火、火のエルはっ!?

 ……いや、テーマ的には先週で語り尽くされた感があるので、個人的に一番気になってたのがこれだった もんで。ああ、火のエルー、見たかったのに、見たかったのになぁ……。
 エル系はみんな格好良いので好きなんです。

 さて、いったいどうやってまとめるのか注目だった最終回ですが、まずは氷川くんが 飛行機に乗り遅れる所パスポートを忘れる所から、始まり ました。
 「氷川くん……」
 「すいません小沢さん……パスポートが無いと、海を渡れません!」
 「馬鹿ね、四国は日本だからパスポートはいらないのよ!? ……仕方ないわね。かくなる上は、北條透 を抹殺するわよ」
 「ま、抹殺ですか?!」
 「いい? 氷川くんは本来なら飛行機に乗っている筈……つまり、今なら鉄壁のアリバイがあるわ!」
 「な、なるほど……さすがは小沢さん!!」
 いや、無いって

 ……すいません、自分でボケて自分で突っ込んでしまいました。
 えーと……なんだか最終回全般、突っ込みどころは多いけど、突っ込みにくいみたいな。ここに来てこれ だけ王道ばりばりで来ると、どう対応すればいいんだみたいな(笑)

 帰ってきた“英雄”氷川誠、復活の涼、そして相変わらずの翔一くん……
 三人の力を結集して、『聖地』に特攻。エルどもを薙ぎ払い、謎の青年に“人間”の力を見せつけて、 そのまま大・団・円。
 展開こそハイペースなものの、基本は怒濤の正攻法
 こう来られるともはや、ふにゃーっと見てるしかありません。
 個人的には嫌いでないやり方ですが。
 盛り上がるか盛り上がらないは別にして、ほとんど半分、戦闘に使ったというのは英断だったと思います。 やっぱりそーいうカタルシスは必要だと思うので。そのラスト戦闘を藪の中でやってしまう辺りが、 長石多可男の面目躍如でしょうか(笑)
 ちなみに、個人的に考えたラストバトルで全員がやたらに強かった理由。

ギルスの場合
隅田川を下って東京湾を流れている内に、化学物質の混じった海水を吸収。 体内細胞が新しいバージョンへと密かに進化して、目立たないながらギルモンEX科学の力バージョンに。 或いは、ギルモンEX不死身といえばストロンガーみたいな?バージョン。
G3−Xの場合
“不器用な”氷川くんではなく、“器用な”北條さん用に調整されていたG3スーツと、怒りの氷川くん の能力がちょうどシンクロ。実はあれが真の性能。
アギトの場合
電波、とにかく電波

 一応、1対1対1でなくて、2対1・1対1、な辺りがパワーバランスというやつでしょうか。個人的には 全部1対1でも良かったんですが。ああ、かえすがえすも火のエル……。土のエルに新しい命あげてるぐらい なら、火のエル出せば良いのにー、良いのにー。
 最後のアギトキックは、なんというか、結局物理攻撃に弱い謎の青年って感じで。殴られたり蹴ら れたり、神様(?)も色々と大変です。あわくって逃げていく所はなかなか楽しかったですが。
 個人的にあのシーンで面白かったのは、「何をするつもりだ?!」とか深刻な涼とか氷川くんに対して、 たぶん自爆特攻とかそういう発想は無いに違いない翔一くん。あれは絶対、「キックしたら届くかな?」 ぐらいの発想だったと思われます。
 届いちゃいました。
 しかも、痛そうです。
 直撃後の、白い雨シャワーは、穿った見方をすれば翔一くんの中のアギトの力なのかなー……などとも 思われるのですが、さてはて。
 なんか各地で、処女受胎とか起こってそうで(以下、あまりにもネタがやばい為、検閲削除)

 そして物語は後日談へ……

 この後日談エピソードは(沢木さんと謎の青年の会話含む)、シナリオと演出の意志疎通の勝利 でしたね。つまり、
 演技の出来るキャストに長い尺(笑)
 沢木、北條、小沢、を軸にする辺り、オチとしての“溜め”を造らないといけない翔一くんを例外とする と、かなりあからさまとしか言いようがありません。
 正解ですが。

 物語的なオチは、沢木さん&謎の青年の会話ですべて一気にまとめてしまいましたが……まあ、神様的 存在を敵に回した場合は、本当に倒してしまうか、こーいう「もう少し見守るとしましょう」的なオチの だいたい二択にならざるを得ないので、仕方ない所でしょうか。
 個人的には、そういう既存のパターンを乗り越えるウルトラCを期待して いたので、拍子抜けといえば正直、拍子抜けなんですが……沢木さんにしてやられました。
 個人的に、小川敦志(沢木さん役)という役者が好きだというのもあるんですが……最後に、「俺が勝つさ」と 言い切ってあれだけ朗らかな笑みを浮かべる、という演技が出来るのはやっぱ凄いなぁと。なんか、最後の 最後で、あれが本当の沢木哲也(津上翔一)なんだ、という。
 演技の説得力、とでも言いましょうか。
 さて、会話内容については別にどうこう言う所もないので、ちょっと余談を。これは全く個人的にふと 思っただけなんですが……終盤登場した、沢木さんが窓の外を見ながら紅茶を飲んでいるテーブルと 椅子。沢木さんの席の横にもう一つ椅子がありますよね。で、どうもはっきりと確認は出来ないんですが、 誰もいないその席にも、紅茶が1セット、しつらえられてるように見えるんですよね……劇中では謎の青年 の席と化していたその場所ですが、実際は、雪菜さんの席だったのかなぁ……と。
 アギトであったが故に愛する者と死に別れた男、それ故に世界の秘密を知った男、それ故にアギトに人類 の未来を託した男……なんかその瞬間に、よーーーやく、沢木哲也という男がわかった気がして、ラストの 会話も色々良かったなぁ、などと思えてしまうのでした。
 というわけで、小川敦志という役者が配されて、沢木哲也という男があそこに居た時点で、なるほど私の 負けだったのか、という。
 ……身も蓋も無い言い方をしてしまうと。
 まあさすがに、葉っぱが落ちて死ぬ、という演出はいかがなものかとは思いましたが(^^;


 尾室のヒゲ……よりもむしろ、あんなにたくさんG5メンバーを養成してお隣の国 から文句を言われないかどうかが心配です。どう考えても、軍備拡大
 焼き肉屋、大儲け。

 氷川くん、郷里の家族より東京での出世を取る。
 恋人よ君を忘れて 変わってくぼくを許して
 毎日愉快に 過ごす街角
 ぼくはぼくは帰れない〜♪

 まあ、氷川くんの場合、スーツを脱ぐと本当に、ただの刑事、ですしね。もはや仮面ライダーでも無い という。ただ逆に“誰でも仮面ライダーたりえる”というのも本作のテーマではあったと思うので、もう ちょっと格好良いオチをつけてあげても良かったような気もしますが。終盤にいい所を貰いすぎたんで、 こんなものか……。結局最後の仕事は、小沢さんへの繋ぎ
 ご主人様には逆らえません。
 個人的には、河野さんの一本背負いで、お腹いっぱいです。

 ロンドンの二人(笑)
 もうなんかここは、辻褄がどうとか、成り行きがどうとか、そういうのはみんなおいといて、
 何も考えずに楽しみましょう
 みたいな。
 というかまあ、この後日談全部楽しんだもん勝ちですが。
 どうしてわかりあっているのかはつくづく疑問ですが、北條さんが面白いからいいや、というか、最後の 最後に来ておいしい所をみんな貰ってしまいました。
 やったぞ僕等の北條さん!
 ……まあこれって結局、ラストをネタ方向に持っていくとすると、一番おいしいキャラは、誰が見ても 北條透だったと、そういう事なんでしょうけど(笑) 最終回見終わった後に、東映公式サイトの裏話関連 をまとめて読んだんですが、スタッフの間でもネタ度がやはり高いみたいですし。
 山崎潤(北條さん役)氏も最初見た時はどうなる事かと思いましたが、“ひっそりと笑う”演技が出来る ようになってから、物凄い変わりましたね。演技的には、今作最高の成長株でしょうか。時点は氷川くん。
 後このシーン、一応、穿った見方をすると、わざわざ日本からロンドンに北條透が……アギトがらみの 事件? とかいう見方も出来るわけで、なんともまあ全般に、サービス精神満載の最終回です(笑)

 そして真魚ちゃん、外科医の卵に乗り換え
 ……え? 違うんですか?
 少なくとも、美杉教授はその気に見えますが。
 だいたい、あのカットは、勉強してるように見えません。勉強するなら、もっと高い机でやるか、 座布団でも敷いてやるかでないと、とてもあの体勢では長時間保たないと思うわけですが。
 さすがに美杉教授が、真魚ちゃんの部屋に入るのは妨害しているのか。
 ところで、プチ家出して四国〜中国間のフェリーに乗っていた為に、西の方に住んでいるとばかり思われた 真島くんですが、受験の為に東京で一人暮らし中という事なんでしょうか? さすがにまだ家出しっぱなし という事もないだろうと思うわけなんですが(さすがに捜索願いが出そうです)。
 木野さんマンションにでも住んでるんですかねぇ……木野さんなら、部屋の一つや二つ買った上に、電気代 とかの引き落とし用口座には大金が唸ってそうですし。
 元の翔一くんの部屋に居候という展開の方がときめくんですが、それだとレストランに誘ってもらえてない のがあまりにも可哀相ですしね(笑)
 ああそうそう、真魚ちゃん、料理できるようになったんですね。
 しかし、時既に遅し

 ここでの歌の入り方は格好良かったですね……よくある手法といえばよくある手法なんですが、好きなんで、 こーいうの。シーンと台詞の重ね方とかは絶妙でした。

 寂しんぼ葦原さんは、主題歌と夕陽をバックに走り去る、というなかなか格好いいシーンをいただきました。
 でもって結局、このオチでわかった事は、葦原涼というキャラクターは“一般的なイメージにおける仮面 ライダーの体現”であったという事。もともと仮面ライダーになってしまった男という原点的な 仮面ライダー(ここでは一応、1号と2号を指す事にしておきます)の位置づけではあったのですが、最終的 にそこから動かさなかったようです。
 とすると、最終盤で目立ちきれなかったのも、むべなるかな。納得できます。
 つまり……仮面ライダーというのは自らの居場所を探す異形のものであって、 彼がヒーローたりえているのは、明確な“悪”があって、それに対する己の明確な“正義”があるからなわけ です。勿論、それを貫き通す強さと心があるからこそ、ヒーローでいられるわけですが。
 そこを行くと、ギルスにとっては明確な“悪”もなく、明確な“正義”も無いのです。それが良いとか悪い とかでなく、二元論をくさすわけでもなく、ただ単純に、そういった現代的な物語世界設定の中に過去的な ヒーローが送り込まれた時、結局最終的に彼に出来るのは、“居場所を探し続ける事”であり“自分の力を 使う意味を探し続ける事”であった、と。
 ひとりバイクで走り去る涼、ってのはそういう孤独の集成にどうしても見えます。
 とか考えてくると、実は3人主人公ってのは、そのまま現代ヒーロー論に繋がるのか、とかいう見方も 出来るのですが、それは最後に。

 レストランに閑古鳥
 って突っ込んじゃいけない、突っ込んじゃいけないんだろうなぁ……むしろ、あれから1年で翔一くんは 本当に調理師免許を持っているのか、その方が心配だったりします。
 あえて翔一くんが店まで持っている所まで描いた(別に勤め先でも良かったと思いますし)理由は、
 あの大きさの店を一人で切り盛りできるわけがない=厨房に可奈さん!?
 という邪推を招く為だとしか思えないわけなのですが、いつ出てくるのかドキドキしながら見てたのに なぁ……私の中では既に結婚してます。
 ああ、送り狼(待て)


 最後に総論ですが、とりあえず最終回、話としては嫌いじゃないです。
 大団円で良かったんじゃないかなぁ、と。オチとしてはこーいうの好きですし、むしろ、話をどっか遠く の世界へ吹っ飛ばしてしまうよりも、ストレートで良かった気すら(笑)
 まあ……語る事は語ったし、基本的にとても綺麗な大団円で終わらせたんで、あの謎は?とか妙な 伏線が残ってなかったっけ?とかいう事に関しては目を瞑ってハッピーエンドをお楽しみ下さいみたい なちょっと卑怯な香りは感じましたが。
 私個人としては、沢木さんと北條さんがおいしい所をもらって、真島くんが出てきたからまあ いいかな、みたいな(おぃ)
 ただ惜しむらくは、年間通して一つの作品として見た時に、歴史的傑作とは言えなかった 事かなぁ……あの天才・井上敏樹が年間通してがっちりやって歴史的作品に成り得なかった というのは、個人的には残念であります。
 まあ、基本的には面白かったですし、私が井上敏樹相手に設定してるハードルが高すぎるだけなので、 普通に良作、として評価しますが。
 それと、上の感想書いてきて思ったんですが、なるほどこの作品の究極的なテーマは
 楽しんだもん勝ち
 だったのかと(笑) いや、どんな作品でもそれは言える事ではあるのですが、最も大事なラストにこう いう構成を持ってくるという事はやはり、全体ひっくるめて、そういう事だったのかな、と。
 それを全肯定するかどうかはともかく、なんかまた一つ、真理を突きつけられた気分だったり。
 で、こう思って最終回を見返すとですね、実にいい最終回なんですよこれが。通して話を見たらどうかは 別にして。後こういうのって、ある時期で終わりが来るのがわかっている年間TVシリーズものならでは、 だなぁ……とか思うと、ちょっと感心してみたり(例えば小説では出来ない)。
 ……贔屓で誉めすぎですか?(^^;
 ただまあなんともいえず、井上敏樹という脚本家のエンターテイメント魂を感じるラストでありました。 この人の場合、“楽しみ”に偏りすぎる辺りがちょっと問題なわけですが(笑)

 おまけに余計な話を一つ。
 上で「楽しんだもん勝ち」とか書いておきながら細かな解析を試みるのも我ながら性格に難ありですが、 葦原さんの所を書いていたら、3人主人公という基本設定の最終的な側面が見えたので、最後にそこだけ。
 とかく世の中とは面倒なもので、単純な善悪二元論の構図を描くと「今時……」とか「未だにそういう発想 のヒーロー物に必要があるのか?」とか「結局どっちも力で解決」とか言われてしまい、かといって善悪の はっきりしない構図を描くと「わかりにくい」とか「子供には難しい」とか「ヒーロー物でそんな事しなくても」 と言われてしまうのが現代の実情です。
 じゃあ本当にこういった作品が必要無いのか?といえば、こういった作品だからてらいなく書けるもの、 伝えられるものは間違いなくあるわけで、だからこれだけ色々な形で続いているし、無くしてしまう事への 危機感が制作側にあるのも確かです。
 そこで東映が近年進めてきているのが“ヒーロー”の再考証(構成)なわけですが……例えば 近作『仮面ライダークウガ』で行っていたのは、主人公(ヒーロー)自身による「正義」という定義の語り 直しでありました。
 そういった観点で見た時、『アギト』で行われていたのは、「現代」という時空にヒーローを置いた時に 不可避な、「正義」の捉え方に対する三種類のサンプリングであったのかな、と。
 すなわち、
 “自分の正義を信じ続ける男”氷川誠
 “正義とは何かを考えない男”津上翔一
 “正義とは何かを探す男”葦原涼

 の3つ。どれが良いとか悪いとかでなく、そうなってしまうのだ、とでも言いましょうか。ちょっと言葉 が見つからなくて説明しきれなくてすいません。
 なお、私自身は別に二元論的な悪の組織と正義の味方の話を否定する立場ではありません。むしろ好き なんで、高いレベルでやってくれるなら見たいぐらいです(笑)
 ただ同時に、そういった過去の膨大できらびやかな遺産を抱えてしまっている志ある制作者が、 それをしたくないという気持ちも良くわかるつもりなので、ノスタルジーでものを 造る事を潔しとしない現在の東映特撮陣の姿勢は非常に評価するとともに敬意をあらわします。
 円谷英二は凄かった、伊上勝は凄かった、石森章太郎は凄かった…………
 でも、いや、それだからこそ、同じ事をやってはいけないんですよね。
 私はそう思います。
 だから、頑張れ『龍騎』

 更にしつこく最後の最後に新番組の『龍騎』に関してですが、なんか色々凄そうで、 だんだん期待度が上がってきました(笑) 次回予告で既に街中をバイクが突っ走っていたり、「俺が 仮面ライダー?」とかいう台詞が出ていたりで……今回珍しく、ちょっと先行して情報集めたりもしてる んですが(読売新聞にも思いっきりあらすじ書いてあったりしましたが)、ストーリー的にも吹っ飛ばしてくれる みたいなんで、楽しみです。やはりクラッシュ系の仕事に走ったか、白倉伸一郎……(笑)
 不安なのは、ある時期から『アギト』の助監督欄から名前が消えている鈴村展弘が本格監督デビューとか しないだろうか、という事ですが。いや、新人育てないといけないのはわかってるんですがー、嫌いなんで すもの、鈴村演出。とにかくまあ、頼むぞ田崎。あと、小林靖子さんの手腕に期待です。

 引き続き『龍騎』ページがあるかどうかは……見てから決めます(笑)

(2002年2月1日)

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