0) DTMって何?

 DTMとは「DeskTop Music」の略語です。そのまま訳すと
「机上での音楽」になりますが、要はパソコンやMIDI音源を
利用して音楽を演奏したり作ったりすることです。
(MIDIとは、電子楽器を接続してコントロールするための
世界的な規格のことです。)

■DTMの利点
 1  楽器が弾けなくとも、ワープロで文章を打つように
   パソコンの画面に楽譜を入力してゆけば、なんとか
   曲が完成します。

 2  楽器が弾ける人でも、自分のパート以外を演奏させて
   曲を仕上げることができます。自分の演奏を記録して
   修正することも容易。部分的な修正、ピッチ変更、
   転調、音色変更なども思いのまま。

 3  インターネットなどを利用してデータをやりとり
   すれば、場所や時間を越えた共同作業も可能。

■何から初めればいいか
  詳しくはこのあとの章で触れますが、入門者レベルで
 あればこれだけあればいいでしょう。

  ・Macintosh、もしくはWindowsパソコン
    とりあえずはそれほど高性能でなくとも良い。
    Macであれば68040以降、iMacを含むPowerPC
    搭載機であれば問題ないでしょう。
    Windowsであればi486以降のクラス。
    但しオーディオデータを扱う場合やソフトウェア
    音源を利用する場合は高速のCPU、HDDが必要。
    あと、ディスプレイは大きいほうが作業は楽。

  ・DTMのパッケージ
    ローランド、ヤマハなどが出している MIDI音源と
    関連ソフト、ケーブル類などが パッケージに
    なった製品。実売価格で2〜8万円程度。


1) 各社のDTM音源規格

 DTMでMIDI音源を制御するには、規格があります。

  ・GM1(業界統一)
  ・GM2(業界統一)
  ・GS(ローランド)
  ・XG(ヤマハ)

 それぞれの規格内では、音源のコントロールが容易です。
 現在のほとんどの音源はGM1に対応しています。GM1はかつて
 GMと呼ばれていた規格ですが、GM2の登場によりGM1と名称が
 改められました。

 GM1では音色数が128と決められています。
 GM2はGM1で規定されていなかった音色のエディットやエフェクト
 等の仕様を定め、音色を拡張したGM1上位互換の規格です。

 GS、XGは各社がそれぞれGM1を拡張した規格です。
 GS、XG以外にも各社独自の規格(コルグのX5等)が存在します。


2) 音源とPCの接続方法

 DTM音源には以下の4種類があります。

 1.USBにつなぐ外部音源
    Windows/Macintosh

 2.シリアルポートにつなぐ外部音源
    ・プリンタ/モデムポート(Macintosh)
    ・COMポート(Windows)

 3.内部バスに差し込む内部音源
     SoundBlaster32/SoundBlasterPRO等(Windows)
     あとノートPC用のカード型も。

 4.ソフトウェア音源
   ・Macintosh
     ローランド VSC-88H3(GS)
     ヤマハ S-YXG50(XG)
     アップル QuickTime(ローランド GS音源。フリー)
     カメオインタラクティブ CyberSound GM
     ヤマハ MIDPLUG(WWWブラウザのプラグイン。フリー)

      ※QuickTime以外はPowerMacintoshおよびiMac専用

   ・Windows95/98
     ローランド VSC-55 / VSC-88H3(GS)
     ヤマハ S-YXG100plus/S-YXG50/S-YG20(XG)
     シェアウェア FPD97
     シェアウェア Wingroove
     アップル QuickTime(ローランド GS音源。フリー)
     ヤマハ MIDPLUG(WWWブラウザのプラグイン。フリー)

  私が直接聴いたことがあるもので(主観的に)音がいい順番に
  並べるならこんな感じです。

   ハード音源>VSC-88>S-YXG50>QuickTime3>MIDPLUG>Windows標準

  また、上記以外にも特定の楽器(ローランドTB-303/TR-808等)を
  シミュレーションするソフトウェア音源もあります。


3) データ入力の方法

 データ入力には、シーケンスソフトを使用します。
 シーケンスソフトでの入力方法には3通りあります。
 ほとんどのソフトにこの機能はあります。

 1 リアルタイム入力
    MIDIキーボードを直接演奏して入力。
    音程、音調、強さ、等が入力できます。
   (但しキーボード側で対応してること)
    キーボードが弾けることが前提です。

 2 ステップ入力
    データを数値にしてPCから入力。
    例えばシーケンスソフト「Vision」の場合、PCの
    キーボードで「4」と入力してMIDIキーボードの「ド」を
    弾くと、「四分音譜のド」が入力できます。

 3 PCだけで直接入力
    マウス/キーボードでデータを直接入力します。

 実際は、この3通りの方法を適宜組み合わせて使用します。


4) 音源(ハードウェア)

 ●性能
    ポート数(1ポートに付き16ch)

    最大同時発生音数(32音、64音、128音)

    音色数(GM規格で128音色 + α
        ドラム・セット数,
        SFX数<動物の鳴き声、ピストルの音など>)

 ●インタフェース
    コンピュータ端子
    MIDI端子(IN / OUT / THRU)
    オーディオ端子(IN / OUT)

  ※MIDI端子の数も値段によって増える。外部のキーボードと
   つなげるには、最低でもIN / OUT / THRU が欲しい。

 ●ディスプレイ
    パート(ch)別の音量,音色,等の表示。
    下位モデルにはない。

 ●ボタン
    手でボタンを押すことで、音の設定が可能。
    下位モデルにはない。

5) 用語集

 DTM(MIDI)用語はたくさんありすぎて、全部説明しきれない
のですが、とりあえず、基本的なところから。
 これらが、どう言うときに使われるのか?は、追々説明しますので、
ここでは、「聞いたことがある」という程度でかまいません。

 ○ノート・ナンバー
    音程のこと。音程には、通し番号が付けられています。
    一般に1つの音のデータをノートと言っているようです。

 ○ゲート・タイム
    音長のこと。数値で指定します。

    基本的に、1つの音(4分音譜)の長さを基準にしています。
    =タイム・ベース と言います。
    ソフトの能力が高いほど、扱えるタイム・ベースの幅が広がる。
    要するに、細かく分割できるということです。

    タイム・ベースと言うよりも,音譜分解能という言い方の方が
    一般的でしょう。( Cakewalkでは、音譜分解能)
    カタログ等では、音譜分解能 4分音譜=120 と表示。
    これは、4分音譜を120という時間に分けられるという意味。
    よって、この場合だと、8分音譜=60、16分音譜=30
    ということになります。

 ○ベロシティ
    音の強さ。数値で指定します。
    キーボードからのリアルタイム入力に有効的。
    キーボードを叩く強さをそのまま数値に変換可能。
    ただし、キーボード側にベロシティ機能があること。

 ○アフター・タッチ
    後から変化する音の強さ。
    ベロシティは鍵盤を叩いた瞬間の強さに対して、
    アフター・タッチはその後(鍵盤から手を放すまで)の
    音の強さを表します。当然ですが、キーボード側に機能があること。
    ただし、実際にはアフター・タッチの情報はあまり使いません。
    参考までに...ということです。

 ○パンポット
    左右の音量。数値で指定。
    バンド構成を考えて、右にギター、左にベース という
    ことができる。

 ○ボリューム
    (絶対的な)音量です。数値で指定します。

 ○エクスプレッション
    音量の変化を示します。ボリュームと同じような意味ですが、
    こちらは”表現”というようなニュアンスです。
    ボリュームと連動して使いますので、注意して下さい。
    数値で指定します。

 ○ホールド
    サステイン・ペダル(ダンパー・ペダル)のように音の持続を示す。
    多様すると同時ボイス数が増え、音源CPUに負荷がかかるので、
    注意して下さい。
    指定:ON / OFF

 ○ソステヌート
    ソステヌート・ペダルのように、踏んだ瞬間の音の持続を示す。
    多様すると同時ボイス数が増え、音源CPUに負荷がかかるので、
    注意して下さい。
    指定:ON / OFF

 ○ソフト
    ソフト・ペダルのように、柔らかな音質にします。
    指定:ON /OFF

 ○モジュレーション
    ビブラート効果のかかり具合を示します。数値で指定します。

 ○ピッチ・ベンド
    ピッチ・ベンド・レバーのように、ピッチ(音の高さ)の変化
    を示します。一般的には、全音↓〜全音↑の幅に変化できます。
    変化の幅を数値で指定します。


 というように、音に関するデータは全て数値で表されています。
 なお、これらの言葉は、使う音源、ソフトによって違うことがあります。
 あしからず...

6) シーケンスソフトの種類

 ■ Macintosh
 (上級者/プロ向き)
   StudioVision Pro3.0J(OPCODE / カメオインタラクティブ)
   Vision3.0J(OPCODE / カメオインタラクティブ)
   Performer5.5(Mark of Unicorn / カメオインタラクティブ)
   CUBASE(Steinberg / カメオインタラクティブ)
   CUBASE Audio(Steinberg / カメオインタラクティブ)
   LOGIC ver2.5(EMAGNIC)
   LOGIC Audio ver2.5(EMAGNIC)
   Master TRAX Pro 6(PASSPORT)

 (入門者向き)
   EZ-Vision3.0J(OPCODE / カメオインタラクティブ)
   Cakewalk Metro4(Cakewalk / ローランド)
   MusicShop(OPCODE / カメオインタラクティブ)
   FreeStyle(Mark of Unicorn / カメオインタラクティブ)
   MicroLOGIC ver1.6(EMAGNIC)
   Singer Song Writer3.0(INTERNET)

 ※入門者向きのものの中では「EZ-Vision」がおすすめでしょうか。
  FreeStyleは画面が全て英語なので、少し辛いかも・・・。

 ※シェアウェアの「MIDI Graphy」などもなかなかよく出来ています。
  DTM雑誌などの付録CD-ROMの定番ですね。

 ■ Windows

   -- 取りまとめ中 --

 ※入門者が最初に買うとすれば、MIDI音源とソフト、ケーブルが
  セットになったパッケージ製品を選ぶのがいいでしょうね。
  実売で2万円から8万円くらい。単体で揃えるよりもかなり安く
  つきます。

   ・ミュージ郎/ミュージくん(ローランド)
   ・Hello! Music(ヤマハ)
   ・Audio Gallery(コルグ)
   ・日曜音楽(カシオ)
   ・STUDIO in a Box(カメオインタラクティブ)

          など・・・・。

 ※「★DTM関連リンク集」の方に各社のホームページを載せています。


7) 接続例

 DTMの簡単な接続例を紹介します。


   ┌――┐                  MIDI OUT/THRU   MIDI IN
   |PC|        ┌――――┐―─→┌―――――┐
  ┌┴――┴┐──―――――| 音源 |   |キーボード|
  |    │       └――――┘←─―└―――――┘
  └――――┘シリアル/USB接続    MIDI IN     MIDI OUT             
   
   ※音源には、MIDIインターフェイスを含む。


 この場合、データの流れは、
  鍵盤より入力 → PC → ★音源 → ★キーボード音源
 となり、音は★で鳴ります。 

 <設定>
  ・リアルタイム入力時,キーボードをローカルOFFにする。
  ・PC側のシーケンスソフト設定をMIDIスルーにする。
   
 <用語>
 ○ローカルOFF
   普通キーボードには鍵盤部と音源部があり、繋がって
  います。これを、キーボード側の設定で,鍵盤部と音源部を
  切り離します。ローカルONで打ち込みすると、キーボード
  音源と外部音源とで2重に音が鳴るので注意!
  (「フランジャー現象」と言います。)

 ○MIDIスルーON
   シーケンスソフト内部で電気的に接続する。
   シーケンスソフト側の設定。初期値はONのはず?

8) 音づくり

○エンベロープ
  音が鳴り始めてから、消えるまでの変化。
  下記は、縦軸:音量/周波数、横軸:時間。


        /\   |<レゾナンス>|  |
       /  −−−−−−− (周波数) |
      /          \      |カットオフ
     /            \     |(周波数)
    /              \    |
   /                \   |
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
   アタックタイム
   |<===>|
       ディレイタイム
        >||<
                リリースタイム
                 |<=>|


#アタックタイム
  音を出す動作(ノート・オン)からの、音の
  立ち上がりの鋭さ。

#ディレイタイム
  立ち上がってから、一定(サスティン・レベル)に
  なるまでの時間。

#リリースタイム
  音を出す動作をやめて(ノート・オフ)から、音が
  消えるまでの時間。

*カットオフ(フィルタ機能)
  高く:音が硬く(明るく)なる。
  低く:音が柔らかく(暗く)なる。

*レゾナンス(フィルタ機能)
  音の後半部に変化を付ける(倍音をコントロールする)
  ことにより、癖のある音にする。

    大きく:リリースの減衰角が大きく(直角)なり、
        角張った音になる。
    小さく:リリースの減衰角が小さく(扇型)なり、
        丸い音になる。

9) 音源固有のメッセージ

 打ち込みするにあたり、気を付けないといけないことで、
 どんな音色マップで作るか/聴いてもらうかを設定する
リセット信号についてです。

 音源を初期化するにあたり、各々の音色マップによって
コマンドが違います。普通、データの1番最初にこの
コマンドを挿入し、音源に送り初期化します。

 このコマンドを一般にエクスクルーシブ・メッセージと
言います。特徴は、各メーカ、各音源によって異なることです。
 エクスクルーシブの使い方については、後述することにします。

=====各種リセット・エクスクルーシブ・メッセージ=====

 以下の○印のうち、1つ送信すればOKです。
 もし、複数送信するなら、最後に送信(受信)された音色が
選ばれます。

○GMリセット(各社共通)
  F0 7E 7F 09 01 F7
 
○XGリセット(ヤマハXG音源用)
  F0 43 10 4C 00 00 7E 00 F7 

○GSリセット(ローランドGS音源用)
  F0 41 10 42 12 40 00 7F 00 41 F7 

 SC-88 シリーズは、GSリセット送信後に以下の
 どちらかのコマンドが必要。

  □シングル・モード
    F0 41 10 42 12 00 00 7F 00 01 F7 
  □ダブル・モード
    F0 41 10 42 12 00 00 7F 01 00 F7 

○X5リセット(コルグX5系音源用)
  GMリセットに同じ。その後以下のコマンドを実行
  F0 42 3n 36 ff ・・・・ F7 (n=MIDI Ch / ff = 機能)