『タイムウォーカー零』とは?

 集英社の週刊少年漫画誌、『少年ジャンプ』において、平成3年第26号から同年48号まで連載された、全22話のマンガ作品。
 主人公の名は、刹那零(せつな・れい)。
 瞬間移動時間移動の力を持った超能力者で、その能力を用いて愛と正義の為に戦わ……ないで、もっぱら金儲けを繰り返す。彼の仕事は、タイムウォーカー。時間を渡るその能力を活かし、“過去を変える事”を商売にしている。
 その内容は多岐に渡り、浮気の揉み消しから、失われた古美術品の再発掘。果ては戦時に殺される筈だったゾウを助ける事まで。
 本編はその零が、金にうるさい癖に情に脆い性格から巻き込まれる様々な事件を中心に展開する、いわゆる人情話。作風としてはギャグありアクションあり、そしてちょっと泣かせ有り、といった具合。
 中盤、“零と同じ能力を持つ男”九条京介の登場により、物語は彼等の超能力に隠された秘密と、その裏に隠れた恐るべき巨悪の存在を軸に新たな展開を迎える。世界を支配するほどの力を秘めた、漏尽珠を求め、零が過去へ飛ぶという連続ストーリーものへ。
 結局、この一話完結形式から連続ストーリーものへの変化がマンガそのものの寿命を縮めた感は否めない(これに関してはコミックス後書きにおいて作者もそう述懐している)のだが、とにもかくにも、自らの出生の秘密を知り、その巨悪と対決し、零の物語は一つの終結を迎える事になる……。

 思えば当時のジャンプといえば、『ドラゴンボール』が人気絶頂、『スラムダンク』『幽遊白書』などの後の超人気マンガが注目を集めだした頃で、まさに今から見れば“黄金期の黄昏”、少年マンガ界に絶大な勢力を誇っている時代であった。
 ジャンプお得意の作家サバイバルは苛烈を極め、下手なマンガは8,9話で終わる頃。新人漫画家が生き 残っていくには、かなり厳しい頃だったのかもしれない……。
 正直、今、『零』がジャンプで連載されたら、もう少しは続いたのではないかと、思えて仕方がない。そうすればまた別の新しい要素、様々なゼロの物語が生まれていた事だろう。
 だがそれを論じるのは卑怯というものだろう。
 ただ今でも、一話(或いは前後編)完結形式の時の話造りのうまさは、かなりの物だったと思っている。それだけに残念でならないのだが……今でも、私の中で『タイムウォーカー零』は、“素晴らしき佳作”である。

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