
「ねエ、あれ乗りたいんだけど」と我が子が指差した先を見ると、そこには横浜コスモワールドという
遊園地の絶叫マシーンが!

何の自慢にもならないが私には高所恐怖症の傾向があり、飛行機はだいぶ平気になったが、
この絶叫マシーンという存在は、とにかくあんなモノにお金を出して乗る●●の気がしれないくらい
嫌いである。
嫌いというより恐いのだな、正くは。実は観覧車でも恐いのだ、ははは。
もしここで突風が来て、観覧車が倒れたら、その阿鼻叫喚、生き地獄を想像すると、夜景を
楽しむどころではない。観覧車の最高地点で抱き合い、接吻さえしている、いやそれどころか、、
●●さえしているカップルの鈍感さに呆れ果てるふりをしながら恐怖に耐えているんだ、俺は、いつも。
こんな時に、「あははは、清水さん、あの観覧車っていうのは“風力”が◎▲でも大丈夫なように、、」
などと力学上とか建築に関する知識を持ち出して観覧車の安全性、、、というより私の
非科学性を嘲笑する輩がいるが、ダメダメ、ダメだって。
中学3年生の時に既に『それでもスーパーマンは現れなかった』という悲観的な歌を作って、
自宅で弾き語りしていた私にはそんな楽観的な理屈は通用しないのだ。
つまり観覧車が恐いってことには変り無い。
でも家族の要請とあれば仕方ない、一家の長、清水家の大黒柱としての面子というものがある。
ここでひるんでは、今後の家庭生活において“立場”が、、、、もう既に悪いが、、、。

乗りましたよ乗りました。
観覧車じゃないよ、絶叫マシーンだよ。
乗り終わってからの会話、、、ちなみに妻は本当に体調が悪くなるので乗っていない。

子「ははは、パパ、叫びどおし」
父「だって、恐いよ、恐すぎるよ、あれ」
母「パパ、顔ひきつってたよね」

乗るも地獄、乗らないも地獄、、、、
思い出しただけでも恐いよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお、と本日の絶叫2。

さて次の話題は4/22光田スタジオにおけるDVD「AYR」のための
トラックダウンについてである。
小森啓資君のHpに、その時の写真がアップされているので、御覧いただきたいのであるが、
参加者は、私、光田、小森、エンジニアの大迫さん、映像監督の野呂さんという面々。
私は午前中、歯科校医を務めている某小学校の歯科検診、約300名の歯を診査して、
養護教諭から「清水先生、学校給食召し上がっていかれますか」などと言われたが、
一刻も早くスタジオへ行きたいのでお断りし、スタジオ付近で名物メロンパンを購入(行列のできる
メロンパン屋、、、おいしいけどこの日は行列に並ぶのが暑かった!)、それを貧しい昼食とした。
皆の分は買っていかなかったのかって?
妙なこと気にするね、あんた。
ちょっといいかなア?
私はバンドリーダーだよ、メロンパンひとつでバンドの和が壊れることもあるんだ。
もち、買っていったさ。
いや、餅じゃなく、もちろんの「もち」だって。

トラックダウンは順調、すごーくかっこいい音に仕上がっている。
DVD「AYR」、楽しみにしていてください。
オフステージの映像も笑えます、おもしろいです!
今回はややミステリータッチ、何やら怪しげなモノが見え隠れ、、、。

光田、小森と顔を合わせたので、新曲のこともちょこっと話した。
8月のライブ、新曲結構やりまっせ。
先週、新曲のデモテープと譜面をメンバーに送ったのだが、
それを聞いた小口からも今回の新曲についてお誉めの言葉をいただき、一安心。
私にとって新曲をメンバーに聞いてもらう時が一番緊張するんですよ。
メンバーが気にいってくれて、気持ちを入れて演奏してくれれば
良い作品になるのは間違いないから、、。
ライブに話をもどすと、
なにしろ新生kensoのデビューライブですからメンバー全員気合い入ってます!
来年はニューアルバムのレコーディングをしようと思っているので、
2005年はライブはできないかもしれないし、
レコーディング前のプロトタイプの新曲は、今回のライブでしか聴けないはず。
本当に2004.8.15の「鬼気迫而暖」は貴重なライブになることは間違い無い。
是非、お見逃しないように!いいいいいいいいいいいいいいいいい、、と無理な絶叫3。

本稿と同時期に8/15ライブの先行予約に関する詳細がアップされる予定なので、
コンサート情報のページも御覧になってください。

 
BGM: PANGAEA
PANGAEAといってもマイルス・デイビスではない。
日本のバンドである。
旧友:厚見レイ氏がアレンジや曲作り、そしてもちろんキーボード奏者として
参加している作品。日本人が演奏する最高のブリティッシュロック。
クリムゾンのイアン・マクドナルドも参加。
金子飛鳥さんのバイオリンもやはり素晴らしい。
いいなあ、これ。
最初、厚見くんが関わった作品だと知らずに聞いたのだが、
途中から日本語の歌がでてきてびっくりした。
この作品については、連休中にじっくり聞き直して
次回のこのコラムで敬意と愛情を持って紹介する。

4月29日
●VASENのLIVE,よかったよ!

4/10,11とSwedenのバンド、VASENの初来日公演にいってきた。
ひとことで言って、すご〜く良かった。
やっぱトラッドは生が最高だ。
トラッド系の人たちのライブで体験することの多い恐るべき演奏テクニックは
ある程度予想していたのだが、ニッケルハルパという未知の楽器の超絶演奏を
見れたことがまず新鮮な驚きとともに収穫であった。
そしてとても「いいなあ」と感じたのはVASENが“バンド”だと
いうことだ。普段別々に活動しているミュージシャンどうしのセッションでは
絶対に味わえない、バンドならではのsomethingがふんだんに味わえた。
3人の絡みがとにかく面白いし、美しいし、なにより楽しい。
にこやかにアイコンタクトをしながら、絶妙のタイミングで興奮と覚醒を繰返す
いままでに一度も体験したことのない音楽、、、、
独特のリズムのうねりが最高にかっこよく、
下手なロックバンドより全然ロックっぽいエネルギーの爆発を感じた。

10日の演奏で充分満足していたのだが、11日の演奏は更に素晴らしく、
心底「すっげーーーーーー」と思った。
10日とは一部セットリストも異なるようだったが、ドライブ感が
圧倒的で、3人のコンビネーションも格段によかった。
そして演奏している彼らの表情からもそれは読み取れた。
特にビオラ!
なんかとにかく「才能あるなっ!」って感じ。
11日には隣の席に光田健一がおり、色々とVASENについて、
また音楽について話すことができたが、彼も大変に感動し、楽しんでいたようであった。

10日の終演後には、私が耳コピーした譜面をメンバーが添削してくれた。
「ふふふ、こう聞こえるだろうけど、実はこの拍子なんだよ。」というような
会話をしながら、私が書いていった譜面に正解を書き込んでくれた。
私が8分の9と書いてあったのをみて、それを作曲した某メンバーが
「これでも間違いではないが、正しくは16分の9だ」と言ったら、
他のメンバーが「いや、でも僕は8分の9でとって演奏しているよ」などと
口をはさみ、(ありゃ、kensoみたいなこと言ってる)と感じたりもした。
こんなに素晴らしいミュージシャンたちと、具体的にその音楽のディテールに
ついて話しあえるなんて!
(私のひどい英語を5線紙がカバーしてくれたし)
休診日の前日から徹夜でコピーした甲斐があったなあ、
メンバーのみなさん、ほんと、ありがとう。



いくつか用意していった質問の中でも絶対に訊きたいと思っていた
12弦ギターのチューニングも謎が解けた。
いやホントに(彼らのHPに記載されていたとおり)
所謂低音弦側からADADADだったよ!驚きイ。
私が「Aって、それは低音側がAなのか?」という質問に対して、
低音弦のAのゲージというか、入手先を教えてもらって納得。
企業秘密だろうからここでは書けないが、FRIFOTといい、VASENといい、
独創的な音楽を紡ぎ出すための発想に敬意を表したい。
そして、通常の低音解放E音の更に下のA音にまで音程を下げながら、
それでいて明確な音程感を出すために、、、12弦ギターならではの、、、、、
なるほどね、、、、、言えません、私の口からは。
この私のコラムでも書いた、D音の低音がしきりに鳴っているのも、あ、なるほど、
これを使って、、、、ね、、、、だからライブでも、、、あそうか、、、、書けません。

11日の終演後には光田とふたり、ニッケルハルパの構造について丁寧に教えてもらった。
「ははあ、クオータートーンはこうして出しているんだ」
「キーが2段になっている理由は、こういうことだったのか」
連日のタイトなスケジュールでお疲れの上に風邪ぎみだったらしいOlovさん、
本当に有難うございました。
(ニッケルハルパの写真は、本HPとリンクしている“よもぎ”さんのページで見れます)


いやあああ、
ニッケルハルパとヴィオラのコンビネーションと12弦ギターのリズムの
素晴らしさも特筆すべきものだったなあ。
まるで一匹の生き物のような音楽だったよ。
私がどれだけ言葉で賞賛しても足りないくらい。
ま、次の来日にはみなさん、是非行ってください。

終演後、光田と、彼らが自国の文化や伝統音楽に自信と誇りを持っているということ、
「我々にとって陰旋法は、こんなにも、、、」というような話をした。
同じようなことを、3年前にIONAを見た時に小口とも話したが、
なんかとてもうらやましく思った。
クラシック畑出身の日本の演奏家(お金は儲かってそうだが、演奏家としての真の力は
どんなもんだか?)が、ちょこっとアイリッシュミュージックのフレイバー、
いやフレイバーなどという格好よいものでなく“人工添加物たっぷりアイリッシュ・フリカケ”だな、
そういうお手軽な付け焼き刃の素人だましをしている日本の恥知らずな現実、とはだいぶ違うなあと感じる。
断っておくが『丸美屋』の『すきやきフリカケ』は私の大好物である。
俺なんて、トーストにもかけちゃうもんね。

また、私がいわゆるJ-POPとかの諸アーティスト(あれをアーティストと呼ぶことじたい無理があるが、
どうでしょう、故岡本太郎先生!)を名指しで“くさす”(けなす)ことに対し、
反感を持たれる方もちらほらおられるようだが、
そういう方も例えばこのVASENのような音楽を、特にその生演奏を体験されれば、
よほどの●●で無い限り、自分の中の『音楽』に対する認識が変革するのを認めざるを得ないだろう。
もちろん何が何でも「音楽は歌詞」「歌詞で具体的に慰めたり、励ましたりしてくれないと」
という変人、いや失礼、確固たる考えをお持ちの方においては、まあね、ダメかもね。
でも私はそうは思わないんで。
 落ち込んでいる時、悩んでいる時に、“音”の力のみで、勇気付けたり、慰めたり、
自分自身で問題に立ち向かってゆく活力を与えてくれたりするのが素晴らしい音楽だと、私は思うので。

閑話休題

嗚呼、VASEN、素晴らしかった!
私はSWEDENには行ったことはないが、彼らの生演奏を聴いていると、
行ったことのない彼らの祖国の風景が浮かんでくるのであった。
また是非来て欲しい!
私は彼らに直接おそわったリズムを頭の中で鳴らしながら
「Kapten Kapsyl」を当分の間、出勤の際に口ずさむだろう。
歩きながら踊らないように気をつけなきゃ、ここは日本なのだ。
音楽の教科書から貴重な文化が抜け落ち、代わりにサザンの曲が掲載される国なのだ。
そしてそういうばかばかしい出来事に対して「サザンって、すごい」なんていう反応を
しめす連中が沢山生きている国なのだ。

でも、桜吹雪が本当に綺麗な、日本なのだ。
季節のうつろいが心を癒す、自然の美しさに満ちた国なのだ。

最後に、彼らのような日本では無名で(本国ではグラミーを獲得するほどの高い人気を持つが)、
しかし最高の音楽を演奏するミュージシャンを自分の耳と足で見つけ、
大きなリスクをしょってまで来日に漕ぎ着けたMUSIC PLANTの野崎さんに
感謝と賛辞を与えたい。
貴方のおかげで我々は大変に貴重でまた物凄く楽しい経験をすることができた。

さて、もう4月も半ば。
8/15 KENSOのライブに向けて気合いをいれるぜ!

________ここから先はJ-popのファンは読まないこと_______

付記1: VASENの会場に行く前に渋谷のタワーレコードに寄った。
店頭で“みすちる”の新作?CDの販促キャンペーンをやっていて、
うんざりするような甘ったるい音と声がエントランス付近に蔓延しており、
ゲロゲロだった。本当に吐き気をもよおす光景、状況であった。
タワーレコード渋谷店のエントランスの両脇には大きな白いパネルが据え付けられ、
どうやらそこに“みすちる”のメンバーへのメッセージを書くという企画らしい。
新譜のCDを買うと、そこに書ける権利を獲得するという販促だったのかもしれないが、
何しろあの甘ったるい声と音にうんざりしていたし、まかり間違って
「貴方もいかがですか、メンバーへのメッセージ」
「えっ?だって、これCD買わなきゃ書けないんでしょ?」
「いえ、こちらのほう、CDのほう、お買い上げいただかないても、メンバーへの
メッセージのほう、書いていただけるようになります」
なんてキャンギャルと会話しなきゃいけなくなったらイヤなので、
さっさと通り過ぎた。
“みすちる”へのメッセージを書く暇があったら、奈良で鹿に餌あげてたほうがましだ。
  
でも、もしサインペンなりを無理やり渡されたら、「盗作はいい加減にしなさい」って
書こうかな、などという想像をしながら、
心の中にRolling Stonesの「Paint it black!」を大音量で流し、エスカレーターに乗り、
めざすは超人的タブラ奏者Anindo ChatterjeeのCD、
そしてモンゴルの馬頭琴奏者、チ・ボラクのCD、、、、。
要するに素晴らしい音楽との出会いを求めていたのですな、私は。
   
付記2: “みすちる”を以上のように書いた罰か、本朝、出勤途中に寄ったコンビニで、
サザンの『あや』という曲を聞かされるハメに陥った。
店に入る直前までVASENを口ずさんでいたのにである。
ふん、何が『あや』だよ、まったく、台なしだ。
あれえ? なんか、どこかで聴いたことあるな、このメロディ、、、またしてもパクりかよ。
しかし『あや』ってどう書くのかな?
「あっ、いや〜〜ん」を短くして「あ、や」なのかな。
   
付記3: 付記1および2を書いたバチがあたったのか、4/14の朝日新聞を広げたらサザンの新曲「彩」の
全面広告が!ああ、くわばらくわばら。
あっ、イヤなことを思い出した。
8/15のkensoのライブのあと、9月に先輩歯科医のバンドのコンサートの手伝いを
やらされそうなんだ。例年の感じでゆくと、この「彩」もレパートリーに入るに違い無い。
それでMCで「ここでゲストでギターを弾いている清水君は、サザンとかチューブとかが
大嫌いで」とか紹介されて、客席からモノ珍しい視線が飛んでくるんだよな。
「へええ、サザンを嫌いな人なんているんだあ」みたいな、、、。
VASENの曲は苦労してコピーすれば、それだけ自分も勉強になるけど、サザンの曲なんて   
「だっせー」ってうんざりするだけやん。
ま、みなさんには関係ないけど。
「彩」のメロディ、きっと聞きたくなくても、これから耳に入ることでしょう。
絶対にどこかにあったよ、あのメロディ。
「悲しき雨音」っていったっけ?“Listen to the〜〜falling rain”とかいう曲、、、
あれにも似ているけど、でももっとズパリってくらい似ている曲があったように思う。
パクリ天国の日本なりけり。

4月18日
●VASEN来日迫る

スウェーデンのバンドVASENについては、このHpでも既に何度かお伝えしてきたが、
待望の初来日公演も迫ってきた。
ここにきてやっと彼らの曲のコピーを始めた。
KENSOの新しいDVD「AYR」のトラックダウンも進行しているし、
三枝が5月後半にBostonより帰国するということで新曲の譜面も書かないといけないのであるが、
VASENのホームページや前々回のこのコラムで大口たたいてしまったので、
取り組まないわけにはゆかないだろう。
それにしても譜面にするのは、この手の音楽の場合とても難しい。
昨年末にFRIFOTのライブについて書いたが、あのオリジナル楽器もマンド−ラ?の通常のフレットと
フレットの間に、半音の半音(クオータートーン)を出すために補助イスならぬ補助フレットが
弦によって異なる位置に設けられており、試奏させてもらって、
そのアイディアにつくずく感心したのであるが、
VASENの曲も例えばドとドのシャープの間の微妙な音程とかが多く使用されており、5線紙に記載するのは
難しく、また5連や7連といった細かいフレーズを例えば9/8の拍子
(しかも3/4プラス3/8だったりする!)にきちんとおさめるのは
困難をきわめ、、、、、、、そうだ(まだ終わっていないので)。
でも、勉強にはなるわーーー。

大学時代、GENTLE GIANTの複雑なコーラスパートやPFMのリズムアレンジを採譜したり、
Hatfield and the Northのオルガンとギターの絡みを研究したり、
Weather Reportのコード進行およびコードに対するJACOのベースのアプローチについても
自分なりに分析したり、ドビュッシーやバルトークのオーケストラ曲のスコア、、、
これはそのままでは私には読めない(音が浮かんでこない)ので、コードネームを
つけてその和声を自己流で学んだりしたことを懐かしく思い出している。
それらは初期KENSOの糧となった。

年をとると凡庸な音楽家の多くは、自分の中にあるものだけで
「まあ、これでいいか」と作品を作りがちになる、、、、、
とどこかで読んだか、誰かに言われたことがある。
そういえば私もそういう傾向が始まっていたかもしれない。
VASENをコピーしたことで、自らを反省する機会を得た。

あ、そうだ。
新生KENSOのライブ情報は間もなく解禁になる予定です。

4月3日
●ヴァンダの部屋

3月25日、娘が学校行事で不在の日と私の休診日が重なったので妻と連れ立って、
映画鑑賞および神保町古書店街の散策に行った。
新聞の芸能欄で興味を持ったペドロ・コスタ監督の映画「ヴァンダの部屋」には圧倒された。
映像の手法には素人の私ではあるが、きっとこれはかなり斬新な映画なのではないだろうか。
「光」の多彩な使い方が本当に素晴らしい。
私の乏しい経験から、まるでレンブラントの絵のような画面の連続だなあと感じた。
カメラは固定されているようでパンしない。
次々に息を飲む画面の連続であり、底辺の人々を描きながらも生命の賛歌というか、、、、。
ロンドンのパンクムーブメントに影響され、ポルトガルで最初のパンクロック
バンドのメンバーであった鬼才ペドロ・コスタは、さすがに「音」の使いかたも衝撃的で、
映画を見終わった後、神保町で大量の書物に囲まれながらも、その「音」が自分の中で鳴り続けていた。
これは絶対に“自宅でDVD”では体験できないと思う。
劇場でないと。
東京近辺にお住まいの方はぜひ観にゆくべきだし、他の方も何かの機会に是非体験することをお薦めしたい。
特に音楽だけでなく様々なジャンルのクリエイタ−の方は、とにかく自分自身の創作ということを
見直すきっかけになると思うし、少なくとも刺激になると思うから。

神保町では妻が興味を持っているスペインの詩人Federico Garcia Lorcaの原書をイタリア書房にて
購入。
神田古書センターにあるお気に入りのカレー&コーヒーショップ“ボンディ”にて、
隣席の明治大学学生カップルの、良く言えば若々しい、
悪く言えば人生を甘く見過ぎている会話(就職に関する会話)を聞きながら食事。
君たちこれから大変だねえ。
しっかし、こんな生徒を雇って教育しなくてはいけない上司も大変だなあ。
3月28日

あ、4月に入ったら夏のライブ情報詳細が告知されますので、本ページを注目しておいてくださいね。


●月刊「よしひさ」

 第一部/13日の金曜日、遠方より友来る
 第二部/VASENのライナーノーツに対する個人的感想

奇しくも2月13日の金曜日、旧友石黒彰氏と先輩難波弘之氏が清水歯科医院の治療台(ユニットと
いいます)で隣り合うという禍々しい事態になってしまった。
そう言えば、数年前、新生kensoのドラマー小森氏と若手(でもないか、もう)ドラマー榎本吉高君が
初対面したのも、清水歯科の同じユニット上だった。まあ、その話題はいずれ。

石黒くんは、ここ1か月ほど数回治療に来ており、この日が治療最終日だった。
難波さんは、12日の夜に「ちょっと気になる箇所があるので、、、」というお電話をいただき、
「実は明日、某ミュージシャンの治療の時間を1時間とってあるんですが、、、、」
「もしや、それは、あの石黒、、、」
「えっ!よく分りましたね。あ、もしかして会いたくないとか」(石黒くんは、歯に衣着せぬ発言で
有名である)
「いやいや、そんなことは」

そう言えば、今年の1月3日にあった光田のソロコンサートの会場でも、偶然3人一緒になったが、
その時は私に翌日早朝からの用事があったため、あまり話しができなかったのだ。

「難波さん、実は、石黒君が治療に来るたびに、
長時間ノンストップロック談義というのをやっているんですが」
「えっ、そんな恐ろしいことを!」
「で、前回から、その場所を居酒屋から私のクリニックに移して、酒無し、コーヒーあり、
音楽ガンガン、でやっているんですが、、、難波さんもいかがですか」
「ううううむ、、、」

ということになった。

さてさて、その全貌について書くと長くなるので本日は省略するが、
(石黒氏のHP、DIARYのコーナーにも関連記事と写真!)
私が驚いたのは、
まず、KENSOの新曲のデモテープおよび12月に既に清水/小森/川島の3人で
録音したテイクを聞いている時の難波さんの“足”であった。
私も、こういう生き方をしているので、アマチュアミュージシャンともプレイするし、
幸運なことに大変才能のあるプロミュージシャンとも音楽を作ってきた。
両者の違いは数あれど、昨日も感じたのだけど、音楽への入り込み方が違うのである。
もちろん、全てのプロミュージシャンがそうでもないのかもしれないが、
彼らは興味を持った音楽へは、何と言うか急速にその中へ入ってゆく。
その音楽の実際的というか具体的なこと、例えば何拍子であるかとか、「あ、コードがFなのに
ベースはEフラットだな」とかは当然だが、もっと深い部分へも、、、入ってゆくんだなあ、これが。
難波さんの“足”は、初めて聞く曲、私のシンセの打込みサウンドに合わせて、
どんどんその正確さを増していた。さすがに突然挿入される16分音符系の変則拍子には
「おっとっと」という感じになるが、すぐに追従する。
さすがである。

この日は私から、あとで触れるVASEN(ヴェーセン、スウェーデンのバンド)
というバンドのリズムやハーモニーの解釈についてふたりに質問が
用意されていた。このVASENに関して私が色々と発言した電話インタビューが、
kensoの元マネジャー野崎さんの主宰しているミュージックプラントのHpに掲載されており、
これはkensoファンの皆さんにも是非読んで欲しいのだが(kensoとVASENとの共通点について
語っていたりで、ファンの方にはきっと楽しんでいただけると思う。URLは前回のこのコラムに記載した)、
その中でジェフベックのレッドブーツという曲に触れている。その
まず、「ノンストップ・ロック談義」いや「ロック論争」前哨戦として、
そのレッドブーツのリズムについて二人に聞いてみた。
結果から言うと、私清水が28年間、ここがリズムの頭だと思って聞いてきたり
演奏してきたりした部分は、
ふたりの猛攻撃に遭い、あえなく撃沈。(二人にとっては、私の解釈は問題外だったようだ、くそっ)
でも、もう、いいんだけど。私は、今まで自分が
とってきたように、これからもリズムをとってこの名曲を聞いてゆくよ、、、、とほほ。[註1]
しかしここでも難波さんの、「だって、ここが頭だと聞いた方が、クラビ(だったかな?)
の入り方が納得できますよ」という理路整然さ、
「清水さん、もしかしてZEPのロックンロールのイントロも分ってないとか、ふふふ」という
石黒くんの不敵な面構えに、百戦錬磨のプロの凄みを感じたのであった。
ちなみに、ZEPは分っていました、私。
[註1:と言いつつも真実はベックに訊かなきゃわからんて、でもベックは覚えていないかも。
“悪いが、どこが小節の頭かは覚えてねえや。
 マックスミドルトンに訊ねてみてくれ。お詫びにレッドブーツ弾いてやろうか”なんて言われたら
嬉しいだろうなあ]

しばしのロック談義のあと、「ちょっとお二人に聞いて欲しいものがあるんだけど」と
VASENのベスト盤をCDプレイヤーに入れた。
あらかじめお断りしておくが、このベスト盤は“買い”である。
VASENのおいしいところ、その音楽の多様性がお手軽に味わえる。
ここに収録されたうちの数曲は、kensoファンだったら必ずや「かっこいい!」と感じるに違いない。
私自身も久しぶりに「えっ、いったいこのメロディとリズムの組み合わせはどうなっているんだ!」
と、スピーカーの前に正座して真剣に分析しました。
私のところに「これから音楽の勉強をして、いつかkensoのような音楽を作りたいです」というような
メールをくださる若者にもお薦めだ。もちろんキミがVASENの音楽が気にいるかどうかは、
それは好みの問題だから保証できるはずはないが、
優れた音楽と真剣に向き合うことは、
キミが将来自分自身の音楽を創造する時にきっと生きてくるはずだ。
自分の未知の可能性を広げるためにも是非、聞いてみてほしい。
4月の初来日公演もきっと新鮮な衝撃に溢れたものとなるだろう。

さてと、ここまでは実は2月の半ば、難波さん/石黒くんとのロック談義の直後に書いた。

その時には、以上の話題に引続き
「VASENベスト盤のライナーノーツに異議あり!!」という内容の文章を書こうと思っていた。
今年の1月に私が前述の電話インタビューのため、ベスト盤の「音」を聴きながら、
添付されているライナーノーツを読んだ時に感じた違和感を率直に語るつもりだったのだ。
「これ、おかしくない?」と、書き散らしたメモもかなりな分量にのぼっていた。

その後、確定申告の準備やらKENSOの新曲の作曲やら今年の夏にリリース予定の新DVDの映像チェック
やらで忙しくなってしまい、気がつけばもう3月。
確定申告と映像チェックのほうはなんとか終わったが、曲作りは佳境に入っており、
夏に予定されているライブに関する諸々もスタート。
他人が書いたライナーについての意見を清書している時間は、、、、、、ないんですわ、とても。
前回も書いたのだが、今年に入ってから曲作りが好調で、「天鵞絨症綺譚」収録曲を作った時も
そうだったが、できない時は本当に全然できないのに、できる時は次々とアイディアが浮かんでくる。
しかも、そういう“特別な時”は数年に一度しかやってこない、、、、、
仕事をし、家族とすごした後に残った本当にわずかな自分のための時間を費やすに値するのは、
私にとっては当然曲作りだわな。
ということで、ずっと放置していたのです、「VASENベスト盤のライナーノーツに異議あり!!」を。

でも、KENSOファンが私の言葉を信頼してこのベスト盤を買ってくれた時のことを考え、
ファンの皆さんに対して最低限の責任は果たしておこうと思い、今またパソコンにむかっている。
「いつも色々な音楽を教えてくれて有難うございます」というメールもいただくので、
私としても推薦する上で責任があるからだ。
このベスト盤、内容そのものはgoodである。
これでVASENを気に入ったなら、そこで終わらず彼らの他の作品も聞いてほしい。
しかしライナーは、、、ううううん、なんというか、
慎重さが足りない部分が多いと私には思えるのだ。

その音楽の演奏上の実際的なこと(例えば、何拍子であるとか)は、
ミュージシャンに直接聞かなければ分らないのだから、そういったことに触れるのなら、
もっと正確な分析と演奏家に対する謙虚な姿勢での記述が必要ではなかっただろうか。
もちろんこの文章でokという判断をくだしたA&R担当者の野崎さんにも責任があると感じている。

私は通常、新しい作品を聴く時にライナーノーツは読まない。
しょうもない(それは単なる感想文のような貧弱な内容だったり、無茶苦茶な事実誤認があったり、
ひどい日本語の使い方だったり)ライナーによって
せっかくの音楽との出会いが邪魔されるのが嫌だということもあるが、
まずはアーティストの感性と自分のそれとの1対1の大切な出会いに余計なものを
介在させたくないからだ。
特に例えばメルセデス・ペオンの新作のように待ちに待った作品の場合、
大島豊さんという数少ない「あ、読んでみたいな」
と思わせるライターが執筆されていることが、
購入時にCDの帯に書かれていて既に分っていたとしても、
まずは音楽だけを聴く。
何度も何度も聴いて「すげえなあ、こんなのよく作れるよなあ」と感心し、
CDをケースにしまおうを思ったら、
「あれライナーが入っている、、、あ、そうか日本盤かあ、そうだそうだ大島さんが
書いているんだった」と、、、、それから読む。
ふむふむなるほど。

このベスト盤の場合、前述の電話インタビューに答える都合上、
ライナーを読みながら順番に聴いてゆく、という私にとってあまり好ましくない聴き方をしてしまった。
VASENの音楽自体は昨年から既にお気に入りになっており、
リズムやハーモニーに関しても自分なりの捉えかたをしていたから、
茂木さんの意見に対して、より強い違和感を覚えたのかもしれない。

繰返すが、
このVASENベスト盤の選曲は茂木/野崎のお二方により、収録時間の制約のあるなかで、
とても上手く編集されていると思うので、
もし私のこの文章を読んで「買ってみようかな」と思っている方は、まず最低10回(この数字に根拠は
ありません)はじっくりとVASENの“音”にのみ集中したほうがよいだろう。
その後で、何拍子だとかの具体的な解説は目から脳を通さずに鼻の穴へ、
そしてまるでタバコの煙りのように空中へと飛散させ、
VASENの音楽に対する愛情にあふれた二人の気楽なおしゃべりを楽しめばよいだろう。
つまり、このベスト盤のライナーノーツは
「音を聴く前には読まないほうがよい」というのが私の考えだ。

さてと。
“意見は意見として言わせてもらう主義”を貫くとかなりの時間を費やさないといけないので、
kensoの音楽を聞く上でも参考になりそうな部分のみ下書きから抜粋して清書しよう。
今、午前2時5分、、、、時間を区切ろう、そうだな、30分だけ、、、、そしたら私は音楽室に消えます。

M1に関する茂木さんの「あたふた」発言に対しても言いたいことはあるが、これは省略と、、、
どこからいこうか、、、、うん、ここだ。

M4について茂木さんは、最初の部分は3/4プラス5/4だとすぐわかるから数えやすいけれど、
 後半になると数えるのも嫌になるくらいだ、、、と書かれている。
まあ、まあ、そんなふうにいちいち数えながら聴くのも大変なことですが、このイントロを聴いて
3/4プラス5/4と数えるというのでは、そら嫌にもなるだろう。
もちろん正解はVASENのメンバーに聞かないとわからないし、分ったところで何も収穫はないのだが、
(私としては、本当にメンバーにたずねたい重要課題が他にあるので)
このイントロを聞いたら普通4/4、すなわち普通の4拍子が2小節ととるのではないかと思うのだが。
ミュージシャンの皆さん、いかがですか。
多くのポップスで4/4の4拍目から次の小節の頭をタイでつなぐパターンがあるよね。
シンコペーションと言ってもよいのだろう。
フュージョン全盛期の名曲「ルーム335」もそれに準ずる感じじゃなかったかな?
20年以上この曲聞いてないから断言はできないけど。
(大学時代はフュージョンブームだったからよく演奏させられたけど)
なんといっても断言できるのは私が18歳の時に作った「極楽に行けたら」(76/77収録)に
使っている、、、、、ということは高校生だった私が既に自分の曲に取り込むほど世の中に溢れて
いたリズムパターンだということだ。
M1に関して「ノリやすい」ことについて語った茂木さん、4/4として感じたら、もっとノリやすいのでは?
メロディが始まってもバックのパターンは変らないから4/4でokです。
ここで演奏家どうしだったら、基本のリズムは4/4で、気持ち的には3+5という歌い方もあるとか、
そういう話しになるのだが、、、、省略。

M5について、茂木さんが2拍3連と書かれている部分が実は3拍子系のリズムの上に
8つ音符が乗っているから3拍8連のほうが正しいのでは、という私の意見については
VASEN HPの清水義央電話インタビューを読んで欲しいのだが、これは難波/石黒も同意見だった。
もちろん正解はメンバーに訊ねないと分らない。

話はちょっとそれるが、、電話インタビューでも触れた
M7の「Sald och solde」は本当にかっこよい曲で、特にメロディとリズムの絡みは圧巻だ。
でも基本リズムはインタビューでも答えたように3/8プラス3/16とか、あるいは9/16を6と3、
あるいは4と5に分けて考えると私には“キャッチ−”(この言葉が茂木さんのM1についての
解説で使われていたので)だし、それは難波/石黒両氏とも同意見、
3人で聞きながらノってました。診療室で。
もちろんそれぞれが心地よいと感じるリズム解釈で。
(3/16を3小節で1パターンと考えられないこともないが、私にとってはそれはあまり心地よくない)
このリズム、kensoでも結構使っているよーーん。
「地中海とアーリア人」の前半部分にもでてくるし、、、、、ここから4拍子にもどるの結構
難しいんだよな。

あ、もう時間がなくなってきた。
じゃあ、色々飛ばして、、、、、、、

M9についての茂木さんは、“世のプログレバンド”
に対し、“ポリリズムはこれくらい(つまりM9くらい)自然にやってみれ”と
言ってやりたいそうだ。
加えて、“こういう(ポリリズムの?或いはリズムの複雑な?:清水註)曲で大事なのは、
聴き手に計算を意識させちゃいけないってことでしょう”で、更に
“譜面上で計算しながら作りましたと感じさせたら、もう終わり”だそうだ。

なるほど、どうぞ言ってやってください。
何を言うのも自由です。
そして口でいうのは容易いのです。
それにしても茂木さん、このVASENベスト盤ライナーの中だけでも、随分ミュージシャンに対して
「言ってやりたい」ことが多いんですね。

“こういう曲で大事なのは、聴き手に計算を意識させちゃいけないってこと”かア、、、。
なるほど、茂木さんはそう考えているんですね、へええ。
私も実家の引っ越しで、10代のころ書いた日記とかが出てきた時、
「すべての音楽はピアノで弾いて美しく響かないといけない」と書いたメモを見つけました。
ありゃあ、こんなこと考えていたんだオレ、と思いました。
若いころは、どうしても「こうじゃなくちゃいけない」と考えがちです。
茂木さんは、たしか私より2歳くらい若いくらい、、、、、でも自由です、
何歳の人がどんな意見を持とうと。

しっかし、“譜面上で計算しながら作りましたと感じさせたら、もう終わり”
とは恐いですね。もう終わりとは。
でも誰が決めたのでしょうね、そんなこと。

もしも、“こういう曲で大事なのは、聴き手に計算を意識させちゃいけないことだと
私(茂木さん)は思います。
譜面上で計算しながら作りましたとかんじさせたら、
私(茂木さん)にとっては終わりなんです”
というふうに書かれていたら、随分違う印象だっただろうけどね、私にとって。

譜面上で計算したと感じたら“茂木さんにとっては”終わりだということなら、
「へえっ、あ、そうですか」としか感想はないですわ。

まあでもね、どうでしょうね、小口君。
小口く〜〜ん、起きてエ〜!
譜面上で計算しながら作ったなって感じさせたら終わりだってよ!
てえへんだ、てえへんだ!
じゃあ、電卓たたきながら作ったら
ハルマゲドンが来てしまうかも。
弟子にも言っておいてちょっ。

と、ふざけてばかりで終わるのもなんなので、言っておきますが、
例えば小口君の作った「T,BENTAR」なんて、今までのKENSO難曲の中でも演奏が
とにかく難しいんです。
私について言えば、
昨年秋のライブためのバンドでのリハーサルに先立って、
自分のシーケンサーにこの曲の骨格を打込んで、まずスローなテンポで練習、
だんだんに速くしてゆくというベーシックな個人練習が必要だったことを白状しましょう。
その後バンドで演奏する時、特に曲中の最難関の箇所では、
左耳で小口/三枝/小森のフレーズを聞きつつ、
右耳で私が弾くフレーズと同じアクセントを持つ(同じフレーズでないところに注目してね)
光田の弾くフレーズに集中するというつまり
“右の脳に小口/三枝/小森、左の脳に光田”状態(左右の脳神経は交叉しますからね)
を短からぬ時間維持するという訓練を必要としました。
きっとメンバーそれぞれ違った「たいへんだあああ!」「ちょっと気が弛んだら終わり」を
持って演奏しているに違いないが、とにかく難しいのです。
しかし楽しいのです。

小口曲の多くには明らかに数学的計算によって発想し構築された部分があると思います。
(演奏して数年してから「あっ!こういうことだったのか」と突然分る数学的な仕掛けもあります)
しかしーー上手くは言えませんがーーその卓抜な計算結果に小口自身が触発されて
曲作りに深く入り込み、「T.Bentar」の場合、最終的にガムラン奏者の南部さんに称讃されるところまで
「音楽」に高めて作りあげているのです。
(「天鵞絨症綺譚」のブックレットにこの曲の譜面をちょこっと印刷したのも、
これは見事だなア、という敬意からです)
そして、私だけでなくメンバー全員がきっと、すさまじいまでの集中力でこの曲を演奏している。
そこにはギリギリのところで演奏する快感も存在しています。
昨年秋のクラブチッタでのライブでこの曲を演奏して、あらためて「すごい曲だなあ」と
感じました。
そんな曲そんな演奏に対しても、「あ、この曲、譜面上で計算して作ったな、もう終わり」
と感じるのはリスナーの自由です。
でも演奏者からしたら、「ははは、何言ってんねん、笑わせるぜ」ってことになるでしょうね。
これは、何もないところから曲を発想し作り上げる苦労と喜びを知っている私が
ぜひ言いたいことです。

私には普通の4拍子という一般的な意味でシンプルなビートと感じられるモノを
わざわざ「3/4+5/4だとすぐわかる」と解釈する茂木さんが「自然」と感じるビートは
もしかしたらとてつもなく不自然なモノではないかとさえ思います。
もちろん、これはVASENのこの曲がどうだとかいうこととは離れます。
「これくらい自然にやってみれ」とおっしゃるけれど、う〜ん、どうなのかな。
それと、このライナーを通して感じるのは、茂木さんて「数えすぎ」ではないでしょうか。
もちろんこれも自由ですけど。

あ、もう30分過ぎた。
なんか、音楽的な分析に対する反論をあちこち割愛したので、
私の文章の意図するところが伝わりにくくなってしまったかもしれませんが、まあ、いいや。
あとは皆さんでVASENの「音」を聴き、気が向いたらライナーを読んでそれぞれ考えてください。

VASENについて最後に、もうひとつだけ。
これはベスト盤ライナーに対する反論ではありません。
アルバム「TRIO」の茂木さんの文章についてなんですけど、
メンバーのひとり12弦ギターのタッレロ−ト氏の
特殊なチューニングについて、文章の中に突然「ADADADという特殊なチューニングを
施しているため」と出てきますが、これ「あだだっど」ってなんだ?って感じる方、
いらっしゃるのではないかと懸念されます。
楽器をプレイされる方には、「ああ、ギターのチューニングの音程だな」と分るでしょうが。
読み手に対して親切に書くのであれば、「1弦からADADAD」と書いたほうが分りやすいと思います。
あ、必ずしも1弦からとは限らないか。
でも、私がVASENを聴きながら、ちょこっとギターを合わせてみた感じでは、
やはり6弦(低音弦)側がDだと思うんだけど、、、

で、ギターを演奏する方ならここで「あれ?」と思うはず。
6弦D音はよい(よくあるので)5,4弦はレギュラーチューニングと同じだからよい、
あ、3弦はレギュラーから1音あげたA(ラの音)か、で2弦は、、、Dっ!!
通常のギター弦のゲージ(太さ)ではDに上げるのは結構勇気が要る、切れてしまうかも。
あ、そうか1弦の009か010を2弦に張れば可能か、なるほど、で1弦はAっ!?
いったいどうなっているんでしょう、ゲージは。
010を張ってベロベロに下げるのかしら、私も「金髪村の石」でやったけど。
これは来日の時に直接タッレロ−ト氏本人に訊ねてみたいものです。

ここまで読んでくださった方にトリビアかもしれないが知識を、、、
1弦から6弦へ「DA#FDAD」はオープンD、「DAGDAD」はモーダルD、「DADDAD」はユニゾンDと
それぞれ呼ばれる変則チューニングです。
呼び方はともかく、手元にギターがあったら是非、やってみてください。
弦は普通のレギュラーなものでokです。
けっこう新しい世界が広がりますよ。
ちなみにPFMのJET LAGの一曲目「Peninsula」は6弦のみDに下げるだけで弾けます。
(これはPFM来日公演3日連続出席の私がフランコさんの手元を確認しております)
あっ、訂正、弾けるかどうかは練習次第ですね。
モーダルDは私が高校生の時、ジミ−ペイジのコピーをしまくっていた頃に初代ドラマーの
二宮くんから教わり、その後も「麻酔part1」とか「謀反」とか、
最近では「暁に楽師が」でも使っています。
「湖畔にて」では何種類もの変則チューニングを使ってますが、モーダルDも
カポタストをして使ってます。演奏した本人が言っているので安心してください。

さらに、これは故小泉文夫先生の著書だったと記憶していますが、
あるメロディを何カ国かの人に聞かせて、何拍子に聞こえるかとか、
どこを小節の頭と感じるかという大変面白い研究がありました。
メロディを聞かせて被験者に譜面を書いてもらったんだったかもしれません。
その本はこれから向かう部屋に確実にあるのですが、読み始めると曲を作れなくなるので御勘弁。
御興味のある方は、文献を探してみてください。

では、最後に、「13日の金曜日」に集まった禍々しき面々の写真です。
闘い終わって日が暮れて、、というより日が暮れてから草木も眠る丑三つ時まで、、、
   男3人、微妙な関係、、、、80年代には考えられなかった「仲よさそうな写真」

さ、曲作ろ。

BGM:Anna Maria Jopekのクリスマス・カロル歌唱集。
  インターネットで試聴して感動して購入、季節はジャストではないが
  クリスマスの讃美歌とJOPEKの組み合わせ、とても心地よい!
  礼拝のオルガン当番の時、アレンジして弾いちゃおうと思っている。

あ、Jopek→Methenyという連想からJoni Mitchellの名作「Shadows and Light」を思い出した。
御存知の方もおられるだろうが、この名作中の名作映像作品、いつリリースされたのかは知らないが
「完全版」のDVDがタワーレコードに飾られており、とっさに(さっきの話ではないが、目から入った
情報が脳へ行って、そこから“このDVDを手に取れ”という命令がでて、それが神経繊維を伝わって
腕の筋肉が動くのではなくという感じ。ちなみにこういう時、“条件反射的に”という表現をする方を
みかけるが、これは本来の“条件反射”という言葉の定義からすると正しく無い。
いささか衒学的になるが、、)手にとり、誰にも追われていないのに
「これ、オレのだもんね!」とレジへ急いだ。
見たいなあああああああああああと思いつつ、もう10日が過ぎてしまった。
「Shadows and Light」、まだ見ていない方がいらしたら、これは絶対のおすすめです。
こういうのをフュージョンといったのだ、昔は。
というより昔はクロスオーバーと言ったのだ。
なんか、凄すぎる、思い出しただけでも。
いいなあ、私がお薦めしたのに、私より早く見れる人たち、、、、
くやしいから宿題ね。
「Shadows and Light」におけるJoni Mitchellのギターの変則チューニングって、なあんだ?!
初めて見た時、わたす驚いたっす。
「指一本で押さえて、なんでこんな響きがすんねん」

拙作「湖畔にて」には、Joni Mitchellの数ある変則チューニングからヒントを得て編み出した
変則チューニングも使われている。
新曲「シヅカへの扉」のそれは、VG88を使い、Methenyの12弦ギター及びバリトンギターから
ヒントを得て編み出したものだ。
MethenyにしてもJ.Mitchellにしても、“ホンもの”は凄いのである。
歳をとって色々な経験を積んでくると、そのことが非常によく分ってきた。
、、、、、、、あ、もう完全に時間オーバーだ!

では。
夏のライブをお楽しみに

3月15日
●耳寄りなお知らせ

KENS0ファンの皆さん、耳寄りなお知らせです。
まずキーボードマガジン編集部からのメッセージです。

小口さんと光田さんに協力していただいた企画についてお知らせします。
キーボード・マガジン4月号(2月28日売 /CD付録付き)の「シンセ・リードで決めろ!」という特集で、小口さんと光田さんによる模範演奏を特別に提供していただきました。
5/8と15/16拍子の変拍子バリバリのデモトラックに、2人が8小節交代で約3分にわたって交互にソロを弾きまくっています。
小口さんのギター・ライクなソロと光田さんのProphet-5&Jupiter-8によるアナログ・シンセ・ソロがこれでもかとばかりに堪能できます。2人のソロ・プレイのエッセンスが凝縮されています。
最高です。
ちなみにデモに使った曲は、小口さんの弟子という森田江利子さんが作った「機関車と私」をABA'に再構成したもので、ちょっと小口ワールド入ってます。(小口さんいわく、末恐ろしい女の子ということです)
いずれもケンソー・ファン必聴ということで、よろしくおねがいします!

キーボード・マガジン編集部小林

それと、スウェーデンのバンドVASENについて私清水が語っています。
URLをお教えしますので、是非読んでみてください。
http://www.mplant.com/koruna/vasen/friends.html

このVASEN(ヴェ−セン)、本当に凄いバンドで、
近いうちにこのコラムにもその音楽について書こうと思ってます。
来日公演も近いので、チケットのゲットはお早めに。
ちなみに私は東京公演の両日とも行きます。

2月17日
●近況報告

このThe battle of evermore、かなり若い方からの反響が多くなってきた印象がある。
「若い方って、俺かな?」っていう人のために言っておくと、
そうだなあ、ティーンエイジャー ってことですかな。
その他、様々なところからメールが来るので
「ありゃあ、これじゃ、うっかり した事、書けないなあ」と感じている次第。
でも、きっと今年も好きなことを書いてゆくではあろう。

学生時代は試験とか実習とか多くて
「ああ、忙しい。これじゃあ、楽器を弾く時間もありゃしない」と 青臭く嘆いていたが、
40代の同世代の皆さん、忙しくないですか?近頃のほうが。
仕事以外に、色々な“役”の順番が回ってきたり、、、、。
学生は普段忙しくても夏休みとか長期の休みがあるからなあ。
私のような自営業の場合、 長期の休みなんてとてもとても。休診イコール減収ですからな。

私の場合、勿論毎日の仕事があって、それに関する勉強会や自己研修があって、
必要最低限の 仕事上のおつき合いがあってと、まずは普通の社会人としてのそこそこ忙しい生活がある。
そして父親という立場になれば、休日には公園に行ったり、各種の観劇やら演奏会を家族で観にいったり、
休日授業参観日(これは学校側もわざわざ祝日に設定してくるから 明らかに父親参観日の色彩 を帯びており、
みんな日頃忙しいだろうにほぼ100%の出席率、よく出てくるなあといつも感心する)なんてものがあったり、
運動会、学芸会、美術展、父の会(学校後援会みたいなモノ)などなど一年間に様々な行事がある。
月に1〜2回ではあるが教会での礼拝オルガン弾きも、、、
まあ、これは結構よいインスピレーションを 与えてくれるのだが。

さて前置きが長くなってしまったが、ともかくそのようなあわただしい毎日の中にあっても、
ここのところ曲作りも順調なのであって、休みの前の日には、
翌朝に家族が起きてくるまで夜通し 楽器に向かうことが日常となっている。
曲作りが佳境に入った時に、東の窓から朝日が差し込んできたりすると本当に幸福感が 全身を満たす。
楽器に向かわない曲作り即ち、通勤の往復路に曲想を探り通勤電車内で推敲するという 自分の作曲パターンも戻ってきた。
新生KENSOへの気分の高まりが間違い無く良い方向へ向いている。
小口や光田は、どんな曲を書いてくるのだろう、そして三枝は?小森は?

既に、川島/小森/私の3人で、次のアルバム用に何曲かレコーディングしているのだが、
(川島さんは、一月初旬に今年1年間留学されるセビリアへと出発した)
この既に録音し終わった「音」は本当に自分でも驚くほど新鮮な「音」であり、聞く度にやる気が 湧いてくる。
もちろんまだベーシックトラックなのだが。
私の旧友、石黒彰氏のホームページのdiaryの12月のところに、
川島/小森/私のレコーディングに ついて遠慮がちに書いてある。
1月のところには、私との「4時間連続ロック談義」 についても書かれている。
御興味のある方はご覧になってください。

ということで、今年もよろしくお願いします。
ライブは夏頃かな?
年末あたりから新作のレコーディングもしたいと思っている。
年末なんて言うとまだまだ先の話のようだが、曲作りやリハーサル、
更に昨年のライブドキュメント作品の 制作などを全部こなしてゆくとなると、あっと言う間だろう。

さて今午前12時40分、これからどうしようかな。
確定申告の準備のために帳簿をチェックするか、新曲を作るか、、、、そんな毎日でやんす。

書店に、3時間の睡眠がどうしたこうしたっていうタイトルの本が並べられていた。
自分の睡眠パターンを考えると 3時間睡眠ではとても無理だが、
4時間の夜寝プラス昼寝20分で何とかやっていける 清水義央46歳でありんす。

だから昼休みに

「しーみず先生でよろしかったでしょうか!!?
今日は、“し・さ・ん・う・ん・よ・う”のお話で、お電話さしてもらいました、はい」 とか

「院長先生はおりますか!!私、金投資の会社の田中商事の猫田でいらっしゃいますが、
先生は金投資のほう、御興味のほう、ありますでしょうか」

などという、むちゃくちゃな日本語の電話で昼寝を邪魔しないでほしい!

「そんなでたらめな日本語使っている営業マンは信用できませんので」
 って言って電話切っちゃいますけど。

2月1日


●お知らせ

我々は今後、小森啓資氏を正式ドラマーとして活動してゆくことを決定した。

村石雅行氏の約15年間の多大な音楽的貢献に対して、私、小口、三枝、光田は
心から、また最大級の感謝を捧げる。
本当にありがとう。

しかし、時は移りゆくものだ。

この決定について、ファンの皆さんの間で様々な憶測が乱れ飛ぶのかもしれないし
それは“御自由に”ではあるが、今回の経緯に3流女性週刊誌的な舞台裏は勿論無 く、
あくまで音楽的な必要性、必然性から生じた決断であるということを強調しておき たい。
当たり前じゃん。

我々はもう既に次なる大地へ向けてスタートしている。

すべては新たなKENSOの音楽で明らかになる。

平成16年1月吉日